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福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅 <池田善昭、福岡伸一>
■福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅 <池田善昭、福岡伸一> 20171004 ピュシス(自然=本来の実在)は常に隠されている存在であり、矛盾や相反するものが往々にしてひとつになっている。一方ロゴスの立場は、自然は人間の理性によって... -
おくじらさま 20171002
イルカ漁についての映画といえば、「ザ・コーブ」が有名だ。「残虐なイルカ漁」を告発して評判を呼び、アカデミー賞を受賞した。クジラを食べるのがあたりまえの私たちから見ると内容はとんでもなかったが、エンターテイメントとしてはおもしろかった。 ... -
街場の共同体論<内田樹>
■街場の共同体論<内田樹>潮出版社 20170908 子どものころ、人のために尽くす人こそが「えらい人」だと素朴に信じていた。すし屋さんや自転車屋さん、お百姓さん……といった仕事によって近所のおじさんたちを「すごい人だなあ」と思っていた。 1980年... -
イエスの生涯<遠藤周作>
■イエスの生涯<遠藤周作> 20170925 遠藤周作が描くイエスの伝記。 ローマ帝国によって支配されている時代背景や、傀儡政権のように統治する宗教指導者や権力者、政治犯たちの立場と心理を小説家の想像力で具体的に描くことで、イエスの生き様の意味... -
哲学の冒険<内山節>
■哲学の冒険< 内山節>平凡社ライブラリー 20170928 中学生が「美しい生き方」を模索するため哲学を学ぶという構成だが、内容は大人むけだ。「ソフィーの世界」など、良質な哲学入門書はほかにもあるが、この本は、哲学史を見渡すのではなく、哲学を人生... -
いつでも死ねる<帯津良一>
■いつでも死ねる<帯津良一>幻冬舎 20170911 「余命2年」と宣告されながら8年間を生き抜いた友人のアンエリは、元気だった過去や、あり得たかもしれない未来を嘆くのではなく「いま・ここ」に集中して生きることの大切さを何度も説いていた。 治療... -
Pobres por los pobres Las Comunidades Eclesiales de Base de la Parroquia San Pablo Apóstol 1966-2016 <Félix Jimenez>
(著者は、1968〜83年までサンパブロ教区の神父をつとめ、最後のスペイン人神父だった) ニカラグアの解放の神学の歴史を記した本。 1988年にニカラグアを訪れたとき、首都マナグア市内の「9月14日」という地区に下宿した。ここはマナグアの「解放の神... -
ハイジ・アルプスの物語
おなじみのハイジの実写映画。 ストーリーもアニメとほぼ同じ。 父母を亡くし、おばに養われていたハイジが、山に一人で暮らす祖父(おんじ)の家に預けられる場面からはじまる。 最初はハイジとの同居を嫌がるおんじだが、天真爛漫なハイジを受け... -
ローサは密告された
すばらしい作品なのだけど、救いのなさがたまらない。 フィリピンの貧困地区に住むローサは夫とと雑貨店を営みながら、覚醒剤を販売していた。ところが密告されて警察に捕まってしまう。警察の留置記録に記されず軟禁された部屋で「10万ドルよこせ」と... -
ブランカとギター弾き
フィリピンが舞台で、イタリアの配給会社で、日本人の監督という異色の組み合わせ。 日本人の監督がフィリピンのスラムを描く、という時点で期待していなかったが、よい意味で裏切ってくれた。 路上でひとりで生活する少女ブランカは、有名な俳優が... -
暮らしの論理 生活創造への道<山本松代>
■暮らしの論理 生活創造への道<山本松代>ドメス出版 20170416 筆者は、戦後直後の生活改善改善運動の、農水省の最初の担当者だった。「生産」一辺倒の主流派に対抗して、農村女性たちの「生活」の改善に取り組んだ。 生活改善運動はアメリカに生ま... -
人生フルーツ
戦後の復興期、公団で各地の団地造成にかかわり、愛知県の高蔵寺ニュータウンのデザインもつくった津端修一さんと妻の英子さんの晩年を撮影したドキュメンタリー。 雑木林の豊かなニュータウンをめざした津端さんだったが、高蔵寺ニュータウンは、経済... -
日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか<内山節>
■日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか<内山節>講談社現代新書 20170324 1965年ごろを境にして「キツネにだまされた」という話が発生しなくなったという。 高度成長、合理的社会の形成、進学率やテレビの普及などの情報のあり方の変化、都市の隆... -
マヤ学を学ぶ人のために<八杉佳穂編>
■マヤ学を学ぶ人のために<八杉佳穂編>世界思想社 20170310 遺跡やマヤ文字、スペイン人による侵略、マヤの人々が自分たちの歴史をつづる取り組み、1996年に終わる内戦の影響まで、幅広い分野の研究者がマヤについて執筆している。マヤを研究したいと考... -
世界の食べもの 食の文化地理<石毛直道>
■世界の食べもの 食の文化地理<石毛直道>講談社学術文庫 20170309 世界的視野で「食」を比較すると、あたりまえと思っていたことがあたりまえではないこと、ほんのちょっとしたきっかけで食文化が変化することがわかる。 たとえば、主食と副食という区... -
哲学者 内山節の世界<かがり火編集委員会編>
■哲学者 内山節の世界<かがり火編集委員会編> 20170315 内山節の著作は何冊か読んできたが、彼の哲学の流れと大枠をつかみたくて購入した。 ベトナム戦争時、中学時代からマルクスやヘーゲル、カントと読み進んだが、サルトルの実存主義は評価しな... -
小泉教授が選ぶ食の世界遺産 日本編<小泉武夫>
■小泉教授が選ぶ食の世界遺産 日本編<小泉武夫>講談社文庫 20161221 食べ物を巡る、ユニークで珍しい話、常識を打ち破るような話がふんだんに紹介されている。 昔たくあんは、日干しして味を濃くしてからぬか漬けにしたが、今は、干さずに漬けたり、調... -
海に生きる人びと<宮本常一>
■海に生きる人びと<宮本常一>河出文庫 20170203 (初版は1964年) 古代の中央政府から海人と見られていた人々は、海岸づたいに新しい漁場を見つけつつ広がった。輪島の海女などは福岡の鐘ケ崎の海人がルーツだ。海人の一部は陸上がりして、一部は海上交... -
鉄幹と文壇照魔鏡事件 山川登美子及び「明星」異史 <木村勲>
■鉄幹と文壇照魔鏡事件 山川登美子及び「明星」異史 <木村勲>国書刊行会 20170226 山川登美子と与謝野晶子といえば「明星」の歌人で、与謝野鉄幹を巡ってさや当てをして、奔放な恋愛をうたったというぐらいしか知らなかった。ましてや照魔鏡事件と登... -
だれのための仕事 労働vs.余暇を超えて <鷲田清一>
■だれのための仕事 労働vs.余暇を超えて <鷲田清一> 講談社学術文庫 20170210 生きがいって何だろう。労働と余暇とわけられたとき、労働は苦役で、余暇は遊びとされる。その分割が、仕事から遊びの要素を奪い、遊びからやりがいの要素を奪った部... -
世界遺産 熊野古道と紀伊山地の霊場<五十嵐敬喜、岩槻邦男、西村幸夫、松浦晃一郎>
■世界遺産 熊野古道と紀伊山地の霊場<五十嵐敬喜、岩槻邦男、西村幸夫、松浦晃一郎>ブックエンド 20170116 世界遺産の制度のなかで、「道」が選ばれるのは、サンティアゴ・デ・コンポステーラの霊場が最初だった。 もとは文化遺産は姫路城など「点」で... -
2時間でおさらいできる日本文学史<板野博行>
■2時間でおさらいできる日本文学史<板野博行>だいわ文庫 20161231 加藤周一の「日本文学史序説」を要約して、かみ砕いて、中高校生にもわかるようにした、という印象を受けた。長い文学史を一覧できるから大きな流れが理解しやすい。それぞれの作品の魅... -
森の思想<南方熊楠、責任編集中沢新一>
■森の思想<南方熊楠、責任編集中沢新一>河出文庫 20170124 「南方二書」が圧巻だった。 中沢新一の解説よりも話の幅が広く、わかりやすい。たしかに冗長でくどい部分はあるが、だれにでもわかる言葉で、深い内容を伝えてしまう。合祀を巡る村々の細かな... -
千年の愉楽<中上健次>
■千年の愉楽<中上健次>小学館文庫 20161229 和歌山県新宮市の臥龍山という山のふもとにある被差別部落「路地」に住む中本一統の男たちの物語。産婆として「路地」の子を手にとりあげ、路地の過去も現在も未来も知るというオリュウノオバを狂言回しにし... -
岬<中上健次>
■岬<中上健次>文春文庫 20161126 ▽黄金比の朝 夜勤の肉体労働をしながら大学をめざす浪人生が主人公。母は旅館の仲居をして、売春もしながら生計を立てている。腹違いの兄は、過激な学生運動にかかわり、主人公の家に逃げてくる。 母を恨み、大学をやめ... -
柳田国男 知と社会構想の全貌<川田稔>
■柳田国男 知と社会構想の全貌<川田稔>ちくま新書 20161229 柳田国男は、前期は山人などを対象にしたが、後期は稲作民だけを「常民」として描くようになった…とか、国内の民俗ばかりを見ていて国際的な視野をもっていない、などと批判されてきた。保守... -
シーカヤック教書<内田正洋>
■シーカヤック教書<内田正洋>海文堂 20161210 シーカヤックが日本に上陸したのは1987年。主なメーカーはワシントン州のシアトル周辺に集中していた。そのころからかかわってきた筆者は日本のシーカヤックの先駆者だ。 大きな視点でシーカヤックのもつ意... -
南方熊楠 森羅万象に挑んだ巨人<中瀬喜陽>
■南方熊楠 森羅万象に挑んだ巨人<中瀬喜陽> 別冊太陽 2016105 ▽8 荒俣宏 1990年代からの熊楠再評価の機運。熊楠の草稿類を解読しつづける松居竜五さんたちの活動、「ミニ熊楠」とも呼ばれた故・後藤伸さんたちによる神島生態系調査の継続などは、... -
修行と信仰<藤田庄市>
■修行と信仰<藤田庄市>岩波書店 20161019 みなべ町の赤松宗典住職の章だけを熟読し、あとは流した。 10分間でも苦痛な座禅を何日もつづけたり、大峰山や比叡山を天狗のような速さでのぼっていったり、わけのわからない問答を延々とづけたり……。何か意味... -
作業中)風と波を知る101のコツ 海辺の気象学入門<森朗>
■風と波を知る101のコツ 海辺の気象学入門<森朗>枻出版 20161214 北半球の高気圧は時計回りに風が吹き出し、低気圧は半時計回りに風が吹き込む。コリオリの力があるからまっすぐに風は吹かない。向かってくる台風の左側に逃げると風が強く、右側に...