reizaru– Author –
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自転車漂流講座
のぐちやすお 山海堂 20061021 最近自転車を買って、遠出するのが楽しくて、どうせならいずれは海外も走ってみたいなあと妄想してしまう日々だ。 6年かけて世界1周をなしとげた著者が、手取足取り自転車旅行を教えてくれる本、とネットで読んで購... -
別冊世界 もしも憲法9条が変えられてしまったら
■別冊世界 もしも憲法9条が変えられてしまったら 岩波書店 20061012 第一次大戦後のドイツで、「孤独な個人」と国家権力と対峙するとき、中間組織がないために個人主義の不安感の足元をすくわれ、ヒトラーが生まれたという指摘は、「規制緩和」な... -
敗戦後論 <加藤典洋>
ちくま文庫 20061008 ■敗戦後論 護憲派は、押しつけ憲法、という「汚れ」をなかったこととして、戦後民主主義をピュアであることを主張しつづける。大江健三郎がその代表だ。 改憲派は天皇の戦争責任という自明な事実を無視して、同じくピュアであると... -
戦争で得たものは憲法だけだ <落合恵子・佐高信編>
七つ森書館 20060926 特養の順番待ちが来ないのもしかたない。病院を追いだされてもどうしようもない。医療費が上がるのもしかたない。有事法制ができてナショナリズムが色濃くなるのもどうしようもない…… 「しょうがない」「しかたない」「どうしよう... -
態度が悪くてすみません 内なる「他者」との出会い <内田樹>
角川oneテーマ21新書 20060922 著者の本は4冊目。構造主義の立場からバッサ、バッサと斬るのが心地よい。 「今・ここ」の立場から善悪を判断するのではなく。「あのとき・あの場所」の条件を考えて、「今・ここ」との共通点を見つけ出していく。 この... -
地域を変える市民自治 井手敏彦の実践と思想
緑風出版 20060917 井手氏は沼津市長時代、ゴミ分別を全国に先駆けてやりとげた環境問題の先駆者だ。 「環境問題の人」というイメージだったが、もっと奥深いものがあったことを知らされた。 ゴミ分別の「沼津方式」は、差別されていた清掃労... -
持続可能な福祉社会 <広井良典>
筑摩新書 20060906 「福祉」「経済」「環境」「税制」「民俗」…… 普通、それぞれの分野でバラバラに論じられ、全体を統合するような議論はなかなか生まれない。 筆者はそのすべてを大風呂敷でおおうような議論を展開するから、新鮮で刺激的だった。 戦... -
日本がアルゼンチン・タンゴを踊る日
ベンジャミン・フルフォード 光文社 20060831 政官業とやくざが癒着し、不良債権の半分近くをやくざが占めていることが、日本の経済をだめにした。 経済問題というより腐敗の問題であり、日本はメキシコ並の腐敗国家だという。 日本経済を復活さ... -
コンドルの血 第1の敵
コンドルの血 ウカマウ集団 20060819 アンデスの先住民族の文化や暮らし、祭りなどをふんだんに盛り込みながら、圧倒的な貧富の差と差別という社会状況を告発する映画。よりよい暮らしは、みずからが武器をとって闘うことでしか勝ち取れない、という... -
秋の蝶を生きる 山代巴 平和への模索
佐々木暁美 20060815 苦しくも終戦の日、小泉が靖国参拝をしたというニュースがふりそそぐなかで読了。 いったいこの国はどうなってしまったのか。なぜこうなってしまったのか。どこで歯車が狂ったのか。 戦前、比較的自由だった大正時代がす... -
クライマーズ・ハイ
横山秀夫 文春文庫 20060805 文句なしにおもしろい。元上毛新聞記者だけあって、新聞社と記者の生態を余すところなく描いている。 主人公は群馬の「北関東新聞」の40歳の記者である。 1985年8月、地元出身の中曽根首相が靖国公式参拝をする... -
旅する巨人宮本常一 にっぽんの記憶 <読売新聞西部本社編>
みずのわ出版 060803 宮本常一が残した膨大な写真をもとに、その写真の舞台を再訪し、その写真に載っていた人や、ゆかりの人々の話を記者が聴いてまわった記録だ。 新聞の文章だけあって舌足らずな表現や、体言止め、情景描写が定型的すぎるところなどは... -
昭和史発掘2 <松本清張>
文春文庫 20060725 □三.一五共産党検挙 温泉で組織の大会を開くのに、工場の慰安会と偽装する。細かなところでミスをして、そのほつれをつけ込まれて組織の全体像をつかまれ弾圧される。スパイ小説そのままだ。 「大逆罪」によって幸徳秋水らが死刑と... -
家畜人ヤプー(全5巻) <沼正三>
幻冬舎アウトロー文庫 20060718 未来世界。アングロサクソンの子孫であるイースが宇宙を支配し、日本人の子孫であるヤプーは奴隷以下の「道具」「家畜」とされている。イースの便器はヤプーの口であり、足置き場もヤプーであり、靴の底敷もヤプーだ。白... -
戦争の克服 <阿部浩己 鵜飼哲 森巣博>
集英社新書 20060701 森巣博が、哲学者の鵜飼哲と国際法学者の阿部浩己と対談する。 「戦争」が時代とともに「総力戦」となり、国全体を巻き込む形になり、 国民国家という形で画一化していく。「ふんどし」は、徴兵制によって全国に広まったという。 ... -
昭和史発掘1 <松本清張>
文春文庫 20060626 □陸軍機密費問題 □石田検事の怪死 後に政友会から首相になる田中義一大将らによる陸軍機密費を利用した汚職。これを暴こうとする憲政会と軍の反主流派と、隠匿しようとする政友会と軍の反主流のせめぎあいを描く。中野正剛という気... -
「放送禁止歌」森達也
■知恵の森文庫 20051230 「放送禁止歌」というと、キヨシロウのパンク調「君が代」とかをイメージしてたけど、実は天皇制関連の「放送禁止」は岡林の「ヘライデ」くらいだという。 大半はもっとささい理由ばかり。 え? この歌も? という歌が次々... -
花よりもなほ <是枝裕和監督>
20060618 江戸の下町のぼろ長屋に住む、父の敵をさがす武士の子が主人公だ。 ふきだまりのような長屋には、始終飛びはねている男や、知恵袋のじいさん、やくざもの……そして、掃き溜めに鶴じゃないけど、子供をかかえた美人未亡人。さらには、吉良上野介... -
流浪 金子光晴エッセイ・コレクション
大庭萱朗編 ちくま文庫 20060620 放浪の詩人の文章を一度読んでみたかった。 子どもの思い出から、30歳代の7年間にわたる旅行の後までを記したエッセーをあつめている。 とりわけ妻の森三千代とともに歩いた7年間の旅行の描写は興味深い。 旅の途... -
編集長を出せ! 「噂の真相」クレーム対応の舞台裏 <岡留安則>
ソフトバンク新書 20060616 「噂の真相」の元編集長が長年のクレーム対応の舞台裏をあかす。 強面でなにがあっても妥協しない編集長というイメージが強いが、意外に柔軟で臨機応変であることに驚く。 皇室ポルノで右翼の抗議をうければあっさりと「謝罪... -
松本清張と昭和史 <保阪正康>
平凡社新書 20060618 「昭和史発掘」と「日本の黒い霧」をとりあげ、歴史の記録者としての松本清張の姿を描いている。 筆者の作品としては、軽くて力は入っておらず、あまり意外性はない。でも、司馬遼太郎と比較して松本清張を把握するうえでは参考に... -
渡邉恒雄メディアと権力 <魚住昭>
講談社文庫 20060616 言わずとしれた読売のドン、メディアの覇王の半生を描いている。 なんとも後味の悪い人間だ。 いいところのボンボンとして育ち、戦後、東大で共産党の活動家になるが、主流派と対立してはじきだされる。 全学連草創期の東大での活... -
不屈のために <斎藤貴男>
ちくま文庫 20060612 世の中なにかおかしい。 憲法改正や有事法制は怖い。 「防犯」という名の監視社会化も不気味だ。 派遣社員と本社員の賃金格差もひどすぎる。 暮らしていけない階層をつくる経済体制も露骨だ。 二世議員ばかりの国会はなんだ…… おか... -
ケンカの作法 <辛淑玉 佐高信>
角川oneテーマ21 20060607 ケンカの作法を教えてくれるわけではない。 でも、辛口の2人が、政治や世相をバッサバッサとぶったぎるように語るのは心地よい、 というより、一緒になって腹がたち、同等の能力がない、いや、気力がない自分が情けなくなって... -
ダ・ヴィンチ・コード(映画)
悪い映画じゃない。 主人公の2人も、おじいさん役も、洗脳された殺し屋役もさすがにうまい。 荘重な音楽と教会やルーブルを撮った映像もきれいだ。でも…… 謎解きのテンポはいいが、1場面の1人の証言だけで簡単に種をあかしてしまい、 「女主人公... -
バッシング <小林政広監督>
20060611 イラクで人質になった3人が、日本国内で猛烈なバッシングにあった話にヒントを得てつくられた映画。 ネットや電話による嫌がらせや脅迫によって主人公の女性は追いつめられ、勤め先をやめさせられる。 心臓がバクバクして、呼吸が細くなり、手足... -
著作権の考え方 <岡本薫>
岩波新書 20060610 ①会社の仕事の一環で書いた記事を大幅にリライトして本にする場合、著作権はどうなるか。 ②講演会できいた話をネットにだした場合、著作権にふれてしまうのか。 ③ネット上に自分がだした文章をそのままほかにコピーされ公開されつづ... -
新聞記者をやめたくなったときの本 <北村肇編>
現代人文社 20060605 やめたくなったとき、といっても、記者になったばかりの若手を対象にしている。 新聞社に限らず、3日3ヶ月3年という節目に「やめたい」と思う人は多い。 今の新聞社のあり方を考えた場合、「やめたい」と思わないほうがどうかし... -
寝ながら学べる構造主義 <内田樹>
文春新書 20060603 ちょっと読んではあきらめ、読んではあきらめを繰り返していた「構造主義」だが、「寝ながら」という軽さと、内田樹が書いたということで、もう一度だけ試してみることにした。 構造主義の基本の基本をわかりやすく説明してくれてい... -
ルポ改憲潮流 <斎藤貴男>
岩波新書 20060528 「生活安全条例」「自警団組織」「共謀罪」、マスコミの右傾化……具体的な事実をもとに、憲法をめぐって今起きていること、今後起きようとしていることを描く。緻密で広範なデータの収集と分析が筆者らしい。 住基ネットが成立するとき...