■20210126
1950年代、満州帰りの酒浸りの父をもつ少年は、父の死とともに天涯孤独になり、やくざの道に入る。同じような境遇の若者たちを従えて、日本一のやくざをめざす。
飲食店からみかじめ料を徴収し、金を出そうとしない銀行に糞尿をぶちまけ、上部組織の「親」を殺され……。
朝鮮戦争や安保闘争、インベーダーゲーム、田中角栄逮捕、リクルート事件、地上げなど、昭和という時代のディテールをふんだんに盛り込んでいる。
バブルが崩壊し暴対法ができて、競い合っていた組が次々につぶれる。
薄っぺらな正義が幅を利かす平成以降の日本を見た時、無頼がまかり通った昭和がなつかしく思える。
山口組と一和会の抗争などをモデルにしている。主人公の率いる武闘派集団の井藤組は静岡県に拠点がある。ということは、富士宮に拠点を置いていた山口組系の後藤組がモデルなのだろうか。新興宗教との関係の描写はオウム真理教を彷彿とさせた。
同じ井筒監督の「パッチギ!」に比べればインパクトが弱いが、やくざという底辺から昭和を俯瞰する興味深い作品だった。
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