reizaru– Author –
-
20映画・美術館など
生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事20210406
戦中最後の沖縄県知事・島田叡の生きざまを、周囲にいた人の証言によってたどるドキュメンタリー。 東大を出て内務省に入ったが、一度も中央に戻らず地方を巡った。口癖は「アホになれ」。上に対してものを言い、部下に好かれる役人だったらしい。 沖... -
福島・東北
新復興論<小松理虔>
■ゲンロン叢書20210320 いわきという地域での震災後の実践活動から哲学を深めた筆者の力量に舌を巻いた。 いわき市の小名浜に住む筆者は、東電や国はもちろん、福島県産品を危険物扱いする反原発派の言論に怒りを覚えてきた。 原発事故によって福島は左... -
04民俗・食
平賀源内「非常の人」の生涯<新戸雅章>
■平凡社新書20210317 香川県の志度で平賀源内の旧宅を訪ねた。レオナルド・ダ・ビンチのようなマルチタレントな天才というイメージしかなかったが、最後は獄死していると知り、その生涯を知りたくなった。 源内はもとは本草学者(博物学者)だが、故障し... -
12小説・エッセー
打ちのめされるようなすごい本<米原真理>
■文藝春秋20210316 米原真理のエッセーは抜群におもしろかった。その彼女が「打ちのめされるような」本って、どんな作品なのだろうと思って読んだら、その書評の面白さに打ちのめされた。その切れ味は齋藤美奈子の書評を彷彿とさせる。 僕が書く書評はど... -
01思想・人権・人間論
人類哲学序説<梅原猛>
■岩波新書20210307 牧畜と小麦農業文明の生み出したヨーロッパの世界観では、森は文明の敵であり、森を破壊することで文明がはじまるとされた。昔のギリシャの建物は木造だったが、パルテノン神殿が建てられたときにはすでに森はほとんど消えていた。 ... -
04民俗・食
空海<高村薫>
■新潮社 20210201 綿密な取材と想像力で、空海が生きていた時代の風景と空海の人間くささを再現する。 たとえば奥の院のあたりは川の流れる湿地だったが、開創200年後に伽藍焼失に備えて材木を供給するためヒノキが植林された。 空海は「思い込んだら... -
01思想・人権・人間論
生きる哲学<若松英輔>
■文春新書 20210129 奥さんを亡くした若松は「悲しみは悲惨な経験ではなく、人生の秘密を教えてくれる出来事のように感じられる」と記す。その彼にとって「生きる哲学」とはなにか? 「悲しみ」を軸に、古今東西の哲人を通して浮かび上がらせる。 「... -
文化人類学・構造主義
死者を弔うと言うこと 世界の各地に葬送のかたちを訪ねる<サラ・マレー>
■草思社文庫 20210117 イギリスの女性ジャーナリストが、父の死をきっかけに世界の「弔い」の場を巡り歩く。 父は無神論者で「人間なんかしょせん有機物だ」と言っていたが、死ぬ直前、親友が眠る場所に骨をまいてほしい、と伝えた。「単なる有機物」で... -
01思想・人権・人間論
<西洋美術史を学ぶ>ということ
■<高階秀爾、千足伸行、石鍋真澄、喜多崎親>20210128 成城学園100周年、文芸学部創設60周年記念のシンポジウムの報告書。友人に勧められて手に取った。ちょっとした知識を得るだけで、素人でも美術がおもしろくなる。 たとえば15世紀には、人の顔は横... -
05環境・農業
苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神<田中優子>
■集英社新書 20201118 石牟礼道子の「苦界浄土」は水俣病がテーマなのにある種の豊かさがあふれていた。自然とのつながり。アニミズム的な世界。文学の想像力……学生時代に読んだとき、その理由はわかるようでわからなかった。 この本は、江戸文化の研... -
04民俗・食
奇跡の四国遍路<黛まどか>
■中公新書ラクレ 20200925 筆者は過去に、サンティアゴ巡礼や熊野古道などを歩いた。仕事と家事、看病による過労で体調を崩して、現実から逃れるように2017年に遍路に出た。 阪神大震災で妻と娘を亡くした男性は「悲しみは癒えることはない…夜がつらい... -
20映画・美術館など
「在日バイタルチェック」20210211
在日コリアンのおばあさんの歩みを描く、きむきがんさんのひとり芝居。 在日コリアン高齢者のためのデイサービスに通う90歳の女性が人生を振り返る。 済州島で海女をしていた女性が日本にやって来て、強制連行されてきた夫と出会い、戦後、民族教育の... -
04民俗・食
本とみかんと子育てと<柳原一徳>
■みずのわ出版 20210203 瀬戸内の周防大島でみかん農家を営みながらひとりで出版社を営む友人の久々の著書。 671ページという辞書のような厚みに圧倒されて、なかなか手に取れなかったが、ここ数日で一気に目を通した。 2017年から3年間の日記を中心に... -
20映画・美術館など
無頼<井筒和幸監督>
■20210126 1950年代、満州帰りの酒浸りの父をもつ少年は、父の死とともに天涯孤独になり、やくざの道に入る。同じような境遇の若者たちを従えて、日本一のやくざをめざす。 飲食店からみかじめ料を徴収し、金を出そうとしない銀行に糞尿をぶちまけ、上部... -
20映画・美術館など
「陶王子 2万年の旅」 柴田昌平監督
「陶王子」という磁器人形のキャラクターが、粘土をこねて器を作った2万年前から現在にいたる歴史をたどるドキュメンタリー。 土器を使わない民族は焼けた石の上で肉を焼き、樹皮などで包んで保管している。2万年前、そんな焚き火のなかに捏ねた粘土を放... -
20映画・美術館など
ナショナルギャラリー英国の至宝<フレデリック・ワイズマン>
アマゾンプライムで見た。 13世紀から20世紀にいたる西洋美術史の主な作品を集めたロンドン「ナショナルギャラリー」の魅力をドキュメンタリーの巨匠が紹介する。 たとえばルーベンスの絵は、絵のなかに描かれた光と、設置された部屋に差し込む光を計... -
01思想・人権・人間論
悲しみとともに どう生きるか<入江杏編著>
■集英社新書20210105「世田谷事件」で妹一家4人を殺された入江杏さんはグリーフケアを学び、「悲しみ」について思いをはせる会「ミシュカの森」を主催する。その会での柳田邦男や若松英輔らの講演や、彼らとの対談をまとめた本。 悲しみから目をそむけよ... -
03ジャーナリズム
喪の途上にて 大事故遺族の悲哀の研究<野田正彰>
■岩波書店20201229 1985年の日航ジャンボ機墜落、82年の日航羽田沖墜落、88年の第一富士丸沈没、88年の上海列車事故。それぞれの遺族と筆者は向き合ってきた。 病気で亡くなるのもつらいけど、前触れもなく突然大切な人が消え、さらに遺体さえも肉片と... -
20映画・美術館など
スパイの妻(映画)20201227
■スパイの妻 20201227 蒼井優が主演だから見てみた。 貿易会社を営む主人公の夫とその弟は満州を旅して、細菌兵器開発のために人体実験をしていることを知ってしまう。それを告発しようとした看護婦をかくまって帰国した。 神戸の憲兵隊の分隊長は主人... -
20映画・美術館など
教養としてのロンドン・ナショナル・ギャラリー<木村泰司>
■宝島社新書20201223 ナショナル・ギャラリー展を大阪で見て、西洋美術史を理解したくなった。印象派とかバロックといった言葉は聞いたことがあるが、それがどんな意味を持つのか、初歩の初歩を理解するための格好の入門書。 ナショナルギャラリーは、西... -
01思想・人権・人間論
希望のつくり方<玄田有史>
■岩波新書20201217 死ばかり見つめていて希望って言葉を忘れていた。もともと意味もわからず使っていた言葉だ。もしかしたら「底」から見えてくる希望があるのかなあと思って手に取った。 仏教は苦しみをやわらげようと、希望など持たなくてもよいと説く... -
20映画・美術館など
日本のいちばん長い日<岡本喜八監督>
■日本のいちばん長い日20201223 昭和20年7月26日にポツダム宣言が突きつけれたとき、当初は「静観」と発表した。新聞は「笑止」であると軽く扱った。その後、宣言を「重要視しない」と言ったら世界では「拒絶」と報道された。その結果、広島に原爆が落と... -
20映画・美術館など
東京物語<小津安二郎>
■東京物語<小津安二郎>20201221 山田洋次の「東京家族」を見て、そのもとになった「東京物語」を見たいと思った。小津の「東京」の方がやはりよかった。役者のちがいだろうか。 主人公は尾道に住む老夫婦。笠智衆がおじいさん役。息子や娘に会いに東... -
01思想・人権・人間論
老化も進化<仲代達矢>
■講談社α新書 20201210 仲代達矢は脚本家で演出家だった奥さんをがんで亡くしている。「立ち直るまで」を描いた本人が言っている。死別を経験して「立ち直り」を前面に出す人は珍しい。 「死」だけでなく、子どもを死産で亡くしているところまで僕らと... -
01思想・人権・人間論
ひとり居の記<川本三郎>平凡社20201125
2008年に奥さんを亡くし、8年後に出した本。「悲しみのみが悲しみを慰めてくれる。淋しさのみが淋しさを癒やしてくれる」という柳宗悦の言葉をひき、「悲しみ、淋しさと共にありたい」と綴る。 奥さんと訪ねた台湾は、自分だけ楽しむような気がして再訪... -
01思想・人権・人間論
いまも、君を想う<川本三郎>
■いまも、君を想う<川本三郎>新潮文庫 20201117 筆者は2008年に、ファッション評論の仕事をしていた6歳下の奥さんをがんで亡くした。57歳だった。奥さんとの2人暮らしの思い出をつづるエッセー集。 時系列で描くのではなく、猫の話から説きおこし、... -
04民俗・食
山の宗教 修験道案内<五来重>
■山の宗教 修験道案内<五来重>角川ソフィア文庫 20201019 麓の民が山々を自分たちの先祖の霊の行く山「神奈備」として拝んでいた。死者の霊は山へ行き、霊をまつる宗教者として狩人がいた。それが修験道の山の開創者になった。 大峰・熊野の山伏が... -
文化人類学・構造主義
仏教と民俗 仏教民俗学入門<五来重>
■仏教と民俗 仏教民俗学入門<五来重>角川ソフィア文庫 20201006 お盆やお彼岸、葬式や年忌、位牌といった習俗は仏教だと思われているが、実は本来の仏教ではなく、仏教伝来以前の日本古来の在来宗教の名残だという。 日本の在来宗教は先祖の霊に対す... -
11歴史〜現代史
路上の映像論 うた・近代・辺境<西世賢寿>
■路上の映像論 うた・近代・辺境<西世賢寿>現代書館 筆者はNHKの元ディレクター。近現代の時代のなかで滅びつつある、精神文化のなかに地下水脈のように流れてぉた口承文芸や語り物芸能の世界を「語り物としてのドキュメンタリー」という形にしてきた... -
04民俗・食
四国八十八ヶ所感情巡礼<車谷長吉>
■四国八十八ヶ所感情巡礼<車谷長吉>文藝春秋 20200831 はちゃめちゃな人生を歩んだ無頼の作家という印象の車谷が、2010年に奥さんと遍路をしていたとは知らなかった。 日記スタイルの文章は彼らしい。徳島は日本一ごみが多い、東京の女優と結婚した後...