01思想・人権・人間論– category –
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没イチ パートナーを亡くしてからの生き方<小谷みどり>
■没イチ パートナーを亡くしてからの生き方<小谷みどり> 新潮社20181216 何か参考になることはないかと思って手に取った。筆者は死にまつわるさまざまなことを第一生命の研究所で研究してきたが、2011年に当時42歳だった夫を突然死で亡くした。 ... -
歌に私は泣くだらう 妻・河野裕子 闘病の十年<永田和宏>
■歌に私は泣くだらう 妻・河野裕子 闘病の十年<永田和宏>新潮社201812 有名な歌人夫婦。妻の河野裕子は乳がんになり、手術は成功したが、精神を病み、延々と罵りの言葉を浴びせられ、ついには筆者も爆発していすをテレビに投げつけ、息子の肩にすがっ... -
アミターバ 無量光明<玄侑宗久>
■アミターバ 無量光明<玄侑宗久>新潮文庫 20181201 がんで余命幾ばくもない女性が主人公。娘とその夫で僧侶である慈雲さんが付き添っている。 病気が進み、ベッドから起き上がれなくなると、夢が多彩になり、さまざまな時間と空間が入り乱れてくる... -
知の体力<永田和宏>
■知の体力<永田和宏>新潮新書 20181126 京都大学で長年生物学の研究をすると同時に歌人として有名。でもそれで読もうと思ったのではなく、歌人だった妻を亡くした経験について京都新聞で次のように語っていたからだ。 「よく時間が癒やしてくれると... -
中陰の花 <玄侑宗久>
■中陰の花 <玄侑宗久>文春文庫 20181118 「中陰」とは、「有」と「無」の中間、陰と陽のどちらでもあるようなあり方という。49日に中陰が終わると、あちら側に行って成仏するのだ。 主人公の禅僧が、幼いころからお世話になった拝み屋のおばあさ... -
看取り先生の遺言 2000人以上を看取った、がん専門医の「往生伝」<奥野修司>
■看取り先生の遺言 2000人以上を看取った、がん専門医の「往生伝」<奥野修司>文春文庫 2018/11/03 仙台を拠点に早くから在宅緩和ケアに取り組み、自らがんとなり、震災ではスタッフの看護師を失う。医者は回復は助けてくれるが、「死への道しるべ」... -
やまない雨はない 妻の死、うつ病、それから…<倉嶋厚>
■やまない雨はない 妻の死、うつ病、それから…<倉嶋厚>文芸春秋 20181106 NHKのお天気の解説で有名だった倉嶋さんは、妻の泰子さんを亡くし、重いうつ病になって自殺を何度も試みた。2人には子どもがいなかった。どれほど悲しみ、それをどう消化し... -
悲しみは真の人生の始まり 内面の成長こそ<柳田邦男>
■悲しみは真の人生の始まり 内面の成長こそ<柳田邦男> PHP 20181104 題名の通りであってほしい、と思う。でも悲しみから人生が始まるんだろうか。次男を自殺で亡くした筆者がどうやってそう思えるようになったのか知りたくて手に取った。 人生は... -
「在宅ホスピス」という仕組み〈山崎 章郎〉
■「在宅ホスピス」という仕組み〈山崎 章郎〉新潮選書 20181014 筆者の経験では、がん末期で在宅ですごす人の4分の1は2週間以内、半分は1カ月以内に亡くなっている。ほかの病気とはちがい、一見まだ大丈夫と思われた患者が急変してしまうのが終末期... -
新・幸福論 近現代の次に来るもの<内山節>
■新・幸福論 近現代の次に来るもの<内山節>新潮選書 20180620 政治も経済も社会も「私」から縁遠くなり、経済発展の先にあったはずの豊かさや幸せも、科学の発展が未来を拓くという期待感も失われた。確かだと思っていたものがどんどん離れていく。... -
せいめいのはなし<福岡伸一>
■せいめいのはなし<福岡伸一>新潮文庫 20180606 4人との対談集。それを構成する要素が、絶え間なく消長、交換、変化しているのにもかかわらず、全体として恒常性が保たれているシステムを意味する「動的平衡」の考え方で、文学や美術、文化人類学など... -
死について考える<遠藤周作>
■死について考える<遠藤周作>光文社文庫 201803 20〜40代にかけて3回の胸の手術を経験し、絶望の日々を送った。手術をしては再発する繰り返しを続け、「死んだ方が楽だ。苦しまなくてすむ」と思った。上顎がんの疑いでも手術を受け、25歳のお手伝いさ... -
いい覚悟で生きる がん哲学外来から広がる言葉の処方箋<樋野興夫>
■いい覚悟で生きる がん哲学外来から広がる言葉の処方箋<樋野興夫>小学館 201802226 がんで苦しんでる人でも、24時間忘れられず苦しんでいるわけではない。「心の宴会」を持つことで、苦しみや傷ついた気持ちを忘れる時間が増えていく。忘れられな... -
生き上手 死に上手<遠藤周作>
■文春文庫 20180305 「ひとつだって無駄なものはないんです。僕が味わった苦しみ。僕が他人に与えた苦しみ」。罪でさえも意味がある。 死んだ父や母や兄姉と、盆の間は交流したいという願望は日本人に特有のものである。それは死んだ肉親が自分からそう... -
がん哲学外来へようこそ<樋野興夫>
■がん哲学外来へようこそ<樋野興夫>新潮新書 201802 がん哲学外来は、病理学の専門家である著者が、2008年に順天堂医大で無料の相談活動としてはじめた。傾聴とは似て異なる。患者の話をひたすら聴くだけでは、人間同士の対話に至らないことがままあ... -
福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅 <池田善昭、福岡伸一>
■福岡伸一、西田哲学を読む 生命をめぐる思索の旅 <池田善昭、福岡伸一> 20171004 ピュシス(自然=本来の実在)は常に隠されている存在であり、矛盾や相反するものが往々にしてひとつになっている。一方ロゴスの立場は、自然は人間の理性によって... -
街場の共同体論<内田樹>
■街場の共同体論<内田樹>潮出版社 20170908 子どものころ、人のために尽くす人こそが「えらい人」だと素朴に信じていた。すし屋さんや自転車屋さん、お百姓さん……といった仕事によって近所のおじさんたちを「すごい人だなあ」と思っていた。 1980年... -
イエスの生涯<遠藤周作>
■イエスの生涯<遠藤周作> 20170925 遠藤周作が描くイエスの伝記。 ローマ帝国によって支配されている時代背景や、傀儡政権のように統治する宗教指導者や権力者、政治犯たちの立場と心理を小説家の想像力で具体的に描くことで、イエスの生き様の意味... -
哲学の冒険<内山節>
■哲学の冒険< 内山節>平凡社ライブラリー 20170928 中学生が「美しい生き方」を模索するため哲学を学ぶという構成だが、内容は大人むけだ。「ソフィーの世界」など、良質な哲学入門書はほかにもあるが、この本は、哲学史を見渡すのではなく、哲学を人生... -
いつでも死ねる<帯津良一>
■いつでも死ねる<帯津良一>幻冬舎 20170911 「余命2年」と宣告されながら8年間を生き抜いた友人のアンエリは、元気だった過去や、あり得たかもしれない未来を嘆くのではなく「いま・ここ」に集中して生きることの大切さを何度も説いていた。 治療... -
暮らしの論理 生活創造への道<山本松代>
■暮らしの論理 生活創造への道<山本松代>ドメス出版 20170416 筆者は、戦後直後の生活改善改善運動の、農水省の最初の担当者だった。「生産」一辺倒の主流派に対抗して、農村女性たちの「生活」の改善に取り組んだ。 生活改善運動はアメリカに生ま... -
人生フルーツ
戦後の復興期、公団で各地の団地造成にかかわり、愛知県の高蔵寺ニュータウンのデザインもつくった津端修一さんと妻の英子さんの晩年を撮影したドキュメンタリー。 雑木林の豊かなニュータウンをめざした津端さんだったが、高蔵寺ニュータウンは、経済... -
日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか<内山節>
■日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか<内山節>講談社現代新書 20170324 1965年ごろを境にして「キツネにだまされた」という話が発生しなくなったという。 高度成長、合理的社会の形成、進学率やテレビの普及などの情報のあり方の変化、都市の隆... -
哲学者 内山節の世界<かがり火編集委員会編>
■哲学者 内山節の世界<かがり火編集委員会編> 20170315 内山節の著作は何冊か読んできたが、彼の哲学の流れと大枠をつかみたくて購入した。 ベトナム戦争時、中学時代からマルクスやヘーゲル、カントと読み進んだが、サルトルの実存主義は評価しな... -
だれのための仕事 労働vs.余暇を超えて <鷲田清一>
■だれのための仕事 労働vs.余暇を超えて <鷲田清一> 講談社学術文庫 20170210 生きがいって何だろう。労働と余暇とわけられたとき、労働は苦役で、余暇は遊びとされる。その分割が、仕事から遊びの要素を奪い、遊びからやりがいの要素を奪った部... -
柳田国男 知と社会構想の全貌<川田稔>
■柳田国男 知と社会構想の全貌<川田稔>ちくま新書 20161229 柳田国男は、前期は山人などを対象にしたが、後期は稲作民だけを「常民」として描くようになった…とか、国内の民俗ばかりを見ていて国際的な視野をもっていない、などと批判されてきた。保守... -
修行と信仰<藤田庄市>
■修行と信仰<藤田庄市>岩波書店 20161019 みなべ町の赤松宗典住職の章だけを熟読し、あとは流した。 10分間でも苦痛な座禅を何日もつづけたり、大峰山や比叡山を天狗のような速さでのぼっていったり、わけのわからない問答を延々とづけたり……。何か意味... -
菜園家族の思想 よみがえる小国主義日本<小貫雅男・伊藤恵子>
■菜園家族の思想 よみがえる小国主義日本<小貫雅男・伊藤恵子> かもがわ出版20161118 高度成長からわずか半世紀で、多くの人々が大地から切り離され、家庭から生産や創造が失われ、都市部の家族は消費だけの存在になってしまった。それはいわば、細胞... -
明恵上人<白洲正子>
■明恵上人<白洲正子>講談社文芸文庫 20161106芸術にくわしい筆者が、いさぎよく美しい明恵の生き方を女性の視点から描き出す。 明恵は幸せな幼年時代だったが、8歳で母を亡くし、同じ年に父も上総国で戦死した。頼朝が兵をあげた時の戦だった。 「我は... -
美しい日本の私<川端康成>
■美しい日本の私<川端康成> 講談社 ノーベル文学賞受賞時の講演。明恵をどう位置づけているか知りたくて買った。 道元や良寛とともに明恵の歌を紹介する。 雲を出でて我にともなふ冬の月 風や身にしむ雪や冷めたき という歌について、「自然や人間にた...