20映画など– category –
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中山教頭の人生テスト<佐向大監督>
■250703 誠実で柔和な雑用でもなんでもニコニコと笑みを浮かべながらこなす。だれよりも早く出勤して花に水をやり、だれよりも遅く帰る。でもどこか頼りない小学校の教頭先生が主人公。 4年前に妻を亡くし、中学生の娘と2人で暮らすが、娘との関係もギ... -
「久髙オデッセイ第3部 風章」 島の祈りは生きつづける
久髙オデッセイの最終作である「久髙オデッセイ第3部 風章」をウェブで鑑賞し、助監督をつとめた高橋慈正さんの解説をきいた。 12年に一度の午年の年にもよおしていたイザイホーは、島で生まれ、島の男性と結婚した30歳から41歳の女性の女性が... -
国宝<李相日監督>2506
時間とカネをふんだんにかけて、伝統芸能の世界での人間物語をえがきだす傑作。 やくざの組長の息子として生まれた主人公の喜久雄(吉沢亮)は、抗争で父を殺され、上方歌舞伎の花井半二郎(渡辺謙)にひきとられる。半二郎には、喜久雄と同級生の跡取... -
ミッシング・ポイント The Reluctant Fundamentalist
■ミーラー・ナーイル監督 アマゾンプライムでなんとなくみつけた。思いのほかおもしろかった。 パキスタンの大学につとめるアメリカ人大学教授が誘拐される。 それにかかわっていると疑われたのがおなじ大学のパキスタン人教授だった。記者をよそおっ... -
特別展「日本、美のるつぼ」
「日本、美のるつぼ」を見に京都国立博物館へ。行列ができているから迷ったが、待ち時間は20分程度というからならんだ。2000円。 最初は目玉は、葛飾北斎の富嶽三十六景や国宝の「風神雷神図」 明治政府は、日本を美術や歴史をもつ「文明国」だと... -
谷崎潤一郞記念館特別展「潤一郎、終活する~文豪谷崎 死への挑戦~」
無類の女好きだった谷崎がどんな「終活」をしたのか興味があって、芦屋市の谷崎潤一郞記念館を20年ぶりにたずねた。 谷崎は1915年、30歳で千代子と結婚して娘・鮎子が生まれた。だが、良妻賢母の妻とはあわず、奔放な妻の妹のせい子にいれあげ... -
能登デモクラシー<五百旗頭幸男監督>
私は新聞記者として奥能登の4市町を担当していたが、穴水町は話題の少ない、おだやかな町だった。 能登は全体に保守的で、役所がいばっていて、議会はなぁなぁなのだが、珠洲市には原発問題、輪島市では震災がれき問題があったから「野党」が存在した... -
民具のミカタ博覧会 (国立民族学博物館)
1970年の大阪万博のために岡本太郎が発案し、梅棹忠夫と泉靖一が指導したEEM(日本万国博覧会世界民族資料収集団)による世界の民具と、宮本常一らが収集した武蔵美術大の9万点の民俗資料(ムサビコレクション)から抜粋して展示している。 メキシ... -
CONCLAVE(教皇選挙)
飛行機で見た。フランシスコ法王が亡くなったばかりの今にぴったり。英語はききとれないが字幕があるからなんとか理解できた。 人望があつい教皇が突然亡くなり、次期教皇をきめるコンクラーベがはじまる。その運営責任者ロレンス枢機卿が主人公だ。 ... -
Maria
2024年公開の映画を飛行機で鑑賞。 アンジェリーナ・ジョリーが、ギリシャ系アメリカ人でギリシャで活躍した伝説のオペラ歌手の最後の日々を演じる。 マリア・カラスは、ギリシャの億万長者オナシスと恋人関係になり、ケネディ大統領とも知遇をえ... -
LINDA
飛行機内で鑑賞した2024年のアルゼンチン映画。スペイン語と英語の字幕があるから理解しやすい。 お屋敷でメイドとして働くことになった25歳のシンブルマザー・リンダが主人公。 金持ちで幸せそうな家族が、美しいリンダの性的魅力によってしだ... -
久髙オデッセイの第Ⅱ部「生章」<大重潤一郞監督>
■250223 2008年制作 比嘉康雄さんは2000年に余命宣告。その遺言として「原郷ニライカナイへ~比嘉康雄の魂」を2001年に大重監督が完成させた。「比嘉さんにかわって、久高島で映画をつくっていく」と大重監督は2002年から「久髙オデッセ... -
港に灯がともる<安達もじり監督>
■250124 阪神・淡路大震災の1カ月後に生まれた在日韓国人3世の灯(あかり)が主人公。 2世の父は、無一文から苦労してきたのに震災ですべてを失った母の思いを背負って苦悩しつづけている。あかりの母はその重苦しさが嫌で、あかりの成人式の日に夫と... -
太陽の少年<チアン・ウェン監督>
1994年の中国映画。 舞台は1970年代の北京。文化大革命の時代、大人は政治闘争、青年は農村におくられ、北京のまちは十代の若者が跳梁跋扈していた。毛沢東をたたえる歌などが時代の空気を表現する。 軍用トラックと公共交通機関はあるが、庶... -
つぎとまります<片岡れい子監督>
京都の亀岡を舞台に、「日本一のバスの運転士になる!」とバス会社に就職した保津川美南という女の子が主人公。「保津川」という姓からして地元ベタベタ。バスの路線も停留所も実在する。地味な存在である地方の路線バスを舞台にどんなストーリーをえが... -
「とどけよう、平和の歌!」コンサート
「とどけよう、平和の歌!」というコンサートをききに京都へ。 映画プロデューサーのHさんが「平和のためになにかしたい」と思い、音楽関係者に声をかけて実現した。 合唱団にはじまり、沖縄戦をテーマにした絵本の朗読。それから沖縄の三線。どれも心... -
水の心<大重潤一郎監督>
1991年につくられた27分の短編。もとは宗教団体の依頼で撮影したものだという。 ヒマラヤの氷の峰から生まれる1滴の水がすこしずつ集まり、冷たい渓流となり、大河へとそだつ。インドの川では水を浴びて祈り、バリの棚田でも水の女神にたいして... -
うんこと死体の復権
アマゾンの探検家で医師の関野吉晴が監督。 常識をくつがえし、汚いもの、みたくないものを徹底的につきつけられる。なのに見終わったあとは、ある種のさわやかさをかんじる。 伊沢正名は40年以上野糞をつづけ、だれもが野糞をできるように山を購入... -
おらが村のツチノコ騒動記<今井友樹監督>
監督の故郷の岐阜県東白川村は、「ツチノコの村」であり、毎年、ツチノコをさがすイベントが催されてきた。監督も子どものころはツチノコの実在を信じ、捜索イベントに参加した。 ツチノコの村、の存在感は抜群だけど、大人になるにつれてはずかしくな... -
民博「日本の仮面――芸能と祭りの世界」
民博の「日本の仮面――芸能と祭りの世界」を見に行った。 能や狂言など、さまざまな面がある。それらをただ年代別やカテゴリーで分類してならべるだけでなく、「仮面」の意味をさぐる。民博の展示のおもしろさはそんな「意味」の抽出にある。 縄文時代... -
戦雲-いくさふむ<三上智恵監督>
ぼくは石垣島には5回、宮古島も1度旅行した。最後は2015年だった。迷彩服の米軍人が闊歩する沖縄本島とちがって、平和で明るい島だった。 ところが2016年ごろから、自衛隊の進出がはじまった。 石垣島の聖地である於茂登岳のふもとにミサイ... -
記者たち 多数になびく社会のなかで20240306
MBS斉加尚代さんが制作した番組。 沖縄の新聞記者の明さんは、東京に異動して防衛省担当になり、全国紙の記者は与党にばかり近づいているとかんじる。 毎日新聞の小山美砂記者は広島の被爆者を追ってきた。「小山さんの記事はあついけど、中立公平じゃ... -
翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~
■映画 240110 昨年試写会で見たけど、荒唐無稽すぎて感想を書けなかった。だからもう一度見た。 埼玉県民は「どちらの出身ですか?」と聞かれると「東京のほうです」と答える。滋賀県民は「京都の近く」と答える。共通する卑屈な県民性をもとに「埼玉解... -
神とヒトがおなじ地平にいるヒンドゥーの魅力−−特別展「交感する神と人」ヒンドゥー神像の世界
ヒンドゥー教は「カースト」と直結して、厳格な身分制度をささえた宗教というイメージだ。 大学時代にインドをおとずれたときは、その「異界」ぶりに圧倒され、興奮と緊張の旅だった。でも短期間の滞在ではヒンドゥーの「差別」のイメージはぬぐえなか... -
ETV特集 個人的な大江健三郎
大江健三郎の小説は読んでいたつもりだったけど、なーんもわかってなかったなぁと思わせられた。若者の性と残忍さをえがいた初期作品から、原爆被害者や障がいをもつ息子を題材にした小説へ……という流れを、それぞれの作品に感動した人の証言をもとにえ... -
映画「福田村事件」<森達也監督>
1923(大正12)年の関東大震災直後の9月6日、千葉県福田村で、在郷軍人会にあおられた村民たちが、香川の被差別部落からきた薬の行商人9人を殺害した事件をもとに、森達也監督がつくりだした活劇。 朝鮮での教員時代に朝鮮人虐殺現場にかかわって傷つい... -
光りの島<大重潤一郞監督>
劇映画とドキュメンタリー中間の映画だ。登場人物は上条恒彦だけ。 監督が10歳のときに亡くなった母が「死んだらなーんもならん」と言い残した。その言葉をそのままうけとめてしまってよいのか。どう解釈してよいのか。今のぼくでも迷う。 西表島の... -
原郷ニライカナイへ~比嘉康雄の魂(2001年)<大重潤一郎監督>
余命を告げられていた写真家の比嘉康雄さんが、大重監督にたのんで「遺言」として撮ってもらった作品。この映画をきっかけに大重監督は久高島にすみつき、「久髙オデッセイ」三部作につながった。 映画は比嘉さんが亡くなる半月前に久高島をおとずれる... -
「君たちはどう生きるか<宮崎駿>
■映画20230718 吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」は小学校のときから何度も読んだ。 主人公のコペルくんとおじさんが語り合い、人とつながりながら自律した人間として生きる道をさぐるという小説を、アニメで描けるのだろうか? そう思って観賞した... -
幾春かけて老いゆかん 歌人 馬場あき子の日々<田代裕監督>
■20230628 95歳の歌人、馬場あき子の1年と、これまでの歩みを紹介するドキュメンタリー。 40年以上、朝日歌壇の選者をつづけているから、一度だけお目にかかったことがあった。 短歌は、同じ朝日歌壇の選者の永田和宏さんの作品にはまり、そこから馬...