在日コリアンのおばあさんの歩みを描く、きむきがんさんのひとり芝居。
在日コリアン高齢者のためのデイサービスに通う90歳の女性が人生を振り返る。
済州島で海女をしていた女性が日本にやって来て、強制連行されてきた夫と出会い、戦後、民族教育の場をもうけたら、GHQと日本政府によってによってつぶされる。地域や就職の差別、ヘイトスピーチ……といった差別の歴史もひとりのオモニの語りで再現する。
でも、あらすじを紹介しても魅力の1割も伝わらない。
海女だった娘時代の主人公は朝鮮語、90歳の彼女は独特のなまりの関西弁、デイサービスの責任者の2世女性はコテコテの関西弁……と言葉も表情も演じ分け、テンポよく新喜劇のような笑いも織り交ぜる。
仲がよくて、喧嘩っはやくて、なにかあるとみんなで盛り上がる在日コリアンの生活もおもしろおかしく再現するから、現代民俗誌としても興味深い。
何よりも、老女や男児、アメリカ軍兵士までを一人で演じ分ける演技力に圧倒された。
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