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ぼくの住まい論<内田樹>
■ぼくの住まい論<内田樹>新潮文庫 20150404 「宴会のできる武家屋敷」として著者が神戸に建てた、住居兼道場。パブリックとプライベートのスペースを融合させた。どんな工夫があるのだろう、と興味をもった。 結論からいうと、どんな人をも家に受け入れ... -
「いいね!」が社会を破壊する<楡周平>
■「いいね!」が社会を破壊する<楡周平>新潮社 20150403 筆者は、フィルム業界のガリバー・コダック社に勤めていた。超優良企業がつぶれる経緯の描写が興味深い。 コダックはフィルムをつくり、現像し、プリントするという各段階でもうけたから、利益率... -
作業中)哲学の使い方<鷲田清一>
■哲学の使い方<鷲田清一>岩波新書 201412 ▽性急に答えを出そうとするのではなくて、答えがまだでていないという無呼吸の状態にできるだけ長く持ちこたえられるような知的耐性を身につけること。…問うなかで、問いが解消するどころか、逆に増殖してゆく... -
作業中)世界遺産を守る民の知識 <関口広隆>
■世界遺産を守る民の知識 <関口広隆>明石書店 20150123 ▽4 田んぼの上に帽子のように森がこんもりかぶさっている。森の少し下は、薪や用材を手に入れる林になっているところも。田んぼの下には、耕す人たちの家がぽつぽつ散らばり、…さらに下には人び... -
作業中)あの戦争と日本人<半藤一利>
■あの戦争と日本人<半藤一利>文春文庫 20150102 ▽17 敗戦後の大人たちの変わり身の早さ早さには肝をつぶしました。「この悲惨な戦争は軍部と政治家によって引き起こされたものであって、われわれには悪いところは一つもない」「われわれは、罪深い戦争... -
草の根 農健懇500回特集号
■草の根 農健懇500回特集号 2015/01/14 稲葉峯雄先生を中心に、愛媛県で1967年から月1回開かれていた農村健康問題懇談会が2013年、500回で幕を閉じた。 10人程度の小さな集まりだ。愛媛にいた当時、何十年と継続していることには驚いたが、それがどれ... -
作業中)民主主義はいかにして劣化するか<斎藤貴男>
■民主主義はいかにして劣化するか<斎藤貴男>KKベストセラーズ 20141226 ============= ▽50 安保法制懇 公的機関ではない。各大臣の諮問機関として位置づけられる審議会ならば、反対の立場の委員も参加させるのが慣例だが、たんに安倍さんが個... -
江戸しぐさの正体<原田実>
■江戸しぐさの正体<原田実>星海社新書 20141222 江戸時代の商人たちの行動哲学とされる「江戸しぐさ」。2007年に「NPO法人江戸しぐさ」が発足し、学校の道徳の授業にも採用されるようになっている。育鵬社の「新しいみんなの公民」教科書にもコラムで扱... -
作業中)ノンフィクションは死なない<佐野眞一>
■ノンフィクションは死なない<佐野眞一>イースト新書 20141223 心配だった。どうなっているのか。週刊朝日の橋下徹のルポはなぜあんな形で生まれ、1回で切り捨てられたのか。盗作問題はいったい? その疑問にひとつひとつ答えている。 沈黙するあいだ... -
作業中)「分かち合い」の経済学 <神野直彦>
■「分かち合い」の経済学 <神野直彦>岩波新書 20141218 スウェーデン語の「オムソーリ」。悲しみの分かち合い、という意味。競争一辺倒ではない「分かち合い」の経済をめざす。「ラーゴム」はほどほどという意味。極端に貧しいことも、極端に豊かなこ... -
作業中)愛と暴力の戦後とその後<赤坂真理>
■愛と暴力の戦後とその後<赤坂真理>講談社現代新書 20141214 時代の変化の節目。終戦、空き地、80年、〓。 筆者の育った東京郊外。小川は暗渠に。火から電気、さらに原発へ。けんかからいじめへ。 危険はどんどん見えないものになっていった。同時に... -
作業中)若狭 日本の風景を歩く<水上勉>
■若狭 日本の風景を歩く<水上勉> 20141216 若狭は原発のイメージが強すぎて、小浜以外は魅力を感じていなかった。小浜に魅力を感じるのは、若狭では珍しく原発がないことと無関係ではない。自然の景観の美しさは同じでも、原発ができると精神文化は大... -
居住福祉社会へ<早川和男>
■居住福祉社会へ<早川和男>岩波書店 20141124 筆者は 人間の暮らしを支える「居住福祉資源」を求めて全国を旅してきた。とりわけ災害被災地などでは、どんな居住福祉資源が必要なのか浮き彫りになるという。 団地の建て替えによる強制立ち退きや、老い... -
わが六道の闇夜<水上勉>
■わが六道の闇夜<水上勉> 20141119 水上勉がみずからの青少年時代を振り返った自伝。 若狭の極貧の家に生まれた。電気代を払えず電柱を抜き取られ、昭和19年まで20年間、電気がなかった。風呂もない。便所は軒下のはだか桶だ。 10歳で京都の寺に出家さ... -
柳田国男入門<鶴見太郎>
■柳田国男入門<鶴見太郎> 角川選書 20141123 民俗学は社会に役立つのか。 「実践の民俗学」「介護民俗学」という本では、その具体例が示されていた。でも、全体としての民俗学は苔むしたイメージに覆われている。それを転換する方法はあるのだろうか、... -
熱狂なきファシズム<想田和弘>
■熱狂なきファシズム<想田和弘> 河出書房新社 20141123 共感できる内容が多い。映画人でありながら、今の時代の流れを「熱狂なきファシズム」と危機感を抱き、憲法の意味について積極的に発言する。見習うべき態度だ。 さらに、彼の提唱する「観察映画... -
縄文人の世界 日本人の原像を求めて<梅原猛編 三方町縄文博物館長>
■縄文人の世界 日本人の原像を求めて<梅原猛編 三方町縄文博物館長> 20141111 □梅原 ▽12 今まで狩猟採集をし、流浪していて、文化の低いと考えられていた縄文人が実は定着していて、しかもかなり高い精神文化をもっていたらしいということは明らかに... -
雁の寺・越前竹人形<水上勉>
■雁の寺<水上勉> 新潮文庫 舞台は、水上勉自身と思われる小僧がつとめる京都の禅寺だ。好色な住職のもとに、芸子出身の美しい女性がすまうようになる。寺には、水上本人がモデルと思われる若狭出身の根暗な小僧がいる。 チビで姿形も奇異な小僧の不幸な... -
ゼロの焦点<松本清張>
■ゼロの焦点<松本清張>20140815 久しぶりの再読。ヤセの断崖について書くために文庫本を買った。あらすじも忘れていた。 能登にいて読むと、土地の雰囲気がわかるからおもしろい。当時は鉄道が多かったが、ずいぶん廃線になってしまったこともわかる。羽... -
魚津フォーラム米騒動を知る
■魚津フォーラム米騒動を知る <NPO法人米蔵の会> ▽米蔵の会理事長 慶野達三「米騒動は今日の国民一人一人の生活、基本的人権を求めた先駆けであり、歴史的に大きく評価されます」 ▽大成勝代 編集長 魚津の米騒動は社会に混乱をもたらしたという目に... -
藤野厳九郎<土田誠> 魯迅と藤野厳九郎<芦原町教委>
■医師藤野厳九郎<土田誠> 20141004 著者87歳で書いた本。元新聞記者。小説風に記してあり、とても読みやすい。幼いころ藤野の診察を受けた。新たに20人に取材したという。 ・見渡すかぎり水田がつらなる越前平野に20数年ぶりに帰ってきた。 ・父も祖父... -
古代から来た未来人 折口信夫 <中沢新一>
■古代から来た未来人 折口信夫 <中沢新一> ちくまプリマー新書 20140904 折口は神道などを論じた、超保守的、あるいは反動的な文学者というイメージだった。だが、そうではないという。折口は「古代人」の心を知ろうとした。古代の心を知ること... -
「消費」をやめる 銭湯経済のすすめ <平川克美>
■「消費」をやめる 銭湯経済のすすめ <平川克美> ミシマ社 20141004 昭和の大田区の町工場では、休みという概念それ自体がなかった」。働きづめだから消費者になりようがない。戦中派の人は生産者でしかなかった。 筆者の世代にはまだ、「お金を使う... -
鶴のいた庭<堀田善衛>
■鶴のいた庭<堀田善衛> 20140718 富山県高岡市の伏木の取材に関連して読んだ短いエッセー。堀田善衛の本はずいぶん昔に読んだことがあったが、北陸の豪商の出身とは伏木を訪ねてはじめて知った。 堀田は伏木で最大の回船問屋「鶴屋」に生まれた。庭には... -
孤高の人(上下) <新田次郎>
■孤高の人(上下) <新田次郎>新潮文庫 20140711 夢枕獏の「神々の山嶺」に読後感が似ている。有名な藤木九三も藤沢という名で登場する。石鎚山の自然保護に一生を投じた峰雲行男さんは藤木を山の師としていた。もしかしたらこの本の主人公の加藤文太郎... -
街場の五輪論<内田樹、小田嶋隆、平川克美>
■街場の五輪論<内田樹、小田嶋隆、平川克美>朝日新聞出版 いったん招致が決まると、五輪に異論を唱えるのが難しくなっている。一時期の大阪では、橋下に対して、地元の学者が反対できなくなった。 戦前を見ても、好戦的な世論が醸成されることそのものよ... -
北前船の近代史 <中西聡>
■北前船の近代史 <中西聡> 成山堂書店 20140522 北前船が生まれた時代や経済の背景、北前船がもたらした経済の影響などを綿密に記してありとてもおもしろい本だった。 北前船というと江戸時代というイメージがあるが、江戸時代に藩と結びついて活躍し... -
北前船おっかけ旅日記<鐙啓記>
■北前船おっかけ旅日記<鐙啓記>無明舎 20140513 三度にわたる長期取材はまず、100冊ほどの資料を集めて200カ所の寄港地を割り出した。そのうち164の港をめぐった。その取材日記をまとめた。 第2次取材では、取材予定先100カ所以上に資料の... -
北陸線の全駅乗歩記<澤井泰>
■北陸線の全駅乗歩記<澤井泰>文芸社 201403 北陸企画のネタ探しのために買った。文章じたいがよいわけではないが、北陸線とその視線の駅をすべて降りているから、北陸のそれぞれの町の概略や名所、食べ物などを知るのにぴったりだった。鉄道が好きだか... -
ポエムに万歳!<小田嶋隆>
■ポエムに万歳!<小田嶋隆>新潮社 20140330 「ポエム化」の薄気味悪さを描く。小田島にしか書けないエッセーだ。 「ポエム」は詩とは似て異なる。ふわふわと浮いていて、何を言っているか分からないけど、なんとなく雰囲気だけをのせていて、けつの穴が...