03ジャーナリズム– category –
-
ベストセラー炎上<佐高信、西部邁>
■ベストセラー炎上<佐高信、西部邁>平凡社 20120127 ベストセラーをばっさりと切る対談。佐高の本は読んできたからどんな批評をするか想像がついたが、安定した共同体を重視する「保守」の立場からの西部の語りは新鮮だった。 勝間や竹中、稲盛らへ... -
マイバック・ページ ある60年代の物語<川本三郎>
■マイバック・ページ ある60年代の物語 <川本三郎> 平凡社 201201 60年代に青春時代を送り、朝日新聞に就職し、朝日ジャーナルの記者のときに、自衛官を殺した活動家と逮捕前に取材し警察に通報せず受け取った物を焼却してしまったばか... -
電力と国家<佐高信>
■電力と国家<佐高信>集英社新書 20111124 戦争遂行のため、軍部と革新官僚が手を結んで電力の国家管理を強行した。 それに反対したのが、福沢諭吉の弟子でもある松永安左エ門だった。「官吏は人間のくずである」と言い放ち、戦後も官僚による支配をは... -
インテリジェンス人間論<佐藤優>
■インテリジェンス人間論<佐藤優> 新潮文庫 20111109 インテリジェンスの専門家であり、神学者・哲学者である視点からみた人物論。盟友の鈴木宗男氏をはじめ橋龍や小渕、森喜朗ら歴代総理の観察もおもしろい。安倍晋三や森を一定評価しているのは意... -
日本を滅ぼす「世間の良識」<森巣博>
■日本を滅ぼす「世間の良識」<森巣博> 講談社現代新書 20111020 民営化の本質を「利潤の私益化、費用の社会化」と喝破する。国鉄分割民営化はもちろん、今回の福島原発の事故がその典型だ。「公益法人」の特権による膨大な利益は株主に分配され... -
WikiLeaks ウィキリークス アサンジの戦争<「ガーディアン」特命取材チーム>
■WikiLeaks ウィキリークス アサンジの戦争<「ガーディアン」特命取材チーム デヴィッド・リー&ルーク・ハーディング著> 講談社 20110910 アサンジのイメージといえば、情報の公開の英雄でありながら狂信的であり、犯罪すれすれを歩き、とうと... -
複眼で見よ<本田靖春>
■複眼で見よ<本田靖春>河出書房新社 20110627 単行本になっていなかった原稿を集めた遺稿集。 けんかっ早くて、競馬が大好き。会社をやめて経済的に困窮しながら、「まだまだ捨て切れていない自分」を卑下し、かと思えば「女房がいなくなったら... -
マスコミかジャーナリズムか <本多勝一>
■マスコミかジャーナリズムか <本多勝一> 朝日文庫 20110326 2月の福祉社会学の研究会で刑務所に勤める若者が「理論に飢えてるんです」と言った。タテマエとしての理論は、実はメディアの世界でこそ大事なのではないか、と、その時に思った。... -
私のなかの朝鮮人 <本田靖春>
■私のなかの朝鮮人<本田靖春> 文春文庫 20101127 朝鮮半島で生まれ、終戦で帰国した。肉体労働は朝鮮人がするのが当たり前だったから、山口県に上陸したとき日本人が車夫や人足をしているのを見て衝撃を受けたという。 そんな筆者にとって、在... -
私たちのオモニ <本田靖春>
■私たちのオモニ <本田靖春> 新潮社 1992年以来の再読。 朝鮮半島生まれの日本人である著者は「日系朝鮮人」と自称し、「私のなかの朝鮮人」を書いた。そのときに助言をもとめた金宙泰さん一家を描く。 金さんはまじめ一徹で、儒教の道... -
新聞記者の詩 <本田靖春>
■新聞記者の詩<本田靖春>潮文庫 20100930 大新聞はマンモスだ。大きくなりすぎてあちこちに配慮する結果、無難な記事しかなくなり、読者からどんどん離れる。マンモスが滅亡したように、大新聞は滅亡するしかないのではないか、と著者は考える。... -
評伝今西錦司 <本田靖春>
■評伝今西錦司 <本田靖春> 講談社文庫 20101003 今西の最晩年に京都で同じ空気を吸っていた。講演会の立て看も見たことがあるような気がする。懐かしい空気のその源流を解き明かされたようだ。本田氏が病気だったこともあり、「不当逮捕」や「... -
本田靖春 戦後を追い続けたジャーナリスト
■本田靖春 戦後を追い続けたジャーナリスト 河出書房 20100924 佐野眞一や魚住昭、五木寛之、黒田清らのジャーナリストや作家らが本田氏を振り返る。また、生前の対談や遺稿などをまとめている。 ノンフィクションライターという分野をつくった先駆... -
街場のメディア論 <内田樹>
■街場のメディア論 <内田樹> 光文社新書 20100907 メディアはなぜ危機なのか。ネットや電子端末といった「外」の要因ではなく、メディア内部にこそが原因があるという。 メディアは「世論」を語るものという信憑と、メディアはビジネスだとい... -
警察回り <本田靖春>
■警察回り <本田靖春> 新潮文庫 20100611 「バアさんが死んだ」という書き出しではじまる。バァさんというのは、警察回りの若い記者たちがたむろった、上野にあったトリスバーのママである。当時は30歳代だったが「ばあさん」と記者たちは呼... -
誘拐 〈本田靖春〉
■誘拐 〈本田靖春〉 ちくま文庫 20100531 戦災の跡が残る東京の下町の公園の夕方。そこにいた老人、屋台のラーメン屋、労働者……ら1人1人が見た1963年3月31日の夕方の1時間の描写からはじまる。一気に舞台に引き込まれる。 その1時間の間... -
「戦後」美空ひばりとその時代 <本田靖春>
■「戦後」美空ひばりとその時代 <本田靖春> 講談社文庫 20100525 美空ひばりの生涯を縦糸にとり、それにかかわる人の戦前からの足取りを丹念に記して、「戦後」を浮き彫りにする。 「美空」という芸名、戦後の歌に頻出する「青空」、闇市の別... -
無頼の点鬼薄 <竹中労> 筑摩書房
■無頼の点鬼薄 <竹中労> 20100516 亡くなった人への追悼の辞。さすが竹中、そのなかにも毒がふんだんにこめられる。彼が好きな人間は個人として法律や秩序にとらわれずにたたかった人間である。そのなかには三島由紀夫も入る。逆に嫌うのは、日... -
不当逮捕<本田靖春> 講談社文庫
■不当逮捕<本田靖春> 講談社文庫 20100523 戦後直後、検察に食い込み、昭電疑獄などの事件で特ダネを連発した読売社会部の事件記者・立松和博は、豪放磊落で、カネに糸目をつけず、徹底的に遊び、女という女を落としたが、いつも満たされない何... -
オーウェル評論集1 象を撃つ <ジョージ・オーウェル>
平凡社ライブラリー 20091129 絞首刑のあと、死体の近くで酒を飲み笑いころげる。ロバの死骸が路傍で犬に食われるのを見て腹をたてるのに、薪を背負って運ぶ老婆の存在は意識しない。白人である筆者を尊敬する黒人兵を見て「あといつまでこの人たちを欺... -
若き友人たちへ 筑紫哲也ラスト・メッセージ
<筑紫哲也> 集英社新書 20091127 朝日ジャーナルのころ、すっかりナンパ雑誌になったと思った。ニュース23がはじまったときも、久米宏に比べてパンチがないなあと思った。でもしばらくすると、23のほうがおもしろくなってきた。派手さはないけ... -
逆臣・青木幹雄<松田賢弥>
講談社 20090923 恩人の竹下が亡くなるとその事務所をのっとり、秘書全員を首にして、忠実な秘書だけをふるいわけようとした。小渕が倒れ、言葉も交わせない状態なのに、首相臨時代理の任の指示を受けたと偽って森を首相にかついだ。郵政民営化... -
問答有用 <田中真紀子×佐高信>
朝日新聞社 20090913 おもしろい。田中真紀子はアタマが切れる。 ミニ集会を日常的に開いているから選挙になっても慌てない、という発言は、なるほど、と思った。地元に帰って地元の声をきっちり聴く大切さはいろいろな選挙をみるごとに感じるように... -
アンダーグランド <村上春樹>
1090606 「アンダーグランド」を読む。村上春樹、さすがだ。ただインタビューを並べているだけなのに、ぐいぐいと引き込まれる。ひとひとりの目から見た地下鉄サリン事件を、それぞれの生身の個人の視点から浮き彫りにする。「悲劇の被害者」という型どお... -
砦に拠る〈松下竜一〉
ちくま文庫 20081001 筑後川の上流、阿蘇山北麓の志屋という小さな集落に、下筌ダムと松原ダムという2つのダム建設計画がもちあがった。 主人公の山林地主・室原知幸は、大正デモクラシーの時代に早稲田で政治を学び、「大学さま」と呼ばれる... -
戦争絶滅へ、人間回復へ 93歳・ジャーナリストの発言 <むのたけじ 聞き手 黒岩比佐子>
岩波新書 20080923 戦中に朝日新聞の記者をつとめ、敗戦後、戦争責任をとって30歳で朝日を退職した。以来、東北地方の実家にひっこみ、週刊新聞「たいまつ」を発行しつづけた。生活のめどがたたず一時は自殺しようと思いつめたという。 戦前にマ... -
ジャーナリズム崩壊 <上杉隆>
幻冬舎新書 20080905 ガソリンの暫定税率期限切れで一斉値下げになったとき、新聞は一斉に「混乱へ」と報じた。値下げで混乱するのは、政治家や官僚、一部のガソリン業者だけなのに。いつの間にか、記者が政治家の立場でモノを見ていた。 「インド... -
それってどうなの主義 <斎藤美奈子>
白水社 10080612 空襲を空爆といいかえると、悲劇性が薄れてしまう。「自己責任」を「政府に迷惑をかけるな」と言いかえると、政府の傲慢さがみえてくる……。なんとなくおかしいな、と思いながらもやもやしていたものを筆者はズバリを切りとる。いったいど... -
この国の品質 <佐野眞一>
ビジネス社 20080201 佐野眞一の本は、いつ読んでも刺激にあふれている。彼の言動ひとつひとつが、表面しかとらえる力をもたない今のメディアへの批判である。 東電OL事件のゴビンダは、今も服役している。司法取引にのっていて、再審請求などしなけれ... -
新聞記者 疋田桂一郎とその仕事 <柴田鉄治・外岡秀俊>
朝日新聞社 20071004 体言止めという文体を創造し、かつ、それをみずから捨てた人であり、希代の名文家で知られる。本多勝一氏らの本でしばしばとりあげられ、いくつかの作品は読んでいたつもりだったが、実際に彼の代表的な記事をあつめてならべられて驚...