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「翔んで埼玉」20200609
アマゾンプライムで見たばかばかしくて楽しい映画。「ダサイタマ」「イモ」と呼ばれるようになったのは僕の中学生のころだったろうか。 そう呼ばれるのをいやがり「東京出身です」と自己紹介する友人もいたが、僕は「ダサイタマ」ぐらいが自分にはぴっ... -
イーストサイド寿司 20200430
アマゾンプライムで鑑賞した。 ストーリーは三流のハリウッド映画だが、メキシコ人女性の料理人がスシ職人を志すという一点において日本人が見てもそれなりにおもしろい作品に仕上がった。 メキシコ人のシングルマザーが主人公。カリフォルニアで父と... -
四国遍路の寺 下<五来重>角川ソフィア文庫 20200413(抜粋)
▽戦国から安土桃山にかけては遍路どころではないが、江戸時代になって盛んに。江戸末になるとふたたび衰えて、明治初めぐらいには88の半分ぐらいは無住だった。▽熊野の信仰は海を通して全国に広がった。熊野信仰が非常に強いのは東北地方や隠岐の島。鎌倉... -
四国遍路の寺 上<五来重>角川ソフィア文庫 20200421
納経所が霊場なのではない。八十八カ所をぐるりとまわる修行だけでなく、それぞれの札所はもとは独立した修行の場だった。その痕跡が残っているのが行場だった奥の院であり、そこををめぐらないと本来の遍路の意味はわからない、という。 お遍路をして... -
太陽の王子ホルスの大冒険 20200418
1968年の高畑勲の初監督作品。 ホルスという孤独な少年が、悪魔の脅威にさらされる村に住み、村人とともに悪魔を倒すという物語。ホルスが村に導いた孤独な少女ヒルダは実は悪魔の手先だった。村人を惑わし、ホルスを村から追い出すが、ホルスや村... -
感染列島 20200412
10年前の映画。養鶏所の鶏が次々に死に、その後、原因不明の伝染病が広まる。当初は鳥インフルが疑われ、養鶏場の経営者は自殺する。鳥インフルのころの実話をベースにしている。 舞台は東京の病院だ。救急で運び込まれた患者から感染がはじまる。患... -
ドット・コム・ラヴァーズ ネットで出会うアメリカの女と男<吉原真里>
■中公新書 20200117 ネット上のサイトを使ってデートの相手を探す「オンライン・デーティング」。30代の大学教授の女性が1年間のサバティカルでニューヨークに暮らしたのを機にこれを試した経験をつづる。 サイトの「自己紹介」でデート相手に求め... -
「お迎え」されて人は逝く 終末期医療と看取りのいま<奥野滋子>
■ポプラ新書 20200130 妻を看取った経験を思いだし、何度も涙で中断させられた。「お迎え」の重要さについては岡部健医師の本で読んでいた。筆者は緩和ケアの医者であるとともに、死生学を学んだ立場から、「お迎え」をより積極的に位置づけ、「看取り」... -
トランプ再選のシナリオ<渡瀬裕哉>
■産学社 20200127 トランプが当選した時、そんなバカな、と思った。メディアの報道も「まさか」という内容がほとんどだった。 米国のメディアとそれとつながる日本のメディアや政官界は、共和・民主両党の主流派としかつながりがなかったと筆者は指摘... -
日常という名の鏡 ドキュメンタリー映画の界隈<佐藤真>
■日常という名の鏡 ドキュメンタリー映画の界隈<佐藤真>凱風社20191218 新潟水俣病の舞台となった阿賀野川をテーマにした「阿賀に生きる」の監督の本。久しぶりに新潟水俣病を勉強するため読み返した。 佐藤監督は水俣の映画の自主上映運動で新潟・... -
原民喜 死と愛と孤独の肖像<梯久美子>
■岩波新書 20191225 こんなにも繊細で、弱く、貧しく、悲しみに満ちた人だったとは。 裕福な家に生まれたが、小学校1年で弟、5年で51歳の父、高等科1年で21歳の次姉を亡くし、内向きな性格になった。 6歳下の妻貞恵は、小柄で丸顔で愛くる... -
さらば、政治よ 旅の仲間へ<渡辺京二>
■晶文社 20191216 安倍政権の進める有事法制などの動きを進歩的な人は「いつか来た道」と評することが多い。それに対して「日本が戦前のナショナリズムに回帰しているわけがない」「左翼は思考停止している」と批判する。安保闘争などで運動に参加した... -
本を読めなくなった人のための読書論<若松英輔>
■亜紀書房 20191107 この1年ちょっと、特定のテーマ以外の活字を読むことができていない。 世界から色がなくなり、たいていの本は無味乾燥の灰色に感じてしまう。でも、若松や神谷美恵子、内山節らの本は、なぜか彩りを感じる。死者の世界とつながっ... -
黒い海の記憶 いま死者の語りを聞くこと<山形孝夫>
■岩波書店 20191214 東日本大震災後の「花は咲く」、ちょっと前の「千の風になって」は個人的には好きになれない。筆者はこの2つを「死者がうたう歌」と位置づける。 戦前の日本社会は、仏壇を通して、身近な「生きている死者」に祈っていた。いま、... -
星と祭 上下<井上靖>
■角川書店20191208 主人公は、前妻との間にできた17歳の娘みはるを琵琶湖の水難事故で亡くした。大学生の男友達とともに遺体はあがらなかった。 夜中に何度も目覚め、目覚めるたびに心は悲しみで冷たくなる。何をしても張り合いを感じない。友だちづき... -
東京家族<山田洋次監督>
■20191202 東京に住む、医者の長男夫婦と、美容院の娘夫婦と、アパートに住むフリーターの末っ子を、田舎の島から老夫婦が訪ねてくる。 父親は末っ子を馬鹿にしていた。母親は末っ子の家に泊まった際、蒼井優演じる女性と婚約していることを知る。「き... -
映画「火宅の人」20191201
檀一雄の原作はずっと以前に読んだが、その印象とはだいぶちがった。 主人公の一雄は再婚した妻と子がいるのに、年の離れた弟子のケイコに熱を上げ、浮気し妊娠させる。原田美枝子が演じるケイコは肉感的だ。 飲み屋の女性と旅先の九州で出会いとも... -
剱岳 点の記<新田次郎>
■文春文庫 20191128 学生時代に読んで、最近映画を見たものだから再読した。 富山に住んで立山は何度も登ったから、小説に出てくる場所の描写が手に取るようによくわかる。柴崎測量官が歩いた、ザラ峠、鷲岳、鳶山、越中沢岳、出原山、丸山などは何度... -
さよならの力<伊集院静>
■講談社 20191112 20代で弟を30代で前妻の夏目雅子を亡くしている。その彼が身近な人の死をどう受け止めたのか知りたくて手に取った。 「なぜ彼女がこんな目に、なぜ自分だけがこんな目にあうのか」と混乱し、1年間はすさんだ暮らしを送った。 ... -
早く家へ帰りたい<高階杞一>
■夏葉社 20191106 貸してもらって、なんの予備知識もなく読みはじめた。 難病を抱えて生まれた息子の雄介くんが、何度も手術を受けて、ちょっとずつ元気になって、笑って、しゃべって、「いないいないばー」でキャッキャと喜ぶ。 はじめて笑った時、「ぼ... -
フリーランス税金で損しない方法<大河内薫、若林杏樹>
■サンクチュアリーブックス 20191105 ▽会社をやめていなくてもひたすら領収書やレシートを保管。「開業準備費用」として、確定申告に反映できる。 ▽開業前に名刺を作る ▽開業届 用紙は国税庁のHPでダウンロード。 (失業手当の手続き後1カ月たってから届... -
人と思想 神谷美恵子<江尻美穂子>
■清水書院 201910 神谷美恵子本人が最後に書いた「遍歴」の方が心に迫る。でも本人が書いていない部分がいくつかあって興味深かった。 「生きがいについて」では、「ある日本女性の手記」として記している変革体験は、結核や恋愛によって絶望に沈んでいた... -
人生をしまう時間<下村幸子監督>
■第七藝術劇場で 20191026 「死を生きた人びと」の著者で、森鷗外の孫の小堀鷗一郎医師とその仲間の「看取り」の在宅医療を記録したドキュメンタリー。幾人もの患者の最期の日々を死に顔にいたるまで丹念に映している。 この映画を見るのは怖かった。 で... -
遍歴<神谷美恵子>
■みすず書房 20190714 最晩年に自らの人生を振り返って書いた自叙伝。原稿を出版社に送った1週間後に亡くなったという。行間から「あなたはどう生きるの?」と語りかけてくる名著だ。 父前田多門は内務官僚で新渡戸稲造の弟子だった。戦後直後には文... -
ハッパGoGo
ウルグアイの大麻合法化を題材にした映画。 本物のホセ・ムヒカ大統領が出演しているのにまずびっくり。世界でいちばん貧しい大統領と呼ばれている。映画では、麻薬密輸という重大任務の謝礼として自分の農園のカボチャを持っていかせるというおとぼけ... -
沈まぬ太陽(テレビ20回)
■20191004 日本航空がモデルである「国民航空」で、労組の委員長にまつりあげられた主人公恩知は、労使交渉で大きな成果を勝ち取ったがゆえに委員長退任後は海外に飛ばされる。「2年だけ」の約束だったが、カラチ、テヘラン、ナイロビと10年間僻地をたらい... -
修験道という生き方<宮崎泰年、田中利典、内山節>
■新潮社 20190919 役行者が開祖とされる修験道は教団組織を持たず、明文化された教義もない。仏教以前の自然信仰を土台に、仏教や道教と混ざり合って成立した。インドの仏教には「山川草木悉皆成仏」という思想はなかった。自然信仰の名残りだという。修験... -
時間についての十二章<内山節>農文協
人々は時間をどうとらえてきたか、ではなく、時間はどのようなものとして存在しているか、を論じる。時間は絶対的な物ではない、と。 子どもの時間はけっして等速ではなかった、という。なるほど。台風後の川の土手で時間を持て余して延々と時間がたた... -
もうレシピ本はいらない<稲垣えみ子>
■マガジンハウス 20190818 昔は美食の限りを尽くしていた元新聞記者が、50歳で会社をやめて1年後に書いた本。冷蔵庫も電子レンジもない。コンロは一口だけ、という集合住宅で、干した野菜と糠漬けを駆使して1食200円で暮らしている。作り置きもせず1... -
寺院消滅 失われる「地方」と「宗教」<鵜飼秀徳>
■日経BP社 20190728 多くの自治体が消滅するという調査結果が出て、話題を呼んだが、寺院はそれよりも早く危機を迎え、全国7万7000の寺院のうち無住寺院は約2万カ寺を数える。 その現状と、寺院再生の取り組みの現場を僧侶の資格を持つ記者が訪ね歩い...