1070823
日系米国人の撮った広島・長崎。
被害者の側だけでなく、エノラゲイの搭乗員らへのインタビューをしっかりとっているのがよい。
着実にあたえられた任務を遂行した彼らは今も、「後悔はしていない」「悪夢も見ない」という。でも同時に、爆弾投下のときの威力を間近にみたときの怖れが口をついてでてくる。「イラクに原爆をつかえというやつがいるけど、原爆を知らないからいえるんだ」とも。
善悪ではなく、個々人の体験を綿密に記録することが、哀悼につながる。非戦の思想につながる。加藤典洋のいっていることがわかる。被害者の悲惨だけでなく、加害者側からも、その当事者の気持ちによりそって記録することの大切さがわかる。
映画は、現代の東京の若者が「8月6日」の意味をとわれて「わからない」と答える場面からはじまり、真珠湾攻撃にうつる。いかに日本が「現代の技術と2000年前の精神をもった」狂信的な国であるかを知らせる当時の映像を紹介し、大統領らの演説をおりまぜる。
じょじょに核心へ。投下した側の映像をしめし、そのときの様子を上空からと地上からの証言で再現し、黒こげになった遺体などの写真を最初は遠慮がちに、しだいにたたみかけるように画面にだす。
被爆者の証言のなかでは、「はだしのゲン」の中沢氏の証言がとりわけ迫力があった。
米国の映画だから、現代日本の若者風俗の描写ではじまり、最後も若者風俗の場面でおわる。これは外国人の目からみると「今」の日本と過去の日本を比較するうえで必要なものなのだろうが、日本人にとっては蛇足に思えた。
コメント