■ルードウィヒ・B<手塚治虫>潮出版社 20160707
手塚が最後に描いた未完の作品。
庶民の宮廷楽士の息子として生まれたベートーベンの青春時代を描く。
もう一人の主人公は貴族のフランツ・クロイツシュタイン。「ルードウィヒ」の名に復讐心を抱き、ベートーベンの敵となる。
2人のアドルフを描いた「アドルフに告ぐ」に似た雰囲気がある。
さすが手塚。展開を飽きさせない。モーツァルトやハイドンなどの音楽についての描写も抜群におもしろい。
ベートーベンを嫌うフランツは、何度も襲おうとするが、ベートーベンの音楽を聴いて思いとどまることを繰り返す。子どものころにフランツになぐられてから、じょじょに聴力を失っていくベートーベン。逆、戦場で拾った孤児を育てることで人間的ななにかを取り戻そうとしているかに見えるフランツ。アドルフのように、どこかで善と悪が交錯あるいは変換することになるのだろうか。
途中で終わってしまったのが惜しい。
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