■20191004
日本航空がモデルである「国民航空」で、労組の委員長にまつりあげられた主人公恩知は、労使交渉で大きな成果を勝ち取ったがゆえに委員長退任後は海外に飛ばされる。「2年だけ」の約束だったが、カラチ、テヘラン、ナイロビと10年間僻地をたらい回しにされ、孤独に耐えつづけた。
その間、第2組合が結成され、第1組合は嫌がらせで激減する。残った数百人にとっては恩地ががんばる姿こそが精神的な支柱だった。
恩地とともに副委員長として組合を指導した行天は、組合と袂を分かって出世街道を邁進する。
組合潰しのロケット人事が国会で取りあげられて恩地は帰国を果たす。
ところが国民航空は500人の犠牲者を出す墜落事故を起こし、恩地は遺族の世話係となった。
国民航空再建のために関西の紡績会社の経営者が会長に選ばれ、ふたつの組合の統合を目指すために恩地は会長室に抜擢される。
だが、改革の取り組みは組合にはびこる利権構造と政治家の朝令暮改によって阻まれ、会長は辞任し、恩地は再び、ナイロビ勤務を命じられる。
一方飛ぶ鳥を落とす勢いだった行天は、贈収賄事件で検察に摘発された。
恩地は「下」から、行天は「上」から会社を改革しようとしたが、どちらも挫折した。
日航機事故の遺族の思いも痛いほどわかる。大事な人を失ってなお生きていけるのか? ドラマの遺族たちは、遺族同士が手を結ぶことで生きる力を絞り出していた。
生きるとは人とつながること。そんな人生を送ることができれば、たとえ左遷つづきで傍目には苦労しているように見えても、自ら誇れる人生であったと振り返ることができるのだ。
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