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21世紀の豊かさ 経済を変え、真の民主主義を創るために<中野佳裕・編訳>

■コモンズ 20230524
国立民族学博物館の特別展「ラテンアメリカの民衆芸術」で、ラ米の民衆芸術は「多元世界への入口」と結論づけていた。「多元世界」の定義と背景を知りたくて、この本を入手した。
 フランスやアルゼンチンの学者がつくった原本「21世紀の左派 北と南の対話へ向けて」に日本の論考をくわえた。
 グローバルな市場化による弊害を克服する道として、成長神話からはなれ、エコロジーとケア、地域倫理、共通感覚(コモンセンス)の再構築、民衆の自律的生活空間(=コミュニティ)の再生を提示する。
 わかりやすい流れだが、具体的方策が見えてくるかどうか……期待しながら読みすすめた。
 成長至上主義を克服する道として、ラ米の論者は、先住民の生活哲学にねざしす発展概念「ブエン・ビビール」を提案した。「よき生き方」とは自然と調和した生活と経済だ。
 ラ米左派の運動は、新自由主義革命によって後退したが、1990年代になると、メキシコのサパティスタに代表されるグローバリゼーションへの抵抗運動が全域に広がる。
 そのなかで、ただ一つの真理(価値観)によってなりたつ「単一世界」universoではなく、複数の世界が連環し共存する「多元世界」pluriversoと呼ばれる世界が構想される。
 メキシコのサパティスタや、ボリビアの大衆運動は権力奪取以外の方法で権力からの解放をもとめる。共同的なシステムは、覇権掌握ではなく、あらゆるシステムが覇権をにぎらない多元世界の原理の導入をめざす。
 1980年代のラ米の批判理論は、「上部構造」の政治力学を分析し、民主化にともなう新自由主義が不平等を拡大させたことに焦点をあてた。
 1980年代から21世紀の最初の10年にかけては、先住民、アフリカ系ディアスポラ、農民による社会運動といったものが台頭する。
 農民にとっては、共有地の掠奪や支配階級への土地集中への抵抗にはじまり、農地改革によって目的は達成される。では先住民族運動のように、植民地化以前の過去への回帰をもとめる場合はどうなのか?
 エクアドル憲法がパチャママ(畝なる大地)の権利をうたい、近代世界と、本来は権利付与の対象ではないパチャママに立脚するアンデス世界との間に橋渡しをこころみた。エクアドルとボリビアの憲法は、ブエン・ビビールという原理を規範としてうちだした。ボリビア憲法は、代表制民主主義、参加型民主主義、共同体的民主主義の3つの民主主義の形態を認めた。
 ただ、 現実的には、ブエン・ビビールという言葉が国のプロパガンダと官僚に利用され、技術用語になりさがっているという。「共同体的民主主義」も、どの程度持続したものを「共同体」とよぶのか定義されていないしし、伝統的共同体もたえず生成と消滅をくりかえしていることが捨象されている。大筋はよいのだけど、具体的摘要には危うさもかんじる。
 こうした思想の背景には、価値単一的なマルクス主義を多元的な内容に改良するグラムシらの政治理論があった。
 この本の著者らは、多様な社会運動の主体性を評価し、民衆の多様な要求を吸いあげるポピュリズムを「真に民主的な運動」として再評価する。社会闘争の陣営の統一は、階級闘争のような単一の闘争に集中するのではなく、水平的につながる論理を必要であるとかんがえる。

 ヨーロッパの社会主義は、19世紀のユートピア主義的な社会主義から、ボルシェビズム(科学的社会主義)と社会民主主義に変化する。
 社会民主主義においては、市場経済における経済成長が、社会保障政策を追求するための必要条件とされ、国家の崇拝と生産力至上主義にとらわれた点ではボルシェビズムと同じだった。
 北ヨーロッパでは国家主導の「福祉国家」が発展したのにたいして、南ヨーロッパは福祉国家が脆弱だったため、市民の自主組織を基礎とする連帯的な活動がはぐくまれ、そのモデルは「福祉社会」とよばれた。
 サッチャーとレーガンにはじまる新自由主義によって左派は弱体化し、その後政権を奪取しても「第3の道」の名で新自由主義的な経済政策がつづいた。社会民主主義は、生産力を前提にした再分配に傾倒することで人間の解放という当初の目標を見失った。第3世界の資源搾取のような生産力至上主義の負の側面は見すごされていた。
 そんな状況を乗り越える思想として著者らが注目するのが、エコロジー運動や自主生産活動、協同組合などの国家権力をもとめない社会的実験だ。それは19世紀のユートピア的社会主義に近い。
 著者のひとりは現代の危機として、①生態学的次元の危機、②金融化によってもたらされる危機、③社会の再生産に関する危機(フェミニズムが対応)の3つをあげる。
 エコロジー派は、資本主義による収奪で自然の基盤が崩壊していると主張する。フェミニストは、女性労働と感情労働の商品化が社会の再生産能力を破壊しているとする。マルクス主義とケインズ主義者は、金融化が、政治的能力だけでなく、資本蓄積のための貨幣的前提も破壊しているとかんがえる。3つの次元を把握し、エコロジスト、フェミニズム理論家、政治経済学者の問題関心をつなぐ包括的枠組みを発展させる必要があるという。

 ラ米やヨーロッパの新しい潮流に対応する日本の思想はどうなっているのか。
 広井良典は、若者に関する公的支援を強化し、個人が人生の初期において、共通のスタートラインにたてるようにするべきだという。「チャンスの平等」という、資本主義的な理念を実現するために、社会主義的と言える対応が必要になるのだ。
 日本の経済は、所得(フロー)よりも資産(ストック)の格差が大きいから、労働で得られるカネよりも、資産運用で得られる不労所得のほうが大きい。これでは起業家は「金利生活者」になってしまう。資本主義をささえる起業家を減らさないためには、資産の再分配という社会主義的な対応が必要になる。これもまた「資本主義システムの根幹にさかのぼった”社会化”」だ。
 日本の神社の数は8万超でコンビニ5万7000を凌駕する。自然エネルギー拠点の整備と、伝統的コミュニティの拠点だった鎮守の森を結びつけるというとりくみが。岐阜と福井の県境の石徹白地区(郡上市)や中津川市、熊本県多良木町、長野県小布施町、宮崎県高原町などでもはじまっているという。
 編者の中野佳裕は最後に哲学者・中村雄二郎の「南型知」をとりあげる。
 中村は、「ロゴス」によって世界を分節化してとらえる理性に対して、深層の知である「共通感覚」に光をあてた。視覚優位の近代知のオルタナティブとして、触覚に軸足をおく体性感覚的な知を提起した。北ヨーロッパにうまれた産業社会の知の反対にあるものが「南型知」だという。
 その実践例のひとつは、1999年にイタリア絵に設立された倫理銀行だ。社会的・国際的活動への融資を目的とする金融機関で、預金者(=組合員)が自分の預金の融資先を決定し、各地域の事業やイベントも企画するという参加型アプローチを採用しているという。
 またイタリアでは1990年代後半から、各自治体で水の民営化がすすめられた結果、生活の質が著しく低下した。2011年にナポリ市で水の再公有化に関する住民投票が実施され、水道民営化が廃止され、市民参加型の公営企業がうまれた。市民社会の草の根運動が自治会を動かし、水をコモンズとして認知し制度化するにいたった。

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▽19 ラ米左派の運動は、新自由主義革命で後退する。新自由主義政策はほかに先駆けて、チリのピノチェト政権のもとで導入された。
…ラ米諸国は政治的・経済的自立の可能性を奪われ、民衆は困窮化した。しかし1990年代になると、メキシコのサパティスタに代表される新自由主義グローバリゼーションへの抵抗運動がラ米全域で展開しはじめる。
▽26 21世紀の豊かさの構想には、生産力至上主義/経済成長主義からの脱却と「共」の領域の再構築というふたつの柱を必要とする。

□第一部 ラ米の革新
▽36 ただ一つの真理の体制によってなりたつ「単一世界」universoと呼ばれる世界観から「多元世界」pluriversoと呼ばれる世界観へ。複数の世界が相互連環し、なおかつ、複数性を維持しながら共存している世界の構想へ。
▽43 (ボリビアなどの)大衆運動がかかげる目標は、近代性によって制度化された権力関係からの解放、すなわち権力を掌握せずに世界を変えること。
…共同的なシステムは、新しい覇権の掌握をねらうのではなく、あらゆるシステムは覇権をにぎることを終わらせること、多元世界の原理の導入を目指している。
▽45 関係性中心の存在論の再生は、近代の認識論的基礎をくつがえす。人間と人間以外の存在者の関係をふくめ、主体は関係性のなかでのみ存在するようになる。
 2008年のエクアドル憲法は、パチャママ(聖なる大地)に「権利」付与している。
…創出されつつある先住民族アイデンティティは、人間以外の存在者を表彰する近代的ではない実践を開示する.…これまでとは異なる多元的な政治を開く可能性をもつ。
▽55 サパティスタ、オアハカの自主管理運動、コロンビアの自治運動、ビア・カンペシーナなどの社会運動が構想しているオルタナティブ。…
▽エルネスト・ラクラウウ(アルゼンチンの政治評論家)
 グラムシの政治理論を、構造主義・ポスト構造主義の理論枠組みのなかで解体・再構築。グラムシ理論においてはマルクスの経済決定論は退けられ、下部構造にたいする文化やイデオロギーの相対的自律性が認めたものの、社会変革の中心的役割は依然として労働者階級だった。だが、社会主義革命が真に民主的な革命理論になるには、労働者階級中心主義を克服し、多様な社会的要求の受け皿にならねばならない。
 第2の課題は、ポピュリズムの再評価。ペロニズモのように、ラ米では民衆の多様な要求を可能なかぎり吸い上げながら体制変革を起こす、真に民主的な運動として展開している。
▽71 グラムシとラクラウのヘゲモニー概念のちがいは、グラムシがヘゲモニー構築の主体として労働者階級を想定したのに対し、ラクラウはどのような社会的要求や運動もヘゲモニー構築の中心的役割を担う可能性を主張している点にある。
▽75 近代政治理論では、領土に存在する人々の集合を冠詞をつけないpeople、puebloで表現し、主権者である「人民」を冠詞をつけてあらわす。
▽86 ポピュリズムは、民主的な等価性の水平的拡大と、ヘゲモニーの構築を導く指示記号(多くの場合指導者の名前)を軸に構築される垂直的接合のふたつの原理の接合をつうじて構築される。ポピュリズムに対する不信の多くは、垂直的接合の原理=指導者への依存にむけられている。
▽90 ポピュリズムは多元的な社会的要求から出現した集合的意志であり、また既存の秩序との断絶点でもある…
 古典的な社会主義、マルクス主義では、資本主義の回避不能な法則は、中産階級と農民階級の消滅を導き、歴史の最終的な闘争は、資本主義的ブルジョア階級と均質的な大衆プロレタリアートとの間の衝突となる、と考えられた。
 しかし、歴史はちがった。社会における敵対関係が弱まったからではなく、エコロジーに関する社会闘争、社会的排除による周縁的セクターの出現、民族やジェンダーに関する闘争など、敵対関係が多元化した。
 社会闘争の陣営の統一は、階級闘争のような単一の闘争に終始しない水平的な接合の論理を必要とする。…ポピュリズムなくして社会主義は存在しない。社会主義の歴史のなかではグラムシ理論がこのパラダイム変革を明確に表現し、象徴している。
▽101 社会運動は、社会的勢力の政治的諸関係を修正できなければ、遅かれ早かれ瓦解する。スペインの「怒れる者たち」などの運動は、極端な反政治主義が自らの活動を麻痺させてしまう。しかし、ギリシャの急進左派連合、フランスの左翼戦線、ドイツの左翼党のような運動は、ヘゲモニー構築のための闘争と自立的な社会運動との間の均衡をよりよく調合するであろう。(〓どうなってる?)
 ラ米の新しい民主主義の経験は、現代における左派政治のオルタナティブを考えるために役立ちうる。
▽ボアベンチュラ・デ・ソウサ・サントス
▽103 1980年代のラ米の批判理論は、「上部構造」的性質に批判を集中させていた。政治力学と政治的過程を中心に分析し、また、民主的移行が、新自由主義によって要求された経済の自由化と同時におこり社会的不平等の拡大と同時進行しているという事実に焦点をあてていた。
 1980年代から21世紀の最初の10年にかけて、異なる現象があらわれた。先住民、アフリカ系ディアスポラ、農民による社会運動。主流の研究からは周辺化されていた。
▽104 農民にとっての移行は、共有地の掠奪ならびに支配階級への土地の集中に対する抵抗と独立によってはじまり、農地改革が完了したときにはじめて終わる。
 先住民族運動のように、植民地化以前のはるかなる過去への回帰が有力な未来の構想へと転換する場合、どう考えればよいのか?
 …エクアドル憲法がパチャママ(畝なる大地)の権利を語る。権利を基盤とする近代世界と、本来は権利付与の対象ではないパチャママに立脚するアンデス世界との間に概念的な異種交配を生みだした。
 …エクアドルとボリビアの憲法は、経済・政治・社会組織の運営原理として「ブエン・ビビール=充実した生活を送る」という言葉を導入している。
▽111 エクアドル新憲法(2008)には、先住民コミュニティの慣習法の尊重が規定された。女性の参加を可能にする形で、それぞれのコミュニティの文化と伝統にしたがった司法をおこなうことが規定されている。
▽115 エクアドルとボリビアの憲法は、ブエン・ビビールという原理を経済開発および社会開発の規範パラダイムとして設定。
▽123 ボリビア憲法には、代表制民主主義、参加型民主主義、共同体的民主主義の3つの民主主義の形態が認められている。…異文化間対話を尊重する民主主義。…集団の権利を優遇することで、異文化間対話を尊重する民主主義は、個人の諸権利を侵害してしまう可能性も…
▽127 西欧中心主義的なフェミニズムは、…ジェンダー不平等の問題だけに特化する傾向がある。…女性の存在を本質化して、さまざまな女性の間にある大きな不平等の数々を隠蔽してきた。
 ポストコロニアル・フェミニズムは、異文化間対話を尊重する多民族的な国家に、より深遠な脱植民主義と脱資本主義の意味をフェミニズムの観点からあたえる。
(〓フェミニズムだけに特化すると、女性の間にある格差など、その他の要素を忘れてしまう。市川房枝が戦時中にとった態度〓)

▽発展に対するオルタナティブとしてのブエン・ビビール アルベルト・アコスタ
▽136 ブエン・ビビールは、多くの先住民族共同体で実践されている生活様式。…新自由主義への抵抗を経由して、いくつかの国においては制度化されつつある。
▽140 ブエン・ビビール エクアドルとボリビアではこれをかかげながら、資本主義の現代化が提案され、ブエン・ビビールという言葉は国のプロパガンダと官僚に利用され、技術用語になりさがっている。…
▽142 エクアドルの憲法では、自然の権利が認められている。…これは人類にとって一つの転機である(〓たてまえとしての憲法〓)

□ヨーロッパ・北米の挑戦
▽ヨーロッパの左派
▽162 1960年代には、新しい社会運動が、社会闘争は資本と労働の間の闘争に還元されないことをあきらかにした。(〓ソ連でも公害は止まらない、むしろひどい〓)
▽167 時代が進むにつれ…協同から生まれる集団的な学びが無視され、…ポスト資本主義時代への空虚な暗示が登場した。
▽168 社会民主主義は、政府の介入を強調し、資本主義から社会主義への移行は漸次的に達成させるという考えを擁護した。
▽170 民主主義と資本主義の洗練化に貢献し…国家の盲目的崇拝と生産力至上主義にとらわれていた点ではボルシェビズムと同じであった。
▽171 南ヨーロッパの左派は分裂にくるしんだ。福祉国家の制度が脆弱だったため、市民の自主組織を基礎とする連帯的な経済・社会活動がおこなわれる。北ヨーロッパの福祉国家に対して、南ヨーロッパのこのような福祉モデルは「福祉社会」と呼ばれる。
▽176 マネタリストの侵攻に直面したのは、社会民主主義と一体化した左派政権だった。つまり、かつての左派がもっていた多様性がなくなったのだ。サッチャーとレーガンが、規制緩和、民営化、競争原理の一般化といったテーマをアジェンダにかかげた。
 守勢に立たされた左派は、ギデンズの「第3の道」などをかかげる。…サプライサイド経済政策への傾倒は、政治の役割の範囲を著しく制限した。保守政権によって導入された…が左派が政権を担当してからもつづいた。その結果。左派の支持者は分裂した…
▽186 ヨーロッパの社会民主主義は、中産階級の拡大を通して経済と社会の関係を安定化させる社会モデルとみなされている。福祉国家を社会主義への踏み台として描いていた最初期のプロジェクトの内容を忘却させる。
…市場経済における際限なき資本蓄積が、社会保障政策を追求するための必要条件と理解されるようになった。
▽190 社会民主主義は保護政策に傾倒するあまり、人間の解放とという当初の目標を見失ってしまった。(社会民主主義の基盤は生産力だった〓)
…世界の有限性を考慮するならば、社会民主主義の弱点である生産力至上主義を放棄しなければならない。
▽202 エコロジー運動は国家権力への誘惑を放棄しており…自治活動の実現を目的にかかげ…自主生産活動、共済組合、協同組合などの社会的実験を高く評価する。アソシエーション運動と社会的経済によって開拓された社会変革の方法を再評価する。
▽211 社会を保護するために政府の再分配政策だけに傾倒していた社会民主主義の時代の後に重要になるのは、連帯の原理の力を再確認し…さまざまな権利と政府の再分配政策にもとづく民主的連帯と、市民的紐帯と互換性にもとづく民主的連帯との補完性を回復することである。
▽ジュヌヴィエーヴ・アザム
▽232 アントロポセン(人新世)の時代 人間の活動が原因で自然環境の大幅な変化が起こる新しい時代 石炭エネルギー、石油エネルギー、すなわち、化石燃料にもとづいて温室効果ガスを産出する熱工業モデルの台頭によってはじまった。
▽239 1980年代の新自由主義 労働は単なる資源と調整のための変数に還元され、…水、土地、森林…などのコモンズは、その規模と暴力性において、18世紀英国の囲い込み運動に匹敵するほどの搾取をうけました。(英国の農村に存在した開放耕地を、所有者を確定させて排他的に利用すること。小作農の共同管理から大土地所有者の所有物になり、多くの農民が失業した)
▽241 無限につづくと考えられた高度成長の影響で、左派陣営では、貨幣的富の再分配による不平等の是正という社会民主主義の理想が強化されました。経済成長は正義の条件と政治の最優先目標となりました.…第3世界の資源搾取のような生産力至上主義の負の側面は見過ごされていたのです。
…1970年代に危機が顕在化しても、…左派陣営の一部は、自由貿易の普及、経済のグローバル化、金融自由化に成長の回復の希望を見出していきます。(1990年代後半の英国労働党の「第3の道」)
世界規模で不平等が拡大し、システムの周辺で多くの人々が排除と否定をこうむり、生態学的危機は広がり…経済成長による不平等の是正という方程式は完全な時代遅れとなりました。
▽フロランス・ジャニ=カトリス
▽250 もとは、農業生産活動のみが生産的な活動とされた。19世紀は、生産活動のなかに工業がふくまれ、サービス活動の大部分は非生産的活動に分類されるようになった。20世紀にはいって、現代的な国民経済計算システムが開発され、…サービス活動を冨の計算に含めることが正当化された。
政府が生み出すサービスをGDPに含めることは、自由主義経済学者の一部によって批判された。
▽253 1990年に国連開発計画UNDPが、諸国民は教育、保健、経済的資源へアクセスできなければならないという考えから、最初の人間開発指標HDIを発表。IMFが過剰債務におちいった途上国に強制した構造調整政策が深刻な被害を生み出したことを示そうとした。…高い発展水準をもつ国に関して1人あたりGDPとHDIの間には相関関係を見出すことはできないのです。
▽254 世界銀行は「持続可能性」とよぶ「貨幣化」された指標を作成していた。「調整純貯蓄」と、国連環境計画といっしょに作成した「包括的な豊かさの指標IWI」
▽256 フランスのサルゴジ大統領が2008年に設立したスティグリッツ委員会 GDPと経済成長を社会の目標として盲目的に使用することを批判することにお墨付きを与え、GDPにたいする異議申し立ての動きを可視化。
▽258 「生物多様性が供給するサービス」の価値づけを理論化したり、人間の行動の社会的影響を貨幣化したり…人間の生活の多様な次元を貨幣換算して数量化することは、ポランニーがのべる「価値付けの統一へ向けた運動」の一つです。
…貨幣的な等価が存在しないのに貨幣的な等価に依拠することを要求する…という欠陥。
▽266 2010年の統計によると、主要な欧州諸国の一人あたりのGDPは、米国より25%低い。一方、調整された可処分所得、教育や保険に関する公共支出の見積もりを加えて世帯が最終的に手にする所得をもちいるならば…日本の生活水準は米国にくらべて40%劣るし、フランスと英国は米国よりもすぐれた生活水準を獲得します。
▽268 エクアドルのアマゾン地域、サラヤク地域の住民が、石油開発をおこなう多国籍企業に抵抗を模索。闘争を理解してもらうために、住民は彼ら特有の豊かさ指標を発展させました。
 ブータンの国民総幸福
 「豊かさを問い直す組織」経済成長モデルにたいして異議申し立てをし、市民主体の指標作成を通じて社会の新しい選択を形成することをめざす。
▽270 人間開発指標は2010年に修正され、高度な専門性は、人々が同指標に期待していた公共の議論の道具としての性質を奪ってしまいました。OECDは、各人にネット上で複合的な豊かさ指標の加重を修正するよう促しました。よりよいくらし指標()Better Life Indexを正当化して、アングロサクソンの生活様式を有効化する道具としてしまいました。
 …一方、新しい豊かさ指標は、社会運動のなかにおいて、解放の運動、すなわち、文明の移行が成功するための条件の諸要因を構想することが可能。
▽ナンシー・フレイザー
▽273 重要な3点 第1に生態学的次元 2番目は金融化によってもたらされる危機 3番目は、社会の再生産に関する危機。社会的紐帯を創造し維持するために必要な人間的能力に対する抑圧が強まっている。
 …3つの危機は共通の源から出ている。共通の文法を共有している可能性を検討しなければなりません。ところが、エコロジー問題に取り組む理論家は、自然の危機と金融危機を切り離し、政治経済学分野の理論家の多くは、金融とエコロジー結びつけることに失敗しています。いずれの陣営も、社会の再生産に関する危機に多くの注意をはらっていません。社会の再生産の危機は、ジェンダー・ステディーズとフェミニスト理論の領域となっており、学問研究のなかで孤立しています。
…ポランニーの「大転換」思想は、(これらを統合する)理論構築のための有効な出発点です。
「擬制的商品化」はあまりに破壊的だったため、「社会保護」を求める対抗運動が起こりました。その結果、彼が「二重運動」とよんだ社会的対立が生じました。
 二重運動とは、自由主義経済の推進者と社会的保護の推進者との間でくりかえし起きる対立。それは政治的停滞を生み、最終的にはファシズムと第二次大戦を導きました。(〓わかったようでわからん〓)
 経済還元主義とエコロジー還元主義の双方を否定することで、「大転換」は金融危機と経済崩壊の説明と自然環境破壊と社会的結合の崩壊の説明を結び合わせます。
▽278 ただ「自己調整的な市場」の破壊的影響に執拗に焦点をあてるあまり、「大転換」は、市場を囲む「社会」において派生するさまざまな弊害を見落としています。商品化がコミュニティに与える負の影響に専心するあまり、コミュニティ内部に存在するさまざまな不正義(奴隷、封建制、家父長制など)を無視しています。
 市場化を糾弾しながら、社会的保護を理想化しています。諸々の保護策がしばしば階層格差ヒエラルキーと排除を生みだしてきたことに留意できていません。「良い経済」に対して「悪い経済」を対置させることで、「大転換」は共同体主義の誘惑から逃れることができておらず、支配に対する感覚が不十分です。
 経済還元主義とエイコロジー還元主義を克服するだけでなく、「社会」の理想化と物象化を回避し、支配を回避する視座を構築しなければ…
▽281 マルクスとことなり、ポランニーは資本主義の矛盾をひとつだけでなく、生態学的次元、社会的次元、金融的次元の3つの次元において同定しました。
▽282 エコロジー派は、自然を擬制的商品として資本主義に取り込む傾向が強化されるにしたがって、自然の基盤が修復不能なレベルまで崩壊してきていると主張。フェミニストは、女性労働と感情労働の商品化が「労働力」の供給ならびに社会そのものが依拠する社会の再生産能力を破壊していると主張。マルクス主義とケインズ主義者は、金融化が、社会の再生産のための政治的能力だけでなく、資本蓄積のための貨幣的前提も破壊していると主張しています。
 これらの批判の結合は、ポランニーの擬制的商品化概念を媒介することで可能となります。
▽283 ポランニーは、プロレタリアート階級の形成は、労働力の搾取と極貧化だけでなく、コミュニティの崩壊と連帯的社会関係の衰退にかかわる問題であると理解しました。
▽283 ポランニーは「社会的保護」に反対するフェミニスト闘争ーー雇用に対する女性の権利の要求などーーの歴史を無視しており、労働の商品化をめぐって起こる社会闘争が実際には3つの次元におよぶことを認識できませんでした。自由主義市場の擁護者と社会保護の提唱者だけでなく、「解放」の運動家たちもいるのです。
▽286 市場化の軸と社会的保護の軸だけでなく、解放の軸が存在するのです。二重運動ではなく、三重運動が存在するのです。(〓〓多元化と呼応?)
▽290 自然の市場化のゆがみに対する新自由主義の対案は、さらなる市場化です。二酸化炭素排出権取引のようないびつなものをあつかう市場や、さらにいびつな、輩出トランシェなどの「環境デリバティブ(環境に関する金融派生商品)」をあつかう市場の登場です。これは、サブプライム・ローンをモデルにつくられた商品。
▽295 3つの次元を把握し、エコロジスト、フェミニズム理論家、政治経済学者の問題関心をつなぐことができる包括的枠組みを発展させ、批判理論の分離主義を克服ことが目的。
 新自由主義者は、社会的支出の緊縮を通じた財政赤字削減を強要する。社会の再生産を不安定にする。
 「緑の金融」は生態学的メルトダウンをもたらす。迅速で投機的な余剰利益が約束されると、資本は再生可能エネルギーの開発や化石燃料依存の生産・生活様式の転換に必要な長期的かつ大規模な投資から撤退してしまう。

□日本
▽広井良典
▽307 教育や雇用、住宅などをふくむ、若者や子どもに関する社会保障ないし公的支援を強化し、個人が人生の初期において、共通のスタートラインにたてることを徹底的に保障する。「資本主義システムの根幹にさかのぼった”社会化”」
▽308 個人の「チャンスの平等」という、自由主義的ないし資本主義的な理念を実現するために、ある意味で社会主義的と言える対応が必要になるというパラドクス。
▽309 公的教育支出の国際比較(GDP比)ではノルウェー(7.7%)…日本は3.7%で、データのあるOECD加盟国30カ国中最下位の水準(2012年)。…就学前教育については、教育費に占める公的負担の割合はOECD平均79.7%に対して、日本は43.8%(2010年)。高等教育についても、OECD平均が69.7%に対して、34.3%(2012年)。
「人生前半の社会保障」の強化が重要である。
▽310 所得(フロー)よりも資産(ストック)の格差が大きい。…労働によって得られる資金よりも、所有する資産を運用して得られる不労の収益のほうが大きい。こうした状況では、「起業家はは金利生活者に転身するのが不可避となる」
 起業家がいなくなるのは資本主義の終焉。それを回避するために、資産の再分配という社会主義的な対応が必要になる。「資本主義システムのもっとも根幹にさかのぼった社会化」
▽312 コミュニティ経済の基本的特質。①経済の地域内循環②「生産のコミュニティ」と「生活のコミュニティ」の再融合③経済が本来もっていた「コミュニティ」的(相互扶助的)性格の再評価。
▽313 長野県飯田市 「若者が故郷に帰ってこられる産業づくり」という理念のもと「経済自立度70%」を目標にかかげる。「地域に必要な所得を地域産業からの波及効果でどのくらい充足しているか」を見る。
▽315 「生産」と「生活」のコミュニティが高度成長期以降極端に乖離した背景には、都市の中心部に集合住宅・公的住宅が少なく、通勤距離が極端に長くなったという事情があった。…不十分ではあるが、富山市のLRTを軸とする集約的なまちづくりの試みは、生産のコミュニティと生活のコミュニティの再融合に寄与する可能性をもつだろう。
▽近江商人や渋沢栄一のように…経済と倫理の統合。…近年、「ソーシャルビジネス」や社会的起業にとりくむ若者をみると、渋沢ら、一昔前の経営者の理念と意外にも共鳴する内容をもっている。相互扶助の経済、「経済と倫理」の再融合の芽があらわれはじめている。
▽316 「拡大・成長」ではなく、「地域内循環」に軸足をおいたコミュニティ経済が発展すれば、慢性的な失業の背景となっている「過剰」の抑制につながる。格差や社会的排除の是正にも寄与する。
▽317 地域内の経済循環がもっとも明確にあらわれやすいのは、自然エネルギー関連だろう。
▽318 ドイツでは、エネルギーの地域自給をめざす「自然エネルギー100%地域」のプロジェクトが進められている。2012年現在、100%地域は74あり、国土面積の28.6%、人口では24.2%におよぶ。
▽319 神社の数は8万数千(お寺もほぼ同数)で、コンビニの5万7000よりずっと覆い。中学校区あたり平均8つも。
 …自然エネルギー拠点の自律分散的な整備と地域コミュニティ拠点であった鎮守の森を結びつけ、福祉の世代間交流などの視点も総合化してすすめていくというのが「鎮守の森・自然エネルギーコミュニティ構想」〓
 自然エネルギーという現代的課題と、自然信仰とコミュニティーが一体となった伝統文化を融合させたものとして、日本が世界に発信できるビジョンになりうる。
…岐阜と福井の県境の石徹白地区(郡上市)では、地域再生機構というNPOが小水力発電をつうじた地域再生事業を進めている。この地区はかつて白山信仰の拠点として栄えたという。
…中津川市、熊本県多良木町、長野県小布施町、宮崎県高原町などの方々と連携をとりつつ、「鎮守の森・自然エネルギーコミュニティ構想」のプロジェクトをすすめている。
▽323 いま、枢軸時代に生成した普遍宗教・思想群を何らかの形でのりこえる思想がもとめられている。…枢軸時代に成立した個々の普遍宗教をその一歩外側(メタレベル)からとらえ、かつその中身が、それらが生まれた風土・環境に規定されたものであることを理解しつつ、それらの共存を積極的に認められるものであるというコト。「個々の普遍主教を超えた”地球的公共性”」「地球倫理」とでも表現できる。
 …普遍宗教の根底にある「自然信仰」あるいは「自然のスピリチュアリティ」という次元と直接的につながり、それを重視する。
▽326 「地球倫理」という視点も射程におさめながら、ローカルレベルに根ざすコミュニティ経済の生成・発展をうながし、「資本主義の根幹にさかのぼった社会化」ともあわせて「脱成長の福祉国家(定常型社会ないし緑の分権的福祉社会)」を構想し実現していくことが、21世紀の解放プロジェクトにつながるだろう。
▽吉原直樹
▽329 相双地区 イノベーション・コースト構想 地元が期待するような雇用創出については明確な言及がなされていない。むしろ利益が中央に吸収されるだけで、復興の名のもとに新たな犠牲システムに組み入れられるのではないかという懸念が強まっている。
▽330 「創発するコミュニティ」のメカニズムを、サロンといわれるものを通して浮かび上がらせ…
▽318 会津若松にある大熊町仮設住宅自治会のひとつからできたサロン。この自治会以外は「もとあるコミュニティの維持」「従前のコミュニティの確保」という名目のもとに、特定の行政区を単位にして「上から」つくられた。「役場のはたらきかけ」によって結成されたという。自治会長には役場が推薦した区長がついたといわれている。
 こうした自治会「国策自治会」。ひとつの自治会だけは、行政区に関係なく高齢者や身体の不自由な人びとが集まっていた。
 …サロンは「おしゃべりの場」として今日まで続いている。
▽340 サロンでは、全国各地からのボランティアと「出会う」ことによって…ボランティアを介して自分たちの生活課題について話し合い、それらに向き合う状況が生じた。国策自治会が「上から」の依頼業務の遂行に追われ、対応できていない地元社会との交流を推し進め…
…サロンは「国策自治会」に対して「もうひとつの自治会」を構成し…
▽350 「創発するコミュニティ」コミュニティを不安定で、外に開かれたものととらえる側に立っている。(ボリビアなどの「共同体主権」は、コミュニティを不変のものとしてとらえているのか〓)
…「出会い」「対話」を通してゆらぎながら動的な関係を築きあげていくサロンに、「創発するコミュニティ」のひとつのタイプを見ている。
…人びとが「ふれあい」「語り合い」「聞き合う」ことを通して「相互に関係をもつ」ことが数え切れないほどの可能性と課題をもつことはあきらか。
▽千葉真
▽364 1960年代から80年代にかけて日本は「一億層中流社会」といわれたが、今では統計的には世界有数の格差社会。相対的貧困率は2016年6月現在で16.1%と、OECD加盟34カ国中ワースト6位まで落ちこんだ。
▽370 1990年代末にはEU15カ国のうち、中道左派政権は13をかぞえた。
 だが、数年後には半減する。いずれも、社会福祉…雇用保障・最低賃金…の実現をめざしたが総じて失敗に終わった。いずれも中途で、経済成長のためにはグローバルに展開する金融資本主義に経済をゆだねるしかないと判断し、いわゆる「トリクルダウン経済政策」に舵を切るのもやむを得ないと判断したからだ。
 低成長時代に突入しており…社会民主主義の理論と実践の再定義が求められていた。
【〓そういう構図は知らなかった。左派になればよくなると思っていた。〓】
▽372 福祉国家の時代の大前提であったパイの増大を通じて、社会福祉・社会保障・雇用保障…を充実化していく可能性は不可能になった。その意味で、福祉国家から福祉社会の実現へと舵をとる必要がある。その担い手となるのは、地方自治体と地域の生活者市民であろう。(〓福祉社会ってそういう意味だったのか。気づかなかった)
 生活者市民の社会参加や政治参加、各種のNGOやNPOの活動には、目を見はるものがある。
□中野佳裕
▽382 新しいパラダイムを求める動きは「ポスト開発」「脱成長」「ブエン・ビビール」「定常型社会」などとさまざまな呼び名で模索されている。
①経済成長イデオロギーからの脱却をめざし、②市場経済とも国家とも位相の異なる民衆の自律的生活空間=コミュニティ=の再生を構想しようとしている。〓〓
▽388 哲学者・中村雄二郎は「南型知」という座標軸を設定し、…
 中村の「共通感覚論」 理性の役割が「ロゴス」によって世界を分節化して論理的にとらえるのに対して、共通感覚はロゴスの世界を無意識のレベルでささえる深層の知。
(〓福岡さんは分別知を否定した全体を見る目が「共通感覚」なのか〓)
▽389 近代文明を支える視覚優位の知の限界を認めたうえで、中村は、共同感覚のもつ知の可能性を評価する。触覚や聴覚などの諸感覚の均整のとれた活用をつうじて、近代の視覚優位の知の隘路の克服を試みる。
▽392 レトリックは、議論や論争を適切な方向に導くための技術であり…デカルト哲学に見られるような世界から切り離された思惟する自己(コギト)とは反対の、対話的理性の道を拓く。
▽394 中村は、視覚優位の近代知のオルタナティブとして、共通感覚的な知を提案する。それは触覚に軸足をおく体性感覚的な知であり、存在の根拠となり、身体が働く具体的な「場所」を重視する知である。
▽395 近代ヨーロッパは、古典科学とプロテスタンティズムと資本主義という三位一体をうみだした。産業社会の知は、ヨーロッパ全体のものというようりは北ヨーロッパのものだった。その反対が「南型知」
▽398 「南型知」と地域主義の融合がはじまっている。
▽399 現代社会では、普遍的合理性に立脚する専門知とそれを盲目的に信頼し流布するマスメディアの権力が支配的となる。民衆の日常経験に根ざした「豊かな判断力」」との間に乖離を生じる。
▽399 食に関する感性の体制をかえることで、持続可能な地域づくりをめざすイタリアのスローフード運動。
▽402 イタリアで1999年に設立された倫理銀行。社会的・国際的活動への有志を目的とする。お金をあずけた預金者=組合員が自分たちの預金の融資先を決定し、各地域の事業やイベントも企画するという参加型アプローチを採用。
▽403 認識論的不正義が引き起こされる主因としての5つのモノカルチャー。
①知識のモノカルチャー 近代科学とエリート専門家の教養の絶対視。
②時間のモノカルチャー 進歩・革命・近代化・発展・グローバル化など単線的な時間軸にそった人間社会の序列化。
③社会的階層の本質化 人権やジェンダーによる社会集団の分類・序列化と、支配構造の温存。
④規模のモノカルチャー グローバル化を評価基準とし、ローカルな水準でおこるできごとを捨象するか低評価する。
⑤生産力至上主義のモノカルチャー 生産力向上を社会のパフォーマンスを測定する唯一の基準とする。
▽406 イタリアでは1990年代後半から、各自治体で水の民営化がすすめられた結果、生活の質が著しく低下した。2011年にナポリ市でおこなわれた水の再公有化に関する住民投票。水道民営化の廃止が決定。市民参加型の公営企業。
 市民社会の草の根運動が自治会を動かし、水をコモンズとして認知し制度化するにいたった。

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