04民俗・食– category –
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04民俗・食
死の民俗学 日本人の死生観と葬送儀礼<山折哲雄>
■岩波現代文庫20200627Ⅰ 死と民俗 遺骨崇拝の源流 インドは火葬するが骨は川に流す。アメリカ人は遺体をきれいに整えて本土に送るなど、肉体的側面を重視する。エジプトのミイラ文化につながる。それに対して日本は、遺骨を尊重する。 だが万葉集を見... -
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西国巡礼の寺<五来重>
角川ソフィア文庫 20200619 五来の四国遍路についての本を読んで、西国巡礼も読んでみることにした。「宗教文化」は変化するが信仰の原点は日本でも欧州でも同じであり、信仰のもっとも素朴なかたちとして巡礼が起きる。「世界中どこでも、歩くこと、め... -
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四国遍路 八十八ヶ所巡礼の歴史と文化<森正人>
■中公新書 20200426 筆者は1975年生まれの若手の研究者。五来や頼富ほどの深みはないが、最近の動きをとらえ、「伝統」が実は最近つくられたことなどを指摘していて興味深い。 たとえば白装束は戦後のバスツアーで普及した。山門で一例して納札を入れて... -
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四国遍路とはなにか<頼富本宏>
■角川選書20200423 古代から現代に至る遍路の変遷がよくわかる。大師堂と本堂を参拝するという作法は実は第二次大戦後にできたというのには驚いた。 修行者だけが歩いた辺地修行の道は四国だけでなく、伊豆大島や能登半島にもあった。海洋信仰が起源だ... -
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四国遍路の寺 下<五来重>角川ソフィア文庫 20200413(抜粋)
▽戦国から安土桃山にかけては遍路どころではないが、江戸時代になって盛んに。江戸末になるとふたたび衰えて、明治初めぐらいには88の半分ぐらいは無住だった。▽熊野の信仰は海を通して全国に広がった。熊野信仰が非常に強いのは東北地方や隠岐の島。鎌倉... -
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四国遍路の寺 上<五来重>角川ソフィア文庫 20200421
納経所が霊場なのではない。八十八カ所をぐるりとまわる修行だけでなく、それぞれの札所はもとは独立した修行の場だった。その痕跡が残っているのが行場だった奥の院であり、そこををめぐらないと本来の遍路の意味はわからない、という。 お遍路をして... -
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日常という名の鏡 ドキュメンタリー映画の界隈<佐藤真>
■日常という名の鏡 ドキュメンタリー映画の界隈<佐藤真>凱風社20191218 新潟水俣病の舞台となった阿賀野川をテーマにした「阿賀に生きる」の監督の本。久しぶりに新潟水俣病を勉強するため読み返した。 佐藤監督は水俣の映画の自主上映運動で新潟・... -
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時間についての十二章<内山節>農文協
人々は時間をどうとらえてきたか、ではなく、時間はどのようなものとして存在しているか、を論じる。時間は絶対的な物ではない、と。 子どもの時間はけっして等速ではなかった、という。なるほど。台風後の川の土手で時間を持て余して延々と時間がたた... -
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もうレシピ本はいらない<稲垣えみ子>
■マガジンハウス 20190818 昔は美食の限りを尽くしていた元新聞記者が、50歳で会社をやめて1年後に書いた本。冷蔵庫も電子レンジもない。コンロは一口だけ、という集合住宅で、干した野菜と糠漬けを駆使して1食200円で暮らしている。作り置きもせず1... -
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寺院消滅 失われる「地方」と「宗教」<鵜飼秀徳>
■日経BP社 20190728 多くの自治体が消滅するという調査結果が出て、話題を呼んだが、寺院はそれよりも早く危機を迎え、全国7万7000の寺院のうち無住寺院は約2万カ寺を数える。 その現状と、寺院再生の取り組みの現場を僧侶の資格を持つ記者が訪ね歩い... -
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よみたい万葉集 <村田右富実監修、助手・阪上望、絵文・まつしたゆうり 文・松岡文、森花絵>
西日本出版社 20190622 「万葉集の入門書としては最高」と専門家に勧められた。 難しい解説よりもまず音読して雰囲気を味わい、短歌の作者の「私」に寄り添う。水彩の挿絵も万葉人の心象風景の理解を助けてくれる。短歌はいつも一人称の「私」が詠む... -
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沖縄文化論 忘れられた日本<岡本太郎>
■沖縄文化論 忘れられた日本<岡本太郎>中公文庫 20180107 映画「岡本太郎の沖縄」を見て、そのもとになったこの本を読んでみることにした。 岡本は、日本の風土と運命が純粋に残る辺境から生活力や生命力を掘り起こそうと考え、日本各地の辺境を訪... -
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中陰の花 <玄侑宗久>
■中陰の花 <玄侑宗久>文春文庫 20181118 「中陰」とは、「有」と「無」の中間、陰と陽のどちらでもあるようなあり方という。49日に中陰が終わると、あちら側に行って成仏するのだ。 主人公の禅僧が、幼いころからお世話になった拝み屋のおばあさ... -
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日本文化の形成 上 <宮本常一>(再読)
■日本文化の形成 上 <宮本常一> ちくま学芸文庫 20180723(再読) 宮本の観察眼の鋭さ。いまにつながる風習のなかに、縄文や弥生、海洋民族の痕跡を見いだし、それを壮大な歴史に紡ぎ上げてしまう。刺激的で楽しい。 縄文人は毛の深い人たちで、... -
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暮らしの論理 生活創造への道<山本松代>
■暮らしの論理 生活創造への道<山本松代>ドメス出版 20170416 筆者は、戦後直後の生活改善改善運動の、農水省の最初の担当者だった。「生産」一辺倒の主流派に対抗して、農村女性たちの「生活」の改善に取り組んだ。 生活改善運動はアメリカに生ま... -
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人生フルーツ
戦後の復興期、公団で各地の団地造成にかかわり、愛知県の高蔵寺ニュータウンのデザインもつくった津端修一さんと妻の英子さんの晩年を撮影したドキュメンタリー。 雑木林の豊かなニュータウンをめざした津端さんだったが、高蔵寺ニュータウンは、経済... -
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日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか<内山節>
■日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか<内山節>講談社現代新書 20170324 1965年ごろを境にして「キツネにだまされた」という話が発生しなくなったという。 高度成長、合理的社会の形成、進学率やテレビの普及などの情報のあり方の変化、都市の隆... -
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世界の食べもの 食の文化地理<石毛直道>
■世界の食べもの 食の文化地理<石毛直道>講談社学術文庫 20170309 世界的視野で「食」を比較すると、あたりまえと思っていたことがあたりまえではないこと、ほんのちょっとしたきっかけで食文化が変化することがわかる。 たとえば、主食と副食という区... -
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小泉教授が選ぶ食の世界遺産 日本編<小泉武夫>
■小泉教授が選ぶ食の世界遺産 日本編<小泉武夫>講談社文庫 20161221 食べ物を巡る、ユニークで珍しい話、常識を打ち破るような話がふんだんに紹介されている。 昔たくあんは、日干しして味を濃くしてからぬか漬けにしたが、今は、干さずに漬けたり、調... -
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海に生きる人びと<宮本常一>
■海に生きる人びと<宮本常一>河出文庫 20170203 (初版は1964年) 古代の中央政府から海人と見られていた人々は、海岸づたいに新しい漁場を見つけつつ広がった。輪島の海女などは福岡の鐘ケ崎の海人がルーツだ。海人の一部は陸上がりして、一部は海上交... -
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森の思想<南方熊楠、責任編集中沢新一>
■森の思想<南方熊楠、責任編集中沢新一>河出文庫 20170124 「南方二書」が圧巻だった。 中沢新一の解説よりも話の幅が広く、わかりやすい。たしかに冗長でくどい部分はあるが、だれにでもわかる言葉で、深い内容を伝えてしまう。合祀を巡る村々の細かな... -
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柳田国男 知と社会構想の全貌<川田稔>
■柳田国男 知と社会構想の全貌<川田稔>ちくま新書 20161229 柳田国男は、前期は山人などを対象にしたが、後期は稲作民だけを「常民」として描くようになった…とか、国内の民俗ばかりを見ていて国際的な視野をもっていない、などと批判されてきた。保守... -
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南方熊楠 森羅万象に挑んだ巨人<中瀬喜陽>
■南方熊楠 森羅万象に挑んだ巨人<中瀬喜陽> 別冊太陽 2016105 ▽8 荒俣宏 1990年代からの熊楠再評価の機運。熊楠の草稿類を解読しつづける松居竜五さんたちの活動、「ミニ熊楠」とも呼ばれた故・後藤伸さんたちによる神島生態系調査の継続などは、... -
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漂海民<羽原又吉>
■漂海民<羽原又吉>岩波新書 20161119 紀州の漁民は明治になって真珠貝をとりに豪州などに渡ったが、通説と異なって江戸時代以前から海を越えていた、と、1960年代に羽原が主張したと聞いてこの本を手に取った。真珠は広島方面の仲介者の手を経て、... -
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作業中)海の熊野<谷川健一・三石学編>
■海の熊野<谷川健一・三石学編>森話社 20161119 □谷川健一 ▽9 土佐の捕鯨は、太地から習ったといわれます。壱岐の鯨漁は熊野の漁師を雇ってはじめたとされています。五島の有川も紀州湯浅の人が捕鯨を行ったのをかわぎりに、古座浦の人を招いて操業し... -
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熊野 海が紡ぐ近代史<稲生淳>
■熊野 海が紡ぐ近代史<稲生淳>森話社 20161024 ■熊野 海が紡ぐ近代史<稲生淳>森話社 20161024 熊野と海のつながりの歴史は別の本に詳しく書いてあったが、近代に関する記述はあまりなかった。エルトゥールル号事故や、アラフラ海のダイバーなどの... -
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石にやどるもの 甲斐の石神と石仏<中沢厚>
■平凡社 20161004 紀伊半島を歩いているとそこここで丸石にであう。神社に転がる丸石は力比べをした「力石」だったり、信仰の対象だったりする。みなべ町の無人島・鹿島には地震の暴威をおさえるという要石という丸石がまつられている。丸石信仰はどこか... -
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石の宗教<五来重>
■石の宗教<五来重>講談社学術文庫 20161003 熊野を歩くと、石をご神体にする社が多い。社でなくても丸石がお地蔵さんの横に鎮座していたりする。男根型の石柱をご神体とする例は全国あちこちで目にする。石に対する信仰はどうやって生まれ、どんな分布... -
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流れ施餓鬼<宇江敏勝>
■流れ施餓鬼<宇江敏勝> 新宿書房 20160907 熊野川と日置川流域を舞台にした小説6編。高校卒業後、炭焼きや林業で暮らしてきた著者の体験や古老から聞いた話をもとにしている。 タイトルとなった「流れ施餓鬼」は、麦わらの舟に新仏をのせ、火をつけて... -
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日本の食文化史 旧石器時代から現代まで<石毛直道>
■日本の食文化史 旧石器時代から現代まで<石毛直道> 岩波書店 20160822 2013年、「和食・日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコ無形文化遺産に登録された。その和食の起源から現代への流れを外国人にわかるように紹介している。外国人にわかるという...