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04民俗・食
人は死んだらどこへ行けばいいのか 現代の彼岸を歩く<佐藤弘夫>
■興山舎20231201 人類の歴史において、死後世界は当然とされてきた。その伝統が壊れつつる。「直葬」がはやり、お盆を先祖との対話の時と考える人は少数派だ。これはおそらく、南北朝以来つづいた日本のムラの衰退と軌を一にしているのではないか。 この... -
06福祉・災害・住宅
居住福祉の諸相<岡本祥浩・野口定久編著>
■東信堂20231212 故早川和男氏が提唱した「居住福祉」は、従来の福祉サービスや生活保護などの福祉と異なり、その前に「安心して暮らせる」ことが人間の幸せの基盤になると説いた。そんな「居住福祉」をになう「居住福祉資源」として、住むための家だけで... -
04民俗・食
民俗知は可能か<赤坂憲雄>
■春秋社 20231119 民俗学には興味があるけど、それが今に生きる知恵としてどういう形で生かせるのか、と疑問に思ってきた。この題名を見たら、買うしかなかった。つい最近亡くなった石牟礼道子から、日本の民俗学の原点である柳田国男まで、さかのぼって... -
20映画・美術館など
神とヒトがおなじ地平にいるヒンドゥーの魅力−−特別展「交感する神と人」ヒンドゥー神像の世界
ヒンドゥー教は「カースト」と直結して、厳格な身分制度をささえた宗教というイメージだ。 大学時代にインドをおとずれたときは、その「異界」ぶりに圧倒され、興奮と緊張の旅だった。でも短期間の滞在ではヒンドゥーの「差別」のイメージはぬぐえなか... -
20映画・美術館など
ETV特集 個人的な大江健三郎
大江健三郎の小説は読んでいたつもりだったけど、なーんもわかってなかったなぁと思わせられた。若者の性と残忍さをえがいた初期作品から、原爆被害者や障がいをもつ息子を題材にした小説へ……という流れを、それぞれの作品に感動した人の証言をもとにえ... -
04民俗・食
四国遍路の世界<愛媛大学四国遍路・世界巡礼研究センター編>
■ちくま新書20231025 遍路道は世界遺産登録をめざしている。私が愛媛にいた2002年ごろからその動きはあったが、「ずっと先の話」と思われてきた。だが最近、外国人の遍路が急増し、世界の注目があつまってきたという。うれしいようなかなしいような……。 ... -
04民俗・食
日本人の魂の原郷 沖縄久高島<比嘉康雄>
■集英社新書202310 久高島は、隆起珊瑚礁の小島で最高標高は17.1メートルしかない。畑地には石灰岩が露出し、農耕に適していない。水は、雨水をサンゴ石灰岩が吸収し、岩のあいだからしみでる水をためた井泉(西海岸沿いに9カ所、ほかに2カ所)をつかっ... -
20映画・美術館など
映画「福田村事件」<森達也監督>
1923(大正12)年の関東大震災直後の9月6日、千葉県福田村で、在郷軍人会にあおられた村民たちが、香川の被差別部落からきた薬の行商人9人を殺害した事件をもとに、森達也監督がつくりだした活劇。 朝鮮での教員時代に朝鮮人虐殺現場にかかわって傷つい... -
01思想・人権・人間論
火の国の女の日記(上下)<高群逸枝>
■講談社文庫20230924 高群逸枝の自叙伝。途中で亡くなったため、48歳から亡くなる70歳までは夫の橋本憲三が逸枝の日記などをもとにまとめている。「最後の人」の橋本は妻につくした聖人のようだが、この本でははじめ清らかな逸枝を翻弄するエゴイストとし... -
05環境・農業
田中正造 21世紀への思想人<小松裕(ひろし)>
■筑摩書房20230816 水俣病の原田正純さん、震災被災地の農業をささえた新潟大の野中教授ら、現場からの発想と行動を徹底した人とおなじにおいがする筆者だ。そして、田中正造こそがその原点であると位置づけているようだ。 正造は伊藤博文とおなじ1841... -
20映画・美術館など
光りの島<大重潤一郞監督>
劇映画とドキュメンタリー中間の映画だ。登場人物は上条恒彦だけ。 監督が10歳のときに亡くなった母が「死んだらなーんもならん」と言い残した。その言葉をそのままうけとめてしまってよいのか。どう解釈してよいのか。今のぼくでも迷う。 西表島の... -
11歴史〜現代史
通史・足尾鉱毒事件1877〜1984<東海林吉郎・菅井益郎>
■世織書房20230801 田中正造記念館のスタッフに「足尾銅山鉱毒の全体像を知るのにおすすめ」といわれて購入した。1984年出版だが東日本大震災後の2014年に復刊した。 足尾銅山の開発は1610年ごろはじまり、銅の5分の4は幕府御用、残りはオランダに輸出さ... -
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水底の歌 柿本人麿論 上下<梅原猛>
■新潮文庫 20230727 松尾芭蕉とならぶ日本最大の詩人である柿本人麿は長らく、島根県益田市の高津川河口の鴨島で死んだとされてきた。だが、そんな辺鄙な島で国府の役人が死ぬわけがない、と、斎藤茂吉は、海辺ではなく江の川上流の湯抱で人麿は死んだと... -
20映画・美術館など
原郷ニライカナイへ~比嘉康雄の魂(2001年)<大重潤一郎監督>
余命を告げられていた写真家の比嘉康雄さんが、大重監督にたのんで「遺言」として撮ってもらった作品。この映画をきっかけに大重監督は久高島にすみつき、「久髙オデッセイ」三部作につながった。 映画は比嘉さんが亡くなる半月前に久高島をおとずれる... -
福島・東北
山に生きる 福島・阿武隈 シイタケと原木と芽吹きと<鈴木久美子・本橋成一>
■彩流社202307 東京新聞の女性記者が、阿武隈山地の里山の人々と、稀有な写真家の導きで成長する物語だ。 舞台は福島県の阿武隈山地にある旧都路村(2005年から田村市)。 都路は、全国でも有数のシイタケ原木の産地だった。「シイタケを栽培するため... -
20映画・美術館など
「君たちはどう生きるか<宮崎駿>
■映画20230718 吉野源三郎の「君たちはどう生きるか」は小学校のときから何度も読んだ。 主人公のコペルくんとおじさんが語り合い、人とつながりながら自律した人間として生きる道をさぐるという小説を、アニメで描けるのだろうか? そう思って観賞した... -
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出雲と大和 古代国家の原像をたずねて<村井康彦>
■岩波新書20230711 古典や神社の文書などの引用が多くて、読みやすいとはいえないけれど、中身は刺激的だった。 奈良盆地の、三輪山の大神神社や葛城の高鴨神社といった神社の祭神が出雲系で、丹波や富山、吉備、「国譲り」以前の伊勢にまで出雲系の信仰... -
04民俗・食
二上山<田中日佐夫>
■学生社20230629 二上山と、中将姫伝説のある當麻寺、大津皇子について知りたくて購入した。1967年が初版だが、1999年に再版し、解説をくわえている。 二上山の西側、大阪府太子町の「山田」一帯には、敏達天皇、孝徳天皇、小野妹子、推古天皇、用明... -
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神々の体系<上山春平>中公新書
■中公新書20230625 1972年の古い本。二上山や三輪山が信仰の拠点として生きていた飛鳥から奈良時代、当時の人々はなにを信じて生きていたのか知りたくなった。「神々の体系」というタイトルがぴったりに思えて入手した。 信仰の中身を描いたものではなく... -
20映画・美術館など
幾春かけて老いゆかん 歌人 馬場あき子の日々<田代裕監督>
■20230628 95歳の歌人、馬場あき子の1年と、これまでの歩みを紹介するドキュメンタリー。 40年以上、朝日歌壇の選者をつづけているから、一度だけお目にかかったことがあった。 短歌は、同じ朝日歌壇の選者の永田和宏さんの作品にはまり、そこから馬... -
20映画・美術館など
大重潤一郞監督のドキュメンタリー2作 基地や公害を民俗誌的な深みで描く
能勢 能勢ナイキ反対住民連絡会議 ナイキJは、アメリカの核ミサイルから核を抜いた国産ミサイルで、1970年に能勢町への配備計画があきらかになった。時代遅れの兵器だったが、いつでも核兵器に転換できる。すでに北海道や関東、九州に配備が決まってい... -
04民俗・食
究極日本の聖地<鎌田東二>
■kadokawa20230607 927年の「延喜式」で重要とされた「延喜式内社」2861社は、古代の「聖地」一覧だ。それらをもとに「聖地」とはなにかを考察する。 最初に能登の真脇遺跡がとりあげられていてなつかしい。 真脇遺跡は三方を山に囲まれる母の胎内のよ... -
能登・北陸
北の無名碑 加賀移民の足跡をたどる<池端大二>
■北国新聞社 20230528 北陸から相馬・中村藩(福島)への真宗移民について知りたくて入手した。 天明の飢饉で、奥羽では、農民が故郷を捨てる流亡が相次いだ。50年後の天保の飢饉でも多くの農民が餓死し、町への逃亡者が続出し、人口が3分の1に激減... -
20映画・美術館など
ラ・ヨローナ〜彷徨う女<ハイロ・ブスタマンテ監督>
ラ・ヨローナ(泣く女)とは、夫に捨てられた女が、子どもを溺死させて自らも自殺し、ずぶ濡れの白い服をまとう亡霊となってあらわれる、という中南米では有名な伝説だ。ガルシア・マルケスの魔術的な世界にもつながるこの伝説をベースに、グアテマラの... -
04民俗・食
異界・怪異は今もつづく……大阪歴史博物館の特別展
岩手県遠野市のカッパ淵は、最近まで河童の存在を信じられていたあかしだった。みなが信じているものは社会のアクターとして「存在」する。怪異現象が「現実」だった時代は実は今もつづいている−−。 そんなテーマをとりあげた大阪歴史博物館の「異界彷... -
09中南米
21世紀の豊かさ 経済を変え、真の民主主義を創るために<中野佳裕・編訳>
■コモンズ 20230524国立民族学博物館の特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」で、ラ米の民衆芸術は「多元世界への入口」と結論づけていた。「多元世界」の定義と背景を知りたくて、この本を入手した。 フランスやアルゼンチンの学者がつくった原本「21世紀... -
文化人類学・構造主義
ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫 世界のあるきかた<梅棹忠夫著、小長谷有紀・佐藤吉文編>
■勉誠出版20230501 私が学生時代、梅棹先生は雲の上の人で、2度か3度、講演会などで目にしただけだが、圧倒的な語りに魅了された。 梅棹は「あるきながら、かんがえる」という。彼が世界をどう見て、どのような調査をしていたのか。彼ののこした文章と... -
福島・東北
「真宗移民」の歴史から何を学ぶか 報徳仕法の原動力にもなった宗教移民の研究を眺望する<太田浩史>
福島第一原発事故の取材で訪れた南相馬市は、外の人も受け入れる気さくな人が多かった。昔から外からの人をうけいれてきたからだという。 江戸末期には間引きなどによる人口減少で荒廃していたムラを、北陸や新潟からの「真宗移民」が再生させた歴史が... -
08海外(中南米以外)
「帝国」ロシアの地政学<小泉悠>
■東京堂出版20230423 ロシアにとって、世界大戦の記憶は、ナチズムという悪に対する勝利であり、全人類的な貢献を果たしたのだというアイデンティティーの源泉になっている。 ソ連崩壊によって民族の分布と国境線が一致しなくなり、地政学とアイデンテ... -
08海外(中南米以外)
ウクライナ戦争の200日<小泉悠>
■文春新書20230420 小泉悠氏のウクライナについての対談。それぞれの対談で、印象にのこった部分を抜粋。 ▽東浩紀とは日本の防衛について ロシアの軍事思想は、守るためには相手の攻撃能力を先にたたくという「アクティブ・ディフェンス」の発想だから、...