01思想・人権・人間論– category –
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文化人類学・構造主義
菊と刀 <ルース・ベネディクト>
現代教養文庫 20090109 米国人の人類学者が、敵である日本人の人生観を日本人の立場に立って見ようとしているから、外部からの興味本位の観察とちがって説得力がある。著者が来日したことがなかったとはとても思えない。構造主義的な観察眼の強みだろ... -
01思想・人権・人間論
哲学は人生の役に立つのか <木田元>
PHP新書 20081205 海軍兵学校で終戦をむかえ、闇屋をして暮らしたあと農林学校でまなぶ。なんのために生きているのか悩みつづけ、ドストエフスキーをへてハイデガーを読みたくて21歳で大学に入学した。 哲学者=「青白きインテリ」というイメージ... -
01思想・人権・人間論
貧困の克服–アジア発展の鍵は何か <アルマティア・セン>
集英社新書 20081201 経済が発展すると、教育が発展し識字率もあがるという従来唱えられてきた順番ではなく、高い識字率こそが経済発展の基盤になるという。江戸時代から識字率がきわめて高かった日本などの例をあげ、アジアの経済発展の基盤だとみる... -
01思想・人権・人間論
ルイ・ボナパルトのブリュメール18日 <カール・マルクス>
平凡社ライブラリー 20081125 フランス革命からナポレオンへ移り、その後、王政が復活する。その王制を倒す革命によって共和制が返り咲き、普通選挙制が施行される。ところが、議会内の王制派やブルジョア会派は労働者階級を排除し、反発したプロレ... -
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他者と死者 <内田樹>
海鳥社 20081030 「師=死者=他者」というのが、この本の骨格のような気がする。「他者」とは、「私」には絶対的に理解できない境地にある絶対的な存在であり、ラカンの言う「象徴界」(その反対が「想像界」)もほぼ同様の意味である。難解なレヴィ... -
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反哲学入門 <木田元>
新潮社 20081104 古来、人間は現実の世界・自然にどっぷり浸かっていた。自然とはそこから生まれいずるもの、「なる」ものであるとされた。 ソクラテス・プラトンにはじまる哲学は「存在するもの全体がなんであるか」と問い、自然から切り離された... -
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臨床の知とは何か <中村雄二郎>
岩波新書 20081017 近代科学は、「客観主義」の名のもとに「専門」という蛸壺にはまり、「現実」そのものを見なくなってしまった。全体をバクっととらえる目(生命そのものの全体を見る目)を失い、観察者である私たちも観察対象に影響を与えていると... -
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姜尚中の青春読書ノート <姜尚中>
朝日新書 20080920 気鋭の政治学者であり、専門の論文は難解なことを書いているのに、自らを語るときはみずみずしく若々しい悩みに満ちている。東大という象牙の塔のなかで、なぜこんな感性をもちつづけることができるだろう。その答えの一部は「在日... -
文化人類学・構造主義
街場の中国論 <内田樹>
ミシマ社 200809 中国数千年の歴史をつらぬく「パターン」(=変化する仕方)として、まず、「易姓革命論」をあげる。王朝の天命が尽きれば王位を譲らなければならない。譲位を拒否した場合は、その王を伐つことは天理にかなった行為とされる。だから... -
文化人類学・構造主義
こんな日本でよかったね 構造主義的日本論 <内田樹>
木星叢書 20080830 私たちの感受性も観察眼も属している文化によって規定さており、客観的な視点や歴史観などありえないことを説いた「構造主義」、あらゆる制度の起源に「身体的感覚」をもとめる思考と、「存在しないのだけれど、存在する」というねじれ... -
文化人類学・構造主義
狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論 <内田樹>
朝日新聞社 20080809 明治以来、日本の教育は管理しやすい「小粒の人間」をそろえ、「みんなとおなじ」という均質化することを目標にしてきた。それがみごとにうまくいき、うまくいきすぎたことが、最近の教育問題だという。 「小さい粒」は管理しやすい... -
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信州に上医あり 若月俊一と佐久病院 <南木佳士>
岩波新書 20080618 徹底して農村にこだわり、地域にこだわり、農村医学という言葉をうみだした。農民の必要を満たすため、一斉健診を組織し、専門医療も手がけ、研究機関も設立し、佐久病院を長野県随一の総合病院にそだてた。 ふつうに良心的な「赤ひげ... -
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久妙寺に生きて <永井民枝>
20080609 古くから伝わる行事や言い伝えは、ムラで生きていくための知恵にあふれている。たとえば、川を神聖なものと考えて、小便をしたり汚いものを流すのは昔はタブーだった。今はそういうタブーがなくなり、ゴミだらけになった。田植えがはじまって「お... -
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竹内好 <鶴見俊輔>
筑摩書房 20080528 魯迅を日本に紹介したことで知られる中国文学者の半生を、鶴見独特の転向論の切り口でえがいている。同じ切り口でえがいた柳宗悦の評伝のほうがわかりやすいが、こちらもおもしろかった。 竹内はニヒルで口下手だった。消極的な理由か... -
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アメノウズメ伝 <鶴見俊輔>
平凡社 20080504 天照大神が洞窟にこもっているのを、半裸でおどって神々の笑いをい、天の岩戸を開けさせた、という女神がアメノウズメだ。神話の女神についての論考かと思ったらさにあらず。歴史上各年代の現代にいたるまでの「アメノウズメ」をとりあげ... -
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物は言いよう <斎藤美奈子>
平凡社 20080525 政治家の妄言、曽野綾子らのはちゃめちゃ意見はもちろん、良識派とされる大江健三郎まで、それらの発言の数々を「フェミコード」という切り口で、なにが問題なのかを切る。 「性別役割分業をみとめないのか」「フェミは全体主義だ」とい... -
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柳宗悦<鶴見俊輔>
鶴見俊輔集続4 柳宗悦・竹内好 筑摩書房 20080511 生活でつかわれる食器などを「民芸」として再評価した、ありがたいけど敷居が高そうな人、という柳宗悦のイメージをくつがえされる。 名をなした晩年の柳宗悦の位置から過去をふりかえって(回想して... -
文化人類学・構造主義
健全な肉体に狂気は宿る<内田樹、春日武彦>
角川oneテーマ21 20080419 「自分」がまずあって、それが世界を切り開く、という「自我」の立場にはたたない。 他者との関係、つながりのなかで「自分」をとらえる。まさに構造主義の考え方なのだろう。 「キャリア形成」とか「自己実現」というのは、「... -
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戦時期日本の精神史1931-1945年 <鶴見俊輔>
岩波現代文庫 20080428 カナダの大学での講義録であり、著者の長年の研究成果をわかりやすくまとめている。 「転向」を悪い意味だけではなく、積極面もとらえる。獄中でたたかいつづけた人だけでなく、妥協をくりかえしながら生き抜いた柔軟さを積極的に... -
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反哲学史 <木田元>
講談社学術文庫 1080329 プラトンのイデア論とかなんとか、説明されれば意味はわかるけど、なぜそんなまわりくどい思考をするのかわからなかった。当時の社会状況をふまえて、なぜそんな思想が出現するのかをわかりやすく説明してくれる。 「ソフィーの世... -
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「気づきの瞑想」で得た苦しまない生き方 <カンポン・トーンブンヌム 上田紀行監修>
佼成出版 20080224 前途有望な青年教師が事故で全身不随となる。絶望のなかで仏教をまなぶうちに「気づきの瞑想」の師にであう。 体と心を観察しなさい。思考を「観なさい」という。苦しいこと腹立たしいことがあったら、そういう思考そのものを観察しな... -
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期待と回想 <鶴見俊輔>
朝日文庫 20080321 .□転向論 父は大正時代の自由主義者で、軍の横暴に批判的で、張作霖爆殺には反対していた。だが、満州事変のころから変節し国策を支持するようになる。捕虜を死刑にせよ、という。一高英法科の首席だった人が大政翼賛になってしまった... -
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「あたりまえ」を疑う社会学 <好井裕明>
光文社新書 20080105 社会学といえば、かつては理論的枠組みとかなんとか敷居が高いイメージがあった。最近は逆に統計調査のような無味乾燥なものが主流をしめている。どちらも好きになれない。「定型」にきりとられた新聞やテレビの「ニュース」にたい... -
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疲れすぎて眠れぬ夜のために <内田樹>
角川文庫 20071222 男らしさ、女らしさ、商人らしさ、農民らしさ……。そういった「らしさ」は多様性をもたらすことになり、人類が存続するための生存戦略上有効だったという。 礼儀正しくしたり、冠婚葬祭で礼装をまとうのは、いらぬ摩擦を生まぬためのひ... -
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死生観を問いなおす <広井良典>
20071202 ちくま新書 時間は絶対的ではない。時間というのは宇宙のはじまりと同時に生まれたのであって、「宇宙のはじまる前」には時間というものがなく、宇宙が消え去れば時間というものはなくなる。 という科学的知見は、長らくヨーロッパ理性の中心を... -
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もう少し知りたい人のための「ソフィーの世界」哲学ガイド <須田朗>
NHK出版 20071107 あなたはだれ? 世界はどこからきた? という質問から入る「ソフィーの世界」。世界は何からできているか、と問いつづけたエジプトの科学者からはじまり、ギリシャのソクラテスにいたってようやく「哲学」が誕生する。 ソフィ... -
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中流の復興 <小田実>
NHK出版生活人新書 200710 行動と哲学的思索とをむすびつけて生き抜いた人であることが、この本を読んでもよくわかる。 デモをせよ。体で表現せよと説く。住民投票の議論がでてくると議員連中はよく「議会制民主主義を軽視するのか」と批判する。おいお... -
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私家版ユダヤ文化論 <内田樹>
文春新書 200710 「ユダヤ人」の定義さえあやふやだ。ユダヤ人というのは結局「○○ではない」「○○ではない」という消去法によって定義するしかない。 西欧の始祖であり、キリスト教の起源である。でも、だからこそ、恨まれつづける、という。 サルトル... -
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権力に迎合する学者たち <早川和男>
20070922 研究テーマは本質的であるか 時代の課題に応えているか 研究は主体的か 研究の方法は科学的・論理的であるか 時代をリードする先頭に立っているか 研究体制は十分か 研究者のよってたつべきこうした原則に、研究者の世界でもマスコミの世界同様... -
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マックス・ウェーバーと近代 <姜尚中>
20070920 姜尚中だから買ったけど、やけに難しい。でもところどころなるほどと思うところもあった。 宗教が、呪術的な宗教から倫理的な宗教へと脱魔術化する。ユダヤ教はそうした役割をはたした。さらに、倫理的な宗教がプロテスタントにすすむと、脱組...