文化人類学・構造主義– category –
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民具のミカタ博覧会 (国立民族学博物館)
1970年の大阪万博のために岡本太郎が発案し、梅棹忠夫と泉靖一が指導したEEM(日本万国博覧会世界民族資料収集団)による世界の民具と、宮本常一らが収集した武蔵美術大の9万点の民俗資料(ムサビコレクション)から抜粋して展示している。 メキシ... -
火山と断層から見えた神社のはじまり<蒲池明弘>
■双葉文庫240821 神社のはじまりは、火山とそれが生みだす「石」や温泉であり、旧石器時代までさかのぼるのではないかという着想がおもしろい。 火山活動によって、温泉が生まれ黒曜石や翡翠も生み出された。とりわけもっとも鋭利な石器だった黒曜石は石... -
季刊民族学165 岡本太郎の民族学
■20240518 「芸術は爆発だ」というヘンなおじさん、というのがぼくらの子どものころの岡本太郎のイメージだった。 戦前にマルセル・モースに師事して民族学をまなび、帰納的で具体的な姻族学と、演繹的で抽象な芸術の双方で創的な世界をつくりあげた天... -
学ぶことを学ぶ<里見実>
■太郎次郎社20231226 テーラーシステムとフォード・システムの特徴は、労働過程における「構想と実行の分離」にある。働く者の「構想する」権利を拒むことによって、巨大な生産力を実現してきた。それによって、生き甲斐と自己実現につながっていたはずの... -
映画「風の島」<大重潤一郎監督>
■20240115 1983年に沖縄の陶芸家・大嶺實清氏が西表島の沖にある無人島・新城島(パナリ)でつくられていた土器「パナリ焼」を復活させた際の記録映画。 パナリ島はシーカヤックのツアーで訪ねたことがあったが、無人島に古い土器文化があったことなどは... -
ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫 世界のあるきかた<梅棹忠夫著、小長谷有紀・佐藤吉文編>
■勉誠出版20230501 私が学生時代、梅棹先生は雲の上の人で、2度か3度、講演会などで目にしただけだが、圧倒的な語りに魅了された。 梅棹は「あるきながら、かんがえる」という。彼が世界をどう見て、どのような調査をしていたのか。彼ののこした文章と... -
日本探検<梅棹忠夫>
■講談社学術文庫20220906 知識は、あるきながらえられる。あるきながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながら歩く。これは、いちばんよい勉強の方法だとわたしはかんがえている-- あるきながら思想をふかめ、「日本」の文化や歴史の構造を発... -
暮らしの中の文化人類学<波平恵美子>
■福武書店20220503 気鋭の文化人類学が「暮らしと文化人類学」のつながりについて1980年代に新聞に連載したもの。 ふだんは貧しい食事なのに冠婚葬祭にどんちゃん騒ぎをする。数年に一度の行事のために豪華な食器をそろえる……そうした「因習」をやめるこ... -
古都の占領 生活史からみる京都1945-1952<西川祐子>
■平凡社20220415 ある時代を生きて空気感は感じていても、その時代について理解できることなどほんの一部に過ぎない。 筆者は少女時代を、米軍の支配下の京都で過ごした。自分自身の記憶にある当時の空気感の意味を、80人とのインタビューや府庁や市役... -
民俗学入門<菊地暁>
■岩波新書20220403 宮本常一や柳田国男ら、民俗学者ちの本は読んできたが「民俗学」の定義は考えたことがなかった。 柳田は、過去を知ることがよりよい社会をつくる力になると考えたが、今の民俗学は古くさい習俗を記録しているイメージしかない。 だ... -
身体論のすすめ<京都大学人文科学研究所共同研究班「身体の近代」菊地暁編>
■京大人気講義シリーズ 20211231 江戸時代までの日本人は、同じ側の手と足を同時に前後させる「なんば」という歩き方だった。明治の徴兵制と教育によって今の歩き方になり、「体育座り」も生まれた……。 そういった、所作の変化によって文化が変化する、... -
映画「ラサへの歩き方 祈りの2400キロ」
■20210629 四川省に近いチベット東部の村で、ラサへの巡礼を夢見ていた老人が死んだ。その弟が「巡礼に行かせてあげたかった。俺も死ぬ前にラサを参りたい」と言う。村人10人あまりで1200キロ離れたラサとさらに1200キロ西の聖山カイラスに出かけることに... -
身体の零度 何が近代を成立させたか<三浦雅士>
■講談社選書メチエ20210620 衣服の目的は寒さを防ぐためではないという。動きやすさを求めるなら裸が一番だからだ。そもそもの目的は入れ墨と同様「飾る」ことだった。 18世紀のロココの時代までは衣装の目的は装飾にあった。 軍服も当初は装飾目的だっ... -
南方熊楠と宮沢賢治 日本的スピリチュアリティの系譜<鎌田東二>
■平凡社新書20210616 2人ともイニシャルはM.K。賢治は清澄な仏の世界、熊楠は混沌の曼荼羅というイメージだけど、スピリチュアリティという視点から見るとふたりはよく似ていると筆者は説く。 宮沢賢治の「春と修羅」「心象スケッチ」などは、意味不明の... -
死者を弔うと言うこと 世界の各地に葬送のかたちを訪ねる<サラ・マレー>
■草思社文庫 20210117 イギリスの女性ジャーナリストが、父の死をきっかけに世界の「弔い」の場を巡り歩く。 父は無神論者で「人間なんかしょせん有機物だ」と言っていたが、死ぬ直前、親友が眠る場所に骨をまいてほしい、と伝えた。「単なる有機物」で... -
仏教と民俗 仏教民俗学入門<五来重>
■仏教と民俗 仏教民俗学入門<五来重>角川ソフィア文庫 20201006 お盆やお彼岸、葬式や年忌、位牌といった習俗は仏教だと思われているが、実は本来の仏教ではなく、仏教伝来以前の日本古来の在来宗教の名残だという。 日本の在来宗教は先祖の霊に対す... -
せいめいのはなし<福岡伸一>
■せいめいのはなし<福岡伸一>新潮文庫 20180606 4人との対談集。それを構成する要素が、絶え間なく消長、交換、変化しているのにもかかわらず、全体として恒常性が保たれているシステムを意味する「動的平衡」の考え方で、文学や美術、文化人類学など... -
街場の共同体論<内田樹>
■街場の共同体論<内田樹>潮出版社 20170908 子どものころ、人のために尽くす人こそが「えらい人」だと素朴に信じていた。すし屋さんや自転車屋さん、お百姓さん……といった仕事によって近所のおじさんたちを「すごい人だなあ」と思っていた。 1980年... -
対称性人類学-中沢新一
■対称性人類学<中沢新一>講談社選書メチエ 20160717 人類の思考の様式は、1万年前にはじまった新石器革命の時期にすべて獲得されていた。それが「野生の思考」だった。 第一次の「形而上学革命」である一神教は、こうした「野生の思考」を抑圧すること... -
むらの社会を研究する<日本村落研究学会 鳥越皓之編>
■むらの社会を研究する<日本村落研究学会 鳥越皓之編>農文協 日本におけるむらの研究の流れや、研究の方法、現代の課題などを網羅していてわかりやすい。本格的にむら研究をはじめる人には必読の書だろう。私のような素人が読んでもおもしろかった。 ... -
熊楠の星の時間<中沢新一>
■熊楠の星の時間<中沢新一>講談社 20160602 思考が真の天才の火花を散らし、人生が星の輝きに包れる「星の時間」は、熊楠ほどの天才でも、那智の山ですごした数カ月だけだった。この時期に、現代科学や哲学をも凌駕する思想が手紙の形で表現されたと... -
街場の文体論<内田樹>
■街場の文体論<内田樹>文春文庫 20160404 神戸女学院での最後の年のクリエイティブ・ライティングの講義のまとめ。 よい文章とは? あたりまえでないこと。斬新なこと。でも斬新だといわれたシュールレアリズムも最初の宣言はすばらしいが、あとは... -
森のバロック<中沢新一>
■森のバロック<中沢新一>せりか書房1992年 20160119 南方熊楠の生涯のうちで「もっとも深く体験されたもの」だけを注意深く取り出そうとした、という。 粘菌研究者としての熊楠、民俗学者としての熊楠、奇行を繰り返した熊楠……それぞれを断片的に紹介す... -
日本文化の形成 中<宮本常一>
■日本文化の形成 中<宮本常一>ちくま学芸文庫 20151216 筆者はみずから農漁業の経験があるから、古い時代の道具を見て、それがどう使われるか即座に理解できる。生業の伝統を受け継いでいる人だから、歴史への想像力が生まれる。生業から切り離されて... -
南方熊楠 地球志向の比較学<鶴見和子>
■南方熊楠 地球志向の比較学<鶴見和子> 講談社学術文庫 20150609 □南方熊楠の世界 南方は文系・理系にとらわれない巨人だ。ヨーロッパの学問のまねではなく、ヨーロッパと日本とアジアの学問と格闘するなかで、大乗仏教を基礎に置いたみずからの理論... -
草の根グローバリゼーション 世界遺産棚田村の文化実践と生活戦略<清水展>
■草の根グローバリゼーション 世界遺産棚田村の文化実践と生活戦略<清水展>京都大学学術出版会 20150202 舞台はフィリピンの世界遺産の棚田の村。棚田観光の拠点のバナウエ町からさらに奥にあるフンドゥアン郡ハパオ村という。ルソン島の山奥の辺境... -
柳田国男入門<鶴見太郎>
■柳田国男入門<鶴見太郎> 角川選書 20141123 民俗学は社会に役立つのか。 「実践の民俗学」「介護民俗学」という本では、その具体例が示されていた。でも、全体としての民俗学は苔むしたイメージに覆われている。それを転換する方法はあるのだろうか、... -
映画の構造分析 ハリウッド映画で学べる現代思想<内田樹>
■映画の構造分析 ハリウッド映画で学べる現代思想<内田樹>文春文庫 20120214 映画を通して難解なラカンやフロイト、フーコーらの現代思想を知る本。どっちにしても難解ではあるが、なんとなくわかった気になれる。 フロイトの「抑圧」の説明はわか... -
レヴィ=ストロース講義<C.レヴィ=ストロース、川田順造、渡辺公三訳>
■レヴィ=ストロース講義<C.レヴィ=ストロース、川田順造、渡辺公三訳>平凡社ライブラリー 20110901 ルネサンス時代の人々が古代ギリシャ・ローマ世界を再発見し、イエズス会の人々がラテン語を教育の基礎に置き、本居宣長が中国と比べることで日... -
分類の発想 <中尾佐助>
■分類の発想 <中尾佐助> 朝日選書 201101 植物は、特定の品種としか受粉しない、ということは受粉できる相手とできない相手を「分類」している--。自然界の動植物の「分類」から説き起こす。きっちり分類する(受粉は同じ種だけの)植物もあれ...
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