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SS概論 <成崇 原田勝孝編著>

 ハーベスト出版 20080313

 1人あたりの公共事業が日本一多く、保守の牙城とされる島根県の姿を、政治家や経済、農業関係者らへのインタビューを通して明らかにしていく。大学院生による本だから、驚くような内容はないが、「1人当たりの公共投資が全国1と言っているが、県土1平方メートル当たりの投資額は最も少ない方なんだから」などといった「地方の言い分」を丹念に聴いていて好感が持てる。
 出雲に比べて西半分は社民党が強いこと、岩國哲人とその後の市長のスタンスの違い、浜田市が全国でもいちはやく地域振興券を発行しその後も独自商品券発行し続けていること、農協の組織の強さの学問的な解明……など、興味深い内容も盛り込まれていた。

==========抜粋・覚え書き=============
 □自民党 島根県議・浅野俊雄
 ▽15 公共投資 1人当たりは全国1と言っているが、県土1平方メートル当たりの投資額は最も少ない方なんだから。
 国が支援を減らしたらどうする?「一揆を起こす」

 □樫原孝尚 民主党県連幹事長
 35 石見地方はまだ社民党が強い。
 □53 古瀬誠 山陰合同銀行取締役 全国唯一の2県にわたる指定金融機関 山陰(鳥取・島根)はGDPは1%、人口も1%(鳥取61万、島根76万) 都市銀行は第一勧銀だけ。セブンイレブンもない。
 ▽55 調達基盤はしっかりしているが、運用基盤がない。中小企業を育成することで貸し出しを促進するのが一番だが、それがダメなら、準地元地域を作る。兵庫と岡山と広島の優良企業を一本釣りのように貸し出して、3500億円運用。それで足りないものは有価証券(国債は得に魅力)で運用。
 □74 松江商店会連合会 泉彬会長
 4地域 松江駅周辺は下町 その東は歓楽街、城や役所は文化城下町、その東は住宅地域。
 前の市長の宮岡は元神戸市助役で、お堀の遊覧船などにゴーサインをだして、ティファニー美術館の誘致も尽力。
 ▽91 大店法の運用は80年代に強化され、市街地に大型店は出店できなくなった。ところが、郊外建設への呼び水となり、新規開業も郊外化、市街地に店を開けない危機感から、大手資本がコンビニをスタートさせた。
 □96 直良光洋 元出雲市長
 直良は土着派、岩國は国際派、西尾は文教派。僕は健全財政をしていた。岩國は、投資したらその分回収したらよいという発想。岩國の辞めた原因は、貯金を使い切ってしまったから。「借金を返したり積立金なんてものを積み立てる時代じゃない」と。
 □124 宇津徹男 浜田市長
 128 地域振興を全国で1番早く発行。独自商品券は、商店街が毎年つづけている。商品券という企画で街に元気が出た。
 自治体特別融資 ……職員の志気を高めるため、元気のある自治体に学ぶ、常に考える……
 □143 黒川慎司 JA島根中央会地域農業振興部長
 153 全国から県の中央会へ、中央会からJAへ、JAは組合員の代表を集めて……それだけ我々は組織に対してコストをかけている。
 162 大規模でありながら強い組織力をもつ集団とは? オルソン
 大規模集団ではフリーライダーが発生し、メンバーが積極的に参加しなくなる。参加させるには、本来の目標とは別の選択的誘因が必要。例えば奉仕目的のライオンズクラブに参加するのは、社交界の人と交流を深めるから。農協は、大集団だが、組織の構造は小集団のヒエラルキー的な複合体になっている。それぞれの小集団内では、自分の行動が他者によって認知される。
 □166 こむろ寿明 民主県議 環境イニシアチブ共同代表
 □186 〓福田正明・自民県議 宍道湖で漁業。中海干拓淡水化反対運動。老人福祉施設「あいかの里」理事長
 堀川遊覧の原案は市議時代に、私たちが原案をつくった。 
 197 「あいかの里」 地域の人たちが「自分たちが1万円ずつお金を出すから特養を作ってくれないか」という要請があった。
 松江市と相談して、何人、入居希望者がいるか資料を作ってもらい、国や県と交渉した。全国ではじめて国の計画の枠を突破して認められた。
 □皆美健夫・島根県商工会議所連合会会頭 旅館経営
 ▽211 中海干拓の旗を振った 竹下さんが亡くなられた影響が大きいのでは。

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