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家族のケアでがんは消える 患者を静観に導く48の知恵<野本篤志>

■家族のケアでがんは消える 患者を静観に導く48の知恵<野本篤志>遊タイム出版 201805

 母親のがんとつきあい、製薬会社につとめていた。自然治癒力を高める手法を紹介する。「ラポールの会」(がん体験者とその家族の会)を立ち上げた。
 低酸素・低温状態でもエネルギーを生み出せるように適応したのががん細胞だから、食生活の乱れや運動不足、ストレスで細胞が酸欠状態になると、胎児と同じ呼吸法にもどって生き延びようとして、結果的にがん細胞に変化してしまう。
 それを防ぐには、豆、ゴマなどの木の実、ワカメなどの海藻、野菜、魚、椎茸などのキノコ、芋などの食材をまんべんなく使って、ビタミンとミネラルを十分取る必要がある。がん細胞の増殖を抑制するP-53遺伝子は「愛の遺伝子」と呼ばれ、本人の健全な考え方や家族などとの良好な関係ががん克服の原動力になるという。
 家族の心得を次のように記す。
 家族が必要以上に執着して「生きていてくれないと困る」という気持ちが強すぎ、患者以上に焦ったり、うろたえたりすると、それを見た患者はよけいに不安をつのらせてしまう。また、必要以上な執着は過干渉にもつながる。相手のことを考えてというより、自分の欲求を満たすためにあれこれ口を出すケースが多い。患者に対して「すべき」「ねばならない」と押しつけると、自分の健康は自分で取り戻すという自律心が育たない。「本人のための言動になっているか? もしかして自分のための言動ではないか?」と常に自問自答することが大切だという。
 お見舞いや介護はありがたいけど、それが重荷になってしまうことがある。「自分のための言動ではないか」という自問自答の大切さは痛いほどよくわかる。
 家族が執着を断つためには「1日を一生だと思って生きる」。「朝起きた時に、患者さんの寿命は今日1日だけと思い定めて、患者さんとの時間を大切に過ごすことです」
 いちいちなるほどなあ、と思う。
 以下の指摘は、がん哲学外来や「生きがいの創造」などの本とも共通している。

 病気になったことは不幸ではありません。人生における試練です。試練は人を不幸にするためにあるのではありません。人が幸福になるためにあるのです。克服して健康にもどっても、たとえ健康にもどれなかったとしても、病気という試練を糧として生きた体験はけっして無駄ではありません。大切な人との出会い、家族の絆、生かされていることへの感謝の気持ちなどを育むことができたら、ただ平穏に大過なく暮らした人よりも「ああ、いい一生だったな」と思って人生を全うできるのではないでしょうか。
 試練に遭遇したときに自分を磨く機会ととらえて行動すると、不思議なことにさまざまな「気づき」や「ご縁」「助け」を得て、人間として成長することができます。

 代替療法にのめり込む余り、標準治療を無視するのは望ましいとは思わないが、代替療法をめぐる具体的なノウハウの紹介も参考になる。

・自然治癒力を下げない治療を選ぶ。その指標になるのが「リンパ球の数」
 1500以上は優。1200-1500は良(今の治療やセルフケアを一部見直し1500以上を目指す)。1000-1200は可(今の治療やセルフケアを根本的に見直す必要)〓
・体調は食欲、お通じ、睡眠、体温で把握する。検査結果がよくてもこの4つのどれかに問題があれば体の状態がよくない可能性がある。食欲がない場合。コンニャクをタオルで包んでお腹に当てて温める。適度な運動。
・体温を上げて副交感神経が優位になるとリンパ球の割合が増える。ウォーキング。足つぼウォーキング。足の指で地面をつかむような感覚で歩く。
・「笑い呼吸法」丹田に両手を載せて、お腹が引っ込むのを感じる。は、は、は、は〜と声を出しながら息を吐ききる。鼻から息を吸う。丹田に載せた手でお腹が十分ふくらむのを感じる。「は」のあとは、「ひ、ふ、へ、ほ」に変えて繰り返す。
・がんに効くとされる温泉。玉川温泉(秋田)…増富ラジウム温泉(山梨)、北白川ラジウム温泉(京都)、三朝温泉(鳥取)、池田ラジウム温泉(島根)。
・タッピングタッチ
・ハンディタイプの温熱治療器を使って背骨を中心に背中への「注熱」をする「三井式温熱療法」〓 ローラー式電子温灸器も効果的。
・喜びリスト(p174) イメージ療法 わくわく感〓
・…人は日々向上する存在であり、病気をして成長し、より高いステージに上がっていくのです。病気などいろいろな苦労にはすべて意味があり、それらは自分を向上させるための試練と考えましょう(帯津良一)
▽NPO法人日本サイモントン協会〓が主催する「サイモントン療法6Daysプログラム」。患者と家族が参加。
▽ポジティブな体験談のサイト
ガンの患者学研究所
がん克服.com(NPO法人がん克服サポート研究会)
がんサポートコミュニティ−(体験者の声)
がんの辞典
国立がん研究センターがん対策情報センター情報サービス
NPO法人日本統合医療推奨協会
ラポールの会(がん体験者とその家族の会)

▽セカンドオピニオンサイト
公益財団法人日本対がん協会
eークリニック
NPO法人がんコントロール協会
慈恵クリニック(がんの相談室)
NPO法人統合医学健康増進会
セカンドオピニオンネットワーク(セカンド協力医リストをサイト上で公開)
▽3大療法以外
・星野恵津夫医師(がん研有明病院漢方サポート科部長) 漢方・サプリメント「漢方サポート外来」で、副作用を漢方薬で軽減する治療。「カイジ顆粒」(日本統合医療学会が認定する健康食品として入手可能)の併用を勧める。
・植松稔医師(鹿児島市・UASオンコロジーセンター長) 2002年に世界初の「四次元ピンポイント照射療法」を開始。正常組織に影響を与えないから、転移のある進行がんにも積極的に適用。鹿児島と東京でセカンドオピニオンの窓口をつくっている。
▽副作用
・医薬品副作用重篤度分類基準 グレード3(重篤な副作用。死亡または日常生活に支障をきたす程度の永続的な機能不全に陥るおそれのあるもの)
・血液と肝臓の数値の重篤度グレード p119
▽緩和ケア
・「末期がんの方の在宅ケアデータベース」
・「いのちのスープ」辰巳芳子さんが考案。前日に水にさらしたあとにザルに上げておいた玄米を30分かけてよくいる。コンブとウメボシを加え煎じる。水を加えて30分加熱後、ざるでこせば、すんだ玄米スープ完成。「水底亭厨房 レシピ 玄米スープ」〓
・野菜スープ
 セロリ・パセリ・トマト・タマネギ・ジャガイモ・ニンジン・ネギ・ニンニク・ショウガ・ゴボウ、サツマイモ、キャベツ・ダイコン/カブ・カボチャ。ブロッコリー・キノコ。など
 くたくたになるまで煮込む。上澄みの一部をあたためて飲む。ゼラチンで固めてゼリーにして冷やして食べる。残った野菜とスープをミキサーにかけ、裏ごししてポタージュをつくる。

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