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20映画・美術館など
宮沢賢治と仏教
宮沢賢治は「死のむこうがわ」をどうとらえ、どんな死生観をもっていたのかについての島薗進さんの講演をきいた。妹とし子の死をつづった「永訣の朝」と法華信仰とのかかわりがとくに印象にのこった。 賢治は結核で苦しみ、妹のとし子を26歳のときに... -
11歴史〜現代史
なぜ饒速日命は長髄彦を裏切ったのか 物部氏の懺悔、尾張氏の悲憤<関裕二>
■PHP 260121 筆者の論は考古学の主流ではない。とてもおもしろいけど、推論が多くて眉唾的な部分も多そうだ。どこまで信じてよいかわからないが、一気に読んでしまった。 神武に先だち、物部氏が北部九州から東遷したという考えは、邪馬台国北部九州... -
05環境・農業
南アルプス探検<杉山恵一>
■260118 私は1990年に新聞記者になり静岡支局に赴任した。 黒澤脩さんという静岡市の図書館長が黒俣という山の集落の古民家にすんでいて、不思議な人たちが毎月のように囲炉裏をかこんで酒を飲んでいた。 筆者の杉山さんは静岡大の教授で、黒俣の飲... -
06福祉・災害・住宅
地震、水害……「想定外」を想定しろ
阪神淡路大震災から31年、神戸市であった安富信・神戸学院大教授の講演を聴きにいった。 石破・前首相は防災に力を入れようとしていたが、高市政権になって「防災」は軽視して「防衛(軍事)」ばかり口にする。 南海トラフの地震の損害は国家予算の... -
紀南
祈りの原風景 熊野の無社殿神社と自然信仰<桐村英一郎>
■森話社260109 熊野には矢倉神社・高倉神社という名の無社殿の神社が多い。仏教寺院の影響で社殿をもつ以前の原初の信仰形態を残しているという。 なぜ熊野に無社殿の神社が多いのか。なぜ矢倉神社や高倉神社と名づけられたのか。 筆者は、それらの神社... -
20映画・美術館など
「拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」
■中之島美術館250107 ピカソなどの抽象画は好きだけど「シュールレアリズム」とは具体的にどんな作品なのか、それがどう変化し、社会にどんな影響をあたえたのかは考えたことがなかった。 フロイトの「無意識の性欲」の影響をうけており、シュルレアリ... -
04民俗・食
山と獣 焼畑と祭りにみる山村の民俗誌<須藤功>
■農文協260103 四国でも北陸まで「平成になるまで焼畑をやってた」という話をきき、ソバやアズキ、稗をつくり……といった漠然とした内容は理解していた。 でも、延焼しないように左右と上部に幅1間の「火断ち」をもうけ、火が強くなりすぎないように上部... -
11歴史〜現代史
眠れないほどおもしろい太閤記: 戦国バトルを制して天下統一! その「人たらし」の極意とは?<板野博行>
■王様文庫 251230 弟の豊臣秀長が、兄の秀吉の人生を紹介するという仕立て。 墨俣の「一夜城」など、秀吉は天才的な軍略家というイメージがある。だが彼のすごさはいくさのうまさではなく、複数のグループに仕事のはやさを競わせて効率をあげるなど、人... -
文化人類学・構造主義
環状島=トラウマの地政学<宮地尚子>
■みすず書房251226 DVやいじめなど、トラウマになる被害が深刻な人ほど強く発言する--と、トラウマと発言力の関係は中心が屹立する富士山のような円錐形と考えられがちだ。でも実際は、トラウマのただなかにいる人や死者は声をだせない。中心は陥没して... -
01思想・人権・人間論
「いのちの思想」を掘り起こす 生命倫理の再生に向けて<安藤泰至編>
■岩波書店2251223 歴史学者の上原専禄にとっての妻の死、フェミニズムの田中美津にとっての幼児期の性的虐待、中川米造にとっての医学への疑問、岡村昭彦にとってのヴェトナム戦争。そうした痛みをもった原体験にこだわり、「いのちへの問い」を追求する... -
能登・北陸
能登半島地震 あのとき見た星空の下で 復興へ向かう5つの物語<上田真由美>
■朝日新聞出版 251217 筆者は、能登に駐在する記者の募集にこたえて能登半島地震3カ月後に東京から赴任した。 新聞記事は、事実を早く端的に伝えようとするからもれてしまうものがある。「新聞記事からこぼれ落ちてしまうけれど伝えたいこと」を「wi... -
11歴史〜現代史
鬼とはなにか まつろわぬ民か縄文の神か<戸矢学>
■河出文庫251208 都では追儺や御霊会のように鬼を魔物として退治する祭りが盛んだが、地方ではなまはげのように鬼(来訪者)を歓迎する祭りが多い。 ヤマトでは、古来の神を悪鬼として追いやり(追儺)、新しい神に従うものはヤマト人とされた。従わぬ... -
11歴史〜現代史
大井川に橋がなかった理由<松村博>
■創元社251210 大井川に橋も渡船もなかったのは、軍事的配慮といわれている。その根拠として、1626年、新旧将軍の家光と秀忠が上洛した際、家光の弟の駿河大納言・忠長が大井川に浮橋を架けた。これにたいして秀忠は「大井川は街道の難所であり、関所... -
12小説・エッセー
バリ山行<松永K三蔵>
■講談社251130 甲子園口にすんでいて、芦屋からロックガーデンをへて有馬温泉まで歩き……と、30代の私とおなじ生活圏でおなじような山歩きをしていることにまず親近感をおぼえた。あえて登山道を通らない山歩きも、一時期やってみたことがあったが、私は... -
20映画・美術館など
特別展「世界遺産 縄文」
■@京都文化博物館 251126 2021年に世界遺産になった北海道と北東北の縄文遺跡群をまとめて紹介している。以下、へぇーっと思った部分だけ抜粋。旧石器時代は気温が低いから動物を中心に食べ、遊動生活だった。1万6000年前に縄文時代になると土... -
06福祉・災害・住宅
災害ボランティア<渥美公秀>
■弘文堂2511 1995年の阪神・淡路大震災以降、災害ボランティアは定着してきたはずだったのに、東日本大震災では、自粛ムードによって初動が遅れた。2024年の能登半島地震では石川県が知事を筆頭に4カ月にもわたって「ボランティア自粛」を言いつ... -
能登・北陸
奴奈川姫とヒスイ文化 総集編<土田孝雄>
■奴奈川姫の郷をつくる会251120 出雲とのつながりやフォッサマグナが生みだしたヒスイと信仰の関係を知りたくて奴奈川姫伝説のある糸魚川を訪ねた。地元の民俗資料館でこの本を入手した。 昭和14年までは日本ではヒスイが産出するとは思われていなか... -
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「月よ私をうたわせて」出版3周年記念LIVE「サバイバーたちの明日へ」
「月よ私をうたわせて」出版3周年を記念するライブに参加した。「自死」という重い現実のなかから「生きぬく」大切さと美しさを伝えるコンサートだった。【「月よ私をうたわせて」の紹介はコチラ】 のえさんは37年の人生のさいご、大阪・長居公園ち... -
11歴史〜現代史
妖怪と怨霊が動かした日本の歴史 なぜ日本人は祟りを怖れるのか<田中聡>
■笠間書院 251108 源氏物語の怨霊の様子からときおこす。光源氏の最愛の妻の紫の上は、嫉妬にともなう怨霊にとり殺される。生霊という言葉は、紫式部が創作したとされる。 清少納言は「枕草子」で、「病は、胸。もののけ。あしのけ」と書いた。「胸」... -
11歴史〜現代史
怨霊とは何か 菅原道真・平将門・崇徳院<山田雄司>
■中公新書 「怨霊」の歴史を調べたくて検索していたら、ほぼ同年代で、同じ時期に同じ学部にいた筆者を見つけて入手した。 一般論からはいるから退屈な部分も多いが、怨霊がいかに世の中をうごかし、時代ととにどう変化するのかよくわかった。実は今も怨... -
04民俗・食
賀茂社祭神考<座田司氏・賀茂別雷神社宮司>
■神道史学会251031 上賀茂神社と神奈備山の神山の関係、さらには貴船神社との関係を知りたくて手に取った。上賀茂神社の宮司が1972年書いた。 奈良の葛城には、出雲関係の神々が祀られ、その中心は鴨都味波八重事代主命神社と高鴨阿治須岐詫彦根... -
04民俗・食
歓喜する円空<梅原猛>
■新潮社251030 奈良時代の泰澄や行基の後継者として円空をとらえる。 泰澄は白山信仰をつくりだした。白山の神は、稲作と養蚕に結びついている。白山の主峰・御前峰の本地仏が十一面観音であるという信仰は、仏教を農民に定着させるのに大きな役割を果... -
文化人類学・構造主義
国立民族学博物館 特別展 「舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし」
舟のルーツをさぐるとロマンがいっぱい。老若男女が楽しめる展示だった。 原初の舟は、①筏とあし舟 ②皮舟ないし獣皮舟 ③樹皮舟 ④くり舟・丸木舟があった。(チベットの牛皮舟) 筏 葦舟 チベットの獣皮舟 樹皮の舟 台湾から与那国島まで黒潮を横切... -
04民俗・食
甦る海上の道・日本と琉球<谷川健一>
■文春新書251022 土器のない旧石器時代の生活をしていた琉球を文明化したのは九州の石鍋の導入とそれを模倣する土器の出現であり、それを介在したのが家舟にすみ交易をにない「倭寇」ともよばれた海人たちだった。さらに、琉球の第一尚氏王朝は、熊本・八... -
20映画・美術館など
安藤榮作展「約束の船The Promised Journey of Souls」 奈良県立美術館
安藤さんの彫刻は、円空仏とどこかにているなぁと思った記憶があり、奈良県立美術館に行ってみた。 1961年、東京の下町生まれ、29歳のときいわき市へ。東日本大震災による津波で自宅もアトリエも失って、原発事故とともに奈良へ避難してきた。 ... -
04民俗・食
森の家の巫女 高群逸枝<西川祐子>
■新潮社2509 高群逸枝は「娘巡礼」から読みはじめた。みずみずしい感性にひかれた。その感性にひかれて多くの男が彼女に恋をした。男をふりまわす魔性の女でもあった……とはこの本でわかった。ほれてしまうと客観的になれない。私もまた高群逸枝の魔性に... -
04民俗・食
魂の友 映画監督 大重潤一郞
■<高橋慈正編>250922 「われらが海民 映画監督大重潤一郞著作集」と同時に編まれた。大重監督は「久髙オデッセイ」を仕上げてまもない2015年7月22日に、8人の友人たちに看取られて旅立った。そうした人々の文章からは、大地や海や地球につな... -
01思想・人権・人間論
西川祐子さん追悼シンポ「ことばをリレーするために」
2024年6月に亡くなった西川祐子・京都文教大名誉教授の追悼シンポにおじゃました。フランス文学から文化人類学、歴史学、フェミニズムまで幅広い研究を手がけてきた。「ことば」「記録」に徹底的にこだわる人だった。今回は研究者になった3人の教... -
20映画・美術館など
鎌田東二百日祭 かまたまつり この世もあの世も面白く!
5月30日に亡くなった鎌田東二先生の死後100日の「かまたまつり」が大本教の本部で開かれた。 最初は、おごそかな式典で、葬儀委員長はサンレー社長の佐久間庸和(つねかず)さん。一条真也のペンネームで作家活動もしており、鎌田さんの「魂の義... -
06福祉・災害・住宅
震災後の地域文化と被災者の民俗誌<高倉浩樹・山口睦編>
■新泉社 災害現場で民俗学や人類学を具体的にどう生かせるのか。東北の被災地における「フィールド災害人文学」のとりくみを紹介している。 地震からの復興における、祭礼や民俗芸能などの役割が注目されるようになったのは、東日本大震災の特徴だった...