■がんを告知されたら読む本 専門医が、がん患者にこれだけは言っておきたい”がん”の話<谷川啓司> プレジデント社 20171009
著者は、がんの特徴を覚えさせた免疫細胞を体にもどすことでがんを攻撃させる「樹状細胞ワクチン療法」などの免疫療法を実践している医師。
がんを告知され、転移をするとだれもがショックを受ける。でも実は、がんじたいが毒を出したり、痛みや下痢をもたらしたりするわけではない。増え続けるがん細胞の塊が圧迫して症状が出てくるのだ。ごまかしごまかし、苦痛を抑えて本来の寿命まで生きることも少なくない。がんのシステムを理解したうえで、必要以上に怖れるな、と説く。
抗がん剤は、細胞の増殖のじゃまをする薬だから、まともな細胞の増殖も抑え、白血球や血小板の減少、口内炎や下痢、脱毛といった副作用が起きる。抗がん剤の効果は「がん細胞が減る」というより「増えない」という程度。にもかかわらず、がんが小さくなることがあるのは、増殖を抑えている間に、免疫ががんを攻撃するから。
免疫細胞療法や全身温熱療法によって進行をゆっくりにすることはできるが、「ゆっくりになっている」ことを証明するのは難しく、承認も下りにくい。
抗がん剤治療は、性格の明るい人や、あるいは認知症で自分ががんであること自体を忘れてしまう人に対して治療成績がよいという。実感としてわかる気がする。
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