01思想・人権・人間論– category –
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「消費」をやめる 銭湯経済のすすめ <平川克美>
■「消費」をやめる 銭湯経済のすすめ <平川克美> ミシマ社 20141004 昭和の大田区の町工場では、休みという概念それ自体がなかった」。働きづめだから消費者になりようがない。戦中派の人は生産者でしかなかった。 筆者の世代にはまだ、「お金を使う... -
悲しみに寄り添う 死別と悲哀の心理学<ケルスティン・ラマー著、浅見洋、吉田新訳>
■悲しみに寄り添う 死別と悲哀の心理学<ケルスティン・ラマー著、浅見洋、吉田新訳>新教出版社 201401 ▽4 福島の状況……今日の西洋の悲哀研究の立場から考えると、喪失を克服するのを困難にする多くの危険因子が見いだされます。「悲惨な死亡状... -
裁判官の品格 <池添徳明>
■裁判官の品格 <池添徳明>現代人文社 20131218 無罪判決を出すと左遷される。青法協(青年法律家協会)に入っていると弾圧される。……といった話はよく聞くが、1人ひとりの裁判官の「人となり」まで考えることはまずない。 この本は、それぞれの裁判官... -
近代の呪い<渡辺京二>
■平凡社新書 20131212 「近代」は政治的にはフランス革命以後、経済的には産業革命以後、資本主義成立以後とされたが、資本主義の成立は16世紀だという論が主流になってきた。プランテーション農業が奴隷制と結びつくことで、環大西洋経済が成立する。... -
作業中)逝きし世の面影 <渡辺京二>
■逝きし世の面影 <渡辺京二> 葦書房 20131129 江戸は現代の日本とはまったく異なる文明だった。そしてそれは永遠に失われてしまった。そのことを外国人の描いた記録から浮き彫りにしていく。 人々はニコニコとしていて、親切で、女性はとくにやさしい... -
作業中)早川式「居住学」の方法
■早川式「居住学」の方法 <早川和男>三五館 20131011 ============== ▽20 家から仕送りのない学生は、2009年現在、統計を取りはじめた1973年から最大で、8.3パーセントというが、私の学生時代は半分はいたのではないか。もっとも、授業料が安... -
葬られた王朝-古代出雲の謎を解く <梅原猛>
■新潮文庫 20131112 古事記に描かれた出雲王国は現実にはなかった--筆者はかつてそう書いた。1984年以降、荒神谷遺跡などで大量の銅鐸が見つかり、出雲に巨大な権力があったことが明らかになった。筆者は以前の自説を、神話はすべてフィクションと考... -
もうひとつのこの世 石牟礼道子の宇宙<渡辺京二>
■もうひとつのこの世 石牟礼道子の宇宙<渡辺京二> 弦書房 20131105 石牟礼作品の多くを清書し、食事の世話までしてきた筆者による石牟礼文学論。 「苦界浄土」は、公害の悲惨を描破したルポルタージュであるとか、患者を代弁して企業を告発した怨念の... -
原発危機と「東大話法」 <安冨歩>
■原発危機と「東大話法」 安冨歩 明石書店 20130328 筆者は銀行で、人間を型ににはめ、同じ方向に走らせ、やがて疑問をもてなくなる「魂の植民地化」を実感し、大学院にもどった。「満州国」の歴史を研究したのは、昭和の戦争への暴走ぶりが、バブル... -
瓦礫の中から言葉を<辺見庸>
■瓦礫の中から言葉を<辺見庸>201211 NHK出版新書 石巻出身の辺見氏が震災をどう描くのだろう。「絆」とか「がんばろう」といった言葉の氾濫に違和感を感じ、被災状況の記事が定型化していることにおかしさは覚えるのだけど、どうしても的確な言葉が見つ... -
脱グローバル論<内田樹、中島岳志、平松邦夫、小田嶋隆、平川克美>
■脱グローバル論<内田樹、中島岳志、平松邦夫、小田嶋隆、平川克美> 講談社 20130907 平松・前大阪市長が中心になって呼びかけた4回のシンポジウムのまとめ。 グローバリズム経済とは要するにこういうこと、という姿をわかりやすく示してくれる。 た... -
グローバル市場原理に対抗する 静かなるレボリューション 自然循環型共生社会への道<小貫雅男 伊藤恵子>
■グローバル市場原理に対抗する 静かなるレボリューション 自然循環型共生社会への道<小貫雅男 伊藤恵子> 御茶ノ水書房 20130827 産業革命以来の資本主義の発展によって大地から引き離され、農業や職人の仕事といった生産手段を失ってしまった現代... -
団地の空間政治学 <原武史>
■団地の空間政治学 <原武史>NHK出版 20130307 入居したときピカピカで子ども心に興奮した団地は、40年を経て、小枝のような木は大木に育ち、緑あふれる環境になった。「緑が豊かでホッとする」「日当たりがよくていい」。すっかり高齢化したが、独... -
読書の技法<佐藤優>
■読書の技法<佐藤優>東洋経済 20121216 筆者の読書の技術を開陳している。 毎月300-500冊に目を通す。そのうち熟読は洋書を含め4,5冊で、1冊5分程度の「超速読」が240~250冊、30分~2、3時間の「普通の速読」が50~60冊... -
創造的福祉社会<広井良典>
■創造的福祉社会 「成長」後の社会構想と人間・地域・価値<広井良典>ちくま新書20121103 社会のセーフティーネットのあり方は、エリザベス救貧法などの生活保護から、ビスマルクの社会保険、ケインズの雇用創出というように、事後的・救済的から事前的... -
日本文明77の鍵 梅棹忠夫編著
■日本文明77の鍵 梅棹忠夫編著 文春新書 20120901 鴨ケ浦で 外国人向けに日本を紹介する英文パンフが好評だったため、邦訳して日本人向けに書き換えた。 外国人が日本のどこを不思議に思うのか、欧米や中国とくらべて日本のどこが特殊なのか、そ... -
3・12の思想 矢部史郎
■3・12の思想 矢部史郎 以文社 20120706 震災発生の3・11と区別し、「東京電力放射能公害事件」の起きた「3.12」に焦点をあてる。 放射性物質は、関東の土壌でも少なくても100ベクレル/キロ検出された。原発労働者が白血病で... -
「羊の歌」余聞 加藤周一
■「羊の歌」余聞 加藤周一 鷲巣力編 ちくま文庫 20120717 47歳から48歳にかけて、40歳までの半生を顧みてつづられた自伝的な著書「羊の歌」のその後と、「羊」に描かれなかったエピソードを書いた文章をまとめている。 以下、読みながら感じ... -
蓮如−聖俗具有の人間像
■蓮如−聖俗具有の人間像 五木寛之 岩波新書 201205 1953年に内灘闘争の現場で「加賀地方には一向一揆100年の伝統があるからね」と筆者は言われた。石川県では一向一揆や「蓮如さん」の記憶が今も生きているのだ。 蓮如は浄土真宗の中興の祖... -
新しい風土記へ 鶴見俊輔座談
■新しい風土記へ 鶴見俊輔座談 朝日新書 20120512 鶴見俊輔の幅の広さと現場への近さがわかる対談集。 姜尚中や中村哲とはナショナリズムや「外の目」の大切さを語り合う。 国家を超える、民衆に根っこのあるナショナリズムがイスラム圏にはあり... -
山びこ学校ものがたり
■山びこ学校ものがたり あの頃、こんな教育があった 佐藤藤三郎 清流出版 20120509 著者は、青年教師無着成恭が教鞭をとった山びこ学校の一番の教え子であり、無着が村を追われた後もずっと村に残り農業をつづけた。無着の教育の多大な影響と同時に... -
東井義雄「いのち」の教え
■東井義雄「いのち」の教え 東井義雄 佼成出版社 20120508 筆者は生活綴り方を実践した小学校教師。子供との対話や経験をつづったエッセーだ。なぜこんなに心動かす言葉が次々に紡ぎ出されるのか。 鶴見俊輔は、生活綴り方のプラグマティズムとして... -
戦後日本の思想 久野収、鶴見俊輔、藤田省二
■戦後日本の思想 久野収、鶴見俊輔、藤田省二 岩波現代文庫 20120413 埴谷雄高らの「近代文学グループ」、進歩派だが共産党路線にがんじがらめになってしまった「民主主義科学者協会」、反共と穏健保守のあいだで揺れる「心」グループ、大衆のなかで... -
「気づき」の力、生き方を変え国を変える 柳田邦男
■「気づき」の力 生き方を変え、国を変える 柳田邦男 新潮文庫 20120318 患者に寄り添い、患者の心の一端でも支えるたいと謙虚な気持ちで向き合うなかで生まれた看護学生のエッセーはみずみずしい感性にあふれている。そんな感性の土台のうえに「現場... -
映画の構造分析 ハリウッド映画で学べる現代思想<内田樹>
■映画の構造分析 ハリウッド映画で学べる現代思想<内田樹>文春文庫 20120214 映画を通して難解なラカンやフロイト、フーコーらの現代思想を知る本。どっちにしても難解ではあるが、なんとなくわかった気になれる。 フロイトの「抑圧」の説明はわか... -
東京ファイティングキッズ・リターン <内田樹×平川克美>
■東京ファイティングキッズ・リターン <内田樹×平川克美> 20111207 「時間」の大切さ、「とりあえず」「いずれ」という判断保留の大切さが繰り返し論じられる。 「時間」という猶予がなければ、「贈与」は起きない。「今はいらないけど『いずれ』... -
インテリジェンス人間論<佐藤優>
■インテリジェンス人間論<佐藤優> 新潮文庫 20111109 インテリジェンスの専門家であり、神学者・哲学者である視点からみた人物論。盟友の鈴木宗男氏をはじめ橋龍や小渕、森喜朗ら歴代総理の観察もおもしろい。安倍晋三や森を一定評価しているのは意... -
私のマルクス<佐藤優>
■私のマルクス<佐藤優>文春文庫 20111108 大宮に住んで暴走族予備軍とつきあい、浦和高校では文芸部と応援団に入り、東欧を旅行し、社青同に入ってマルクスを読んでいた。 東京では学生運動は終わっていたが、京都、とくに同志社は新左翼系が根強く... -
震災と鉄道<原武史>
■震災と鉄道<原武史>朝日新書 20111024 「鉄道とは公共空間である」と考える筆者は、金もうけ主義がはびこる独占企業JR東日本を具体的事例をあげて批判する。史上最悪の原発事故を起こした東京電力とJRの体質がきわめて似ていることがわかる。 ... -
日本を滅ぼす「世間の良識」<森巣博>
■日本を滅ぼす「世間の良識」<森巣博> 講談社現代新書 20111020 民営化の本質を「利潤の私益化、費用の社会化」と喝破する。国鉄分割民営化はもちろん、今回の福島原発の事故がその典型だ。「公益法人」の特権による膨大な利益は株主に分配され...