MENU

パッチギⅡ

 暴力的になってやけに元気でるよね。なんだかハイになるわぁ。

 冒頭からして「あ、いいなあ」だ。胸がきゅんとくる、というのか。
「安保粉砕」などと落書きされた京浜東北線の電車で、学ラン姿の「国土館大学」の右翼学生が朝鮮人学校の生徒をなぐりつけ、リンチし、そこにいあわせた主人公たちと大乱闘になる。乱闘にまきこまれた国鉄労働者の青年がクビになる。

 朝鮮=こわい、というイメージがあり、解放同盟=こわい、というイメージがあり、右翼も左翼も幼いほどに暴力的で、警察がなんだ、という反権力の空気が充満していて……。アナーキーさ加減がなんとも気持いい。たとえていうならば内戦中のエルサルバドルの雰囲気か。飼い慣らされてしまった今の日本とついくらべてしまう。
 主人公の息子は難病の筋ジスにかかってしまう。アメリカに治療にでかけるには500万円かかる、と聞き、主人公は危険な密輸に手をだし、妹は、新しい世界へ飛びだしたい思いもあって芸能界の扉をたたく。
 ニシキノアキラも力道山も張本も……みんな在日。在日がいなければ紅白なんてなりたたない。芸能界はとくに在日だらけ。だけど、ほとんどの人はそれをひたかくしにしている。なぜ? そう問いかける妹に、
「もし力道山が朝鮮人だったとわかっていたら、あんなに熱狂したと思う?」
 と、さとす在日の先輩女優。
 日本占領下の済州島で、無理矢理慰安婦にさせられる女性や、徴兵され、逃亡しようとして殺される若者……。そんななか軍から脱走したのが主人公兄妹の父親だった。
 父親の体験した戦争のシーンと、主人公らの生きる1970年代前半とを何度も往復し、だぶらせる。
 妹は日本人のイケメン男優と恋に落ちるが、たんに遊ばれただけでふられる。傷ついて、芸能界の大物に抱かれ、映画出演をかちとる。その映画が、特攻隊を描いた、石原慎太郎が好きそうな愛国映画だった。
 疑問を感じながら、ぶつかりながら「大和撫子」を演じるが……。
 最後、彼女は在日であることをカムアウトすることで芸能界での成功を捨て、貧しい家族のところにもどってくる。主人公(兄)はあいかわらず稚気あふれる暴力でたたかいつづける。「ぜったい守ってやる!」と。
 暴力的なのだけど、笑いや稚気にあふれていて……副題が「love and peace」というのが笑える。いや、でも本当のラブやピースは暴力にうったえるくらいの熱情がなければ守れないのではないか。今の時代は大事なものをなくしてしまったのではないか、と思わされる。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次