04民俗・食– category –
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日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか<内山節>
■日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか<内山節>講談社現代新書 20170324 1965年ごろを境にして「キツネにだまされた」という話が発生しなくなったという。 高度成長、合理的社会の形成、進学率やテレビの普及などの情報のあり方の変化、都市の隆... -
世界の食べもの 食の文化地理<石毛直道>
■世界の食べもの 食の文化地理<石毛直道>講談社学術文庫 20170309 世界的視野で「食」を比較すると、あたりまえと思っていたことがあたりまえではないこと、ほんのちょっとしたきっかけで食文化が変化することがわかる。 たとえば、主食と副食という区... -
小泉教授が選ぶ食の世界遺産 日本編<小泉武夫>
■小泉教授が選ぶ食の世界遺産 日本編<小泉武夫>講談社文庫 20161221 食べ物を巡る、ユニークで珍しい話、常識を打ち破るような話がふんだんに紹介されている。 昔たくあんは、日干しして味を濃くしてからぬか漬けにしたが、今は、干さずに漬けたり、調... -
海に生きる人びと<宮本常一>
■海に生きる人びと<宮本常一>河出文庫 20170203 (初版は1964年) 古代の中央政府から海人と見られていた人々は、海岸づたいに新しい漁場を見つけつつ広がった。輪島の海女などは福岡の鐘ケ崎の海人がルーツだ。海人の一部は陸上がりして、一部は海上交... -
森の思想<南方熊楠、責任編集中沢新一>
■森の思想<南方熊楠、責任編集中沢新一>河出文庫 20170124 「南方二書」が圧巻だった。 中沢新一の解説よりも話の幅が広く、わかりやすい。たしかに冗長でくどい部分はあるが、だれにでもわかる言葉で、深い内容を伝えてしまう。合祀を巡る村々の細かな... -
柳田国男 知と社会構想の全貌<川田稔>
■柳田国男 知と社会構想の全貌<川田稔>ちくま新書 20161229 柳田国男は、前期は山人などを対象にしたが、後期は稲作民だけを「常民」として描くようになった…とか、国内の民俗ばかりを見ていて国際的な視野をもっていない、などと批判されてきた。保守... -
南方熊楠 森羅万象に挑んだ巨人<中瀬喜陽>
■南方熊楠 森羅万象に挑んだ巨人<中瀬喜陽> 別冊太陽 2016105 ▽8 荒俣宏 1990年代からの熊楠再評価の機運。熊楠の草稿類を解読しつづける松居竜五さんたちの活動、「ミニ熊楠」とも呼ばれた故・後藤伸さんたちによる神島生態系調査の継続などは、... -
漂海民<羽原又吉>
■漂海民<羽原又吉>岩波新書 20161119 紀州の漁民は明治になって真珠貝をとりに豪州などに渡ったが、通説と異なって江戸時代以前から海を越えていた、と、1960年代に羽原が主張したと聞いてこの本を手に取った。真珠は広島方面の仲介者の手を経て、... -
作業中)海の熊野<谷川健一・三石学編>
■海の熊野<谷川健一・三石学編>森話社 20161119 □谷川健一 ▽9 土佐の捕鯨は、太地から習ったといわれます。壱岐の鯨漁は熊野の漁師を雇ってはじめたとされています。五島の有川も紀州湯浅の人が捕鯨を行ったのをかわぎりに、古座浦の人を招いて操業し... -
熊野 海が紡ぐ近代史<稲生淳>
■熊野 海が紡ぐ近代史<稲生淳>森話社 20161024 ■熊野 海が紡ぐ近代史<稲生淳>森話社 20161024 熊野と海のつながりの歴史は別の本に詳しく書いてあったが、近代に関する記述はあまりなかった。エルトゥールル号事故や、アラフラ海のダイバーなどの... -
石にやどるもの 甲斐の石神と石仏<中沢厚>
■平凡社 20161004 紀伊半島を歩いているとそこここで丸石にであう。神社に転がる丸石は力比べをした「力石」だったり、信仰の対象だったりする。みなべ町の無人島・鹿島には地震の暴威をおさえるという要石という丸石がまつられている。丸石信仰はどこか... -
石の宗教<五来重>
■石の宗教<五来重>講談社学術文庫 20161003 熊野を歩くと、石をご神体にする社が多い。社でなくても丸石がお地蔵さんの横に鎮座していたりする。男根型の石柱をご神体とする例は全国あちこちで目にする。石に対する信仰はどうやって生まれ、どんな分布... -
流れ施餓鬼<宇江敏勝>
■流れ施餓鬼<宇江敏勝> 新宿書房 20160907 熊野川と日置川流域を舞台にした小説6編。高校卒業後、炭焼きや林業で暮らしてきた著者の体験や古老から聞いた話をもとにしている。 タイトルとなった「流れ施餓鬼」は、麦わらの舟に新仏をのせ、火をつけて... -
日本の食文化史 旧石器時代から現代まで<石毛直道>
■日本の食文化史 旧石器時代から現代まで<石毛直道> 岩波書店 20160822 2013年、「和食・日本人の伝統的な食文化」が、ユネスコ無形文化遺産に登録された。その和食の起源から現代への流れを外国人にわかるように紹介している。外国人にわかるという... -
トウガラシの世界史<山本紀夫>
■トウガラシの世界史<山本紀夫>中公新書 20160815 コロンブスが米大陸からトウガラシをもってこなかったら、インドのカレーはあんなに辛くなく、キムチももっとタンパクで、麻婆豆腐もマイルドだった。トウガラシは世界中の味覚を変えてしまった。どん... -
ヒガンバナが日本に来た道-有薗正一郎
■ヒガンバナが日本に来た道<有薗正一郎>海青社 20160718 ヒガンバナは四国に多かった。人間が植えているわけではないのに、田の畔や集落の周辺に生えていた。アンズのある集落は朝鮮半島からの渡来人のつくった集落だと聞いたこともあるが、ヒガンバ... -
東北学 vol.8 飢えの記憶
■東北学 vol.8 飢えの記憶 □いくつもの日本 特別対談 「ひとつの日本」というスタンスではなく、「いくつもの日本」によって、地域の多様さをとらえる。それによって「ひとつの日本」が陥りがちなナショナリズム的な思考を回避できる。だが「いくつ... -
葬式と檀家<圭室(たまむろ)文雄>
■葬式と檀家<圭室(たまむろ)文雄>吉川弘文館1999年 2016/06/28 カトリック教会の神父さんから借りて、飛ばし読みした。 キリシタンを弾圧するために檀家制度がつくられ、人びとは寺の住職に自分の身分を保証してもらわなければならなくなった。檀... -
むらの社会を研究する<日本村落研究学会 鳥越皓之編>
■むらの社会を研究する<日本村落研究学会 鳥越皓之編>農文協 日本におけるむらの研究の流れや、研究の方法、現代の課題などを網羅していてわかりやすい。本格的にむら研究をはじめる人には必読の書だろう。私のような素人が読んでもおもしろかった。 ... -
いのちの場所<内山節>
■いのちの場所<内山節>岩波書店 20160403 いのち、は、個人のものなのか。命が個人のなかにとどまり、自分の命だけが至上のものとしたら、その喪失は世界のすべてを失うことを意味する。だから、死がとてもなくおそろしいものとなる。 だが、そうし... -
結社の世界史1 結集・結社の日本史<福田アジオ編、綾部恒雄監修>
■結社の世界史1 結集・結社の日本史<福田アジオ編、綾部恒雄監修>山川出版社 20160506 コミュニティや中間団体はどんな経緯で変化してきて、幸福な未来社会をつくるためにどう生かすことができるのだろう。そんな疑問をもって買ってから2,3年。し... -
南方熊楠の謎 鶴見和子との対話<松居竜五編>
鶴見は戦後、「山びこ学校」を通して「生活綴方」に共感し、自己史をつづることの重要性を説くようになる。このころの鶴見は、人々の生の声をどのように記録し、学問活動につなげるかを追究していた。対象を外から観察する近代科学のような社会学から、... -
増補 共同体の基礎理論 内山節著作集
■増補 共同体の基礎理論 内山節著作集15<内山節>農文協201 共同体は1970年代までは、封建時代の遺物と考えられた。 ところが共同体が消え、自立した個人が社会に参加することでよりよき社会が生まれる、という希望は実現しなかった。個人がバラバラ... -
森のバロック<中沢新一>
■森のバロック<中沢新一>せりか書房1992年 20160119 南方熊楠の生涯のうちで「もっとも深く体験されたもの」だけを注意深く取り出そうとした、という。 粘菌研究者としての熊楠、民俗学者としての熊楠、奇行を繰り返した熊楠……それぞれを断片的に紹介す... -
帝国日本の生活空間<ジョナサン・サンド>
■帝国日本の生活空間<ジョナサン・サンド>岩波書店2015年 2016/01/09 住宅のつくりや椅子文化、味の素などの身近なモノや習慣と、大日本帝国やアメリカといった植民地帝国の歩みとのつながりを、サイードのオリエンタリズムの理論的枠組みを利用して描い... -
日本文化の形成 下<宮本常一>
■日本文化の形成 下<宮本常一>ちくま学芸文庫 1994年 20160103 ▽倭人 蘇我蝦夷の名に見るように、蝦夷や毛人を名乗ることは卑称ではなかった。もともと日本に住んでいた人たちは毛深かった。そこへ、朝鮮半島を経由して多くの人が渡来した。彼らは貧... -
日本文化の形成 中<宮本常一>
■日本文化の形成 中<宮本常一>ちくま学芸文庫 20151216 筆者はみずから農漁業の経験があるから、古い時代の道具を見て、それがどう使われるか即座に理解できる。生業の伝統を受け継いでいる人だから、歴史への想像力が生まれる。生業から切り離されて... -
イリオモテのターザン<水田耕平>
■イリオモテのターザン<水田耕平>南山舎 2009年 20151220 西表島の果ての白浜という集落から、船でしかいけない船浮という集落へ渡り、さらにそこから30分船に乗ったウダラ浜という無人の浜に、何十年も住みつづける「ターザン」と呼ばれる男性がいた... -
日本文化の形成 上 <宮本常一>
■日本文化の形成 上 <宮本常一> ちくま学芸文庫 20151212 著者最晩年の講演と遺稿をまとめた本。 蘇我蝦夷の「エミシ」というのは毛の深い人たちという意味であり、新たに海の彼方から来た人たちが、列島土着の縄文文化人たちを「エミシ」と言ったの... -
人間の記録 南方熊楠 履歴書ほか
■人間の記録 南方熊楠 履歴書ほか 日本図書センター 20151123 □履歴書 抜群におもしろい。古い文体で候文だから読みにくいかと思ったがぐいぐい引きつけられた。 手紙が論文でありエッセーであり、語り芸であり。おそらく会話をしたら最高におもしろい...