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米価高騰 ホッとする農家と苦しむ消費者−−ウェブ講演会「令和の米騒動の背景と今後」

 1キロ400円だった米が800円になり、1000円になり……令和の米騒動は台所を直撃した。でも、米価の低迷で疲弊していた農村では、「これでやっとひと息つける」という声をきいた。
 米価高騰はなにが原因で、今後どうなっていき、どうすれば農家にも消費者にもよい状況をつくれるのか……。旧知の研究者や市民運動関係者による「令和の米騒動の背景と今後」というウェブの講演会を見た。以下、その抜粋と感想。

 2025年の米は豊作で前年より10%増産していたのに米価は高騰した。米不足が数年つづき、政府が需給見通しを誤ったのが原因だった。
 「いまのうちに米を買えばもうかる!」と商系の業者が群がった。「60キロ3万5000円台の攻防」になった。 「米がカネになる」と市場に参入する業者が急増した。スーパーより、生産者から直接仕入れている生協の米が安いという逆転現象もおきた。
 地元の米を集荷できなった農協も概算金を高く設定した。
 今も米価は高止まりしているが、実は取り引きは低調になっている。商系業者は「今のうちに売り切ろう」とするが売れない。在庫が積み上がっている。
 今後米価が下がるのががわかっているから、外食業界は買わない。国産米の消費は数割減り、輸入米をつかうようになっている。
 農家から買う相対価格は2014年が1万2000円以下と最低で、離農が相次いだ。このときの在庫は226万トン(適正は180〜200万トン)。今年6月はそれを数十万トン上回るから、どこかで暴落せざるをえない。
 買い占めた業者は在庫を減らしたくてたまらない。年度末の3月に業者が損切りに走り、暴落する、という可能性が高い……。 2014年には1キロ100円台の取引価格にまで暴落した。
 農家にとっては30年ぶりに米価が上がってひと息ついたのに、またどん底となってしまう。
 問題は、小売りの力が強くて、生産コストが上昇してもそれを価格に反映できていないこと。政府は「食料システム法」によって、最低限のコスト指標をつくろうとしている。フランスではそれを下回る取り引きをする業者にたいする罰則があるが、日本の法案はゆるゆるだ。
 一方、JAとっとりは、今までは市場価格にあわせて(農家に支払う)概算金が設定されていたが、かかったコストをもとに農家から買い取る額を設定する「生産費払い」を導入した。

 一方、農の現場でなにがおきているのか。
 山形県白鷹町は米や野菜、果樹、米沢牛……と、豊かな農村だった。農林水産物の生産高は1990年代まで60億だった。それが30億を切った。農業生産よりも年金収入が上回ってしまった。農業では食えない。跡を継ぐつもりで帰ってきた20代の若者がいたが、収入にならず数年しかもたなかった。父親は「肩の荷が下りた」と言った。そういうことが全国でおきている。
 「町政としては、農業中心にはできない。シンママや外国人に安い住宅を提供して住んでもらうしかない」と町幹部は言った。
 本来は、自然と人間の知恵が合わさって農業生産力になる。ムラという基盤がなくなれば農業はなくなってしまう、という段階になっている。
 地域の風土に合った経営形態があるはず。町とムラの人がいっしょにシステムをつくらなければならない。それができなければ輸入するしかなくなる。どうやって社会の構造にしていくか知恵を絞る最後の段階にきている。

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