■御茶の水書房20210720
新型コロナウイルスによって、貧困に陥る母子家庭が増える一方、Go To トラベルで高級ホテルに予約が集中する。格差と分断が常態化した。
気候変動も、2030年までに温室効果ガス排出量を45%、50年までに実質排出ゼロにしなければ「1.5度」の上限目標を達成できない。温暖化が進めば貧しい人はいっそう貧しくなり、金持ちは生き残る。
市場競争至上主義のアメリカ型「拡大経済」を根底から変えなければならないが、従来の社会主義のように賃金労働者が生産手段を共有するだけでは、官僚組織の肥大化と非効率化、さらには独裁を生むだけだ。
ではどうすればよいのか。
人はかつて大地と共に生きていたが、18世紀の産業革命以降、家から生産の要素が消え、家族は「消費者」になってしまった。
日本では高度経済成長によってその過程が一気に進み、今日の家族は、食料も教育も育児も介護も、家の外からの賃金に依存するようになった。
実感としてよくわかる。明治生まれの祖母が元気なころの母の実家は、田畑をつくり、みそや納豆をつくり、子どもの声があふれていた。だが2代後の僕らの世代はバラバラ。建設業や水商売で外貨を稼ぐ。田んぼもやめてしまう。集落総出で死者を送る野辺送りは1990年代はじめの祖父母が最後だった。
大地から引き離され、根無し草となり、干からびた細胞のようになった「賃金労働者」が共同経営をしても官僚が肥大化するだけだ。必要なのは、生産手段と自然を家族のなかに取り戻すことだ。
「週休2+α」で賃金労働の休みを増やし、そのぶん田畑をつくって暮らす「菜園家族」とする。根無し草同然の賃金労働者と生産手段との再結合を果たすことで、市場に頼らない「菜園家族」に変化させる。
週休2+αで、αを増やすほど、賃金労働は減り、一人あたりの週労働時間が減るからワークシェアリングになる。「短時間正社員」という新しい働き方が創出されれば不安定雇用や失業を根本的に解決する。
それによってC(資本主義セクター)とF(家族小経営セクター)とP(公共セクター)の複合社会が誕生する。自給自足度の高い菜園家族は市場原理の影響を受けにくい。菜園家族が広まることで、資本主義はじょじょに弱まっていく……。賃金労働者と「生産手段との再結合」(=菜園家族)から民衆自身による社会の変革のプロセスがはじまるという。
そのために、市町村レベルに公的な「農地バンク」を設ける。中規模専業農家を核に、その周囲を10家族前後の「菜園家族」が囲む「群落」の形成を促す。農産物の価格保証と所得補償は、この中規模専業農家に集中的になされることになる。
中世や近世の商人・手工業者が、封建領主や絶対的王権に対抗して同業者組合ギルドをつくったように、巨大資本に対抗して、森と海を結ぶ流域地域圏内における商業・手工業の零細家族経営が「匠商家族」という新しいタイプの家族小経営に生まれかわり、それを基盤に「匠商家族のなりわいとも」を結成する。
イギリスやオランダ、ドイツでは、経済的利益だけでなく、環境、社会、倫理的側面を重視する金融機関「ソーシャルバンク」が生まれている。
近世の「村」の伝統の基盤の上に、「協同」という近代の成果を加えることで新たな「地域の思想」を構築することができるという。
=======================
▽70 ポルトマンは、人間に特有な「常態化した早産」による「長期にわたる養護」が、人間に特有の「家族」をもたらし、その「家族」が他の動物に見られない異常なまでの脳髄の発達を促す基地的な役割をはたしている。人間を人間たらしめたものは「家族」にある、と結論づけている。
▽79 「家族」「言語」「直立二足歩行」「道具」という4つの人間の発達事象。……「家族」は4つのなかでも人間が人間になるためのもっとも基底的な役割をはたしてきた。……「家族」がなくなったとき、人間は人間ではなくなる。
▽92 実質金利=名目利子率ー期待物価上昇率 物価上昇率が大きくなれば実質金利はマイナスになる。そう考えれば貨幣を放出し、ものを買うようになるのでデフレを脱すころができると考える。クルーグマン インフレにするたびに、日銀に積極的に買いオペさせて通貨を増やし、通貨価値を下げる。
▽94 2002年、小泉構造改革。……公共事業の経済効果がなくなり、財政が行き詰まったので縮小する方向をとったものの、それは代替策のない地方の切り捨て。……農林水産業や自営業、中小企業の製造業……を育成する政策は放置して、公共事業による土木・建設業をもって地方経済を変質させてきた。そこへ小泉構造改革が追い打ちをかけて産業空洞化を促進させ……若者が住める場所を地方から奪ってしまった。
……今や非正規雇用は就労者の4割。若者世代では半数におよぶ。国税庁の2019年の調査では、民間正社員の平均年収503万円に対して、非正規雇用は175万円。
▽104 社会主義の失敗。家族小経営を軽視し、いのちの再生産に必要な土地や生産用具、つまり生産手段を人間から切り離したまま、根無し草同然の賃金労働者を据え置いた状態で、社会的規模での共同所有を重視するあまり、それを優先・先行させることに問題があった。小経営的基盤を失った人間は、人間の画一化の傾向をたどらざるをえない。こうした社会的土台は、中央集権専制支配を許す土壌に転化する危険性をはらんでいた。
▽110 革新的地域研究としての「地域生態学」(地域未来学)
▽136 「菜園家族」は「なりわい」生業での協同・相互扶助の必要から協同組織を形成する。「なりわいとも」。さらにその上の「村なりわいとも」は、近世の系譜を引く伝統的な集落を基盤によみがえれば、自然循環型共生社会をめざすうえで理にかなったものであり……
▽140 「菜園家族」から「くになりわいとも」(県レベル)にいたる1次元から6次元までの多層/重層的な地域団粒構造が形成される。
▽169 中世や近世の商人・手工業者が、封建領主や絶対的王権に対抗して同業者組合ギルドをつくったように、今日の市場原理至上主義アメリカ型「拡大経済」下の巨大企業や巨大資本に対抗して、森と海を結ぶ流域地域圏内における商業・手工業の零細家族経営が「匠商家族」という新しいタイプの家族小経営に生まれかわり、それを基盤に「匠商家族のなりわいとも」を結成するのは歴史の必然であると言ってもいいかもしれない。
▽171 イギリスやオランダ、ドイツでは、経済的利益だけでなく、環境、社会、倫理的側面を重視して活動する金融機関「ソーシャルバンク」が存在し……
▽174
▽178 近世の「村」や地域団粒構造といった前近代的な伝統の基盤の上に、「協同の思想」という近代の成果をよみがえらせ融合させることで、21世紀に向けて新たな「地域の思想」を構築する人間的営為。
▽182 中規模専業農家を核に、その周囲を10家族前後の「菜園家族」が囲む「群落」の形成を促す。……農産物の価格保証と所得補償は、この中規模専業農家に集中的になされることになる。
▽186 市町村レベルに公的な「農地バンク」
▽201 生産手段の「再結合」という労・農一体的な新たな人間の社会的生存形態の創出は、戦後の一時期、農村を主要舞台に展開した国民的運動の高揚期を彷彿とさせる……
▽212 温暖化対策が、「省エネ技術」や新エネルギー技術開発など科学技術上の問題と、経済誘導策としての排出量取引制度に矮小化されている。……市場原理至上主義「拡大経済」事態の変革を通じてエネルギー消費の総量を大幅に減少させるという姿勢があまりに希薄。
▽216 CO2削減と菜園家族創出の促進機構(CSSK) 都道府県レベルに創設。一定規模以上の企業を対象に「炭素税」を課し、CSSKの財源にあてる。これをバックに「菜園家族」の創出と育成を目的に支援を強化する。「菜園家族型公共的事業」
▽264 コロナが田園回帰をうながす
▽266 家族や地域を崩壊に導き、社会を今日の事態にまで追い込んだ原形ができあがったのは、先にふれたように、1950年代中頃からの高度経済成長期のたかだか20年垂らすの出来事だった。
▽271 歴史家石母田正「民衆のいるところ、生活のあるところにはどこにでも豊かな歴史がある」、そうした歴史は「民衆自身が書かねばならない」と呼びかけたのを機に、自らの村や工場の歴史の掘り起こしと学び愛を通して、戦後民主主義を担う主体形成に綱がていった「国民のための歴史学」運動。その精神こそが、現代の衰退しきった私たちの民衆運動に取り戻さなければならないもっとも大切なものではないか。「民衆による民衆のための地域未来学」運動。
▽294 南宋の芸術に影響を受け、20世紀中国水墨画の巨星と言われた傳抱石の文化/芸術運動の流れをくみ、内面への沈潜を重視する「内斂(ないれん)」の哲学思想が注目されている。
▽304 「菜園家族」が最少の基礎単位でありつづけなければならない理由は、人間の労働の本来の喜びをとりもどすために不可欠なものだから。……人間そのものの変革過程を恒常的かつ永遠に保障するものであるから。
〓「百姓」の復権
▽306 現実社会と未来社会の中間にCFP複合社会をおき、……対立と依存の展開過程を具体的に描くことによって、未来社会を身近な生活まで引き寄せて考えることが可能になる。
……CFPという複合社会を設定した意義は、まさに現実の個々人の日常普段の生活世界に直結し、そこから展開していく実現可能な実践的課題であることを実感できる点にある。
▽310 社会的規模での共同管理・共同運営を優先・先行させる道(従来の社会主義)に対置して、生きるに必要な最小限の生産手段を取り戻し「再結合」をはたすことによって、まず事故の社会的生存形態の変革を成し遂げ、自らが真の主体となって生産と暮らしの場を構築していく道。
先行すべきは、従来型の「生産手段の社会的共有」ではなく、賃金労働者と「生産手段との再結合」が先決。そこから民衆自身による社会の根源的変革のプロセスがはじまる。
▽320 生産手段と人間の完全分離状態の古代奴隷制→中世=ムラ=生産手段の未熟な再結合→近代資本主義による完全分離状態→菜園家族=再結合
▽322
▽344 人はみな誰しもそれぞれに、それなりの使命が与えられている。その使命に真正面から愚直なまでに取り組むことではないのか。それが自らの主体性を強め、孤高の精神を持する第一歩であることをマエストロの言葉は訴えかけてくる。
▽345 若者たちは、コロナ災禍の苦しい体験を経て、……生きる力を求めているのではないか。
■生命系の未来社会論 気候変動とパンデミックの時代 抗市場免疫の「菜園家族」が近代を根底から覆す<小貫雅男、伊藤恵子>御茶の水書房
新型コロナウイルスによって、貧困に陥る母子家庭が増える一方、Go To トラベルで高級ホテルに予約が集中する。格差と分断が常態化した。
気候変動も、2030年までに温室効果ガス排出量を45%、50年までに実質排出ゼロにしなければ「1.5度」の上限目標を達成できない。温暖化が進めば貧しい人はいっそう貧しくなり、金持ちは生き残る。
市場競争至上主義のアメリカ型「拡大経済」を根底から変えなければならないが、従来の社会主義のように賃金労働者が生産手段を共有するだけでは、官僚組織の肥大化と非効率化、さらには独裁を生むだけだ。
ではどうすればよいのか。
人はかつて大地と共に生きていたが、18世紀の産業革命以降、家から生産の要素が消え、家族は「消費者」になってしまった。
日本では高度経済成長によってその過程が一気に進み、今日の家族は、食料も教育も育児も介護も、家の外からの賃金に依存するようになった。
実感としてよくわかる。明治生まれの祖母が元気なころの母の実家は、田畑をつくり、みそや納豆をつくり、子どもの声があふれていた。だが2代後の僕らの世代はバラバラ。建設業や水商売で外貨を稼ぐ。田んぼもやめてしまう。集落総出で死者を送る野辺送りは1990年代はじめの祖父母が最後だった。
大地から引き離され、根無し草となり、干からびた細胞のようになった「賃金労働者」が共同経営をしても官僚が肥大化するだけだ。必要なのは、生産手段と自然を家族のなかに取り戻すことだ。
「週休2+α」で賃金労働の休みを増やし、そのぶん田畑をつくって暮らす「菜園家族」とする。根無し草同然の賃金労働者と生産手段との再結合を果たすことで、市場に頼らない「菜園家族」に変化させる。
週休2+αで、αを増やすほど、賃金労働は減り、一人あたりの週労働時間が減るからワークシェアリングになる。「短時間正社員」という新しい働き方が創出されれば不安定雇用や失業を根本的に解決する。
それによってC(資本主義セクター)とF(家族小経営セクター)とP(公共セクター)の複合社会が誕生する。自給自足度の高い菜園家族は市場原理の影響を受けにくい。菜園家族が広まることで、資本主義はじょじょに弱まっていく……。賃金労働者と「生産手段との再結合」(=菜園家族)から民衆自身による社会の変革のプロセスがはじまるという。
そのために、市町村レベルに公的な「農地バンク」を設ける。中規模専業農家を核に、その周囲を10家族前後の「菜園家族」が囲む「群落」の形成を促す。農産物の価格保証と所得補償は、この中規模専業農家に集中的になされることになる。
中世や近世の商人・手工業者が、封建領主や絶対的王権に対抗して同業者組合ギルドをつくったように、巨大資本に対抗して、森と海を結ぶ流域地域圏内における商業・手工業の零細家族経営が「匠商家族」という新しいタイプの家族小経営に生まれかわり、それを基盤に「匠商家族のなりわいとも」を結成する。
イギリスやオランダ、ドイツでは、経済的利益だけでなく、環境、社会、倫理的側面を重視する金融機関「ソーシャルバンク」が生まれている。
近世の「村」の伝統の基盤の上に、「協同」という近代の成果を加えることで新たな「地域の思想」を構築することができるという。
=======================
▽70 ポルトマンは、人間に特有な「常態化した早産」による「長期にわたる養護」が、人間に特有の「家族」をもたらし、その「家族」が他の動物に見られない異常なまでの脳髄の発達を促す基地的な役割をはたしている。人間を人間たらしめたものは「家族」にある、と結論づけている。
▽79 「家族」「言語」「直立二足歩行」「道具」という4つの人間の発達事象。……「家族」は4つのなかでも人間が人間になるためのもっとも基底的な役割をはたしてきた。……「家族」がなくなったとき、人間は人間ではなくなる。
▽92 実質金利=名目利子率ー期待物価上昇率 物価上昇率が大きくなれば実質金利はマイナスになる。そう考えれば貨幣を放出し、ものを買うようになるのでデフレを脱すころができると考える。クルーグマン インフレにするたびに、日銀に積極的に買いオペさせて通貨を増やし、通貨価値を下げる。
▽94 2002年、小泉構造改革。……公共事業の経済効果がなくなり、財政が行き詰まったので縮小する方向をとったものの、それは代替策のない地方の切り捨て。……農林水産業や自営業、中小企業の製造業……を育成する政策は放置して、公共事業による土木・建設業をもって地方経済を変質させてきた。そこへ小泉構造改革が追い打ちをかけて産業空洞化を促進させ……若者が住める場所を地方から奪ってしまった。
……今や非正規雇用は就労者の4割。若者世代では半数におよぶ。国税庁の2019年の調査では、民間正社員の平均年収503万円に対して、非正規雇用は175万円。
▽104 社会主義の失敗。家族小経営を軽視し、いのちの再生産に必要な土地や生産用具、つまり生産手段を人間から切り離したまま、根無し草同然の賃金労働者を据え置いた状態で、社会的規模での共同所有を重視するあまり、それを優先・先行させることに問題があった。小経営的基盤を失った人間は、人間の画一化の傾向をたどらざるをえない。こうした社会的土台は、中央集権専制支配を許す土壌に転化する危険性をはらんでいた。
▽110 革新的地域研究としての「地域生態学」(地域未来学)
▽136 「菜園家族」は「なりわい」生業での協同・相互扶助の必要から協同組織を形成する。「なりわいとも」。さらにその上の「村なりわいとも」は、近世の系譜を引く伝統的な集落を基盤によみがえれば、自然循環型共生社会をめざすうえで理にかなったものであり……
▽140 「菜園家族」から「くになりわいとも」(県レベル)にいたる1次元から6次元までの多層/重層的な地域団粒構造が形成される。
▽169 中世や近世の商人・手工業者が、封建領主や絶対的王権に対抗して同業者組合ギルドをつくったように、今日の市場原理至上主義アメリカ型「拡大経済」下の巨大企業や巨大資本に対抗して、森と海を結ぶ流域地域圏内における商業・手工業の零細家族経営が「匠商家族」という新しいタイプの家族小経営に生まれかわり、それを基盤に「匠商家族のなりわいとも」を結成するのは歴史の必然であると言ってもいいかもしれない。
▽171 イギリスやオランダ、ドイツでは、経済的利益だけでなく、環境、社会、倫理的側面を重視して活動する金融機関「ソーシャルバンク」が存在し……
▽174
▽178 近世の「村」や地域団粒構造といった前近代的な伝統の基盤の上に、「協同の思想」という近代の成果をよみがえらせ融合させることで、21世紀に向けて新たな「地域の思想」を構築する人間的営為。
▽182 中規模専業農家を核に、その周囲を10家族前後の「菜園家族」が囲む「群落」の形成を促す。……農産物の価格保証と所得補償は、この中規模専業農家に集中的になされることになる。
▽186 市町村レベルに公的な「農地バンク」
▽201 生産手段の「再結合」という労・農一体的な新たな人間の社会的生存形態の創出は、戦後の一時期、農村を主要舞台に展開した国民的運動の高揚期を彷彿とさせる……
▽212 温暖化対策が、「省エネ技術」や新エネルギー技術開発など科学技術上の問題と、経済誘導策としての排出量取引制度に矮小化されている。……市場原理至上主義「拡大経済」事態の変革を通じてエネルギー消費の総量を大幅に減少させるという姿勢があまりに希薄。
▽216 CO2削減と菜園家族創出の促進機構(CSSK) 都道府県レベルに創設。一定規模以上の企業を対象に「炭素税」を課し、CSSKの財源にあてる。これをバックに「菜園家族」の創出と育成を目的に支援を強化する。「菜園家族型公共的事業」
▽264 コロナが田園回帰をうながす
▽266 家族や地域を崩壊に導き、社会を今日の事態にまで追い込んだ原形ができあがったのは、先にふれたように、1950年代中頃からの高度経済成長期のたかだか20年垂らすの出来事だった。
▽271 歴史家石母田正「民衆のいるところ、生活のあるところにはどこにでも豊かな歴史がある」、そうした歴史は「民衆自身が書かねばならない」と呼びかけたのを機に、自らの村や工場の歴史の掘り起こしと学び愛を通して、戦後民主主義を担う主体形成に綱がていった「国民のための歴史学」運動。その精神こそが、現代の衰退しきった私たちの民衆運動に取り戻さなければならないもっとも大切なものではないか。「民衆による民衆のための地域未来学」運動。
▽294 南宋の芸術に影響を受け、20世紀中国水墨画の巨星と言われた傳抱石の文化/芸術運動の流れをくみ、内面への沈潜を重視する「内斂(ないれん)」の哲学思想が注目されている。
▽304 「菜園家族」が最少の基礎単位でありつづけなければならない理由は、人間の労働の本来の喜びをとりもどすために不可欠なものだから。……人間そのものの変革過程を恒常的かつ永遠に保障するものであるから。
〓「百姓」の復権
▽306 現実社会と未来社会の中間にCFP複合社会をおき、……対立と依存の展開過程を具体的に描くことによって、未来社会を身近な生活まで引き寄せて考えることが可能になる。
……CFPという複合社会を設定した意義は、まさに現実の個々人の日常普段の生活世界に直結し、そこから展開していく実現可能な実践的課題であることを実感できる点にある。
▽310 社会的規模での共同管理・共同運営を優先・先行させる道(従来の社会主義)に対置して、生きるに必要な最小限の生産手段を取り戻し「再結合」をはたすことによって、まず事故の社会的生存形態の変革を成し遂げ、自らが真の主体となって生産と暮らしの場を構築していく道。
先行すべきは、従来型の「生産手段の社会的共有」ではなく、賃金労働者と「生産手段との再結合」が先決。そこから民衆自身による社会の根源的変革のプロセスがはじまる。
▽320 生産手段と人間の完全分離状態の古代奴隷制→中世=ムラ=生産手段の未熟な再結合→近代資本主義による完全分離状態→菜園家族=再結合
▽322
▽344 人はみな誰しもそれぞれに、それなりの使命が与えられている。その使命に真正面から愚直なまでに取り組むことではないのか。それが自らの主体性を強め、孤高の精神を持する第一歩であることをマエストロの言葉は訴えかけてくる。
▽345 若者たちは、コロナ災禍の苦しい体験を経て、……生きる力を求めているのではないか。
網戸開放 2021/07/14
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