ナカニシヤ出版 20090613
「中学生にもわかる」というほど簡単ではない。とくに前半の数式の説明はじっくり読まないと理解できない。でも、貿易がもたらす効用とか、比較優位といった概念がどういう計算から生みだされるかがわかっておもしろい。
後段の国際経済の解説はとてもわかりやすい。日本の構造改革がアメリカの要求によって押しつけられたこと、アジア経済危機は経済のグローバル化によって引き起こされたこと……世界経済はこうやって動いているのか、ということがわかりやすく解説されている。
経済学者の立場から、今後の日本経済が特化するべき分野も提案する。パソコンのような「モジュール」型の商品は部品を集めさえすれば高度な技術がいらないから、日本がやるべきことではない。部品の寄せ集めだけではできない「インテグラル型」の商品に特化するべきだという。また、シリコンバレーが発展した原因を分析して、そういった技術と経験の交流の場をつくる必要性を説き、そのための取り組みの具体例も紹介している。
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