MENU

陸にあがった軍艦  <新藤兼人原作、山本保博監督 >

 200709

滑稽すぎる訓練。それをまじめな訓練と思わなければならなかった滑稽。ノーといえない組織・国がつくりあげた戯画。木でつくった戦車にむかって、たこつぼからでて、駆け足で接近し、円盤状の地雷をなげつける。その前に9割9分の兵士は殺されることだろう。
靴を逆さまにはいて、退却しているとみせかけて攻撃する、などというのはもう、漫才の領域だ。
そんなお笑いのような世界が現実に存在し、その存在に対して異議をとなえた人間はすさまじい拷問をうけ、ときに殺された。骨の髄にまで浸透した独裁国家のこわさと滑稽さがよくわかる。
外地にいっていないから悲惨な戦闘シーンはない。悲惨なのは、都市にすんでいただれもが被った空爆の恐怖におののく映像くらいだ。目に見える「悲惨さ」よりも、骨の髄随にまでしみわたった独裁軍事国家の滑稽さとこわさを表現している。
拷問をうけて、盗みの容疑を認めさせられ、軍法会議で逆転無罪になったものの、廃人同様になってかえってきた兵士のその後をきちんと描写してほしいと思った。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次