01思想・人権・人間論– category –
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01思想・人権・人間論
菜園家族宣言 〈小貫雅男 伊藤恵子〉
■菜園家族宣言 〈小貫雅男 伊藤恵子〉 家族はいわば細胞である。外から血液で栄養が運ばれ、細胞質内では生産活動も繰り広げられる。 ところが今、家庭のなかから生産の要素が消え、消費だけになってしまった。細胞質がひからびて細胞壁と核しかなく... -
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日本の行く道 <橋本治>
■日本の行く道 <橋本治> 集英社新書 20100630 ▽今の日本はおかしい、と、老人だけでなく、一線の人が考えるようになった。「疎外感」それは格差の表れ。 ▽43 昔のいじめっ子と今のいじめ。昔のいじめっ子は、孤立した存在で、家庭環境などの... -
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明治・大正・昭和政界秘史 古風庵回顧録 <若槻礼次郎>
■明治・大正・昭和政界秘史 古風庵回顧録 <若槻礼次郎> 20100627 柔軟で優秀だった明治のリーダーたち。外国に学び、なんとか新しい日本をつくろうとした。民法や税制度整備、財政基盤を確立するための地租改正……、若いリーダーたちが捨て身で... -
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打たれ強く生きる <城山三郎>
■打たれ強く生きる <城山三郎> 新潮文庫 20100416 城山が描く政財界の人物は、左遷されたり、不遇をかこったりした人が多い。エリート一直線でまっすぐに出世しました、という人は出てこない。不遇な時期にどうやってすごすかによってその後の... -
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オーウェル評論集3 鯨の腹のなかで <ジョージ=オーウェル>
■オーウェル評論集3 鯨の腹のなかで <ジョージ=オーウェル> 平凡社ライブラリー 20100421 書評集。知らない作家、知っていても2,3作品しか読んでいない作家ばかりで、最初はとっつきにくい。が、ところどころにオーウェルらしい評価が垣... -
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ひと粒の命 加藤歓一郎の遺言〈加藤歓一郎遺徳顕彰会〉
■ひと粒の命 加藤歓一郎の遺言 〈加藤歓一郎遺徳顕彰会〉山陰中央新報 20100417 -
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米原万里を語る <井上ユリ、小森陽一、井上ひさし、吉岡忍、金平茂紀>
■米原万里を語る <井上ユリ、小森陽一、井上ひさし、吉岡忍、金平茂紀> かもがわ出版 20100412 妹の井上ユリは井上ひさしの奥さんで、小森陽一はチェコのソビエト学校以来の弟分で、吉岡忍は兄貴分で、金平茂紀は弟分。義理も他人も含めた兄弟... -
01思想・人権・人間論
無所属の時間で生きる<城山三郎>
■無所属の時間で生きる<城山三郎>新潮文庫 20100411 そろそろ無所属の時間を考えなければいけない。定年になる前に「無所属」になりたい。できたら1,2年うちに。そう思いながら現実的に考えると不安も大きい。所属がないことに不安を覚えるよ... -
01思想・人権・人間論
魂の点火者 奥出雲の加藤歓一郎先生 <福原宣明>
■魂の点火者 奥出雲の加藤歓一郎先生 <福原宣明> 加藤歓一郎は島根県東部の山村出身だ。当時の出雲は、全国でも小作料が高く、貧富の差がきわめて激しい地方だった。加藤も家庭環境には恵まれずに育ち、松江市の師範学校に進学する。札付きの悪だ... -
01思想・人権・人間論
魔女の1ダース-正義と常識に冷や水を浴びせる13章 <米原万里>
■魔女の1ダース-正義と常識に冷や水を浴びせる13章 <米原万里> 愛を説くキリスト教が魔女裁判などで10万人を殺戮した。ナチスにとっての「ユダヤ人」、大日本帝国にとっての「非国民」、ソ連の「トロツキスト」、中国の「反革命分子」、... -
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土と人間への手紙 <稲葉峯雄>
■土と人間への手紙 <稲葉峯雄> 家の光協会 201001 冒頭の「おっかあよ今もんたぞ」という詩は、想い出のなかにある「おっかあ」の姿を細やかに、愛情と哀しさを込めて描く。この本に載っている農協生活指導員への100通の手紙は、愛媛の... -
文化人類学・構造主義
日本辺境論<内田樹>
日本辺境論<内田樹>新潮新書 20100107 江戸時代までは中国を中心とした世界の「辺境」だった。明治以降は欧米中心の世界の「辺境」である。そうした辺境人としての地位が、日本人を一定の枠にはめているとみる。 辺境人は、中心に対して... -
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オーウェル評論集2 水晶の精神<ジョージ・オーウェル、川端康雄訳>
■オーウェル評論集2 水晶の精神<ジョージ・オーウェル、川端康雄訳> 平凡社ライブラリー 200912 どの論考も新鮮で、古さを感じさせない。現代の日本にあてはまる個所がいくつもある。テーマを5つほどにしぼって感想を記したい。 □言葉 あらゆる... -
文化人類学・構造主義
武士道 <新渡戸稲造、矢内原忠雄訳>
岩波文庫 20091217 戦争中、この本が軍人たちの心の支えになったと聞いた。右翼的な本だと思って読んでいなかったが、よくよく見たら著者はキリスト者として有名な新渡戸稲造だ。新渡戸は平和主義であるクエーカー教徒だ。右翼思想とは正反対に位置す... -
文化人類学・構造主義
闘うレヴィ=ストロース<渡辺公三>
平凡社新書 20091230 レヴィ=ストロースは2009年に100歳で死んだ。 構造主義というのは、歴史やら進歩やらを否定し、時代によってさまざまな変化があったとしてもその社会を規定する「構造」は変わらない、という、いわば宿命論に近いと思っ... -
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オーウェル評論集1 象を撃つ <ジョージ・オーウェル>
平凡社ライブラリー 20091129 絞首刑のあと、死体の近くで酒を飲み笑いころげる。ロバの死骸が路傍で犬に食われるのを見て腹をたてるのに、薪を背負って運ぶ老婆の存在は意識しない。白人である筆者を尊敬する黒人兵を見て「あといつまでこの人たちを欺... -
01思想・人権・人間論
福沢諭吉伝説 <佐高信>
角川学芸出版 20091125 民の立場から官に立ち向かう 「平熱の思想家」という位置づけがさすが、と思う。封建制度を人一倍憎み、熱狂的な時代に一人冷静で、〓〓より金儲けのほうがよっぽどよい、と説く。一見「拝金」主義にみえるが、そうではなく、おか... -
01思想・人権・人間論
健全な肉体に狂気は宿る 生きづらさの正体<内田樹 春日武彦>
角川 20091120 人間は困難な状況に直面したとき、自分の世界を狭めるもの--という指摘はドキリとさせられた。しんどくなって人間関係を狭めてしまうのは病んでいる証拠なのだ。 健全な人は、自分の世界が広がっていく人であるという。でも、しん... -
01思想・人権・人間論
世界がわかる宗教社会学入門〈橋爪大三郎〉
ちくま文庫 20091116 世界はつくられたのだから、始まりと終わりがある。それをつくった知性は世界の外側にある。その偉大な知性を神と呼ぶというのが一神教。この世界には始まりも終わりもない。世界も人間も変化しているようで変化していない。究極の... -
01思想・人権・人間論
日本 根拠地からの問い<カンサンジュン、中島岳志>
毎日新聞社 1091031 神風連の乱や西南戦争は、不平士族の反乱と言われるが、「国家」による支配に対するパトリの反乱という側面があるという。この反乱で失敗したことで、武力闘争の道は閉ざされ、自由民権運動が生まれる。 さらに一見、左翼的運動に... -
01思想・人権・人間論
コミュニティを問いなおす--つながり・都市・日本社会の未来 <広井良典>
ちくま新書 1091017 (1)人類史的な次元 (2)ポスト資本主義の次元 (3)日本社会固有の次元 という3つの次元から「コミュニティ」を論じる。 ものごとを細かな要素に切り分けて個別に分析する「近代科学」は地動説をはじめとして「常識... -
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不逞老人 <鶴見俊輔 黒川創>
河出書房新社 20090922 ゴーフル好きのかわいいおじいちゃん。みずからを「不良少年」と称し、父への反発と母へのコンプレクスをおもしろおかしく語る。「父だから母だから、兄弟だからという理由で話が伝わるわけではない。むしろ、父母兄弟だからこ... -
01思想・人権・人間論
マックス・ウェーバー入門<山之内靖>
岩波新書 20090911 学生時代にウェーバーを読んだときは、経済がすべてを決めるというマルクスとちがって、人間の動機とか心が社会の動きに及ぼす作用を大事にしてる人なんだな、くらいしか理解できていなかった。 「価値の自由」という言葉は客観... -
01思想・人権・人間論
国家の罠 <佐藤優>
新潮文庫 20090807 細かな描写。すさまじい記憶力。敵であってもその能力や態度を素直に認め、認めはするけど握手はしない、というギリギリの線引きをする判断力。 自分が獄中にいるとしたら、ぜったい無理だろう。 国策捜査によって、逮捕される。検察の... -
01思想・人権・人間論
村上春樹にご用心 <内田樹>
アルテス 20090729 筆者独特の「他者」論を駆使して村上文学の秘密を解き明かしていく。 なぜ村上文学は世界的になったか。 「父」(=私たちの無能のありようを規定する原理)が登場しないからという。すべての社会集団は、神や予言者や資本主義体制……と... -
01思想・人権・人間論
対論異色昭和史 <鶴見俊輔、上坂冬子>
PHP新書 1090723 鶴見俊輔が、右派の上坂と接点を持っているとは意外だった。 戦争の評価ひとつとっても正反対。上坂は中国との戦争を日本だけが悪いという意見はおかしい、といい、アメリカに押しつけられた憲法なんて改正するべきだ、と述べて... -
01思想・人権・人間論
自壊する帝国 <佐藤優>
新潮文庫 20090721 同志社の神学部をでて、博士課程に進もうと思ったが、あご足つきで海外に行けると聞いて外務省の専門調査員になってモスクワに留学する。普通のういういしい若者でしかない。 モスクワ大でサーシャというおそろしく頭の切れる男... -
01思想・人権・人間論
差別と日本人 <野中広務 辛淑玉>
角川oneテーマ21 20090713 切ない。差別の底からたたかいつづけ、寝業師として、想いを通す。それでも親類からはうとまれ、娘や婿に「野中」を名乗らせない。孫はDAIGOにはならない。「寂しいですよ」と言い合うところ。ぐっとくる。 やさしさ。共感... -
01思想・人権・人間論
大不況には本を読む <橋本治>
中公新書ラクレ 20090712 「本はそこになにが書かれていないかを知るために読む」。なるほど、と思う。 書いてあることをなぞるだけでは、「過去」をなぞることにしかならない。書かれていないこと、行間を読みとることで、新しいナニカの発見に導... -
01思想・人権・人間論
文学地図 大江と村上と20年 <加藤典洋>
朝日新聞出版 20090320 村上春樹が「ノルウェイの森」を書き、大江が村上の非政治性・社会に対する受動的姿勢を批判してから「大江か村上か」という構図が世間で明確になった。 筆者はしかし、大江と村上の類似性に焦点を当てる。 筆者によると...