-
娘巡礼記 <高群逸枝>
岩波文庫 20050210 苔の生えたような説教くさい紀行文を想像していたが、読み始めると、引き込まれた。 異性関係での悩みを抱えた熊本に住む24歳の女教師が、ある日、四国巡礼を思い立ち、親元を離れ半年に及ぶ遍路に旅立つ。白衣を着て歩くと、好奇の目... -
若者の法則 <香山リカ>
岩波新書 20050214 敬語を使わない。入試にまで親が見送りをする。オリンピックでも日常生活でも「楽しみたい」とばかり口にする。やけに大げさに自分の体験を語ろうとする。身近な人にはやさしいのに、(少年犯罪の被疑者ら)「外」に対してはやけに厳し... -
逆命利君 <佐高信>
岩波現代文庫 20050112 異色商社マン鈴木朗夫を描く。 若いころから上司を肩書きではなく「○○さん」と呼ぶ。ずけずけと物を言う。社長の伊藤に「あなたの服装はひどい。上から下までコーディネートしますからまかせてください」などと直言する。 エリート... -
戦争論争戦 <田原総一朗・小林よしのり>
幻冬舎文庫 20050130 かつて田原は保守系文化人と位置づけられていた。保守系リベラルだからこその説得力ある論を展開する。一方の小林よしのりの主張は、「日韓併合はしかたない」「大東亜戦争も仕方ない」「アジアの独立に寄与した」「今の視点から過去... -
日本の戦争<田原総一朗>
小学館文庫 20050124 久野収だったか、鶴見俊輔だったかが、こんなことを書いていた。 明治のはじめ、天皇教をつくりあげた明治政府のリーダーたちにとっては、表向き(顕教)は天皇を神としたが、裏(密教)では合理的な政策をすすめるための「道具」ぐ... -
エヴェラルドを捜して<ジェニファー・K・ハーベリ>
新潮文庫 199907 1988年、グアテマラの古都アンティグアに僕はいて、ドニャ・ルイサという喫茶店に通っていた。「戦争をみたい」といいながら、毎日ケーキを食べ、ビールを飲み、ノミがいたとはいえ、白いシーツの上に寝ていた。 92年に行ったときは、... -
グアテマラ虐殺の記憶–歴史的記憶の回復プロジェクト編
岩波書店 2001/1 1988年、はじめてグアテマラに行ったとき、マヤの人々は暗い、という印象を持った。 91年、前年に軍を住民達が追い出した町を訪ねたらみな明るく、あけすけに外国人に語りかけてくれた。3年前にもすぐ近くの村に行ったことはあった... -
■久野収集Ⅰ
岩波書店 佐高信 990319 丸山真男を読みたくなった。「知識人だけでなく、ジャーナリズムや学会に蔓延している自分の言動にたいする無責任さ。昨日言ったことをきょう翻して平然としている」という指摘。コメの自由化にしても規制緩和にしても、一時... -
日本文学史序説 上下 加藤周一
■日本文学史序説 上 加藤周一 ちくま学芸文庫990603 抽象的な哲学の体系が作られなかったかわりに、具体的な文学で思想を表現してきた。抽象的・体系的・理性的な秩序よりも、具体的・非体系的・感情的なものに即して言葉をもちいてきた。抽象的な音楽...