04民俗・食– category –
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サンカの真実 三角寛の虚構<筒井功>
■サンカの真実 三角寛の虚構<筒井功>文春新書 20130618 サンカといえば三角寛。「秘密結社のような集団で、独特の文字と掟をもち、厳格な階級と秩序が存在する。普通社会とは全く異質の慣習、信仰、婚姻法、葬制などを伝え、彼らにだけ理解できる隠... -
生きていく民俗 <宮本常一>
■生きていく民俗 <宮本常一>河出文庫 20130607 今ある制度や習慣のなかには、実はずっと昔から受け継いだものがあり、中世以来の制度がつい最近まで色濃く残っていたことがよくわかる。 たとえば「一人前」という言葉は、鍬をつかい、草を刈り、肥... -
郊外の社会学<若林幹夫>
■郊外の社会学<若林幹夫>ちくま新書 20130607 郊外は味気ない風景だ。私も味気ない郊外に育ち、違和感はないが魅力もそれほど感じてこなかった。 筆者は郊外を「あるべきものがもはやない場所」であると同時に、都市中心部では望めない自然環境があり「... -
花石物語<井上ひさし>
■花石物語<井上ひさし> 文春文庫 20130515 「世界の中の柳田国男」という評論集にこの本が出てきた。柳田は遠野物語できれいな話ばかりを集めていて、土のにおいのする下ネタは意識的に排除している。それを皮肉る内容が含まれている、と書いてあった... -
世界の中の柳田国男 <R・A・モース 赤坂憲雄編>
■世界の中の柳田国男 <R・A・モース 赤坂憲雄編> 藤原書店 国内外の研究者が柳田国男を論じる論文集。 □ヨーロッパ体験 柳田は新渡戸によってヨーロッパに呼ばれた。信託統治領では、宣教師による教育ではなく、現地人教師による現地語での実学教育を... -
神去なあなあ日常<三浦しをん>
■神去なあなあ日常<三浦しをん>徳間書店 20130401 高校を卒業してフリーターでもしようと思っていた「俺」が、母親の陰謀で三重県の山奥の村の林業会社につとめることになる。携帯も届かない。下草刈りをしても何をしてもうまくいかない。ダニやヒルに... -
能登・間垣の里 文化的景観保存調査報告書
■能登・間垣の里 文化的景観保存調査報告書 <輪島市教委201203>20121218 ▽8 西保地区は、上山、西二又、上大沢、大沢、赤崎、下山、小池の7字からなり、1889から1954まで西保村だった。役場は大沢。 1954年に輪島町・大屋村・河原田村... -
アースダイバー<中沢新一>
■アースダイバー<中沢新一>講談社20121220 東京は死者の王国である。 江戸の中心は江戸城ではなく富士山だった。遠くから注がれる「死」の視線を意識しながら人々は暮らした。 ヨーロッパの都市の中心には教会があるが、東京は中心がぽっかりとあいてい... -
民俗のふるさと 宮本常一
■民俗のふるさと 宮本常一 河出文庫 20120618 昭和30年代の作品。そのころまでは江戸時代から継続するものが多かった。それが高度成長によって急速に消えてしまったことが、この本の記述と今と比較するとよくわかる。 農業人口は明治初年も昭和3... -
驚きの介護民俗学 <六車由美>
■驚きの介護民俗学 <六車由美> 医学書院 20120511 著者は気鋭の民俗学者として一時脚光を浴びたが、しばらく表に出てこなかった。大学教師をやめ介護の現場にいたとは驚かされた。何が彼女をそうさせたのか。介護現場の何が魅力なのか--。 民... -
中国化する日本<與那覇潤>
■中国化する日本<與那覇潤> 文芸春秋 2012022 世界で最初に「近世」に入ったのは、世襲貴族制を全廃し皇帝独裁とした宋朝で、ヨーロッパの近代啓蒙主義は、宋朝で体系化された近世儒学のリメイクだという。そして、宋朝の社会のしくみが全世界で今... -
日本の歴史をよみなおす(全)<網野善彦>
■日本の歴史をよみなおす(全)<網野善彦>ちくま学芸文庫20120214 われわれの原体験につながる社会は、室町時代ぐらいまでさかのぼれる。 集落を形成する「惣村」も、港や河原、中洲などに市が立って商工民や芸能民が集住した「町」も14世紀後半か... -
日本文化の形成<宮本常一>
■日本文化の形成<宮本常一>講談社学術文庫 2011121226 絵巻物や民話、伝承を分析し、自ら全国を歩いて見聞した事実とつきあわせ、縄文以来の日本の文化の変遷を解き明かす。縄文文化の名残が明治の家の形にまでつづき、海洋民としての倭人の家の形は... -
山に生きる人びと <宮本常一>
■山に生きる人びと <宮本常一>河出文庫20111218 水田で生きてきた農民とはちがう系列の人々が日本の山の中には脈々と生きてきた。 だが同じ隔絶した山に生きる人々でもバリエーションがある。地すべり地帯のわずかな土地に稲を植えようとするのは落... -
地元学からの出発<結城登美雄>
■地元学からの出発<結城登美雄>農文協 20111216 筆者は東北を中心に「地元学」による地域おこしに取り組んでいる。 成功事例をモデル化し、それを模倣する形の「町おこし」は、自分たちの町は遅れているという決めつけから始まり、それを是正する「活性... -
バッド・ドリーム 色恋村選挙戦狂騒曲<落合誓子>
■バッド・ドリーム 村長候補はイヌ? 色恋村選挙戦狂騒曲<落合誓子>自然食通信社 20111114 能登半島の珠洲原発計画への反対運動を担ってきたルポライターの筆者が、実際に体験した選挙戦のエピソードをもとにつくった小説。 小さな村に巨大産... -
寺社勢力の中世--無縁・有縁・移民<伊藤正敏>
■寺社勢力の中世--無縁・有縁・移民<伊藤正敏>ちくま新書 20111003 中世は王権の力が弱まり、全体社会のなかで国家が占める割合が最も小さな時代だった。寺社勢力が力をもち、義経らの「犯罪者」をかくまう無縁所(アジール)となった。先端文明と... -
海から見た日本史像 <網野善彦>
■海から見た日本史像 <網野善彦> 河合ブックレット 20110910 「島国根性」なんて言葉は時の権力がつくったウソだという。海は周囲と隔絶する堀ではなく、周囲をつなぐ交通路だった。日本の列島の人々は、縄文時代から海を駆け回り、1600年ご... -
海女の島 舳倉島
■海女の島 舳倉島 <F・マライーニ著 牧野文子訳> 未来社 201107 1964年出版。海女は昭和30年代後半までふんどし姿で海にもぐっていた。そんな写真が次々に出てくる。 高度経済成長以前の日本人は裸に寛容だった。ステテコと腹巻き1... -
石川の女性史 戦後編<石川県各種女性団体連絡協議会編>
■石川の女性史 戦後編<石川県各種女性団体連絡協議会編=h12>20110707 石川県の戦後の女性の歴史をつづっている。 周回遅れのトップランナーとして能登の価値が見直されつつあるが、「女」の視点から見ると、過酷な状況だった。「能登はやさしや土ま... -
村の若者たち <宮本常一>
■村の若者たち <宮本常一> 家の光協会 20110613 農漁村の若者の明治以来の生活史をたどる。 農村人口を吸収する産業が発展するまでは次男三男の「処分」が大きな課題であった。貧しい山村では、戦前は子どもを売るのが当たり前であり、酌婦や女郎... -
なぜ、日本はジャパンと呼ばれたか <中室勝郎>
■なぜ、日本はジャパンと呼ばれたか <中室勝郎> 六耀社 縄文時代、土器をつかうようになることで食物を貯蔵し、木の実などに火を通すことができるようになる。飢えのない平等の文化だった。縄文人は、恵みをもたらす自然と自分の間に境界線を設け... -
漆の里・輪島 <中室勝郎>
■漆の里・輪島 <中室勝郎> 平凡社 20110527 浄土真宗と、田の神などの在来の神々と、それらにかかわる祭りや神事が今も息づく能登の風土を、塗師屋である著者が紹介する。キリコ祭りをはじめとする祭礼が年中催される能登は日本のバリなのだ。 ... -
漆の文化史<四柳嘉章>
■漆の文化史<四柳嘉章>岩波新書 20110526 漆器の起源は縄文時代までさかのぼること、安価な製品がつくられることで椀を手にもって食事するという日本人の食習慣をも形成したことなど、興味深い事実が紹介されている。 遺跡から出土した漆器を科学... -
民話に魅せられて ある田舎教師の歩み <酒井菫美>
■民話に魅せられて ある田舎教師の歩み <酒井菫美> 立花書院 20110323 わらべ歌や民話などの口承文芸の研究を続けた元教師が半生をまとめた本。 筆者は島根大卒業後に中学校に就職し、地域の素材を授業に生かすため、わらべ歌や昔話の収集を... -
一期は夢よ <黒澤脩>
■一期は夢よ <黒澤脩> 201012 静岡市役所に勤め、徳川家康や今川義元、民俗文化などを研究してきた著者の半生の記録。 榛原町の村の寺で住職の息子として育った。子どもころの遊びの話が克明に記される。 権威をふりかざす先生に傷つく。貧し... -
季刊東北学 第4号 宮本常一、映像と民俗のはざまに
■季刊東北学 第4号 宮本常一、映像と民俗のはざまに 201002 □座談会宮本常一が遺したもの ▽7 関野「石毛さんに相談したら石毛さんは、その土地の人が何を作り何を食べているかというのはいい、自分の食べたものを漏らさず記録したら、と言われた」 ▽10... -
手仕事の日本 <柳宗悦>
■手仕事の日本<柳宗悦>岩波文庫 20101231 戦時下の日本を歩いて「手仕事」を取材し、戦争末期である昭和18年に原稿を完成させた。だが検閲で、「日本は朝鮮のような半島ではなく島国である」という記述は「朝鮮のような」を抹殺され、岐阜提灯... -
梅棹忠夫に挑む<石毛直道 小山修三編>
■梅棹忠夫に挑む<石毛直道 小山修三編> 中央公論社 20101120 ▽11 文明の生態史観 西欧と日本(第一地域)は、遷移(サクセション)が順序よく進行した地域で、歴史は主として共同体内部からの力による展開。オートジェニック(自成的)なサク... -
新編日本の面影 <ラフカディオ・ハーン 池田雅之訳>
■新編日本の面影 <ラフカディオ・ハーン 池田雅之訳> 角川ソフィア文庫 20100606 穏やかな笑顔でいつもほほえみを浮かべている日本人。息子が死んだことを報告するときも、怒鳴られたときも笑顔を浮かべる日本人は、多くのイギリス人にとって...