reizaru– Author –
-
反戦略的ビジネスのすすめ <平川克美>
洋泉社 20061127 戦略でとらえるだけでいいのか。グローバリズム的な考えだけでビジネスを進めていいのか。モノを媒介に客とのコミュニケーションをはかる、そうしたヒトヒネリした思考のなかに、ビジネスの楽しさややりがいがあるのではないのか---... -
言論統制列島 <鈴木邦男 森達也 斉藤貴男>
講談社 20061125 石原慎太郎が「週刊ポスト」に、今の日本人が緊張感を失った理由は、この60年間戦争をしなかったからだ」などと書くなど、政治家や権力者は言いたい放題で、「舌禍」のハードルが大きく下がっている。 一方で、マスコミは萎縮し自己... -
昭和史発掘4 <松本清張>
文春文庫 20061120 □小林多喜二の死 好きな子ができて、入れ込んで、逃げられて……といった書生っぽくて情けない多喜二が、すさまじい拷問をともなう左翼弾圧を目にして、その実態を描き、特高ににらまれ、最後は自分自身が殺されるまでを描く。 最後に... -
風の祈り 四国遍路とボランタリズム <藤沢真理>
創風社出版 20061118 お遍路をしていると、しばしば「お接待」される。ミカンだったり、お菓子だったり、現金だったり、うどんだったり……。気のせいか、遍路道沿いの人々は外の人間に対して愛想がよくて、やさしい気がする。 ボランティアはキリスト教... -
ぼくはいくじなしと、ここに宣言する <森毅>
青土社 20061110 戦争中は軟弱非国民、学生運動さなかも軟弱な教師……軟弱へなちょこ人生を貫いてるものがあるとしたら、自分をも笑ってしまう道化精神だろうか。 なんともまあ肩の力が抜けていて気持ちいい。 「権威を否定していた人間が、権力を獲得す... -
いまここに在ることの恥 <辺見庸>
毎日新聞 20061027 --冷笑、あざけりというものを殺そう。必死で考えようとする人間、それがだれであろうが、殺人犯だろうが、もはや「形骸」ときめつけられたような魂でも、その声、聞こえないつぶやきに耳を傾けたい。もう居心地のよいサロンでお上... -
街場のアメリカ論 <内田樹>
NTT出版 20061025 歴史を一直線の流れとみる「歴史主義」ではない。「今」の時点から未来をみると多くの選択肢があるように、過去のある1点においても多くの選択肢のなかから1つを選択した。歴史が一直線だとしたら運命論的になるが、複雑系だと考... -
フラガール
李相日監督 200610 久しぶりに涙がぼろぼろこぼれる映画だった。 舞台は昭和40年の福島県の炭鉱の町。 各地で炭鉱が閉鎖され、ここでも大合理化がはじまる。 炭鉱のかわりに、観光客を呼べる施設をと考えたのが「ハワイアンセンター」という企画... -
自転車漂流講座
のぐちやすお 山海堂 20061021 最近自転車を買って、遠出するのが楽しくて、どうせならいずれは海外も走ってみたいなあと妄想してしまう日々だ。 6年かけて世界1周をなしとげた著者が、手取足取り自転車旅行を教えてくれる本、とネットで読んで購... -
別冊世界 もしも憲法9条が変えられてしまったら
■別冊世界 もしも憲法9条が変えられてしまったら 岩波書店 20061012 第一次大戦後のドイツで、「孤独な個人」と国家権力と対峙するとき、中間組織がないために個人主義の不安感の足元をすくわれ、ヒトラーが生まれたという指摘は、「規制緩和」な... -
敗戦後論 <加藤典洋>
ちくま文庫 20061008 ■敗戦後論 護憲派は、押しつけ憲法、という「汚れ」をなかったこととして、戦後民主主義をピュアであることを主張しつづける。大江健三郎がその代表だ。 改憲派は天皇の戦争責任という自明な事実を無視して、同じくピュアであると... -
戦争で得たものは憲法だけだ <落合恵子・佐高信編>
七つ森書館 20060926 特養の順番待ちが来ないのもしかたない。病院を追いだされてもどうしようもない。医療費が上がるのもしかたない。有事法制ができてナショナリズムが色濃くなるのもどうしようもない…… 「しょうがない」「しかたない」「どうしよう... -
態度が悪くてすみません 内なる「他者」との出会い <内田樹>
角川oneテーマ21新書 20060922 著者の本は4冊目。構造主義の立場からバッサ、バッサと斬るのが心地よい。 「今・ここ」の立場から善悪を判断するのではなく。「あのとき・あの場所」の条件を考えて、「今・ここ」との共通点を見つけ出していく。 この... -
地域を変える市民自治 井手敏彦の実践と思想
緑風出版 20060917 井手氏は沼津市長時代、ゴミ分別を全国に先駆けてやりとげた環境問題の先駆者だ。 「環境問題の人」というイメージだったが、もっと奥深いものがあったことを知らされた。 ゴミ分別の「沼津方式」は、差別されていた清掃労... -
持続可能な福祉社会 <広井良典>
筑摩新書 20060906 「福祉」「経済」「環境」「税制」「民俗」…… 普通、それぞれの分野でバラバラに論じられ、全体を統合するような議論はなかなか生まれない。 筆者はそのすべてを大風呂敷でおおうような議論を展開するから、新鮮で刺激的だった。 戦... -
日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日
ベンジャミン・フルフォード 光文社 20060831 政官業とやくざが癒着し、不良債権の半分近くをやくざが占めていることが、日本の経済をだめにした。 経済問題というより腐敗の問題であり、日本はメキシコ並の腐敗国家だという。 日本経済を復活さ... -
コンドルの血 第1の敵
コンドルの血 ウカマウ集団 20060819 アンデスの先住民族の文化や暮らし、祭りなどをふんだんに盛り込みながら、圧倒的な貧富の差と差別という社会状況を告発する映画。よりよい暮らしは、みずからが武器をとって闘うことでしか勝ち取れない、という... -
秋の蝶を生きる 山代巴 平和への模索
佐々木暁美 20060815 苦しくも終戦の日、小泉が靖国参拝をしたというニュースがふりそそぐなかで読了。 いったいこの国はどうなってしまったのか。なぜこうなってしまったのか。どこで歯車が狂ったのか。 戦前、比較的自由だった大正時代がす... -
クライマーズ・ハイ
横山秀夫 文春文庫 20060805 文句なしにおもしろい。元上毛新聞記者だけあって、新聞社と記者の生態を余すところなく描いている。 主人公は群馬の「北関東新聞」の40歳の記者である。 1985年8月、地元出身の中曽根首相が靖国公式参拝をする... -
旅する巨人宮本常一 にっぽんの記憶 <読売新聞西部本社編>
みずのわ出版 060803 宮本常一が残した膨大な写真をもとに、その写真の舞台を再訪し、その写真に載っていた人や、ゆかりの人々の話を記者が聴いてまわった記録だ。 新聞の文章だけあって舌足らずな表現や、体言止め、情景描写が定型的すぎるところなどは... -
昭和史発掘2 <松本清張>
文春文庫 20060725 □三.一五共産党検挙 温泉で組織の大会を開くのに、工場の慰安会と偽装する。細かなところでミスをして、そのほつれをつけ込まれて組織の全体像をつかまれ弾圧される。スパイ小説そのままだ。 「大逆罪」によって幸徳秋水らが死刑と... -
家畜人ヤプー(全5巻) <沼正三>
幻冬舎アウトロー文庫 20060718 未来世界。アングロサクソンの子孫であるイースが宇宙を支配し、日本人の子孫であるヤプーは奴隷以下の「道具」「家畜」とされている。イースの便器はヤプーの口であり、足置き場もヤプーであり、靴の底敷もヤプーだ。白... -
戦争の克服 <阿部浩己 鵜飼哲 森巣博>
集英社新書 20060701 森巣博が、哲学者の鵜飼哲と国際法学者の阿部浩己と対談する。 「戦争」が時代とともに「総力戦」となり、国全体を巻き込む形になり、 国民国家という形で画一化していく。「ふんどし」は、徴兵制によって全国に広まったという。 ... -
昭和史発掘1 <松本清張>
文春文庫 20060626 □陸軍機密費問題 □石田検事の怪死 後に政友会から首相になる田中義一大将らによる陸軍機密費を利用した汚職。これを暴こうとする憲政会と軍の反主流派と、隠匿しようとする政友会と軍の反主流のせめぎあいを描く。中野正剛という気... -
「放送禁止歌」森達也
■知恵の森文庫 20051230 「放送禁止歌」というと、キヨシロウのパンク調「君が代」とかをイメージしてたけど、実は天皇制関連の「放送禁止」は岡林の「ヘライデ」くらいだという。 大半はもっとささい理由ばかり。 え? この歌も? という歌が次々... -
花よりもなほ <是枝裕和監督>
20060618 江戸の下町のぼろ長屋に住む、父の敵をさがす武士の子が主人公だ。 ふきだまりのような長屋には、始終飛びはねている男や、知恵袋のじいさん、やくざもの……そして、掃き溜めに鶴じゃないけど、子供をかかえた美人未亡人。さらには、吉良上野介... -
流浪 金子光晴エッセイ・コレクション
大庭萱朗編 ちくま文庫 20060620 放浪の詩人の文章を一度読んでみたかった。 子どもの思い出から、30歳代の7年間にわたる旅行の後までを記したエッセーをあつめている。 とりわけ妻の森三千代とともに歩いた7年間の旅行の描写は興味深い。 旅の途... -
編集長を出せ! 「噂の真相」クレーム対応の舞台裏 <岡留安則>
ソフトバンク新書 20060616 「噂の真相」の元編集長が長年のクレーム対応の舞台裏をあかす。 強面でなにがあっても妥協しない編集長というイメージが強いが、意外に柔軟で臨機応変であることに驚く。 皇室ポルノで右翼の抗議をうければあっさりと「謝罪... -
松本清張と昭和史 <保阪正康>
平凡社新書 20060618 「昭和史発掘」と「日本の黒い霧」をとりあげ、歴史の記録者としての松本清張の姿を描いている。 筆者の作品としては、軽くて力は入っておらず、あまり意外性はない。でも、司馬遼太郎と比較して松本清張を把握するうえでは参考に... -
渡邉恒雄メディアと権力 <魚住昭>
講談社文庫 20060616 言わずとしれた読売のドン、メディアの覇王の半生を描いている。 なんとも後味の悪い人間だ。 いいところのボンボンとして育ち、戦後、東大で共産党の活動家になるが、主流派と対立してはじきだされる。 全学連草創期の東大での活...