reizaru– Author –
-
12小説・エッセー
バリ山行<松永K三蔵>
■講談社251130 甲子園口にすんでいて、芦屋からロックガーデンをへて有馬温泉まで歩き……と、30代の私とおなじ生活圏でおなじような山歩きをしていることにまず親近感をおぼえた。あえて登山道を通らない山歩きも、一時期やってみたことがあったが、私は... -
20映画・美術館など
特別展「世界遺産 縄文」
■@京都文化博物館 251126 2021年に世界遺産になった北海道と北東北の縄文遺跡群をまとめて紹介している。以下、へぇーっと思った部分だけ抜粋。旧石器時代は気温が低いから動物を中心に食べ、遊動生活だった。1万6000年前に縄文時代になると土... -
06福祉・災害・住宅
災害ボランティア<渥美公秀>
■弘文堂2511 1995年の阪神・淡路大震災以降、災害ボランティアは定着してきたはずだったのに、東日本大震災では、自粛ムードによって初動が遅れた。2024年の能登半島地震では石川県が知事を筆頭に4カ月にもわたって「ボランティア自粛」を言いつ... -
能登・北陸
奴奈川姫とヒスイ文化 総集編<土田孝雄>
■奴奈川姫の郷をつくる会251120 出雲とのつながりやフォッサマグナが生みだしたヒスイと信仰の関係を知りたくて奴奈川姫伝説のある糸魚川を訪ねた。地元の民俗資料館でこの本を入手した。 昭和14年までは日本ではヒスイが産出するとは思われていなか... -
Uncategorized
「月よ私をうたわせて」出版3周年記念LIVE「サバイバーたちの明日へ」
「月よ私をうたわせて」出版3周年を記念するライブに参加した。「自死」という重い現実のなかから「生きぬく」大切さと美しさを伝えるコンサートだった。【「月よ私をうたわせて」の紹介はコチラ】 のえさんは37年の人生のさいご、大阪・長居公園ち... -
11歴史〜現代史
妖怪と怨霊が動かした日本の歴史 なぜ日本人は祟りを怖れるのか<田中聡>
■笠間書院 251108 源氏物語の怨霊の様子からときおこす。光源氏の最愛の妻の紫の上は、嫉妬にともなう怨霊にとり殺される。生霊という言葉は、紫式部が創作したとされる。 清少納言は「枕草子」で、「病は、胸。もののけ。あしのけ」と書いた。「胸」... -
11歴史〜現代史
怨霊とは何か 菅原道真・平将門・崇徳院<山田雄司>
■中公新書 「怨霊」の歴史を調べたくて検索していたら、ほぼ同年代で、同じ時期に同じ学部にいた筆者を見つけて入手した。 一般論からはいるから退屈な部分も多いが、怨霊がいかに世の中をうごかし、時代ととにどう変化するのかよくわかった。実は今も怨... -
04民俗・食
賀茂社祭神考<座田司氏・賀茂別雷神社宮司>
■神道史学会251031 上賀茂神社と神奈備山の神山の関係、さらには貴船神社との関係を知りたくて手に取った。上賀茂神社の宮司が1972年書いた。 奈良の葛城には、出雲関係の神々が祀られ、その中心は鴨都味波八重事代主命神社と高鴨阿治須岐詫彦根... -
04民俗・食
歓喜する円空<梅原猛>
■新潮社251030 奈良時代の泰澄や行基の後継者として円空をとらえる。 泰澄は白山信仰をつくりだした。白山の神は、稲作と養蚕に結びついている。白山の主峰・御前峰の本地仏が十一面観音であるという信仰は、仏教を農民に定着させるのに大きな役割を果... -
文化人類学・構造主義
国立民族学博物館 特別展 「舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし」
舟のルーツをさぐるとロマンがいっぱい。老若男女が楽しめる展示だった。 原初の舟は、①筏とあし舟 ②皮舟ないし獣皮舟 ③樹皮舟 ④くり舟・丸木舟があった。(チベットの牛皮舟) 筏 葦舟 チベットの獣皮舟 樹皮の舟 台湾から与那国島まで黒潮を横切... -
04民俗・食
甦る海上の道・日本と琉球<谷川健一>
■文春新書251022 土器のない旧石器時代の生活をしていた琉球を文明化したのは九州の石鍋の導入とそれを模倣する土器の出現であり、それを介在したのが家舟にすみ交易をにない「倭寇」ともよばれた海人たちだった。さらに、琉球の第一尚氏王朝は、熊本・八... -
20映画・美術館など
安藤榮作展「約束の船The Promised Journey of Souls」 奈良県立美術館
安藤さんの彫刻は、円空仏とどこかにているなぁと思った記憶があり、奈良県立美術館に行ってみた。 1961年、東京の下町生まれ、29歳のときいわき市へ。東日本大震災による津波で自宅もアトリエも失って、原発事故とともに奈良へ避難してきた。 ... -
04民俗・食
森の家の巫女 高群逸枝<西川祐子>
■新潮社2509 高群逸枝は「娘巡礼」から読みはじめた。みずみずしい感性にひかれた。その感性にひかれて多くの男が彼女に恋をした。男をふりまわす魔性の女でもあった……とはこの本でわかった。ほれてしまうと客観的になれない。私もまた高群逸枝の魔性に... -
04民俗・食
魂の友 映画監督 大重潤一郞
■<高橋慈正編>250922 「われらが海民 映画監督大重潤一郞著作集」と同時に編まれた。大重監督は「久髙オデッセイ」を仕上げてまもない2015年7月22日に、8人の友人たちに看取られて旅立った。そうした人々の文章からは、大地や海や地球につな... -
01思想・人権・人間論
西川祐子さん追悼シンポ「ことばをリレーするために」
2024年6月に亡くなった西川祐子・京都文教大名誉教授の追悼シンポにおじゃました。フランス文学から文化人類学、歴史学、フェミニズムまで幅広い研究を手がけてきた。「ことば」「記録」に徹底的にこだわる人だった。今回は研究者になった3人の教... -
20映画・美術館など
鎌田東二百日祭 かまたまつり この世もあの世も面白く!
5月30日に亡くなった鎌田東二先生の死後100日の「かまたまつり」が大本教の本部で開かれた。 最初は、おごそかな式典で、葬儀委員長はサンレー社長の佐久間庸和(つねかず)さん。一条真也のペンネームで作家活動もしており、鎌田さんの「魂の義... -
06福祉・災害・住宅
震災後の地域文化と被災者の民俗誌<高倉浩樹・山口睦編>
■新泉社 災害現場で民俗学や人類学を具体的にどう生かせるのか。東北の被災地における「フィールド災害人文学」のとりくみを紹介している。 地震からの復興における、祭礼や民俗芸能などの役割が注目されるようになったのは、東日本大震災の特徴だった... -
06福祉・災害・住宅
小さな家の思想 方丈記を建築で読み解く<長尾重武>
■文春新書250909 「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし」につづく一節は「世の中にある、人と栖と、またかくのごとし」だ。鴨長明は人生とともに「すみか」に... -
20映画・美術館など
円空展330年の祈り <美術館「えき」KYOTO>
円空展は2022年に大阪で見た[https://bohemian.r-lab.info/?p=1320]。今回は8月30日、京都駅の美術館で開かれた「円空展 330年の祈り」を訪ねた。前回意識しなかった「お味噌のにおいのする」像の魅力が見えてきた。 円空(1632〜16... -
06福祉・災害・住宅
「ボランティア」を考える安富信さん講演
神戸学院大の安富信さんの講演は痛快だった。能登半島地震におけるボランティアのあり方について感じたモヤモヤしたものがいったいなんだったのか。霧を吹き飛ばすように解説してくれた。あと、メモを一切見ないで芸人のように語りつづけるのは芸人みた... -
12小説・エッセー
方丈記と住まいの文学 放送大学叢書<島内裕子>
■左右社250905 方丈の庵のことを知りたくて買ったが、「方丈記」の住まいの描写が現代にいたるまで影響を与えてきたかを紹介する本だった。退屈な部分も多かったが、芭蕉と漱石が方丈記つながることや、鴎外の娘の森茉莉を鴨長明の「真の後継者」と位置づ... -
04民俗・食
かつお節と日本人<宮内泰介、藤林泰>
■岩波新書250810 かつお節とモルジブの関係を知りたかったが、この本は明治以降の話が中心だった。でも知らない話が次々に出てきておもしろかった。 乾燥しただけのかつお節の原形は上代につくられていたが、生産地が増え、流通と販売の担い手が登場し... -
04民俗・食
鰹節 ものと人間の文化史<宮下章>
■法政大学出版局250826 鰹節のすべてがわかる本。映画監督の大重潤一郞はおそらくこの本を読んだのだろう。 縄文時代からカツオを食べ、奈良・平安以前には「堅魚(かつお)」と書かれる製品が、伊豆、土佐、紀伊などから朝廷へ貢納されていた。これら... -
04民俗・食
書いてみた生活史<菊地暁編著>
■実生社250801 大阪市立大と京大と龍谷大の「民俗学」の講義で、「受講生の祖父母を話者として生活史を聞き書きする」という課題にとりくんできた。計5000本のレポートから12本を選んだ。 学生の文章が想像以上にビビッドであることに驚かされた。... -
文化人類学・構造主義
われらが海民 映画監督大重潤一郞著作集<高橋慈正編>
■港の人 250730 沖縄の久高島の信仰や暮らしを撮った「久髙オデッセイ」を10年以上前に見て感動したけれど、大重潤一郞という監督の名前は覚えていなかった。ひょんなところから「久髙オデッセイ」の助監督をした高橋慈正さん(この本の編者)と知り... -
能登・北陸
輪島と漆<桐本泰一・高森寛子編>
■亜紀書房20250719 輪島は、日本一人間国宝にあえる町だ。ワイプラザというスーパーに行くと、ちょこちょこ人間国宝さんが買い物をしていた。 この本は、スーパーでよくお見かけした人間国宝の小森邦衛さんと、輪島の漆器業界のトップランナーである桐... -
能登・北陸
柳田国男と民俗学の近代 奥能登のアエノコトの20世紀<菊地暁>
■岩波現代文庫250713 柳田国男がつくりあげた民俗学の実践は、農山漁村の民俗そのものの再発見以上に、ローカルな民俗をいかにしてナショナルなるものに接続させかが課題だった。柳田は、全国各地の民俗学徒を総動員して「日本」を語る共同体をつくりあ... -
01思想・人権・人間論
追悼 西川祐子先生の想い出
■ 250710 追悼文集を読ませていただいた。 西川さんには5,6回しか会っていないけど、彼女の著作は抜群におもしろかった。2024年6月に亡くなったとき、もう一度だけでも話すべきだったと後悔した。 文集を読んで、文学から家庭、暮らし、米軍の... -
20映画・美術館など
こころの時代 おぎないあういのち 全盲ろう 福島智
■<亀川芳樹ディレクター> 福島智さんは東大で特任教授をつとめる障害学の第一人者だ。盲ろう者としてはじめて大学(都立大)に入学し、点字のタイプライターの通訳で講義をうけ、金沢大助教授から東大の助教授になった。 1962年生まれ。9歳で視力... -
20映画・美術館など
中山教頭の人生テスト<佐向大監督>
■250703 誠実で柔和な雑用でもなんでもニコニコと笑みを浮かべながらこなす。だれよりも早く出勤して花に水をやり、だれよりも遅く帰る。でもどこか頼りない小学校の教頭先生が主人公。 4年前に妻を亡くし、中学生の娘と2人で暮らすが、娘との関係もギ...