KKベストセラーズ 20080417
国家に飼い慣らされ、自分と家族だけが安穏に暮らすことを求め、国家を信じ、判断を任せている人を筆者は「国畜」とよぶ。愛国者という意思表示もせず弱者の皮をかぶっているからやっかいな存在だという。
イラクでつかまった3人への猛烈なバッシングに見られるように、大きな存在は批判せず、叩きやすいところに向けて鬱憤を晴らす。
「俺はこだわってないんだけど、国旗掲揚まで拒否することないじゃないか」という輩は、「こだわってない」と前置きするあたり、中立と思わせておいて結局は拒否する側の人間を追いつめる卑怯な国畜だという。
あいかわらず切り返しが鋭い。
たとえば「核保有をめぐる議論はしてもいい」と政治家が言うと、「議論ぐらいはいいか」と凡人は丸めこまれがちだが、
--「殺人は善いことか悪いことか議論してもいい」と言ってるのと同じ。
「天皇制を存続するか、存続しないか」というテーマも「議論するぐらいはいいだろう」と言うのか? つまり自分らの都合のいい議論だけ解禁したいというわけだ。--
と、筆者は切り返す。
「お国のために死んでいった人がいるからこそ、今の平和があるんだ」という、よくある主張に対して「……だったら、特攻隊で逝った方たちが生きてらっしゃった方がもっと良くなるんじゃないですか」という井筒監督の切り返しもみごとだった。
----抜粋・メモ-----
▽34 00年の五輪のマラソン金メダル。64年ぶりの金メダルとホッ時られた。孫基禎という朝鮮の人だったが、それは報じない。せめてもの抵抗で君が代だけは唄わなかった。
▽53 薬害。殺しておいて「少子化だから子供産んでくれ」なんてメチャクチャ。殺人者が命の大事さを説いているような話。
▽62 NHK番組に対して安倍と中川昭一が介入した。朝日が報道するとそれにかみついた。……肝心の朝日がひよってテープを公開しない。この件は安倍にとって最大の危機だったが、自分が被害者のように装い、上手くすり抜けてしまった。
▽63 中川昭一が「核保有をめぐる議論はしてもいい」。「殺人は善いことか悪いことか議論してもいい」と言ってるのと同じ。「天皇制を存続するか、存続しないか」というテーマも「議論するぐらいはいいだろう」と言うのか? つまり自分らの都合のいい議論だけ解禁したいというわけだ。
▽73 仮に北朝鮮が攻撃するとしたら、油が必要になる。中国がなんらかの承諾しなければ動けない。「油がなくて戦争した国は世界でひとつしかない」
▽86 戦争する前には必ず死を美化する風潮が表れてくる。でも安倍や石原や小泉が戦争に行くわけではない。戦争に行かせるための法案は、戦争に行かない連中が決めていく。
「庶民にとっては、どんな立派な死より生のほうが勝る」という視点に立つこと。
▽91 郵政民営化という名の会社化が良かったのかをあらためて争点にしてもいい。
▽102 「正直であればいい」という考えが一番腹が立つんだよね。正直とか素直とかを美徳にする国民でなければ、美しい国なんてバカなこと言う人が首相になんてならないよ。
▽105 税金をとる主税 と 税金をつかう主計 が一緒。「もの申す人々」に圧力をかける。税務調査や予算の権力をつかって痛めつける。城山三郎が個人情報保護法案に反対したら、税務署から呼びだしがかかった。いきなり過去4,5年分の申告書を提出しろという。……だから私も税金に関してはすごく神経質にやっている。高杉良も野中広務も。
▽109 消費税導入は「高齢化社会の社会福祉のため」と掲げられたが、その後、健康保険本人の医療費自己負担は1割から3割に引き上げられ、年金支給年齢も60から65歳に遅らされる。看板が偽りだった。そもそも弱者に負担がかかる消費税そのものが福祉に反する税金。主税部門や国税は、じゃんじゃんつかう主計部門に頭にきている。
▽119 西川善文(日本郵政株式会社社長)は、銀行のヤクザ化とヤクザの銀行化を同時進行させた戦犯。そんな人間が社長になったという批判的視点がマスコミも含めてない。
分割民営化後、JRでトラブル多発。同じ事が郵政でも起こってる。誤配とかサービス低下とか。
122 民営化は田中派潰し。国鉄も運輸族の田中派の牙城だった。電電公社も。福田派の小泉は田中派の特定郵便局が憎くてしかたなかった。
小泉は大蔵族だから、銀行の利権を背負って、銀行のために働いただけ。
▽134 井筒 「お国のために死んでいった人がいるからこそ、今の平和があるんだ」というメッセージ。……だったら、特攻隊で逝った方たちが生きてらっしゃった方がもっと良くなるんじゃないですか。
▽143 NHKアンケート 努力すれば報われるか、という質問で「報われない」が7割。「親の経済力や立場が子供の将来に影響するか」の問いに「影響する」が7割。10年20年前は「努力すれば報われる」が7割。「親の経済は関係ない」も7割いた。
▽146 郵政業務は、郵便と保険、貯金の3つの事業があり、合わせて黒字だった。税金は1円も使っていなかった。それを公務員の無駄遣い、という風にパフォーマンスした。
▽180 櫻井よしこ 味方のときは心強い。
▽209 中田の引退を朝日・毎日・産経が一面トップ。沖縄海兵隊のグアム移転とかもっと重要な話もあったのに。
……団塊世代が新聞社の幹部にいるが、全共闘の連中を見てると、権力が好きなやつが多い。彼らの運動ってのは、権力を俺たちにまかせろ、ということ。権力というものを無、あるいは骨抜きにする運動ではなかった。権力が好きだから、自分たちが上の立場になってきたら、下にモノを言わせない。
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