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世界がわかる宗教社会学入門〈橋爪大三郎〉
ちくま文庫 20091116 世界はつくられたのだから、始まりと終わりがある。それをつくった知性は世界の外側にある。その偉大な知性を神と呼ぶというのが一神教。この世界には始まりも終わりもない。世界も人間も変化しているようで変化していない。究極の... -
道路をどうするか <五十嵐敬喜 小川明雄>
岩波新書 1091101 ▽15 1952年の新道路法は、田中角栄議員らが提出した。これによって道路建設の補助金制度を設けた。これが新たな中央集権の出発点。補助金ほしさに上京をくり返す年中行事はここからはじまった。 ▽20 1953年提出の道路整備費の財... -
日本 根拠地からの問い<カンサンジュン、中島岳志>
毎日新聞社 1091031 神風連の乱や西南戦争は、不平士族の反乱と言われるが、「国家」による支配に対するパトリの反乱という側面があるという。この反乱で失敗したことで、武力闘争の道は閉ざされ、自由民権運動が生まれる。 さらに一見、左翼的運動に... -
なぜ日本は行き詰まったか <森嶋通夫>
日本では儒教が、忠君愛国を正当化し国内統一を果たす役割を果たした。武士階級を大学卒業生という知識階級に発展的に解消させたことが、封建主義を資本主義に転換させることにつながった。政治家も官僚も国営企業の首脳も国会議員も学者も……武士出身で... -
コミュニティを問いなおす--つながり・都市・日本社会の未来 <広井良典>
ちくま新書 1091017 (1)人類史的な次元 (2)ポスト資本主義の次元 (3)日本社会固有の次元 という3つの次元から「コミュニティ」を論じる。 ものごとを細かな要素に切り分けて個別に分析する「近代科学」は地動説をはじめとして「常識... -
離島発 生き残るための10の戦略 <山内道雄>
NHK出版 生活人新書 1091004 三位一体の改革で交付金が減らされ、基金が取り崩され、いつ破綻してもおかしくない状況に追い込まれた市町村に、「平成の合併」がおそった。合併しても改善は望めない、かといってこのままでは破綻してしまう。じり... -
不逞老人 <鶴見俊輔 黒川創>
河出書房新社 20090922 ゴーフル好きのかわいいおじいちゃん。みずからを「不良少年」と称し、父への反発と母へのコンプレクスをおもしろおかしく語る。「父だから母だから、兄弟だからという理由で話が伝わるわけではない。むしろ、父母兄弟だからこ... -
逆臣・青木幹雄<松田賢弥>
講談社 20090923 恩人の竹下が亡くなるとその事務所をのっとり、秘書全員を首にして、忠実な秘書だけをふるいわけようとした。小渕が倒れ、言葉も交わせない状態なのに、首相臨時代理の任の指示を受けたと偽って森を首相にかついだ。郵政民営化... -
マックス・ウェーバー入門<山之内靖>
岩波新書 20090911 学生時代にウェーバーを読んだときは、経済がすべてを決めるというマルクスとちがって、人間の動機とか心が社会の動きに及ぼす作用を大事にしてる人なんだな、くらいしか理解できていなかった。 「価値の自由」という言葉は客観... -
問答有用 <田中真紀子×佐高信>
朝日新聞社 20090913 おもしろい。田中真紀子はアタマが切れる。 ミニ集会を日常的に開いているから選挙になっても慌てない、という発言は、なるほど、と思った。地元に帰って地元の声をきっちり聴く大切さはいろいろな選挙をみるごとに感じるように... -
庶民の発見〈宮本常一〉
講談社学術文庫 20090907 ▽13 昭和19年、民俗採集の旅行ができなくなったので、奈良県の田舎の中学につとめることに。生徒たちが敗戦の日に失望しないように、戦争の状況についてよくはなし、戦場における陰惨な姿について毎時間はなしてきかせた... -
風の歌を聴け 1973年のピンボール <村上春樹>
講談社文庫 1090810 一部の人にしかわからに固有名詞やテクニカルタームがたくさんでてくる。エルビスくらいはまだわかるが、ディランの「ナッスヴィル・スカイライン」と言われてもわからない。「ギムレット」も酒を飲まない人には知られていないだろう... -
国家の罠 <佐藤優>
新潮文庫 20090807 細かな描写。すさまじい記憶力。敵であってもその能力や態度を素直に認め、認めはするけど握手はしない、というギリギリの線引きをする判断力。 自分が獄中にいるとしたら、ぜったい無理だろう。 国策捜査によって、逮捕される。検察の... -
村上春樹にご用心 <内田樹>
アルテス 20090729 筆者独特の「他者」論を駆使して村上文学の秘密を解き明かしていく。 なぜ村上文学は世界的になったか。 「父」(=私たちの無能のありようを規定する原理)が登場しないからという。すべての社会集団は、神や予言者や資本主義体制……と... -
対論異色昭和史 <鶴見俊輔、上坂冬子>
PHP新書 1090723 鶴見俊輔が、右派の上坂と接点を持っているとは意外だった。 戦争の評価ひとつとっても正反対。上坂は中国との戦争を日本だけが悪いという意見はおかしい、といい、アメリカに押しつけられた憲法なんて改正するべきだ、と述べて... -
自壊する帝国 <佐藤優>
新潮文庫 20090721 同志社の神学部をでて、博士課程に進もうと思ったが、あご足つきで海外に行けると聞いて外務省の専門調査員になってモスクワに留学する。普通のういういしい若者でしかない。 モスクワ大でサーシャというおそろしく頭の切れる男... -
差別と日本人 <野中広務 辛淑玉>
角川oneテーマ21 20090713 切ない。差別の底からたたかいつづけ、寝業師として、想いを通す。それでも親類からはうとまれ、娘や婿に「野中」を名乗らせない。孫はDAIGOにはならない。「寂しいですよ」と言い合うところ。ぐっとくる。 やさしさ。共感... -
バーナードリーチ日本絵日記 <バーナード・リーチ>
講談社学術文庫 20090517 昭和9年以来19年ぶりに昭和28年2月に来日する。29年の11月末に帰国するまでの1年10カ月の日記などをまとめた。(67歳)だった。 〓年の記録。柳宗悦 濱田〓 河井寛次郎 武者小路実篤らのスケッチ 志... -
大不況には本を読む <橋本治>
中公新書ラクレ 20090712 「本はそこになにが書かれていないかを知るために読む」。なるほど、と思う。 書いてあることをなぞるだけでは、「過去」をなぞることにしかならない。書かれていないこと、行間を読みとることで、新しいナニカの発見に導... -
遠い太鼓 <村上春樹>
講談社文庫 1090709 40歳をはさむ3年間、イタリアやギリシャに住んだ体験をつづったエッセー集。 40歳を前になにかを変えなければ……と思って妻と2人で欧州にわたった。その動機がまず共感できる。ミドルエイジクライシスじゃないけど、なにか竹の節... -
国際経済学入門 グローバル化と日本経済 <高橋信弘>
ナカニシヤ出版 20090613 「中学生にもわかる」というほど簡単ではない。とくに前半の数式の説明はじっくり読まないと理解できない。でも、貿易がもたらす効用とか、比較優位といった概念がどういう計算から生みだされるかがわかっておもしろい。 後段の... -
ノルウェーの森 上・下 <村上春樹>
講談社文庫 20090616 おもしろい。切ない。哀しい。 村上春樹の作品で最初に読んだのは「羊をめぐる冒険」だった。次はノモンハンを描いた作品、それから「アンダーグランド」。どれもおもしろい。「ノルウェーの森」は彼には珍しく、リアルで現実的な小... -
アンダーグランド <村上春樹>
1090606 「アンダーグランド」を読む。村上春樹、さすがだ。ただインタビューを並べているだけなのに、ぐいぐいと引き込まれる。ひとひとりの目から見た地下鉄サリン事件を、それぞれの生身の個人の視点から浮き彫りにする。「悲劇の被害者」という型どお... -
■むすんでひらいて 高齢日本1しまねの模索 <中国新聞松江総局>
松江今井書店 20090420 1998年出版 介護保険前後の島根県の高齢福祉の現場を丹念に歩いている。今となっては古い部分もあるが、それぞれの住民が、市町村が、迷いながらも築きあげつつあった福祉の姿が描かれている。問題はこの後だと思う。介護保険... -
隠岐共和国ふたたび 「隠岐学セミナー」での出会い <牧尾実>
論創社 20090502 隠岐の島で隠岐堂書店という本屋を営む人が書いた。 幕末に郡代を追い出して80日間だけできた「コミューン」の歴史を再検証し、単なる恥ずかしい一揆だと思っていたものが実は歴史上先進的な取り組みだったことを知る。 歴史をちがう角... -
四国八十八カ所 <石川文洋>
岩波新書 20080502 とくに文章がうまいわけではない。写真がすごいわけでもない。でも引き込まれ、共感してしまうのは筆者の素朴なやさしさがにじみでているからだろう。 懐かしい風景。懐かしい宿。花やチョウの息吹に小さな感動を覚え、お接待に戸惑い... -
才能を伸ばす4つの「アホ」力 <板野博行>
サンマーク出版 20090502 なんでもメチャクチャやってみろ。考える前に動け。それで失敗するならそれは糧になる。「とりあえずアホになっやる」ことを説く。 漫画家になるため高校を中退して新宿のラーメン屋で働いて8カ月で挫折する。もう一度高校1年... -
大森哀愁浪漫 芋代官 井戸平左衛門 <小笠原秀昱>
20090502 日本中で餓死が相次いだ享保の大飢饉の前後、幕府の天領である石見国の銀山領に赴任した60歳の代官・井戸平左衛門は、役人の汚職を厳しく禁じ、地主などへの借金返済を5年間免除し、共同耕作によって上流と下流の争いを治めた。 いくら努力し... -
「出雲」という思想–近代日本の抹殺された神々 <原武史>
講談社学術文庫 20090421 出雲の神であるオオクニヌシは、スサノオの系統を継ぎ、アマテラスを奉じる伊勢と対称的な存在だった。本居宣長をはじめとする国学のなかでも、出雲の位置づけをめぐって論争が交わされた。オオクニヌシの国ゆずりは、「伊勢」に... -
今、出雲がおもしろい <藤岡大拙>
NPO法人出雲学研究所 20090414 出雲は古墳の規模は小さく、銅剣や銅鐸のような青銅器はほとんど出土しなかった。津田左右吉は、出雲神話は大和朝廷によって政治的に創作されたものと主張し、梅原猛も出雲の繁栄を否定し、大和朝廷にまつろわぬ勢力...