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葬式と檀家<圭室(たまむろ)文雄>
■葬式と檀家<圭室(たまむろ)文雄>吉川弘文館1999年 2016/06/28 カトリック教会の神父さんから借りて、飛ばし読みした。 キリシタンを弾圧するために檀家制度がつくられ、人びとは寺の住職に自分の身分を保証してもらわなければならなくなった。檀... -
むらの社会を研究する<日本村落研究学会 鳥越皓之編>
■むらの社会を研究する<日本村落研究学会 鳥越皓之編>農文協 日本におけるむらの研究の流れや、研究の方法、現代の課題などを網羅していてわかりやすい。本格的にむら研究をはじめる人には必読の書だろう。私のような素人が読んでもおもしろかった。 ... -
家族農業が世界の未来を拓く<国連世界食糧保障委員会専門家ハイレベル・パネル>
■家族農業が世界の未来を拓く<国連世界食糧保障委員会専門家ハイレベル・パネル> 農文協 20160618 かつて農業の規模拡大がすべてかのように論じられた。世界では緑の革命による増産がすすみ、国内では「海外の大規模経営に負けるな」と大規模化がめ... -
怪優伝 三國連太郎<佐野眞一>
■怪優伝 三國連太郎・死ぬまで演じつづけること<佐野眞一>講談社 三國が出演した映画を筆者がいっしょに視ながら、長時間インタビューをしてつくられたぜいたくな本だ。 被差別部落出身で祖父は棺桶をつくる職人だった。戦時中は兵役を拒否するた... -
熊楠の星の時間<中沢新一>
■熊楠の星の時間<中沢新一>講談社 20160602 思考が真の天才の火花を散らし、人生が星の輝きに包れる「星の時間」は、熊楠ほどの天才でも、那智の山ですごした数カ月だけだった。この時期に、現代科学や哲学をも凌駕する思想が手紙の形で表現されたと... -
国際経済学入門<高橋信裕>
■国際経済学入門<高橋信裕>ナカニシヤ出版 20160527 分厚い本で敬遠していたが、読んでみると思った以上にわかりやすい。 経済学の理論って、専門家が正反対のことを言うことも珍しくないから、科学というよりイデオロギーに近い印象がある。さまざ... -
いのちの場所<内山節>
■いのちの場所<内山節>岩波書店 20160403 いのち、は、個人のものなのか。命が個人のなかにとどまり、自分の命だけが至上のものとしたら、その喪失は世界のすべてを失うことを意味する。だから、死がとてもなくおそろしいものとなる。 だが、そうし... -
街場の文体論<内田樹>
■街場の文体論<内田樹>文春文庫 20160404 神戸女学院での最後の年のクリエイティブ・ライティングの講義のまとめ。 よい文章とは? あたりまえでないこと。斬新なこと。でも斬新だといわれたシュールレアリズムも最初の宣言はすばらしいが、あとは... -
楡家の人びと第三部<北杜夫>
■楡家の人びと第三部<北杜夫>新潮文庫 20160518 戦争が進んでも、「不治の病だ」と称して病院の農場でのんびり過ごしていた米国(よねくに)にも赤紙が届く。職員のほとんどがいなくなり、医者も軍医として動員される。二代目院長の徹吉と龍子の長男... -
楡家の人びと第二部<北杜夫>
■楡家の人びと第二部<北杜夫>新潮文庫20160516 第2部を読んでいて、この物語には主人公がいないことに気づいた。広大な病院を築きあげた楡基一郎は、火災で焼失した病院再建を果たそうと郊外の土地の購入を決めたところで死んでしまった。狂言回しと思... -
楡家の人びと 第一部<北杜夫>
■楡家の人びと 第一部<北杜夫>新潮文庫 20160429 舞台は大正時代の東京郊外の私立の精神病院。院長の楡基一郎は、ふるさとの東北では平凡な名前だったが、東京に出て成功して巨大な病院の主となって名前を変え、政友会の代議士にもなった。西洋の宮... -
メディアの地域貢献-「公共性」実現に向けて<早稲田大学メディア文化研究所編>
■メディアの地域貢献-「公共性」実現に向けて<早稲田大学メディア文化研究所編>一芸社 20160419 一覧性に富む新聞は、記事を読んでいるうちに、全く予期せぬ出会いが生まれるというところが魅力だ。アマゾンと比較したときの書店の魅力もそこにある。... -
結社の世界史1 結集・結社の日本史<福田アジオ編、綾部恒雄監修>
■結社の世界史1 結集・結社の日本史<福田アジオ編、綾部恒雄監修>山川出版社 20160506 コミュニティや中間団体はどんな経緯で変化してきて、幸福な未来社会をつくるためにどう生かすことができるのだろう。そんな疑問をもって買ってから2,3年。し... -
旅と移動 鶴見俊輔コレクション
■旅と移動 鶴見俊輔コレクション<鶴見俊輔>河出文庫 時代の主流ではない部分、周縁部分にこそ、次の時代を担う大切なものがある。そんな存在を丹念にひろい、その意義を解明している。 中浜万次郎は、14歳でアメリカの捕鯨船に助けられ、船長に育て... -
街場の憂国会議<内田樹>
■街場の憂国会議<内田樹> 晶文社20160423 武道家にとって「驚かされること」は禁忌。「驚かされない」ためのもっとも有効な方法は「こまめに驚く」こと。「風の音にもおどろく」。ああその通りだと思った。日ごろのニュースにこまめに驚いておくこ... -
そして、メディアは日本を戦争に導いた<半藤一利、保阪正康>
■そして、メディアは日本を戦争に導いた<半藤一利、保阪正康>文春文庫 20160417 明治期のジャーナリズムを支えたのは旧幕臣で、民権主義者だった。政府の宣伝機関ではなかった。 日清・日露戦争で国家政策に共鳴する人が増えたことで、メディアは国... -
文明は農業で動く 歴史を変える古代農法の謎<吉田太郎>
■文明は農業で動く 歴史を変える古代農法の謎<吉田太郎>築地書館 近代農法は石油に依存している。石油を使わず、100年前の技術水準で養える人口を計算すると、現在の35%の人口にすぎないという。江戸時代の日本はほとんどが農民だったが、3000万人... -
鶴見俊輔集2 先行者たち
■鶴見俊輔集2 先行者たち 筑摩書房1991年 20160306 プラグマティズムとは、実用主義とか現実主義とか、その場その場で対処する考え方という程度にしか思っていなかった。 デューイについての文章を読んで、場当たり的に思えたプラグマティズムの歴... -
原発からの命の守り方<守田敏也>
■原発からの命の守り方<守田敏也>海象社 20160318 安全性の保証もなく、避難態勢のチェックもないまま再稼働の動きが進んでいる。 そういう実態を解き明かしたうえで、原発事故や天災が起きたときの身の守り方を説いている。原発だけでなく津波災害... -
原発を拒み続けた和歌山の記録
■原発を拒み続けた和歌山の記録<汐見文隆監修 「脱原発わかやま」編集委員会編>2012寿郎社 20160228 和歌山では、那智勝浦、古座、日置川と日高2カ所の計5カ所で原発計画があったのに、すべてが阻止された。なぜ和歌山で阻止できたのか。地域性が... -
現代地域メディア論<田村紀雄・白水繁彦編著>
■現代地域メディア論<田村紀雄・白水繁彦編著>日本評論社 20160304 メディアが、地域社会に役立つにはどうしたらよいのか、新たな可能性はあるのか…知りたくて手に取った。メディア当事者や関係が深い地域住民ではなく、研究者の論文だから、おもしろ... -
南方熊楠の謎 鶴見和子との対話<松居竜五編>
鶴見は戦後、「山びこ学校」を通して「生活綴方」に共感し、自己史をつづることの重要性を説くようになる。このころの鶴見は、人々の生の声をどのように記録し、学問活動につなげるかを追究していた。対象を外から観察する近代科学のような社会学から、... -
増補 共同体の基礎理論 内山節著作集
■増補 共同体の基礎理論 内山節著作集15<内山節>農文協201 共同体は1970年代までは、封建時代の遺物と考えられた。 ところが共同体が消え、自立した個人が社会に参加することでよりよき社会が生まれる、という希望は実現しなかった。個人がバラバラ... -
戦後日本の大衆文化史<鶴見俊輔>
■戦後日本の大衆文化史<鶴見俊輔>岩波現代文庫2001(1984) 20160208 1980年頃につくられた同時代史。柳田国男の「明治大正世相史篇」の戦後版だ。その時代にそこに住む人の目から、戦後という時代の変遷を描く。同時代を客観的に描くことは難しいが、... -
かくれ佛教<鶴見俊輔>
■かくれ佛教<鶴見俊輔>ダイヤモンド社2010 20160205 キリスト教の「あなたは間違っている」という態度は、「罪なき者、この女を打て」と言ったイエスの時代にはなかった。一神教的な不寛容さは、キリスト教が国家宗教になってからの性格ではないかと鶴... -
思い出袋<鶴見俊輔>
■思い出袋<鶴見俊輔>岩波新書2010 20160203 ジョン万次郎や高杉晋作、坂本龍馬ら、幕末に活躍した人々は、時代を大きくとらえる力を持っていた。日露戦争で国民の反発を押し切ってでも講和できたのは、この世代の人々の冷静な判断力のおかげだった。 教... -
現代思想 総特集 鶴見俊輔 2015年10月臨時増刊号
■現代思想 総特集 鶴見俊輔 2015年10月臨時増刊号 青土社 鶴見は戦争中、敗戦を確信し、人を殺す場面に出くわしたら自殺しようと覚悟していた。だけど「戦争反対」とは言えなかった。鶴見と同様、先行きが見えていた知識人はいたが行動には移せなかっ... -
季刊誌kotoba 2016年冬号 中上健次生誕70年記念特集
■「季刊誌kotoba 2016年冬号 中上健次生誕70年記念特集」 集英社 20160123 中上健次といえば、ガルシア・マルケスを思わせる小説群と、反戦運動などへの積極的な関与、酒と暴力……という印象だが、そもそもどんな人だったのだろう。彼の生き様を知... -
森のバロック<中沢新一>
■森のバロック<中沢新一>せりか書房1992年 20160119 南方熊楠の生涯のうちで「もっとも深く体験されたもの」だけを注意深く取り出そうとした、という。 粘菌研究者としての熊楠、民俗学者としての熊楠、奇行を繰り返した熊楠……それぞれを断片的に紹介す... -
JIN -仁-
■JIN -仁- TBSオンデマンド クレジットカードの明細を見ていて、いつのまにかアマゾンプライムの年会費を払っていることに気づいた。年間4000円ぐらい。プライム会員になるとどんな特典があるのかなあと調べてみたら、Kindle の本を月1冊読むことがで...