02憲法・有事・ナショナリズム– category –
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明日ぼくは店の棚からヘイト本を外せるだろうか<福嶋聡>
■dZERO 20240401 「ヘイト」をめぐって「うちはヘイト本はおきません」と宣言する書店はある。共感しつつも、それがどれだけの意味があるの? とも思っていた。 ジュンク堂につとめる筆者は、ヘイト本を徹底的に批判しつつも、書店から「はずす」こと... -
戦雲-いくさふむ<三上智恵監督>
ぼくは石垣島には5回、宮古島も1度旅行した。最後は2015年だった。迷彩服の米軍人が闊歩する沖縄本島とちがって、平和で明るい島だった。 ところが2016年ごろから、自衛隊の進出がはじまった。 石垣島の聖地である於茂登岳のふもとにミサイ... -
ウクライナ戦争の200日<小泉悠>
■文春新書20230420 小泉悠氏のウクライナについての対談。それぞれの対談で、印象にのこった部分を抜粋。 ▽東浩紀とは日本の防衛について ロシアの軍事思想は、守るためには相手の攻撃能力を先にたたくという「アクティブ・ディフェンス」の発想だから、... -
教育と愛国 202205
戦後なくなった「道徳」という科目が正規の科目として復活した。「おはようございます!」とあいさつするとき、①あいさつの前に頭を下げる②あいさつしながら頭を下げる③あいさつをしてから頭を下げる どれが正解でしょう? こんな珍妙な「道徳」を大ま... -
共犯者たち
■20190105 2008年から10年間、韓国を席巻した報道弾圧を描くドキュメンタリー。 盧武鉉大統領は「KBS(公共放送)と検察庁には電話をかけない」(圧力をかけない)と約束し、報道の自由、健全なジャーナリズムが花開いた。 次の李明博、さらに次の朴... -
鉄砲を捨てた日本人<ノエル・ペリン 川勝平太訳>
■鉄砲を捨てた日本人<ノエル・ペリン 川勝平太訳>中公文庫 20171007 1543年に種子島に鉄砲が伝来し、戦国大名たちは競って鉄砲を導入した。名乗り合ってたたかうという戦のスタイルを根本的に変えてしまった。16世紀末の日本は、世界のどの国よりも... -
平和ってなんだろう 「軍隊をすてた国」コスタリカから考える <足立力也>
■平和ってなんだろう 「軍隊をすてた国」コスタリカから考える <足立力也> 岩波ジュニア新書 20160912 理想を掲げて革命を起こした国がその後、独裁国家のようになってしまう。逆にほどほどの改革しかしていないように見えた国が、穏便で平和な国家... -
天皇とマッカーサーのどちらが偉い?<室謙二>
■天皇とマッカーサーのどちらが偉い? 日本が自由であったころの回想 <室謙二> 岩波書店 20160715 終戦の翌年に生まれた筆者は、戦争に懐疑的だった両親をもち、学生時代はベ平連にかかわり、その後、アメリカに渡って国籍を取った。アメリカの自... -
久野収集Ⅱ 市民主義者として
■久野収集Ⅱ 市民主義者として<佐高信編>岩波書店 20160709 1960年代から70年代の論文が多く、さすがにわかりにくい部分もあった。でも、国際連合とカント、さらにエラスムスといった思想家とのつながりなど、古い思想が現代の組織や運動にどうつなが... -
丸腰国家〜軍隊を放棄したコスタリカ60年の平和戦略<足立力也>
■丸腰国家〜軍隊を放棄したコスタリカ60年の平和戦略<足立力也>扶桑社新書 20160707 コスタリカは「軍隊のない国」「平和憲法の国」だ。 一方で1980年代の中米内戦時代には、それほど理想的な国には見えなかった。米軍顧問がコスタリカ領内でニカラ... -
街場の憂国会議<内田樹>
■街場の憂国会議<内田樹> 晶文社20160423 武道家にとって「驚かされること」は禁忌。「驚かされない」ためのもっとも有効な方法は「こまめに驚く」こと。「風の音にもおどろく」。ああその通りだと思った。日ごろのニュースにこまめに驚いておくこ... -
サバイバル宗教論<佐藤優>
■サバイバル宗教論<佐藤優>文春新書 20151201 相国寺での僧侶を対象にした講演をまとめた。 宗教やさまざまな思想がどんな流れ・系譜の中で生まれてきたか、わかりやすく説明されている。 フランス革命以後の世界は基本的に理性を信頼し、合理的な思考... -
理想だらけの戦時下日本<井上寿一>
■理想だらけの戦時下日本<井上寿一>ちくま新書 2015/04/06 国民精神総動員運動と大政翼賛会はどちらも日本の全体主義体制の構成要素という認識だった。精神総動員から大政翼賛会への動きは直線的に進行したと思っていた。 だがこの本によると、政党... -
ハンナ・アーレント「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 <矢野久美子>
■ハンナ・アーレント「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 <矢野久美子>中公新書 201504 ユダヤ人として生まれ、大学時代に妻子もちの師のハイデガーと恋愛をする。 シオニストの活動に参加してナチスに逮捕され、パリへ脱出すると、今度は「ドイツ人」と... -
クラウド増殖する悪意<森達也>
■クラウド増殖する悪意<森達也>dAERO 20150404 厳罰化を求める風潮が強まり、死刑囚を弁護するとバッシングされる。 そこには、犯罪者は自分とはまったく関係のない怪物のような人間だ、という考え方がある。 実は凡庸な人間が集団になったときに「朝... -
作業中)あの戦争と日本人<半藤一利>
■あの戦争と日本人<半藤一利>文春文庫 20150102 ▽17 敗戦後の大人たちの変わり身の早さ早さには肝をつぶしました。「この悲惨な戦争は軍部と政治家によって引き起こされたものであって、われわれには悪いところは一つもない」「われわれは、罪深い戦争... -
作業中)民主主義はいかにして劣化するか<斎藤貴男>
■民主主義はいかにして劣化するか<斎藤貴男>KKベストセラーズ 20141226 ============= ▽50 安保法制懇 公的機関ではない。各大臣の諮問機関として位置づけられる審議会ならば、反対の立場の委員も参加させるのが慣例だが、たんに安倍さんが個... -
江戸しぐさの正体<原田実>
■江戸しぐさの正体<原田実>星海社新書 20141222 江戸時代の商人たちの行動哲学とされる「江戸しぐさ」。2007年に「NPO法人江戸しぐさ」が発足し、学校の道徳の授業にも採用されるようになっている。育鵬社の「新しいみんなの公民」教科書にもコラムで扱... -
熱狂なきファシズム<想田和弘>
■熱狂なきファシズム<想田和弘> 河出書房新社 20141123 共感できる内容が多い。映画人でありながら、今の時代の流れを「熱狂なきファシズム」と危機感を抱き、憲法の意味について積極的に発言する。見習うべき態度だ。 さらに、彼の提唱する「観察映画... -
甘粕正彦 乱心の曠野<佐野眞一>
■甘粕正彦 乱心の曠野<佐野眞一>新潮文庫 20110122 甘粕の祖父母からDNAをさぐり、墓地を訪ね、周辺の人物をすべて洗うすさまじいばかりの取材だ。 部下からも慕われ、前途洋々たる軍人だったが、訓練中の事故で重傷を負い、忌み嫌われる憲兵に転... -
「村山談話」とは何か <村山富市、佐高信>
■「村山談話」とは何か <村山富市、佐高信> 角川oneテーマ 201009 震災のころ、村山政権は情けないなあ、と感じた記憶がある。それでもその後の政権と比べると、戦後問題にしても水俣病問題にしても、不十分で不満はあるとはいえ、一定の仕事を... -
天皇陛下萬歳 爆弾三勇士序説 <上野英信>
■天皇陛下萬歳 爆弾三勇士序説 <上野英信> ちくま文庫 20110418 「爆弾三勇士」という名前は聞いたことがあるが、私の世代にとっては、ちょっと読みにくかった。「三勇士」騒ぎを実感としてわかる世代の人ならば体で理解し、彼らのたどった悲... -
一歩の距離 小説予科練<城山三郎>
■一歩の距離 小説予科練<城山三郎> 201007 4人の少年。3人。軍神になると誓った秀才が一歩を踏み出す。人間魚雷の基地へ去っていく。もう1人「かーっとなって」踏み出す。塩月は「飛行機にも乗らずに死ねるものか。あくまで空で死ぬんだ」と決... -
指揮官たちの特攻 <城山三郎>
■指揮官たちの特攻 <城山三郎> 新潮文庫 20100703 昭和19年、フィリピンで初めての特攻を率いた関行男。昭和20年8月15日夜、最後の特攻を率いた中津留達雄。2人は海軍兵学校と飛行学生としての同期であり、結婚したばかりの23歳だった... -
明治・大正・昭和政界秘史 古風庵回顧録 <若槻礼次郎>
■明治・大正・昭和政界秘史 古風庵回顧録 <若槻礼次郎> 20100627 柔軟で優秀だった明治のリーダーたち。外国に学び、なんとか新しい日本をつくろうとした。民法や税制度整備、財政基盤を確立するための地租改正……、若いリーダーたちが捨て身で... -
オーウェル評論集2 水晶の精神<ジョージ・オーウェル、川端康雄訳>
■オーウェル評論集2 水晶の精神<ジョージ・オーウェル、川端康雄訳> 平凡社ライブラリー 200912 どの論考も新鮮で、古さを感じさせない。現代の日本にあてはまる個所がいくつもある。テーマを5つほどにしぼって感想を記したい。 □言葉 あらゆる... -
日本 根拠地からの問い<カンサンジュン、中島岳志>
毎日新聞社 1091031 神風連の乱や西南戦争は、不平士族の反乱と言われるが、「国家」による支配に対するパトリの反乱という側面があるという。この反乱で失敗したことで、武力闘争の道は閉ざされ、自由民権運動が生まれる。 さらに一見、左翼的運動に... -
差別と日本人 <野中広務 辛淑玉>
角川oneテーマ21 20090713 切ない。差別の底からたたかいつづけ、寝業師として、想いを通す。それでも親類からはうとまれ、娘や婿に「野中」を名乗らせない。孫はDAIGOにはならない。「寂しいですよ」と言い合うところ。ぐっとくる。 やさしさ。共感... -
ハンセン病とともに心の壁を超える<熊本日日新聞社>
岩波書店 20080612 熊本の新聞社のルポをまとめた。新聞記事はえてして型にはまってしまうことが多いが、この本は、新聞社自らの責任をも追求し、自己切開し、マスコミも「個」が大切であると言い切っている。ハンセンの問題は、個人・組織・社会の本物と... -
国畜 <佐高信>
KKベストセラーズ 20080417 国家に飼い慣らされ、自分と家族だけが安穏に暮らすことを求め、国家を信じ、判断を任せている人を筆者は「国畜」とよぶ。愛国者という意思表示もせず弱者の皮をかぶっているからやっかいな存在だという。 イラクでつかまっ...
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