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バッド・ドリーム 色恋村選挙戦狂騒曲<落合誓子>
■バッド・ドリーム 村長候補はイヌ? 色恋村選挙戦狂騒曲<落合誓子>自然食通信社 20111114 能登半島の珠洲原発計画への反対運動を担ってきたルポライターの筆者が、実際に体験した選挙戦のエピソードをもとにつくった小説。 小さな村に巨大産... -
男の子の躾け方<クラウス・シュペネマン>
■男の子の躾け方<クラウス・シュペネマン> 20111111 筆者は、佐藤優の同志社の師で日本人女性と結婚し3人の子を育てたドイツ人だ。筆者と佐藤はいったいどこで響き合うのか? という視点で読み進んだ。 学校秀才ではなく、創造性のあるアタマが必... -
インテリジェンス人間論<佐藤優>
■インテリジェンス人間論<佐藤優> 新潮文庫 20111109 インテリジェンスの専門家であり、神学者・哲学者である視点からみた人物論。盟友の鈴木宗男氏をはじめ橋龍や小渕、森喜朗ら歴代総理の観察もおもしろい。安倍晋三や森を一定評価しているのは意... -
私のマルクス<佐藤優>
■私のマルクス<佐藤優>文春文庫 20111108 大宮に住んで暴走族予備軍とつきあい、浦和高校では文芸部と応援団に入り、東欧を旅行し、社青同に入ってマルクスを読んでいた。 東京では学生運動は終わっていたが、京都、とくに同志社は新左翼系が根強く... -
走ることについて語るときに僕の語ること<村上春樹>
■走ることについて語るときに僕の語ること<村上春樹>文春文庫 20111025 村上が珍しく自らのことを語る本。 ジャズバーを経営していたが、「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」で注目され、小説に専念するために1981年に廃業した。そ... -
震災と鉄道<原武史>
■震災と鉄道<原武史>朝日新書 20111024 「鉄道とは公共空間である」と考える筆者は、金もうけ主義がはびこる独占企業JR東日本を具体的事例をあげて批判する。史上最悪の原発事故を起こした東京電力とJRの体質がきわめて似ていることがわかる。 ... -
日本を滅ぼす「世間の良識」<森巣博>
■日本を滅ぼす「世間の良識」<森巣博> 講談社現代新書 20111020 民営化の本質を「利潤の私益化、費用の社会化」と喝破する。国鉄分割民営化はもちろん、今回の福島原発の事故がその典型だ。「公益法人」の特権による膨大な利益は株主に分配され... -
寺社勢力の中世--無縁・有縁・移民<伊藤正敏>
■寺社勢力の中世--無縁・有縁・移民<伊藤正敏>ちくま新書 20111003 中世は王権の力が弱まり、全体社会のなかで国家が占める割合が最も小さな時代だった。寺社勢力が力をもち、義経らの「犯罪者」をかくまう無縁所(アジール)となった。先端文明と... -
族長の秋 <ガルシア=マルケス>
■族長の秋 <ガルシア=マルケス> 集英社文庫 20110922 過去にとび、今にとび、また過去にとび……時間軸がめちゃくちゃ。 独裁をつづけた大統領が死んだと思われ、禿鷹が出入りする荒れ果てた大統領官邸に人々はおそるおそる踏み込む。それでも20... -
海から見た日本史像 <網野善彦>
■海から見た日本史像 <網野善彦> 河合ブックレット 20110910 「島国根性」なんて言葉は時の権力がつくったウソだという。海は周囲と隔絶する堀ではなく、周囲をつなぐ交通路だった。日本の列島の人々は、縄文時代から海を駆け回り、1600年ご... -
WikiLeaks ウィキリークス アサンジの戦争<「ガーディアン」特命取材チーム>
■WikiLeaks ウィキリークス アサンジの戦争<「ガーディアン」特命取材チーム デヴィッド・リー&ルーク・ハーディング著> 講談社 20110910 アサンジのイメージといえば、情報の公開の英雄でありながら狂信的であり、犯罪すれすれを歩き、とうと... -
レヴィ=ストロース講義<C.レヴィ=ストロース、川田順造、渡辺公三訳>
■レヴィ=ストロース講義<C.レヴィ=ストロース、川田順造、渡辺公三訳>平凡社ライブラリー 20110901 ルネサンス時代の人々が古代ギリシャ・ローマ世界を再発見し、イエズス会の人々がラテン語を教育の基礎に置き、本居宣長が中国と比べることで日... -
百年の孤独
■百年の孤独<G・ガルシア=マルケス、鼓直訳> 新潮社 20110829 マコンドという密林のムラが市に発展し、蜃気楼のように記憶からも消えてしまうまでの100年間を、ムラを拓いたブエンディア一族を通してたどる物語。 マコンドは、ホセ・アルカデ... -
(作業中)トクビル 現代へのまなざし<富永茂樹>
■トクビル 現代へのまなざし<富永茂樹> 岩波新書 20110827 デモクラシーの反対はアリストクラシー ▽17 フランス革命が帝政へとつながり、デモクラシーから専制が生まれる−−プロセスの考察をトクヴィルは目指した。 そのため、革命によって破壊さ... -
先生とわたし<四方田犬彦>
■先生とわたし<四方田犬彦> 新潮文庫 20110811 英文学者・由良君美の弟子である四方田が師との悲劇をつづる。 冒頭の由良が亡くなる場面、もう何年も顔を合わせていなかった、という導入がサスペンスの謎かけのようで引き込まれる。 パイプをくゆ... -
生きて語り伝える<G・ガルシア=マルケス>
■生きて語り伝える新潮社<G.ガルシア=マルケス> 20110810 子ども時代から、実質上の亡命によって祖国での青春時代が終わるまでをつづっている。 作家をめざしながら、貧しい生活を送る20歳代前半の著者が、母とともに「家」を売るために故郷を訪... -
希望のつくり方<玄田有史>
■希望のつくり方<玄田有史>岩波新書 20110719 「がんばろう日本」というスローガンに違和感を覚える。被災して必死になっている人たちに「がんばれ」なんて言えるのだろうか。 そう考えていたら、冒頭から「がんばる」を取り上げていた。「やり続け... -
地域再生をめざして 能登に生きる人々 <武田公子 いしかわ自治体問題研究所編>
■地域再生をめざして 能登に生きる人々 <武田公子 いしかわ自治体問題研究所編> 自治体研究社 20110518 金蔵は、もともとあった「価値あるもの」を再評価し、新たな価値を付け加え、外に向けて発信しつつ地域を奮い立たせた。その基盤には、... -
海女の島 舳倉島
■海女の島 舳倉島 <F・マライーニ著 牧野文子訳> 未来社 201107 1964年出版。海女は昭和30年代後半までふんどし姿で海にもぐっていた。そんな写真が次々に出てくる。 高度経済成長以前の日本人は裸に寛容だった。ステテコと腹巻き1... -
石川の女性史 戦後編<石川県各種女性団体連絡協議会編>
■石川の女性史 戦後編<石川県各種女性団体連絡協議会編=h12>20110707 石川県の戦後の女性の歴史をつづっている。 周回遅れのトップランナーとして能登の価値が見直されつつあるが、「女」の視点から見ると、過酷な状況だった。「能登はやさしや土ま... -
ラテンアメリカ十大小説<木村栄一>
■ラテンアメリカ十大小説<木村栄一>岩波新書20110704 現実と幻想を行き来する不思議な世界をつくる中南米文学の歩みをわかりやすく解説している。 19世紀末、ニカラグアのルベン・ダリオを中心にしてmodernismo(近代派)と呼ばれる運動が起き... -
複眼で見よ<本田靖春>
■複眼で見よ<本田靖春>河出書房新社 20110627 単行本になっていなかった原稿を集めた遺稿集。 けんかっ早くて、競馬が大好き。会社をやめて経済的に困窮しながら、「まだまだ捨て切れていない自分」を卑下し、かと思えば「女房がいなくなったら... -
「没落先進国」キューバを日本が手本にしたいわけ
■「没落先進国」キューバを日本が手本にしたいわけ <吉田太郎> 築地書館 20110629 キューバは1970年代にソ連への依存が高まり、がちがちの中央集権国家になってしまった。援助によって豊かさが保障されていたが、ソ連崩壊で一気に矛盾が噴... -
町野今昔物語 <藤平朝雄>
■町野今昔物語 <藤平朝雄> あえの郷しんこう会 20110615 旧町野村の郷土史や民話、伝説などをわかりやすくまとめ、地域を知らない人でも楽しめる。お坊さんが崖の道を13年もかけて切り開く話などを読むと、その道をたどってみたくなる。塩づ... -
奥能登の民家 民俗地理学的視点 <浜太一>
■奥能登の民家 民俗地理学的視点 <浜太一> 文芸社ビジュアルアート 20110610 ある地域の民家の特徴はどのようにつくりだされたのか。気候や地形といった地理的側面だけでは、川1本隔てて家のつくりが異なることの説明がつかない。歴史や民俗、... -
村の若者たち <宮本常一>
■村の若者たち <宮本常一> 家の光協会 20110613 農漁村の若者の明治以来の生活史をたどる。 農村人口を吸収する産業が発展するまでは次男三男の「処分」が大きな課題であった。貧しい山村では、戦前は子どもを売るのが当たり前であり、酌婦や女郎... -
なぜ、日本はジャパンと呼ばれたか <中室勝郎>
■なぜ、日本はジャパンと呼ばれたか <中室勝郎> 六耀社 縄文時代、土器をつかうようになることで食物を貯蔵し、木の実などに火を通すことができるようになる。飢えのない平等の文化だった。縄文人は、恵みをもたらす自然と自分の間に境界線を設け... -
漆の里・輪島 <中室勝郎>
■漆の里・輪島 <中室勝郎> 平凡社 20110527 浄土真宗と、田の神などの在来の神々と、それらにかかわる祭りや神事が今も息づく能登の風土を、塗師屋である著者が紹介する。キリコ祭りをはじめとする祭礼が年中催される能登は日本のバリなのだ。 ... -
魯迅 東アジアを生きる文学 <藤井省三>
■魯迅 東アジアを生きる文学 <藤井省三> 岩波新書 20110611 竹内好が描いた苦悶しつづける魯迅ではない、人間的な魯迅の姿が紹介されているのがおもしろい。許広平と不倫して金に困ると往復書簡を出版する、といったエピソードなど、自分をもネ... -
漆の文化史<四柳嘉章>
■漆の文化史<四柳嘉章>岩波新書 20110526 漆器の起源は縄文時代までさかのぼること、安価な製品がつくられることで椀を手にもって食事するという日本人の食習慣をも形成したことなど、興味深い事実が紹介されている。 遺跡から出土した漆器を科学...