04民俗・食– category –
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04民俗・食
「真宗移民」の歴史から何を学ぶか 報徳仕法の原動力にもなった宗教移民の研究を眺望する<太田浩史>
福島第一原発事故の取材で訪れた南相馬市は、外の人も受け入れる気さくな人が多かった。昔から外からの人をうけいれてきたからだという。 江戸末期には間引きなどによる人口減少で荒廃していたムラを、北陸や新潟からの「真宗移民」が再生させた歴史が... -
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森のめぐみ 熊野の四季を生きる<宇江敏勝>
■20230405岩波新書 大塔山は、古座川町、熊野川町、本宮町、大塔村の4町村(平成の合併以前)にまたがり、ふもとは照葉樹林、頂上ちかくは東北の山のようなブナ林が広がる。熊野の自然の多様性を象徴するような山だ。 山仕事をしながら山民について多く... -
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最後の人 詩人・高群逸枝<石牟礼道子>
■藤原書店202303 高群逸枝と石牟礼道子は出会ってはいない。でも石牟礼は高群を母か姉のように思い、逸枝とその夫の橋本憲三は石牟礼のことを後継者のようにかんじていた。 逸枝が亡くなった2年後の1966年、道子は逸枝と憲三の住まいだった東京・世田谷... -
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新版 死を想う われらも終には仏なり<石牟礼道子、伊藤比呂美>
■平凡社新書 20230319 シャーマンのような石牟礼と、娘世代の詩人伊藤の「死」をめぐる対談。 いつも「死」の隣にいて、死のうとする人によりそい、自らも自殺未遂をくりかえした石牟礼だからこそ、伊藤の「死」についての直球の疑問に真正面からこた... -
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黒神<大重潤一郎監督>
「久髙オデッセイ」をつくった監督の処女作は一度見てみたかった。 舞台は桜島の集落。おばあさんがサツマイモの畝をたて、貧しい夫婦が山刀をふるって山をおおう雑木の藪をひたすら伐採する。若い妻が櫓をこぎ、夫が漁をする。 映像にひきこまれるの... -
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巡礼の家<天童荒太>
■20230225 舞台は道後温泉の宿「さぎのや」。 水害で兄以外の家族を亡くした15歳の雛歩は、お世話になっていたおじの家の認知症のおじいさんを「殺して」家を飛び出し、山でたおれているところを「さぎのや」のおかみに救われる。 さぎのやは、帰る場所... -
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ナチスのキッチン「食べること」の環境史<藤原辰史>
■共和国20230212 日本の公団団地やマンションのダイニングキッチンや「システムキッチン」は、20世紀前半のドイツの合理的キッチンがモデルという。そのキッチンはアウトバーンと同様、ナチスがつくったものだったというストーリーかと思ったらむしろ逆だ... -
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消えゆく“ニッポン”の記録~民俗学者・神崎宣武~
■ETV 230212 宮本常一の弟子だった民俗学者の神崎宣武さんは、郷里の岡山・美星町の宇佐八幡神社で神主をしながら東京を拠点に全国の民俗を調査している。東京の花柳界やテキヤなども調査し、これまでに60冊以上の本を書いてきた。 神崎さんという民... -
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昭和・東京・食べある記<森まゆみ>
■朝日新書 230105 東京のまんなかでそだった筆者だから書けた本。子どものころつれていってもらった店がいくつも登場する。 神田の藪そばは有名だけど、浅草の藪、池之端の藪、アメ横の上野の藪もあるとは知らなかった。 浅草の食通通りにある「ぱいち... -
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「美食地質学」入門 和食と日本列島の素敵な関係<巽好幸>
■光文社新書221212 日本食が豊かになったのは明治以降、早く見積もっても江戸期以降だから、「日本食が豊かなのはこの地質のおかげ」とは言い切れないと思うけど、発想のしかたはおもしろい。 ごく簡単に結論をかくならば、4枚のプレートがひしめきあい... -
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京都不案内<森まゆみ>
■世界思想社 221207 京都には計6年すんでいたから、見知った店や地名、人があちこちにでてきてそれを見るだけでなつかしい。住民でも意外に知らない歴史や「裏話」があちこちに埋まっている。それに筆者の建築や町並みの知識が加わって、生活者視点で京... -
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ラーメンの歴史学 ホットな国民食からクールな世界食へ<バラク・クシュナー>
■明石書店2210 数十年前までは、生魚を素材にするすしに不快感を覚える人が世界中に多かったが、今や、すしを食べるのは粋なコスモポリタンとなり、和食がユネスコの無形文化遺産になった。ラーメンも「和食」の一部として世界中で愛されている。そのラ... -
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黒潮ストリート<平田毅>
■ぷねうま舎202208 カヤックで岬にちかづくと波がたかくなり、目の高さに近いうねりがわれてデッキをたたく。ひたすらこげばよいが、手を休めたら転覆する。 岬の先端では波の鼓動のリズムがかわる。南方の台風からのうねりをかんじる。 無防備でむき... -
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近江商人学入門<末永國起>
■淡海文庫 20210924 近江商人の出身地は、琵琶湖の湖西の高島、蒲生郡の八幡と日野、神埼郡の五個荘、愛知郡の愛知川沿いから犬上郡、機業地の長浜周辺にいたる地域にひろがっている。渡来人によって開かれた古代以来の近江の先進性を基盤に、中世には... -
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日本探検<梅棹忠夫>
■講談社学術文庫20220906 知識は、あるきながらえられる。あるきながら本をよみ、よみながらかんがえ、かんがえながら歩く。これは、いちばんよい勉強の方法だとわたしはかんがえている-- あるきながら思想をふかめ、「日本」の文化や歴史の構造を発... -
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チロンヌプカムイ イオマンテ(映画)
■20220713「チロンヌプカムイ イオマンテ」というキタキツネの霊送りの祭礼が1986年、屈斜路湖を望む美幌峠で75年ぶりに催された。 アイヌの伝統的な考え方では、動物は自分の肉や毛皮をみやげにして人間の国へやってくる。 我が子のようにかわい... -
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文覚 人物叢書<山田昭全>
■吉川弘文館 20220713 30年以上前、隠岐の「文覚窟」という洞窟近くでキャンプをした。京都から流された坊さんだとは聞いたが、平家物語にもでてくる有名な人だとは考えもしなかった。 文覚は私の好きな明恵上人の師匠にあたり、伝説に彩られているが... -
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にっぽん情哥行<たけなか・ろう>
■ミュージックマガジン 20220704 民謡の元歌は春歌であることのほうが多いのだから、春歌を切り棄てると、いつどこで歌が生まれたのかわからなくなってしまう。秋田音頭はもとは春歌の親玉であり、夜ばいから夫婦生活、老人セックスまでうたっていた。 ... -
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にっぽん春歌紀行<野坂昭如>
■ちくま文庫20220707 野坂昭如は、戦災で妹を亡くした経験を「火垂るの墓」に書き、小説家だけではなく歌手や参院議員もつとめた。 卑猥な歌詞だからこそ生活感情がこめられている。それを文部省やNHKが変更し禁ずることに怒る。 柳田国男らは生活に根... -
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暮らしの中の文化人類学<波平恵美子>
■福武書店20220503 気鋭の文化人類学が「暮らしと文化人類学」のつながりについて1980年代に新聞に連載したもの。 ふだんは貧しい食事なのに冠婚葬祭にどんちゃん騒ぎをする。数年に一度の行事のために豪華な食器をそろえる……そうした「因習」をやめるこ... -
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人類と建築の歴史<藤森照信>
■ちくまプリマー新書 20220420 旧石器時代から現代まで、建築のあり方がどう変化したかを俯瞰する。 旧石器時代は世界どこでも円形の家に住み、柱を立てて祈った。2歩目の青銅器時代の四大文明と、3歩目の四大宗教の時代で地域による差異が最大となり... -
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民俗学入門<菊地暁>
■岩波新書20220403 宮本常一や柳田国男ら、民俗学者ちの本は読んできたが「民俗学」の定義は考えたことがなかった。 柳田は、過去を知ることがよりよい社会をつくる力になると考えたが、今の民俗学は古くさい習俗を記録しているイメージしかない。 だ... -
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共同店ものがたり 沖縄で100年続くコミュニティビジネス <監修・宮城能彦(沖縄大学地域研究所)>
■季刊カラカラ別冊 1906年4月、奥集落で雑貨商を営んでいた糸満盛邦は、利益を人々に還元する方法を模索した結果、店を提供してむらの共同事業として経営することを思いついた。「奥共同店」発足。 山原船3隻を所有して経営をつづけ、1911年、薪・炭・... -
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沖縄の神と食の文化<赤嶺政信>
■青春出版社(20030415) ▽73 巨大な墓 風葬・洗骨は1955年ごろまでつづいた。棺ごと墓室に入れて風化するのを待って洗骨する。そのスペースが必要だ。洗骨後は厨子がめに入れて安置するが、火葬よりも骨の量が圧倒的に多くなる。▽亀甲墓と破風墓がある... -
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沖縄の食の本3冊(図書館で)
■九州・沖縄 食文化の十字路<豊田謙二>築地書館 2009/3/20 奄美は1953年に本土に復帰した。その際の特別措置として、糖蜜を使う蒸留酒の伝統が考慮され、「黒糖焼酎」が酒税法上「しょうちゅう」と認められた。砂糖黍のキビ汁では「ラム酒」になる... -
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みんな彗星を見ていた 私的キリシタン探訪記<星野博美>
■文春文庫20220112 筆者自身のミッション系の学校での経験、祖父が漁師をしていた外房・御宿で1609年に南蛮船が難破した事実、留学した香港と澳門の経験、キリシタンへの興味からはじめたリュート……。 筆者自身の経験と、キリシタンの歴史が少しずつから... -
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身体論のすすめ<京都大学人文科学研究所共同研究班「身体の近代」菊地暁編>
■京大人気講義シリーズ 20211231 江戸時代までの日本人は、同じ側の手と足を同時に前後させる「なんば」という歩き方だった。明治の徴兵制と教育によって今の歩き方になり、「体育座り」も生まれた……。 そういった、所作の変化によって文化が変化する、... -
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生命の医と生命の農を求めて<梁瀬義亮>
■地湧社 20211215 梁瀬は、日本で最初に農薬の害を告発した医師だ。彼について書かれた本はいくつか読んだが、本人が書いたこの本がもっともインパクトがあった。 浄土真宗の寺に生まれ、16歳のとき病気になり漢方医にいくと「白砂糖のたべすぎ」と指... -
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愛農救国の書<小谷純一>全国愛農会
全国愛農会をつくった小谷純一氏(2004年10月1日死去)による愛農運動の原典の改訂増補版。1978年に出版された。 17歳の時から「人間はどう生きるべきか」「どのようにしたら自分の村を改善し理想の農村を建設することができるか」を探究し、「日本の農... -
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青い目の近江商人 メレル・ヴォーリズ<岩原侑>
■文芸社20211031 筆者(1934〜2018)は、近江兄弟社を社長として倒産の危機から救った立役者。 ヴォーリズの建築は有名だけど、彼が近江兄弟社の創始者とは知らなかった。 近江兄弟社の名も、近江さんという兄弟がつくった会社だと思っていたが、「人...