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20映画・美術館など
裸のムラ<五十旗頭幸男監督>
■20221126 私はこの映画の舞台になった石川県で4年間新聞記者をしていた。 石川県のような超保守県で選挙を取材すると、日の丸の鉢巻きをしたどぶねずみスーツと作業服の建築会社員ら数百人が「ガンバロー!」をさけび、たすきをつけた候補者が支持者の... -
20映画・美術館など
映画「ある男」(石川慶監督)
「月刊風まかせ」の映画評で園崎明夫さんがべた褒めしているのをみて映画館に足がむいた。原作は平野啓一郎。 赤ん坊を亡くして離婚し、幼い息子とともに実家にもどってきた里枝は、山仕事のために移住してきた大祐と恋に落ちて再婚する。息子とあ... -
20映画・美術館など
百姓の百の声<柴田昌平監督>
農家の会話の内容はぼくら都市住民には外国語のようにチンプンカンプン。生活から「農」をうしなったわれわれにとって「百姓の国」はもはや異国になってしまった……という場面からはじまる。 農文協の職員は、50台のスーパーカブで村々を訪ね農家の話を... -
05環境・農業
センス・オブ・ワンダー<レイチェル・カーソン、上遠恵子訳>
■新潮文庫 2209 海洋学者のレイチェルは、人間を超越する自然の不思議を実感している。「地球の美しさと神秘を感じとれる人は、科学者であろうとなかろうと、人生に飽きて疲れたり、孤独にさいなまれることはけっしてないでしょう。たとえ生活のなかで苦... -
20映画・美術館など
LAST STAGE 尾崎豊展
尾崎が死んで今年で30年と気づいて大丸梅田店に足をはこんだ。 没後10年の展示会をおもいだした。尾崎ファンらしく、ちょっとギラついた、あるいは繊細な雰囲気の同年代が多かった。 あれから20年、客の中心は、どこにでもいるおっさんおばさんだ... -
05環境・農業
魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣<石井妙子>
■文藝春秋20220918 アイリーンはアメリカ人の父とお嬢さん育ちの母のあいだで生まれたが両親とも離婚し再婚した。居場所を失って米国の祖父母の家で育った。 ユージンは幼いころに母にカメラをあたえられ、絵画をたしなんで写真を「絵」としてつくりこ... -
紀南
黒潮ストリート<平田毅>
■ぷねうま舎202208 カヤックで岬にちかづくと波がたかくなり、目の高さに近いうねりがわれてデッキをたたく。ひたすらこげばよいが、手を休めたら転覆する。 岬の先端では波の鼓動のリズムがかわる。南方の台風からのうねりをかんじる。 無防備でむき... -
11歴史〜現代史
近江商人学入門<末永國起>
■淡海文庫 20210924 近江商人の出身地は、琵琶湖の湖西の高島、蒲生郡の八幡と日野、神埼郡の五個荘、愛知郡の愛知川沿いから犬上郡、機業地の長浜周辺にいたる地域にひろがっている。渡来人によって開かれた古代以来の近江の先進性を基盤に、中世には... -
文化人類学・構造主義
日本探検<梅棹忠夫>
■講談社学術文庫20220906 知識は、あるきながらえられる。あるきながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながら歩く。これは、いちばんよい勉強の方法だとわたしはかんがえている-- あるきながら思想をふかめ、「日本」の文化や歴史の構造を発... -
13ノウハウ・軽い本
調べる技術 書く技術<佐藤優>
■SB新書20220910 毎月平均2冊のペースで本をだし、コラムや連載などの締め切りはひと月約90。ひと月に書く原稿の分量は約50万字。執筆のために、多い月は500冊以上の本に目をとおす……そんな超人が凡人になにをおしえてくれるのか。 SNSやネット... -
20映画・美術館など
映画「日本原 牛と人の大地」20220908
岡山県奈義町の陸上自衛隊日本原演習場。かつて2つの村があったが、日露戦争後に陸軍の演習場になり、戦後は連合軍をへて自衛隊が使用している。 広大な敷地には、住民の入会地があり、山すそまで田畑がひろがり、住民がでいりして耕作をつづけていた。... -
20映画・美術館など
失われた時の中で<坂田雅子監督>20220905
ベトナム帰還兵から写真家になり、アジアの民衆を撮ってきた夫が2003年に急逝する。妻である監督は、夫の死の遠因が枯葉剤かもしれないときき、ドキュメンタリー映画の撮影を決心し、ベトナムに飛び、かよいつづけている。 枯葉剤はベトナム戦争中に米... -
20映画・美術館など
ボローニャ国際絵本原画展
西宮市の大谷記念美術館に「ボローニャ国際絵本原画展」を見に行った。10年ぶりかな。 いろとりどりのプラスチックをたっぷりつかってたのしく生活したら、それが海にながれて、魚がたべて、プラスチックでいろどられた魚を「ああ、おいしい!」と人間... -
Uncategorized
眠れないほどおもしろい日本書紀<板野博行>
■三笠書房20220810 高校時代、古事記は神話がおもしろかったけど、4倍の長さの日本書紀は読みとおせなかった。 古事記は、自国民にむけてかかれたのに対して、日本書紀は国家によって編纂された「正史」であり、皇室の支配の正当性を国の内外(特に中国... -
20映画・美術館など
映画「岡本太郎の沖縄」20220815
▽太郎を魅了した沖縄の魂を再現 岡本太郎は芸術家ではあるけれど「画家」ではない。 画家ならば、自分の作品を大切にするのだけど、太郎は自分の作品を次々に上書きしていった。「岡本太郎展」(中之島美術館で開催中)では、いったい太郎はなにものだっ... -
20映画・美術館など
チロンヌプカムイ イオマンテ(映画)
■20220713「チロンヌプカムイ イオマンテ」というキタキツネの霊送りの祭礼が1986年、屈斜路湖を望む美幌峠で75年ぶりに催された。 アイヌの伝統的な考え方では、動物は自分の肉や毛皮をみやげにして人間の国へやってくる。 我が子のようにかわい... -
05環境・農業
みな、やっとの思いで坂をのぼる<永野三智>
■ころから 20220529 幼いころ、踊るように歩く水俣病患者のまねをして近所の患者を傷つけた。思春期になると水俣出身を隠すようになり、「患者がいるから私がこんな目にあうんだ」と考えた。子どもができると「この子を水俣出身にしたくない」と長期の... -
04民俗・食
文覚 人物叢書<山田昭全>
■吉川弘文館 20220713 30年以上前、隠岐の「文覚窟」という洞窟近くでキャンプをした。京都から流された坊さんだとは聞いたが、平家物語にもでてくる有名な人だとは考えもしなかった。 文覚は私の好きな明恵上人の師匠にあたり、伝説に彩られているが... -
20映画・美術館など
映画「僕とケアニンと島のおばあちゃんたちと。」
鹿児島港からフェリーで12時間、島民わずか100人というトカラ列島・宝島の介護施設を舞台にしたドキュメンタリー。 宝島は絶海の孤島として有名になったことがある。監督のことも映画のことも知らず、ただ宝島を知りたくて見てみた。 1992年生まれの若... -
04民俗・食
にっぽん情哥行<たけなか・ろう>
■ミュージックマガジン 20220704 民謡の元歌は春歌であることのほうが多いのだから、春歌を切り棄てると、いつどこで歌が生まれたのかわからなくなってしまう。秋田音頭はもとは春歌の親玉であり、夜ばいから夫婦生活、老人セックスまでうたっていた。 ... -
04民俗・食
にっぽん春歌紀行<野坂昭如>
■ちくま文庫20220707 野坂昭如は、戦災で妹を亡くした経験を「火垂るの墓」に書き、小説家だけではなく歌手や参院議員もつとめた。 卑猥な歌詞だからこそ生活感情がこめられている。それを文部省やNHKが変更し禁ずることに怒る。 柳田国男らは生活に根... -
20映画・美術館など
映画「ドンバス」202206
2014年、ウクライナでヤヌコヴィチ政権たおすマイダン革命(政変)が起こると、これに反対する急進派がドンバス地方のドネツク州とルガンスク州で州庁舎を占拠して「人民共和国」を名乗り、ウクライナからの分離を求めて住民投票を実施した。ウクライナ... -
20映画・美術館など
スープとイデオロギー<ヤン・ヨンヒ監督>
■20220611 ヤン・ヨンヒ監督は私と同年代の在日朝鮮人の二世だ。その彼女がみずからの家族を何年もかけて撮ったドキュメンタリー。 父母は朝鮮総連の活動家で、家には金日成らの写真を飾り、監督の兄3人は「帰国事業」で北朝鮮にわたった。 ヨンヒ自身... -
20映画・美術館など
教育と愛国 202205
戦後なくなった「道徳」という科目が正規の科目として復活した。「おはようございます!」とあいさつするとき、①あいさつの前に頭を下げる②あいさつしながら頭を下げる③あいさつをしてから頭を下げる どれが正解でしょう? こんな珍妙な「道徳」を大ま... -
12小説・エッセー
須賀敦子全集2
■河出書房新社 須賀敦子は1953年に24歳でパリに留学したが、パリでの暮らしはつらいものだった。帰国して一時NHK国際局で働いたあと、29歳のときカトリック留学生としてイタリアに向かった。イタリアにどっぷりつかり、貧しい鉄道員の家で育った夫ペッピ... -
05環境・農業
原発プロパガンダ<本間龍>
■岩波新書20220513 博報堂の営業担当だった筆者が、原発プロパガンダの変遷とそのねらい、効果をあきらかにしている。広告主に弱いメディアと、その弱点を広告代理店がたくみに利用してきたことがよくわかった。 3.11以前、「原発は日本のエネルギーの... -
10経済
食べものから学ぶ世界史 人も自然も壊さない経済とは?<平賀緑>
■岩波ジュニア新書 20220508 自然の動植物をとって食べていた時代から、食べものは次第に商品化して、ついには投機の対象になった。小麦やトウモロコシ、砂糖といった食べものの歴史をたどることで資本主義の変遷を浮き彫りにする。資本主義化が食を変... -
文化人類学・構造主義
暮らしの中の文化人類学<波平恵美子>
■福武書店20220503 気鋭の文化人類学が「暮らしと文化人類学」のつながりについて1980年代に新聞に連載したもの。 ふだんは貧しい食事なのに冠婚葬祭にどんちゃん騒ぎをする。数年に一度の行事のために豪華な食器をそろえる……そうした「因習」をやめるこ... -
06福祉・災害・住宅
人類と建築の歴史<藤森照信>
■ちくまプリマー新書 20220420 旧石器時代から現代まで、建築のあり方がどう変化したかを俯瞰する。 旧石器時代は世界どこでも円形の家に住み、柱を立てて祈った。2歩目の青銅器時代の四大文明と、3歩目の四大宗教の時代で地域による差異が最大となり... -
11歴史〜現代史
21Lessons 21世紀の人類のための21の思考<ユヴァル・ノア・ハラリ>
■河出書房新社 20220402 産業革命後、工業国の経済や軍隊は、膨大な数の庶民を必要とした。その結果、20世紀はおおむね、階級や人種などの不平等は縮小してきた。 20世紀の後期は、民主国家が独裁国家を圧倒してきた。民主主義は、情報を処理して決定...