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04民俗・食
空海の思想について<梅原猛>
■空海の思想について<梅原猛>講談社学術文庫20200828 空海の宗教は明治以降、呪術的で前近代的なものとされてインテリ層に疎んじられた。親鸞や日連、道元がファンを獲得したのと対照的だった。歴史教科書でも、大師の宗教は貴族仏教・加持祈祷とされ... -
12小説・エッセー
だいたい四国八十八ヶ所<宮田珠己>
■集英社文庫20200821 途中でカヌーの川下りやシュノーケリングをしたり、しまなみ海道を自転車で走ったり……かなり軽いおアウトドア系遍路本だと思って手に取った。 読経はするけど線香やロウソクは省略する、というのは私と同じ。杖も白衣も身につけな... -
08海外(中南米以外)
ロヒンギャ 差別の深層<宇田有三>高文研202008
ミャンマーからバングラデシュに流出したロヒンギャ難民について、「民族紛争」や「宗教迫害」と報じられたが、筆者はそうした見方こそが問題を深刻化させてきたと批判する。 ミャンマー政府は1982年以来、ロヒンギャをバングラデシュからの不法移民と... -
20映画・美術館など
映画「イル・ポスティーノ」20200823
舞台は、祖国チリを追われた詩人のパブロ・ネルーダがつかの間の亡命生活を送った1950年代のイタリアの小島。 漁師の息子で、内気な青年マリオは郵便配達夫になり、ネルーダの家に郵便物を届け、詩人に刺激をうけて自らも詩をつくりはじめる。飲み屋の... -
福島・東北
放射線はなぜわかりにくいのか<名取春彦>
■あっぷる出版社 202007 政府は「ただちに健康に影響はない」、反原発系の学者は「少しでも危ない」と言う。国際機関の基準も、内部被曝をカウントしておらず科学的とは言えないらしい。どの程度の放射線を浴びると人体に影響が出るのか? どこも明確... -
20映画・美術館など
映画「ぶあいそうな手紙」
■20200812 ブラジルに住む78歳の老ウルグアイ人エルネストが主人公。 妻に先立たれ、ポルトアレグレのアパートにひとりで住んでいる。目が悪く、遠くに住む息子からは同居を勧められているが、かたくなに断り、隣に住む同年代のアルゼンチン人と励まし合... -
福島・東北
美しい村に放射能が降った 飯舘村長・決断と覚悟の120日<菅野典雄>
■ワニブックス20200709 著者は飯舘村の村長。 「人づくり」を重視して独特の村おこしを展開してきたが、福島第一原発事故で全村避難となってしまった。それでも村の未来をあきらず、「人づくり」を通して復興をめざす村長の気概が伝わってきた。 著者は... -
20映画・美術館など
映画「もち」<脚本・監督 小松真弓>
■20200804 岩手県一関市郊外の本寺地区という山村が舞台。キャストは全員地元住民で、中学が廃校になるという事実をふまえて、ドキュメンタリーとフィクションを融合させて物語を編んでいる。 おばあさんの葬儀で、おじいさんが臼と杵で餅をつくことを... -
能登・北陸
映画「はりぼて」20200803
富山市議会の政務活動費問題をスクープし、市議十数人の辞職につなげた富山市の「チューリップテレビ」の取材の過程を記録したドキュメンタリー。 はじまりは富山市議会議員の月給10万円アップだった。 市議会のドンと呼ばれる自民党議員に「有権者は... -
20映画・美術館など
タゴール・ソングス(映画)
■タゴール・ソングス 20200711 アジア人初のノーベル文学賞受賞者であるタゴールの詩集は以前に読んだことがあった。自然描写の美しさと、意志の力を感じさせる作品が多かった記憶がある。 小説や詩のみならず、2000曲以上の歌もつくっており、「タ... -
20映画・美術館など
ハニーランド 永遠の谷
■北マケドニアの映画 20200708 北マケドニアの山間の村で、自然養蜂を営む中年の女性が主人公のドキュメンタリー。 主人公は寝たきりの母と粗末な家に住みながら、自然のハチミツを採取して暮らしている。蜂の巣を開け、蜜をとるときは「半分は私に、... -
04民俗・食
歩く江戸の旅人たち<谷釜尋徳>
◾️晃洋書房20200705 お遍路の記録をまとめる上で参考にできないかと思って手にとった。 江戸時代、お蔭参りがはやったとき、庶民の6人に1人が伊勢を参った。当時の旅は伊勢神宮を参るだけではない。西国33ヵ所をまわったり、四国の金比... -
福島・東北
農と土のある暮らしを次世代へ<菅野正寿・原田直樹編著>
■コモンズ 20200702 福島県の旧東和町は有機農業の町だった。青年団運動や社会教育活動、産直運動、産廃処分場反対運動などに取り組んできた農民がその担い手だった。 2005年に二本松市などと合併する際、つちかった地域自治の受け皿をつくろうと、NPO... -
04民俗・食
死の民俗学 日本人の死生観と葬送儀礼<山折哲雄>
■岩波現代文庫20200627Ⅰ 死と民俗 遺骨崇拝の源流 インドは火葬するが骨は川に流す。アメリカ人は遺体をきれいに整えて本土に送るなど、肉体的側面を重視する。エジプトのミイラ文化につながる。それに対して日本は、遺骨を尊重する。 だが万葉集を見... -
福島・東北
絶望と希望 福島・被災者とコミュニティ<吉原直樹>
■作品社20200623 大熊町の住民たちは、原発事故によって故郷に住めない難民となり、さらには行政から見捨てられ棄民化している。マスコミの扱いも小さくなり、忘れ去られようとしている。そんな人々に寄り添う研究の成果をまとめている。 国・県は放射... -
04民俗・食
西国巡礼の寺<五来重>
角川ソフィア文庫 20200619 五来の四国遍路についての本を読んで、西国巡礼も読んでみることにした。「宗教文化」は変化するが信仰の原点は日本でも欧州でも同じであり、信仰のもっとも素朴なかたちとして巡礼が起きる。「世界中どこでも、歩くこと、め... -
20映画・美術館など
時を駆ける少女 20200702
30年ぶりぐらいに見た。 原田知世のアイドル映画ってだけで、当時はそれほど印象に残らなかった。 この映画は、とくに後半の「時の旅人」の謎解き以降はB級でしかないけれど、尾道というまちを舞台にすることで成功した。 24時間後に時間が飛んでしま... -
04民俗・食
四国遍路 八十八ヶ所巡礼の歴史と文化<森正人>
■中公新書 20200426 筆者は1975年生まれの若手の研究者。五来や頼富ほどの深みはないが、最近の動きをとらえ、「伝統」が実は最近つくられたことなどを指摘していて興味深い。 たとえば白装束は戦後のバスツアーで普及した。山門で一例して納札を入れて... -
04民俗・食
四国遍路とはなにか<頼富本宏>
■角川選書20200423 古代から現代に至る遍路の変遷がよくわかる。大師堂と本堂を参拝するという作法は実は第二次大戦後にできたというのには驚いた。 修行者だけが歩いた辺地修行の道は四国だけでなく、伊豆大島や能登半島にもあった。海洋信仰が起源だ... -
01思想・人権・人間論
ふりまわされない自分をつくる「わがまま」の練習<谷地森久美子>
■角川書店 20200609 自分に自信が持てず人に振りまわされ、生きづらさや自己否定におちいってしまう人は「わがままな自分」になることで新しい人生を生きられるようになる。そのためのカギのひとつが自分と他人を分ける輪郭「心の境界線」という。 幼少... -
20映画・美術館など
「翔んで埼玉」20200609
アマゾンプライムで見たばかばかしくて楽しい映画。「ダサイタマ」「イモ」と呼ばれるようになったのは僕の中学生のころだったろうか。 そう呼ばれるのをいやがり「東京出身です」と自己紹介する友人もいたが、僕は「ダサイタマ」ぐらいが自分にはぴっ... -
20映画・美術館など
イーストサイド寿司 20200430
アマゾンプライムで鑑賞した。 ストーリーは三流のハリウッド映画だが、メキシコ人女性の料理人がスシ職人を志すという一点において日本人が見てもそれなりにおもしろい作品に仕上がった。 メキシコ人のシングルマザーが主人公。カリフォルニアで父と... -
04民俗・食
四国遍路の寺 下<五来重>角川ソフィア文庫 20200413(抜粋)
▽戦国から安土桃山にかけては遍路どころではないが、江戸時代になって盛んに。江戸末になるとふたたび衰えて、明治初めぐらいには88の半分ぐらいは無住だった。▽熊野の信仰は海を通して全国に広がった。熊野信仰が非常に強いのは東北地方や隠岐の島。鎌倉... -
04民俗・食
四国遍路の寺 上<五来重>角川ソフィア文庫 20200421
納経所が霊場なのではない。八十八カ所をぐるりとまわる修行だけでなく、それぞれの札所はもとは独立した修行の場だった。その痕跡が残っているのが行場だった奥の院であり、そこををめぐらないと本来の遍路の意味はわからない、という。 お遍路をして... -
20映画・美術館など
太陽の王子ホルスの大冒険 20200418
1968年の高畑勲の初監督作品。 ホルスという孤独な少年が、悪魔の脅威にさらされる村に住み、村人とともに悪魔を倒すという物語。ホルスが村に導いた孤独な少女ヒルダは実は悪魔の手先だった。村人を惑わし、ホルスを村から追い出すが、ホルスや村... -
20映画・美術館など
感染列島 20200412
10年前の映画。養鶏所の鶏が次々に死に、その後、原因不明の伝染病が広まる。当初は鳥インフルが疑われ、養鶏場の経営者は自殺する。鳥インフルのころの実話をベースにしている。 舞台は東京の病院だ。救急で運び込まれた患者から感染がはじまる。患... -
08海外(中南米以外)
ドット・コム・ラヴァーズ ネットで出会うアメリカの女と男<吉原真里>
■中公新書 20200117 ネット上のサイトを使ってデートの相手を探す「オンライン・デーティング」。30代の大学教授の女性が1年間のサバティカルでニューヨークに暮らしたのを機にこれを試した経験をつづる。 サイトの「自己紹介」でデート相手に求め... -
05医療
「お迎え」されて人は逝く 終末期医療と看取りのいま<奥野滋子>
■ポプラ新書 20200130 妻を看取った経験を思いだし、何度も涙で中断させられた。「お迎え」の重要さについては岡部健医師の本で読んでいた。筆者は緩和ケアの医者であるとともに、死生学を学んだ立場から、「お迎え」をより積極的に位置づけ、「看取り」... -
08海外(中南米以外)
トランプ再選のシナリオ<渡瀬裕哉>
■産学社 20200127 トランプが当選した時、そんなバカな、と思った。メディアの報道も「まさか」という内容がほとんどだった。 米国のメディアとそれとつながる日本のメディアや政官界は、共和・民主両党の主流派としかつながりがなかったと筆者は指摘... -
05環境・農業
日常という名の鏡 ドキュメンタリー映画の界隈<佐藤真>
■日常という名の鏡 ドキュメンタリー映画の界隈<佐藤真>凱風社20191218 新潟水俣病の舞台となった阿賀野川をテーマにした「阿賀に生きる」の監督の本。久しぶりに新潟水俣病を勉強するため読み返した。 佐藤監督は水俣の映画の自主上映運動で新潟・...