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文化人類学・構造主義
古都の占領 生活史からみる京都1945-1952<西川祐子>
■平凡社20220415 ある時代を生きて空気感は感じていても、その時代について理解できることなどほんの一部に過ぎない。 筆者は少女時代を、米軍の支配下の京都で過ごした。自分自身の記憶にある当時の空気感の意味を、80人とのインタビューや府庁や市役... -
20映画・美術館など
映画「ドライブ・マイ・カー」
舞台俳優で演出家の主人公は、脚本家の妻と暮らしていたが、妻は突然死してしまう。 妻は主人公の目を盗んで浮気していた。そのことを主人公は知りながら、関係が壊れるのをおそれて知らないふりをしていた。 妻の死から2年後、広島で演劇の演出をまか... -
文化人類学・構造主義
民俗学入門<菊地暁>
■岩波新書20220403 宮本常一や柳田国男ら、民俗学者ちの本は読んできたが「民俗学」の定義は考えたことがなかった。 柳田は、過去を知ることがよりよい社会をつくる力になると考えたが、今の民俗学は古くさい習俗を記録しているイメージしかない。 だ... -
04民俗・食
共同店ものがたり 沖縄で100年続くコミュニティビジネス <監修・宮城能彦(沖縄大学地域研究所)>
■季刊カラカラ別冊 1906年4月、奥集落で雑貨商を営んでいた糸満盛邦は、利益を人々に還元する方法を模索した結果、店を提供してむらの共同事業として経営することを思いついた。「奥共同店」発足。 山原船3隻を所有して経営をつづけ、1911年、薪・炭・... -
04民俗・食
沖縄の神と食の文化<赤嶺政信>
■青春出版社(20030415) ▽73 巨大な墓 風葬・洗骨は1955年ごろまでつづいた。棺ごと墓室に入れて風化するのを待って洗骨する。そのスペースが必要だ。洗骨後は厨子がめに入れて安置するが、火葬よりも骨の量が圧倒的に多くなる。▽亀甲墓と破風墓がある... -
04民俗・食
沖縄の食の本3冊(図書館で)
■九州・沖縄 食文化の十字路<豊田謙二>築地書館 2009/3/20 奄美は1953年に本土に復帰した。その際の特別措置として、糖蜜を使う蒸留酒の伝統が考慮され、「黒糖焼酎」が酒税法上「しょうちゅう」と認められた。砂糖黍のキビ汁では「ラム酒」になる... -
11歴史〜現代史
沖縄が日本を倒す日<渡瀬夏彦>
■かもがわ出版20220331 沖縄県の翁長元知事は沖縄の自民党の中核にいたが、辺野古基地への反対を掲げて「オール沖縄」の旗頭になって知事に就任した。彼が亡くなると、国会議員だった玉城デニー氏が跡を継いだ。 筆者は、取材者というよりも、デニー氏の... -
20映画・美術館など
映画「アルキメデスの大戦」
■20220123 ヤングマガジンで今も連載している。 100年にひとりの数学の天才、元帝大生の櫂直が主人公。天才的な頭脳を生かして、巨艦建造を阻み、ミサイルやガスタービンといった先進技術を実用化し、ヒトラーやアメリカのルーズベルト大統領ともわた... -
08海外(中南米以外)
後世への最大遺物・デンマルク国の話
■後世への最大遺物 20220122 我々は後世に何を遺せるのか。 金も大事だ。金がないなら事業を遺す。その力がないならば思想を遺す。思想は、文学を著述をすることや学生を教えることによって伝えることができる。 内村は 「源氏物語」を「われわれを女... -
01思想・人権・人間論
内村鑑三 悲しみの使途<若松英輔>
■岩波新書20220117 無教会主義とほかのプロテスタントとはなにが異なるのか。妻と娘を亡くした内村鑑三はそれをどう自分の人生と信仰のなかに位置づけているのか。全国愛農会の創始者・小谷純一が有機農業を広めたことと彼が信じた無教会主義は関係がある... -
13ノウハウ・軽い本
眠れないほどおもしろい吾妻鏡<板野博行>
■王様文庫20220116 源頼朝は武家政権を築いた偉人のイメージがあるが、義経だけでなく、静御前との間に生まれた赤ん坊を生き埋めにして、もう一人の異母弟・範頼も殺している。猜疑心のかたまりのような残酷な権力者だった。 2代将軍頼家や3代実朝が殺... -
04民俗・食
みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記<星野博美>
■文春文庫20220112 筆者自身のミッション系の学校での経験、祖父が漁師をしていた外房・御宿で1609年に南蛮船が難破した事実、留学した香港と澳門の経験、キリシタンへの興味からはじめたリュート……。 筆者自身の経験と、キリシタンの歴史が少しずつから... -
文化人類学・構造主義
身体論のすすめ<京都大学人文科学研究所共同研究班「身体の近代」菊地暁編>
■京大人気講義シリーズ 20211231 江戸時代までの日本人は、同じ側の手と足を同時に前後させる「なんば」という歩き方だった。明治の徴兵制と教育によって今の歩き方になり、「体育座り」も生まれた……。 そういった、所作の変化によって文化が変化する、... -
05環境・農業
生命の医と生命の農を求めて<梁瀬義亮>
■地湧社 20211215 梁瀬は、日本で最初に農薬の害を告発した医師だ。彼について書かれた本はいくつか読んだが、本人が書いたこの本がもっともインパクトがあった。 浄土真宗の寺に生まれ、16歳のとき病気になり漢方医にいくと「白砂糖のたべすぎ」と指... -
福島・東北
君ひとの子の師であれば 復刻版<国分一太郎>
■新評社20211208 戦前から戦後にかけての生活綴り方運動の指導者の思想と生き方を知りたくて購入した。生き方や哲学と、それを伝えるための具体的な「教え方」が記されている。私にとっての尊敬できる恩師は「そういう人」だった。 「死ね、死ね」と教え... -
01思想・人権・人間論
老いる意味 うつ、勇気、夢<森村誠一>
■中公新書ラクレ20211119 森村誠一の本は昔から読んでいた。ベストセラー作家が、老人性うつ病と認知症に苦しみ、克服した。新聞の書評に紹介されていた。 生きる意味が見えなくなり、なにをやっても心が晴れない状態に認知症が加わったとき、いったい... -
20映画・美術館など
水俣曼荼羅 権力とたたかいつづけるドンキホーテたちの群像劇 202112
ジョニー・デップ主演の「MINAMATA」は、「水俣病は終わっていない」という情報は世界に発信したが、何がどう終わっていないかは伝えなかった。原一男監督は20年の歳月をかけて「終わってない」現実をひとりひとりの生き様を通して描き切った。その重み... -
05環境・農業
生命の農 梁瀬義亮と複合汚染の時代<林真司>
■みずのわ出版 20211127 梁瀬は、いちはやく農薬の健康被害を告発し、自ら有機農業も実践した。有吉佐和子の「複合汚染」(1974〜75)では「昭和の華岡青洲」と評され、患者からは「現代の赤髭」「仏様のような先生」と慕われた。 戦争中、軍医として... -
福島・東北
愛農救国の書<小谷純一>全国愛農会
全国愛農会をつくった小谷純一氏(2004年10月1日死去)による愛農運動の原典の改訂増補版。1978年に出版された。 17歳の時から「人間はどう生きるべきか」「どのようにしたら自分の村を改善し理想の農村を建設することができるか」を探究し、「日本の農... -
11歴史〜現代史
青い目の近江商人 メレル・ヴォーリズ<岩原侑>
■文芸社20211031 筆者(1934〜2018)は、近江兄弟社を社長として倒産の危機から救った立役者。 ヴォーリズの建築は有名だけど、彼が近江兄弟社の創始者とは知らなかった。 近江兄弟社の名も、近江さんという兄弟がつくった会社だと思っていたが、「人... -
福島・東北
とうわ よもやまばなし<紺野雅子>
■20211018 1日中かかった結婚式。貧しい家には負担だった。風呂は3,4日に一度しか水をかえないから垢で真っ黒だった。膳も洗うのは3,4日に一度。 うんちは肥料になるから自分の家でするようにする。馬糞を拾って歩いた。 嫁は暗いうちから働き、昼間... -
20映画・美術館など
「男はつらいよ50 おかえり寅さん」
昨年封切り。amazonプライムで見た。 みつおが大人になって、6年前に妻を亡くして中学生の娘と2人で住んでいる。その設定だけでもたまらんな。 今は小説家。高校時代の恋人のいずみ(後藤久美子)がヨーロッパから一時帰国して出会うという物語。女性... -
20映画・美術館など
MINAMATA 20210929
ユージン・スミスと水俣を描いた映画。楽しみにしていた。「ライフ」で活躍する巨匠だが、沖縄戦の取材の際のけがで、食事もろくにできず、アルコールに頼っていた。 そんなユージンが水俣と出会い、患者らとふれあうなかで生きがいを回復させていく。... -
20映画・美術館など
ミス・マルクス(映画)
■20210923 マルクスの娘エリノアが主人公。 兄弟姉妹のなかでもっともマルクスに似て、戦闘的な革命家だった。 マルクスは天才だが、生活は親友のエンゲルスに頼り切りで、学問のことしか考えない堅物だった。一方で家政婦との間にも子どもをつくり、エ... -
20映画・美術館など
くじらびと<石川梵>(映画)
■202109 インドネシアの漁村の、マッコウクジラを銛で獲る漁師ラマファたちが主人公。 クジラが年間10頭獲れれば1500人の村人がくらせる。船の舳先からクジラに向かって跳んで銛を突き刺すラマファは危険だが子どもにとってあこがれの職業だ。 そんな... -
20映画・美術館など
ゴールデンカムイ20210912
(アニメと漫画) amazonプライムでアニメの第1部と第2部計25話を一気に見て、第3部はFODの無料お試しで10話を見た。その後の漫画も展開も見たい思ったら、ちょうど漫画を無料公開しているから一気に読んでしまった。 アイヌ関係の博物館や資料館で推奨... -
福島・東北
江差花街風土記 北前船文化の残像<松村隆>
■文芸社20210908 北前船の終着駅だった北海道・江差がどれだけ繁栄していたのか知りたくて入手した。 松前藩の中心である福山(松前)や箱館(函館)と比べても、入船数が圧倒的に多く、回船問屋の数も圧倒していた。 大きな回船問屋は、現在の江差町... -
04民俗・食
神と自然の景観論 信仰環境を読む<野本寛一>
■講談社学術文庫20210803 島や岬、洞窟、岩などの自然の地形と信仰のかかわりを論じる。以下に紹介するようにその具体例はいちいち興味深い。でももう少し「意味」の体系を教えてほしかった。 三宅島は「御焼島」であり、伊豆東海岸の白浜は、御焼島... -
12小説・エッセー
恋と日本文学と本居宣長<丸谷才一>20210815
中国の文学は恋愛は描かれず猥談も嫌がる。結婚制度を乱さない妓女への執着を歌うことが許された程度だ。詩歌の主流は友情の歌だった。 なのに日本文学では源氏物語や万葉集のころから恋愛が取りあげられてきた。歌の主流は相聞歌だ。柿本人麻呂も紀貫... -
01思想・人権・人間論
須賀敦子全集 第1巻<河出文庫>20210903
■「ミラノ霧の風景」「コルシア書店の仲間たち」ほか 須賀は20代終わりから40代の初めの13年をイタリアで過ごした。カトリック左派の人々が運営するコルシア書店と出会ってミラノに住み、書店の中心メンバーだったペッピーノと結婚する。 登場人物はカト...