檀一雄の原作はずっと以前に読んだが、その印象とはだいぶちがった。
主人公の一雄は再婚した妻と子がいるのに、年の離れた弟子のケイコに熱を上げ、浮気し妊娠させる。原田美枝子が演じるケイコは肉感的だ。
飲み屋の女性と旅先の九州で出会いともに旅して歩く。演じるのは松坂慶子。主人公と数カ月をすごすが、言い寄られていた外国人の富豪との結婚を決意して離れていく。
妻はいしだあゆみが演じた。浮気をつづける夫を見限って一度は家を出るが、子どもを思ってもどってくる。夫の行動のすべてを見通している。
主人公は女を翻弄したが、女たちはその経験から巣立ち、主人公だけがさびしく取り残される。
原作は主人公がもっとわがままで強かった印象があるが、映画のつくりもおもしろい。上流階級のやさ男だけど遊び人で、強いようで弱い主人公を緒形拳が好演している。原田美枝子といしだあゆみもうまかった。
この映画の予告編は、原田美枝子と松坂慶子のヌードで話題になっていた。原田美枝子のヌードにあこがれた中高時代を思い出した。ウブで楽しい時代だったなぁ。
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