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文化人類学・構造主義
他者と死者 <内田樹>
海鳥社 20081030 「師=死者=他者」というのが、この本の骨格のような気がする。「他者」とは、「私」には絶対的に理解できない境地にある絶対的な存在であり、ラカンの言う「象徴界」(その反対が「想像界」)もほぼ同様の意味である。難解なレヴィ... -
01思想・人権・人間論
反哲学入門 <木田元>
新潮社 20081104 古来、人間は現実の世界・自然にどっぷり浸かっていた。自然とはそこから生まれいずるもの、「なる」ものであるとされた。 ソクラテス・プラトンにはじまる哲学は「存在するもの全体がなんであるか」と問い、自然から切り離された... -
01思想・人権・人間論
臨床の知とは何か <中村雄二郎>
岩波新書 20081017 近代科学は、「客観主義」の名のもとに「専門」という蛸壺にはまり、「現実」そのものを見なくなってしまった。全体をバクっととらえる目(生命そのものの全体を見る目)を失い、観察者である私たちも観察対象に影響を与えていると... -
05環境・農業
砦に拠る〈松下竜一〉
ちくま文庫 20081001 筑後川の上流、阿蘇山北麓の志屋という小さな集落に、下筌ダムと松原ダムという2つのダム建設計画がもちあがった。 主人公の山林地主・室原知幸は、大正デモクラシーの時代に早稲田で政治を学び、「大学さま」と呼ばれる... -
12小説・エッセー
メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか <明川哲也>
文春文庫 20081008 日本では、年間3万人が自殺している。3年間で10万人の市がひとつ消滅すると考えると、そのすさまじさがわかる。たぶん自殺未遂や、けがして生き残った人はこの何倍にものぼるのだろう。 世界を見比べると、ロシアや東欧など... -
03ジャーナリズム
戦争絶滅へ、人間回復へ 93歳・ジャーナリストの発言 <むのたけじ 聞き手 黒岩比佐子>
岩波新書 20080923 戦中に朝日新聞の記者をつとめ、敗戦後、戦争責任をとって30歳で朝日を退職した。以来、東北地方の実家にひっこみ、週刊新聞「たいまつ」を発行しつづけた。生活のめどがたたず一時は自殺しようと思いつめたという。 戦前にマ... -
01思想・人権・人間論
姜尚中の青春読書ノート <姜尚中>
朝日新書 20080920 気鋭の政治学者であり、専門の論文は難解なことを書いているのに、自らを語るときはみずみずしく若々しい悩みに満ちている。東大という象牙の塔のなかで、なぜこんな感性をもちつづけることができるだろう。その答えの一部は「在日... -
文化人類学・構造主義
街場の中国論 <内田樹>
ミシマ社 200809 中国数千年の歴史をつらぬく「パターン」(=変化する仕方)として、まず、「易姓革命論」をあげる。王朝の天命が尽きれば王位を譲らなければならない。譲位を拒否した場合は、その王を伐つことは天理にかなった行為とされる。だから... -
03ジャーナリズム
ジャーナリズム崩壊 <上杉隆>
幻冬舎新書 20080905 ガソリンの暫定税率期限切れで一斉値下げになったとき、新聞は一斉に「混乱へ」と報じた。値下げで混乱するのは、政治家や官僚、一部のガソリン業者だけなのに。いつの間にか、記者が政治家の立場でモノを見ていた。 「インド... -
文化人類学・構造主義
こんな日本でよかったね 構造主義的日本論 <内田樹>
木星叢書 20080830 私たちの感受性も観察眼も属している文化によって規定さており、客観的な視点や歴史観などありえないことを説いた「構造主義」、あらゆる制度の起源に「身体的感覚」をもとめる思考と、「存在しないのだけれど、存在する」というねじれ... -
09中南米
世界を変えた野菜読本 <シルヴィア・ジョンソン>
晶文社 20080806 トマトがないころ、イタリア人はクリームやチーズや野菜で作ったソースをパスタにかけていた。麻婆豆腐などの四川料理も、トウガラシがなかったから山椒の辛みしかなかった。インド料理も、黒胡椒やクミン、コリアンダー、生姜で辛みをだ... -
12小説・エッセー
神々の山嶺 上下 <夢枕獏>
集英社文庫 20080819 たかだか3000メートルの山でも、重いリュックを背負ったまま中腰になってカメラをかまえ数秒息を止めるだけで何度も荒い息をつかなければならない。3700メートルのラサでは、4キロ坂をのぼるのがしんどい。5000メートル... -
09中南米
わが夫、チェ・ゲバラ 愛と革命の追憶 <アレイダ・マルチ>
後藤政子訳 朝日新聞社 200807 チェ・ゲバラの妻アレイダ・マルチは、40年近くも、チェの思い出を語ろうとしなかった。胸の中にためた個人的な思い出を一気にはきだした本である。 完成された革命家としてのチェではなく、たえず自らを成長させつづけ... -
文化人類学・構造主義
狼少年のパラドクス ウチダ式教育再生論 <内田樹>
朝日新聞社 20080809 明治以来、日本の教育は管理しやすい「小粒の人間」をそろえ、「みんなとおなじ」という均質化することを目標にしてきた。それがみごとにうまくいき、うまくいきすぎたことが、最近の教育問題だという。 「小さい粒」は管理しやすい... -
04民俗・食
炉辺夜話 日本人のくらしと文化 <宮本常一>
20080709 河出書房新社 他者に依存したり卑屈になったりするのではなく、主体性をもち自立したヒト・コミュニティが外の文化を積極的に吸収することによって、文明・文化は進歩し、コミュニティは発展する。そうした取り組みのつみかさねが「伝統」を形づ... -
04民俗・食
調査されるという迷惑 <宮本常一 安渓遊地>
みずのわ出版 200807 安渓さんという山口県立大の先生は、伊谷純一郎や宮本常一の薫陶をうけた人類学者で、アフリカや西表島でフィールドワークをしてきた。「バカセならいっぱいくるぞ」という痛烈な言葉でむかえられ、いったいその調査は地元に役立つの... -
05環境・農業
生活環境主義でいこう <嘉田由紀子語り 古谷桂信構成>
20080715 岩波ジュニア新書 嘉田氏は新幹線の新駅着工をとめ、ダムの建設に異を唱える話題の滋賀県知事である。この本を読むと、彼女はまさに、フィールドワーカーとして滋賀県の隅々まで歩いた滋賀県版の宮本常一であることがよくわかる。 埼玉の農家に... -
10経済
福祉社会 社会政策とその考え方 <武川正吾>
有斐閣アルマ 20080626 「福祉社会」とはなにかを知るための概説書。けっしてわくわくする本ではないが、効率的であるはずの官僚組織が硬直化し、福祉を進展させるうえで障害となってしまう過程をウェーバーの理論をもとに論ずる部分などは、興味深かった... -
07地方自治・行政
沢内村奮戦記〈太田祖電、増田進、田中トシ、上坪陽、田邊順一〉
あけび書房 20080605 いちはやく老人医療費の無料化を実現したことで知られる岩手県沢内村の歴史を、元村長、医師、保健師といった人たちがオムニバス形式でえがく。田邊氏の写真も心をうつ。 「老人医療の無料化」は、徹底的に草の根レベルでかたりあい... -
06福祉・災害・住宅
ハンセン病とともに心の壁を超える<熊本日日新聞社>
岩波書店 20080612 熊本の新聞社のルポをまとめた。新聞記事はえてして型にはまってしまうことが多いが、この本は、新聞社自らの責任をも追求し、自己切開し、マスコミも「個」が大切であると言い切っている。ハンセンの問題は、個人・組織・社会の本物と... -
03ジャーナリズム
それってどうなの主義 <斎藤美奈子>
白水社 10080612 空襲を空爆といいかえると、悲劇性が薄れてしまう。「自己責任」を「政府に迷惑をかけるな」と言いかえると、政府の傲慢さがみえてくる……。なんとなくおかしいな、と思いながらもやもやしていたものを筆者はズバリを切りとる。いったいど... -
06福祉・災害・住宅
信州に上医あり 若月俊一と佐久病院 <南木佳士>
岩波新書 20080618 徹底して農村にこだわり、地域にこだわり、農村医学という言葉をうみだした。農民の必要を満たすため、一斉健診を組織し、専門医療も手がけ、研究機関も設立し、佐久病院を長野県随一の総合病院にそだてた。 ふつうに良心的な「赤ひげ... -
04民俗・食
ジャガイモのきた道–文明・飢饉・戦争 <山本紀夫>
岩波新書 20080603 穀物じゃないと文明はできない、と言われてきた。麦や米などの穀物は貯蔵できるから、富の蓄積になる。多くの人口も養える。それに対して芋は、単位面積あたりの収穫量は多いけど、水分が多いから貯蔵がきかない。だから、文明の発祥に... -
04民俗・食
久妙寺に生きて <永井民枝>
20080609 古くから伝わる行事や言い伝えは、ムラで生きていくための知恵にあふれている。たとえば、川を神聖なものと考えて、小便をしたり汚いものを流すのは昔はタブーだった。今はそういうタブーがなくなり、ゴミだらけになった。田植えがはじまって「お... -
01思想・人権・人間論
竹内好 <鶴見俊輔>
筑摩書房 20080528 魯迅を日本に紹介したことで知られる中国文学者の半生を、鶴見独特の転向論の切り口でえがいている。同じ切り口でえがいた柳宗悦の評伝のほうがわかりやすいが、こちらもおもしろかった。 竹内はニヒルで口下手だった。消極的な理由か... -
20映画・美術館など
今夜列車は走る
鉄道マンはみな家族のようなものだった。同じ釜のメシを食い、組合で議論し、泣き笑い……。それがある日、鉄道が廃止されることになる。組合幹部の言うままに、自主退職して金銭を獲得する道を1人をのぞいてみながえらぶ。 職をうしなった男たち。ある男は... -
07地方自治・行政
島に生きる 魚島村長の離島過疎振興記おもろい村長の夢 <佐伯増夫>
20080522 瀬戸内海の真ん中、どこからも高速船で1時間かかる孤立した村。そんな離島の村で下水道100%、電話普及率日本一、CATV導入、Iターンの呼びこみ……といったユニークな村おこしを実践してきた村長の体験記だ。 「村」という自治体だったか... -
01思想・人権・人間論
アメノウズメ伝 <鶴見俊輔>
平凡社 20080504 天照大神が洞窟にこもっているのを、半裸でおどって神々の笑いをい、天の岩戸を開けさせた、という女神がアメノウズメだ。神話の女神についての論考かと思ったらさにあらず。歴史上各年代の現代にいたるまでの「アメノウズメ」をとりあげ... -
01思想・人権・人間論
物は言いよう <斎藤美奈子>
平凡社 20080525 政治家の妄言、曽野綾子らのはちゃめちゃ意見はもちろん、良識派とされる大江健三郎まで、それらの発言の数々を「フェミコード」という切り口で、なにが問題なのかを切る。 「性別役割分業をみとめないのか」「フェミは全体主義だ」とい... -
12小説・エッセー
趣味は読書 <斎藤美奈子>
平凡社 20070515 批判のしかた、切れ味が鋭い。右翼の「新しい歴史教科書」から左翼の「金曜日」までバサリバサリと切りおとし、「いい人」の象徴のような大江健三郎や茨木のり子でさえも容赦しない。 たとえば、天声人語がべたぼめした茨木のり子の詩。 ...