01思想・人権・人間論– category –
-
01思想・人権・人間論
幻影の明治<渡辺京二>
■平凡社 20190422 筆者は、封建的で遅れていた江戸時代を、維新政府は近代的につくりかえた、という歴史観を「逝きし世の面影」で覆し、平和で穏やかで外国人を魅了した時代像を提示した。そんな渡辺氏は明治時代をどう見るのか知りたくて読んだ。 自由民... -
01思想・人権・人間論
悲しみに寄り添う 死別と悲哀の心理学<ケルスティン・ラマ->
■201904再読 昔の人は「死」から「生」を捉えていたから、死は、苦しみからの救いという肯定的な面があった。だが医学の進歩で死は単に恐ろしいものとなった。死や悲哀は病院化し、死別のための共同作業は消え、遺された人たちを支えるコミュニティが失わ... -
01思想・人権・人間論
人間をみつめて<神谷美恵子>
■河出書房新社20190414 動物と共通する古い脳は「本能」に左右され、新しい脳は、古い脳による衝動を抑制する力があり、自発性や抽象能力を司る。新しい脳があるから、悩みが生まれ、死が恐ろしくなる。一方で、シンボル的な思考ができるから、病床にいて... -
01思想・人権・人間論
神谷美恵子「生きがいについて」<若松英輔>
■NHKテキスト 20190402 「生きがいについて」は読んだけど、それを若松英輔が解説したときに何が見えてくるのか興味を覚えてkindleで買った。 神谷は生きがいとは、自分が、大地とか自然とか神と言った何か大きなものに包まれているという実感から始まる... -
01思想・人権・人間論
生きがいについて<神谷美恵子>
■みすず書房 20190317 「生きがい」なんて他人に教えてもらうものではないと思ってきた。 でも生きる意味を突然失うと、そうも言えなくなった。このまま死んでもよいのだが、もしかしたらこの経験を生かす道があるのかもしれない。若松英輔の著書を通して... -
01思想・人権・人間論
悲しみの秘儀<若松英輔>
■ナナロク社 20190304 詩集か画集のような、小さくて美しい本。若松英輔の悲しみを巡る思いを色や形にしたらこんな本になるのだろう。 人を愛することは、悲しみを育むことになる。愛せば愛するほど、喪った時に訪れる悲しみも深くなるからだ。 それでも... -
01思想・人権・人間論
魂にふれる 大震災と、生きている死者<若松英輔>
■トランスビュー 20190217 筆者は2010年2月に妻を亡くした。その経験をもとに、「死者とともに生きる」とはどんなことなのかを綴っている。 寂しさは、失ったものを取り戻そうとする時に湧き上がるが、悲しみは、新しい何かを生みだそうと世界の彼方... -
01思想・人権・人間論
死者との対話<若松英輔>
■トランスビュー 201902 愛媛の友人に著者の名を聞き、死者は単なる思い出ではなく実在する、という主張にひかれた。 「記憶にある限り死者は生きている」とはよく聞く。だがそれでは、生きている私のなぐさめにはなっても、死者の幸せにはならない。死... -
01思想・人権・人間論
深い河<遠藤周作>
■講談社文庫 20190225(新幹線で) 磯辺という男は妻をがんで亡くそうとしている。子どもがいないから妻が死んだら一人になる。 妻は、「命は決して消えない」と樹木が語ったと言う。死を間近にすると不思議な感性が得られる。それは永遠の命とつながる... -
01思想・人権・人間論
現代語訳 般若心経<玄侑宗久>
■現代語訳 般若心経<玄侑宗久>筑摩新書 20181223 今まで読んだ般若心経の解説本でもっともわかりやすかった。 人は成長するにしたがって世界を言語で認識し、概念という枠にしたがって世界を理解するようになる。「私」という自我を確立して「概念」を... -
01思想・人権・人間論
没イチ パートナーを亡くしてからの生き方<小谷みどり>
■没イチ パートナーを亡くしてからの生き方<小谷みどり> 新潮社20181216 何か参考になることはないかと思って手に取った。筆者は死にまつわるさまざまなことを第一生命の研究所で研究してきたが、2011年に当時42歳だった夫を突然死で亡くした。 ... -
01思想・人権・人間論
歌に私は泣くだらう 妻・河野裕子 闘病の十年<永田和宏>
■歌に私は泣くだらう 妻・河野裕子 闘病の十年<永田和宏>新潮社201812 有名な歌人夫婦。妻の河野裕子は乳がんになり、手術は成功したが、精神を病み、延々と罵りの言葉を浴びせられ、ついには筆者も爆発していすをテレビに投げつけ、息子の肩にすがっ... -
01思想・人権・人間論
アミターバ 無量光明<玄侑宗久>
■アミターバ 無量光明<玄侑宗久>新潮文庫 20181201 がんで余命幾ばくもない女性が主人公。娘とその夫で僧侶である慈雲さんが付き添っている。 病気が進み、ベッドから起き上がれなくなると、夢が多彩になり、さまざまな時間と空間が入り乱れてくる... -
01思想・人権・人間論
知の体力<永田和宏>
■知の体力<永田和宏>新潮新書 20181126 京都大学で長年生物学の研究をすると同時に歌人として有名。でもそれで読もうと思ったのではなく、歌人だった妻を亡くした経験について京都新聞で次のように語っていたからだ。 「よく時間が癒やしてくれると... -
01思想・人権・人間論
中陰の花 <玄侑宗久>
■中陰の花 <玄侑宗久>文春文庫 20181118 「中陰」とは、「有」と「無」の中間、陰と陽のどちらでもあるようなあり方という。49日に中陰が終わると、あちら側に行って成仏するのだ。 主人公の禅僧が、幼いころからお世話になった拝み屋のおばあさ... -
01思想・人権・人間論
看取り先生の遺言 2000人以上を看取った、がん専門医の「往生伝」<奥野修司>
■看取り先生の遺言 2000人以上を看取った、がん専門医の「往生伝」<奥野修司>文春文庫 2018/11/03 仙台を拠点に早くから在宅緩和ケアに取り組み、自らがんとなり、震災ではスタッフの看護師を失う。医者は回復は助けてくれるが、「死への道しるべ」... -
01思想・人権・人間論
やまない雨はない 妻の死、うつ病、それから…<倉嶋厚>
■やまない雨はない 妻の死、うつ病、それから…<倉嶋厚>文芸春秋 20181106 NHKのお天気の解説で有名だった倉嶋さんは、妻の泰子さんを亡くし、重いうつ病になって自殺を何度も試みた。2人には子どもがいなかった。どれほど悲しみ、それをどう消化し... -
01思想・人権・人間論
悲しみは真の人生の始まり 内面の成長こそ<柳田邦男>
■悲しみは真の人生の始まり 内面の成長こそ<柳田邦男> PHP 20181104 題名の通りであってほしい、と思う。でも悲しみから人生が始まるんだろうか。次男を自殺で亡くした筆者がどうやってそう思えるようになったのか知りたくて手に取った。 人生は... -
01思想・人権・人間論
「在宅ホスピス」という仕組み〈山崎 章郎〉
■「在宅ホスピス」という仕組み〈山崎 章郎〉新潮選書 20181014 筆者の経験では、がん末期で在宅ですごす人の4分の1は2週間以内、半分は1カ月以内に亡くなっている。ほかの病気とはちがい、一見まだ大丈夫と思われた患者が急変してしまうのが終末期... -
01思想・人権・人間論
新・幸福論 近現代の次に来るもの<内山節>
■新・幸福論 近現代の次に来るもの<内山節>新潮選書 20180620 政治も経済も社会も「私」から縁遠くなり、経済発展の先にあったはずの豊かさや幸せも、科学の発展が未来を拓くという期待感も失われた。確かだと思っていたものがどんどん離れていく。... -
01思想・人権・人間論
せいめいのはなし<福岡伸一>
■せいめいのはなし<福岡伸一>新潮文庫 20180606 4人との対談集。それを構成する要素が、絶え間なく消長、交換、変化しているのにもかかわらず、全体として恒常性が保たれているシステムを意味する「動的平衡」の考え方で、文学や美術、文化人類学など... -
01思想・人権・人間論
死について考える<遠藤周作>
■死について考える<遠藤周作>光文社文庫 201803 20〜40代にかけて3回の胸の手術を経験し、絶望の日々を送った。手術をしては再発する繰り返しを続け、「死んだ方が楽だ。苦しまなくてすむ」と思った。上顎がんの疑いでも手術を受け、25歳のお手伝いさ... -
01思想・人権・人間論
いい覚悟で生きる がん哲学外来から広がる言葉の処方箋<樋野興夫>
■いい覚悟で生きる がん哲学外来から広がる言葉の処方箋<樋野興夫>小学館 201802226 がんで苦しんでる人でも、24時間忘れられず苦しんでいるわけではない。「心の宴会」を持つことで、苦しみや傷ついた気持ちを忘れる時間が増えていく。忘れられな... -
01思想・人権・人間論
生き上手 死に上手<遠藤周作>
■文春文庫 20180305 「ひとつだって無駄なものはないんです。僕が味わった苦しみ。僕が他人に与えた苦しみ」。罪でさえも意味がある。 死んだ父や母や兄姉と、盆の間は交流したいという願望は日本人に特有のものである。それは死んだ肉親が自分からそう... -
01思想・人権・人間論
がん哲学外来へようこそ<樋野興夫>
■がん哲学外来へようこそ<樋野興夫>新潮新書 201802 がん哲学外来は、病理学の専門家である著者が、2008年に順天堂医大で無料の相談活動としてはじめた。傾聴とは似て異なる。患者の話をひたすら聴くだけでは、人間同士の対話に至らないことがままあ... -
01思想・人権・人間論
福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅 <池田善昭、福岡伸一>
■福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅 <池田善昭、福岡伸一> 20171004 ピュシス(自然=本来の実在)は常に隠されている存在であり、矛盾や相反するものが往々にしてひとつになっている。一方ロゴスの立場は、自然は人間の理性によって... -
文化人類学・構造主義
街場の共同体論<内田樹>
■街場の共同体論<内田樹>潮出版社 20170908 子どものころ、人のために尽くす人こそが「えらい人」だと素朴に信じていた。すし屋さんや自転車屋さん、お百姓さん……といった仕事によって近所のおじさんたちを「すごい人だなあ」と思っていた。 1980年... -
01思想・人権・人間論
イエスの生涯<遠藤周作>
■イエスの生涯<遠藤周作> 20170925 遠藤周作が描くイエスの伝記。 ローマ帝国によって支配されている時代背景や、傀儡政権のように統治する宗教指導者や権力者、政治犯たちの立場と心理を小説家の想像力で具体的に描くことで、イエスの生き様の意味... -
01思想・人権・人間論
哲学の冒険<内山節>
■哲学の冒険< 内山節>平凡社ライブラリー 20170928 中学生が「美しい生き方」を模索するため哲学を学ぶという構成だが、内容は大人むけだ。「ソフィーの世界」など、良質な哲学入門書はほかにもあるが、この本は、哲学史を見渡すのではなく、哲学を人生... -
01思想・人権・人間論
いつでも死ねる<帯津良一>
■いつでも死ねる<帯津良一>幻冬舎 20170911 「余命2年」と宣告されながら8年間を生き抜いた友人のアンエリは、元気だった過去や、あり得たかもしれない未来を嘆くのではなく「いま・ここ」に集中して生きることの大切さを何度も説いていた。 治療...