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パリ・ロンドン放浪記<ジョージ・オーウェル>
■パリ・ロンドン放浪記<ジョージ・オーウェル>岩波文庫 20130628 インド帝国の警察官として勤務したあと、20代のオーウェルはパリとロンドンの貧民街で3年間にわたって極貧生活を体験した。その体験を記した実質的なデビュー作だ。 若くみずみず... -
幻の漂泊民・サンカ<沖浦和光>
■幻の漂泊民・サンカ<沖浦和光>文春文庫 20130624 サンカについての本はいくつか読んできた。蝦夷やクマソにつながる先住民の末裔だとする柳田国男の説はロマンがあってわくわくした。独自の文字と掟をもつ秘密結社のような姿を描く三角寛の論はおも... -
サンカの真実 三角寛の虚構<筒井功>
■サンカの真実 三角寛の虚構<筒井功>文春新書 20130618 サンカといえば三角寛。「秘密結社のような集団で、独特の文字と掟をもち、厳格な階級と秩序が存在する。普通社会とは全く異質の慣習、信仰、婚姻法、葬制などを伝え、彼らにだけ理解できる隠... -
生きていく民俗 <宮本常一>
■生きていく民俗 <宮本常一>河出文庫 20130607 今ある制度や習慣のなかには、実はずっと昔から受け継いだものがあり、中世以来の制度がつい最近まで色濃く残っていたことがよくわかる。 たとえば「一人前」という言葉は、鍬をつかい、草を刈り、肥... -
1Q84(1~6)<村上春樹>
■1Q84(1,2)<村上春樹>新潮文庫 20150520 予備校講師をしながら小説家をめざす天吾と、マーシャルアーツのインストラクターをしながら、女性を虐待する男を殺す青豆という2人の主人公の話が交互につづられる。 どこにでもある日常の1984年が... -
郊外の社会学<若林幹夫>
■郊外の社会学<若林幹夫>ちくま新書 20130607 郊外は味気ない風景だ。私も味気ない郊外に育ち、違和感はないが魅力もそれほど感じてこなかった。 筆者は郊外を「あるべきものがもはやない場所」であると同時に、都市中心部では望めない自然環境があり「... -
花石物語<井上ひさし>
■花石物語<井上ひさし> 文春文庫 20130515 「世界の中の柳田国男」という評論集にこの本が出てきた。柳田は遠野物語できれいな話ばかりを集めていて、土のにおいのする下ネタは意識的に排除している。それを皮肉る内容が含まれている、と書いてあった... -
世界の中の柳田国男 <R・A・モース 赤坂憲雄編>
■世界の中の柳田国男 <R・A・モース 赤坂憲雄編> 藤原書店 国内外の研究者が柳田国男を論じる論文集。 □ヨーロッパ体験 柳田は新渡戸によってヨーロッパに呼ばれた。信託統治領では、宣教師による教育ではなく、現地人教師による現地語での実学教育を... -
神去なあなあ日常<三浦しをん>
■神去なあなあ日常<三浦しをん>徳間書店 20130401 高校を卒業してフリーターでもしようと思っていた「俺」が、母親の陰謀で三重県の山奥の村の林業会社につとめることになる。携帯も届かない。下草刈りをしても何をしてもうまくいかない。ダニやヒルに... -
始まっている未来 新しい経済学は可能か<宇沢弘文・内橋克人>
■始まっている未来 新しい経済学は可能か<宇沢弘文・内橋克人>岩波書店 20130324 宇沢氏が提唱する「社会的共通資本」は「大切なものはカネにしてはいけない」という考え方で、「大切なものはカネにしろ」という市場原理主義の対極にある。 CO₂... -
団地の空間政治学 <原武史>
■団地の空間政治学 <原武史>NHK出版 20130307 入居したときピカピカで子ども心に興奮した団地は、40年を経て、小枝のような木は大木に育ち、緑あふれる環境になった。「緑が豊かでホッとする」「日当たりがよくていい」。すっかり高齢化したが、独... -
EMBRACING DEFEAT JOHN W. DOWER
■EMBRACING DEFEAT JOHN W. DOWER 20130222 「敗北を抱きしめて」 日本人はどのように敗戦を受け止め、なぜ戦後の大転換が起きたのか。GHQは占領政治をどう展開し、それを日本人はどう受け止めたのか。 そうした大転換をもたらした、戦前と戦後で変... -
放射能を食えというならそんな社会はいらない、ゼロベクレル派宣言<矢部史郎>
■放射能を食えというならそんな社会はいらない、ゼロベクレル派宣言<矢部史郎>新評論 20121229(速読) 「3.12」をきっかけに、市民が自らの思いを街頭で表現するようになり、さらに、自分たちで放射能を計測する動きが生まれた。 政府や原発容認派... -
能登・間垣の里 文化的景観保存調査報告書
■能登・間垣の里 文化的景観保存調査報告書 <輪島市教委201203>20121218 ▽8 西保地区は、上山、西二又、上大沢、大沢、赤崎、下山、小池の7字からなり、1889から1954まで西保村だった。役場は大沢。 1954年に輪島町・大屋村・河原田村... -
読書の技法<佐藤優>
■読書の技法<佐藤優>東洋経済 20121216 筆者の読書の技術を開陳している。 毎月300-500冊に目を通す。そのうち熟読は洋書を含め4,5冊で、1冊5分程度の「超速読」が240~250冊、30分~2、3時間の「普通の速読」が50~60冊... -
アースダイバー<中沢新一>
■アースダイバー<中沢新一>講談社20121220 東京は死者の王国である。 江戸の中心は江戸城ではなく富士山だった。遠くから注がれる「死」の視線を意識しながら人々は暮らした。 ヨーロッパの都市の中心には教会があるが、東京は中心がぽっかりとあいてい... -
暴走する地方自治<田村秀>
■暴走する地方自治<田村秀>ちくま新書20121215 熊本の細川、三重県の北川、鳥取の片山から橋下・石原にいたるまでの「改革派」の知事が、実は話題先行で混乱しかもたらさなかったのではないか、というスタンスの本。説得力のある部分もあるが、筆者の立... -
独立国家のつくりかた<坂口恭平>
■独立国家のつくりかた<坂口恭平>講談社現代新書 20121028 東京のホームレスの小屋を調べて本にした学生がいる、というのはずいぶん前に聞いたことがあった。その学生だった人がこの本の筆者だ。 つきあっていたホームレスは、捨てられた余剰物を転用す... -
創造的福祉社会<広井良典>
■創造的福祉社会 「成長」後の社会構想と人間・地域・価値<広井良典>ちくま新書20121103 社会のセーフティーネットのあり方は、エリザベス救貧法などの生活保護から、ビスマルクの社会保険、ケインズの雇用創出というように、事後的・救済的から事前的... -
町づくろいの思想 <森まゆみ>
■町づくろいの思想<森まゆみ>みすず書房 201209 東京の下町はきらいじゃないけど、東京じたいが素晴らしい町だと思ったことはない。でもこの本を見ると、もしかしたらおもしろい街なのかもしれないし、新しい共同体の可能性を秘めているのではないか、... -
日本フォーク私的大全 <なぎら健壱>
■日本フォーク私的大全 <なぎら健壱> ちくま文庫 20120929 1960年代の大学生のキャンパスフォークから70年代のアングラフォーク、吉田拓郎や井上陽水らのニューミュージックに至る日本のフォークソングの流れを、自らその渦中にいた筆者がつづ... -
小田嶋隆のコラム道
■小田嶋隆のコラム道<小田嶋隆>20120923 コラムの書き方を伝授するノウハウ本の体裁をとりながら、それじたいがコラムになっている。独特の視点がおもしろい。中身になにが書いてあったのかは覚えていないのだけど、おもしろかったという後味が残る。 奇... -
「日本」をめぐって 網野善彦対談集
■「日本」をめぐって 網野善彦対談集 洋泉社 20120916 「百姓」とは必ずしも農民ではない。日本が農業国家だったというのは嘘で、田畑で生業を立てていたのは3、4割にすぎず、人々は比較的に自由に移動して暮らしていた。……という網野の視点から歴史... -
日本文明77の鍵 梅棹忠夫編著
■日本文明77の鍵 梅棹忠夫編著 文春新書 20120901 鴨ケ浦で 外国人向けに日本を紹介する英文パンフが好評だったため、邦訳して日本人向けに書き換えた。 外国人が日本のどこを不思議に思うのか、欧米や中国とくらべて日本のどこが特殊なのか、そ... -
風の影LA SOMBRA DEL VIENTO カルロス・ルイス・サフォン
■風の影(LA SOMBRA DEL VIENTO)カルロス・ルイス・サフォン 集英社文庫 20120826 最初はスペイン語で読んだ。わからない単語だらけだったが、1日20-30ページずつ辞書も使わず500ページを読み終えた。ストーリー構成がしっかりしているから... -
作業中)やっぱりおもろい関西農業 高橋信正編著
■やっぱりおもろい関西農業 高橋信正編著 昭和堂 20120707 都市型農業、狭い、近江商人の三方よし、など、関西の農業の特徴をふまえた取り組みを紹介。農業、流通、商売。それぞれの事例がおもしろい。 ============== ▽25 近江商人に商人道を教えたの... -
3・12の思想 矢部史郎
■3・12の思想 矢部史郎 以文社 20120706 震災発生の3・11と区別し、「東京電力放射能公害事件」の起きた「3.12」に焦点をあてる。 放射性物質は、関東の土壌でも少なくても100ベクレル/キロ検出された。原発労働者が白血病で... -
「羊の歌」余聞 加藤周一
■「羊の歌」余聞 加藤周一 鷲巣力編 ちくま文庫 20120717 47歳から48歳にかけて、40歳までの半生を顧みてつづられた自伝的な著書「羊の歌」のその後と、「羊」に描かれなかったエピソードを書いた文章をまとめている。 以下、読みながら感じ... -
民俗のふるさと 宮本常一
■民俗のふるさと 宮本常一 河出文庫 20120618 昭和30年代の作品。そのころまでは江戸時代から継続するものが多かった。それが高度成長によって急速に消えてしまったことが、この本の記述と今と比較するとよくわかる。 農業人口は明治初年も昭和3... -
虹の彼方に 池澤夏樹
■虹の彼方に 池澤夏樹 講談社文庫 20120629 鶴見俊輔の対談で、「外の目」「旅人の目」の視点からつづった本だとと書いてあって興味をもった。 中央の官僚は、日本全体を分割して統治しようと発想する。だが「民」にとってはすべては自分が住む「こ...