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蓮如−聖俗具有の人間像
■蓮如−聖俗具有の人間像 五木寛之 岩波新書 201205 1953年に内灘闘争の現場で「加賀地方には一向一揆100年の伝統があるからね」と筆者は言われた。石川県では一向一揆や「蓮如さん」の記憶が今も生きているのだ。 蓮如は浄土真宗の中興の祖... -
内部被曝 矢ヶ崎克馬 守田敏也
■内部被曝 矢ヶ崎克馬 守田敏也 岩波ブックレット 20120501 核兵器のためにウランを濃縮するとつくりすぎてしまう。かといって工場を停止すると再稼働に時間がかかる。つくりすぎる濃縮ウランを消費するために原子力発電は生まれた。原発核兵器と密... -
新しい風土記へ 鶴見俊輔座談
■新しい風土記へ 鶴見俊輔座談 朝日新書 20120512 鶴見俊輔の幅の広さと現場への近さがわかる対談集。 姜尚中や中村哲とはナショナリズムや「外の目」の大切さを語り合う。 国家を超える、民衆に根っこのあるナショナリズムがイスラム圏にはあり... -
驚きの介護民俗学 <六車由美>
■驚きの介護民俗学 <六車由美> 医学書院 20120511 著者は気鋭の民俗学者として一時脚光を浴びたが、しばらく表に出てこなかった。大学教師をやめ介護の現場にいたとは驚かされた。何が彼女をそうさせたのか。介護現場の何が魅力なのか--。 民... -
山びこ学校ものがたり
■山びこ学校ものがたり あの頃、こんな教育があった 佐藤藤三郎 清流出版 20120509 著者は、青年教師無着成恭が教鞭をとった山びこ学校の一番の教え子であり、無着が村を追われた後もずっと村に残り農業をつづけた。無着の教育の多大な影響と同時に... -
東井義雄「いのち」の教え
■東井義雄「いのち」の教え 東井義雄 佼成出版社 20120508 筆者は生活綴り方を実践した小学校教師。子供との対話や経験をつづったエッセーだ。なぜこんなに心動かす言葉が次々に紡ぎ出されるのか。 鶴見俊輔は、生活綴り方のプラグマティズムとして... -
青春の門第7部挑戦編 五木寛之
■青春の門 第7部 挑戦編 五木寛之 講談社文庫 20120415 第6部の再起編から13年後の1993年に発表された作品がようやく文庫化された。偶然書店で見つけた。2002年に第6部まで読んだから、私にとっても10年ぶりの続編だ。 興奮しながら読... -
民権と憲法 日本現代史② 牧原憲夫
■民権と憲法 シリーズ日本現代史② 牧原憲夫 岩波新書 20120423 自由民権運動は、強権的な藩閥政府に対抗し敗れた進歩派勢力という印象が強い。本書は、民権派と民衆が一体になって明治政府に対抗したという従来の二極対立の構図を批判的に検証し、必... -
戦後日本の思想 久野収、鶴見俊輔、藤田省二
■戦後日本の思想 久野収、鶴見俊輔、藤田省二 岩波現代文庫 20120413 埴谷雄高らの「近代文学グループ」、進歩派だが共産党路線にがんじがらめになってしまった「民主主義科学者協会」、反共と穏健保守のあいだで揺れる「心」グループ、大衆のなかで... -
禁じられた歌 ビクトル・ハラはなぜ死んだか 八木啓代
■禁じられた歌 ビクトル・ハラはなぜ死んだか 八木啓代 晶文社 20120403 1973年、世界で唯一選挙で選ばれたチリの社会主義政権が軍クーデターでつぶされた。そのとき、ビクトル・ハラは軍に捕らえられ、虐殺された。 筆者は中学時代にビクトルの歌... -
僕は君たちに武器を配りたい 瀧本哲史
■僕は君たちに武器を配りたい 瀧本哲史 講談社 20120330 ほかの誰かと取り換えの効くコモディティになるな、自分しかできないものをもつスペシャリティであれ。当たり前といえば当たり前のことを言っている。 自動車は工作機械の進化によってモジュ... -
「気づき」の力、生き方を変え国を変える 柳田邦男
■「気づき」の力 生き方を変え、国を変える 柳田邦男 新潮文庫 20120318 患者に寄り添い、患者の心の一端でも支えるたいと謙虚な気持ちで向き合うなかで生まれた看護学生のエッセーはみずみずしい感性にあふれている。そんな感性の土台のうえに「現場... -
災害に負けない「居住福祉」 早川和男
■災害に負けない「居住福祉」 早川和男 藤原書店 20120319 災害に強い「居住福祉」のあり方を、生産基盤や環境、文化までを含めて従来の「福祉」の枠にとらわれず幅広く紹介する。 神戸市は1970年代に大地震によって長田や兵庫区がほぼ全滅すると予... -
「自己啓発病」社会 <宮崎学>
■「自己啓発病」社会 <宮崎学>祥伝社新書 20120307 イギリスのサミュエル・スマイルズの「自助論」。抄訳が広まり、都合のよいところだけつまみ食いのように翻訳され、小泉や勝間ら、新自由主義を奉る人々に利用された。 ところが全訳の「西国立志... -
中国化する日本<與那覇潤>
■中国化する日本<與那覇潤> 文芸春秋 2012022 世界で最初に「近世」に入ったのは、世襲貴族制を全廃し皇帝独裁とした宋朝で、ヨーロッパの近代啓蒙主義は、宋朝で体系化された近世儒学のリメイクだという。そして、宋朝の社会のしくみが全世界で今... -
日本の歴史をよみなおす(全)<網野善彦>
■日本の歴史をよみなおす(全)<網野善彦>ちくま学芸文庫20120214 われわれの原体験につながる社会は、室町時代ぐらいまでさかのぼれる。 集落を形成する「惣村」も、港や河原、中洲などに市が立って商工民や芸能民が集住した「町」も14世紀後半か... -
映画の構造分析 ハリウッド映画で学べる現代思想<内田樹>
■映画の構造分析 ハリウッド映画で学べる現代思想<内田樹>文春文庫 20120214 映画を通して難解なラカンやフロイト、フーコーらの現代思想を知る本。どっちにしても難解ではあるが、なんとなくわかった気になれる。 フロイトの「抑圧」の説明はわか... -
甘粕正彦 乱心の曠野<佐野眞一>
■甘粕正彦 乱心の曠野<佐野眞一>新潮文庫 20110122 甘粕の祖父母からDNAをさぐり、墓地を訪ね、周辺の人物をすべて洗うすさまじいばかりの取材だ。 部下からも慕われ、前途洋々たる軍人だったが、訓練中の事故で重傷を負い、忌み嫌われる憲兵に転... -
ベストセラー炎上<佐高信、西部邁>
■ベストセラー炎上<佐高信、西部邁>平凡社 20120127 ベストセラーをばっさりと切る対談。佐高の本は読んできたからどんな批評をするか想像がついたが、安定した共同体を重視する「保守」の立場からの西部の語りは新鮮だった。 勝間や竹中、稲盛らへ... -
マイバック・ページ ある60年代の物語<川本三郎>
■マイバック・ページ ある60年代の物語 <川本三郎> 平凡社 201201 60年代に青春時代を送り、朝日新聞に就職し、朝日ジャーナルの記者のときに、自衛官を殺した活動家と逮捕前に取材し警察に通報せず受け取った物を焼却してしまったばか... -
日本文化の形成<宮本常一>
■日本文化の形成<宮本常一>講談社学術文庫 2011121226 絵巻物や民話、伝承を分析し、自ら全国を歩いて見聞した事実とつきあわせ、縄文以来の日本の文化の変遷を解き明かす。縄文文化の名残が明治の家の形にまでつづき、海洋民としての倭人の家の形は... -
ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市市民の13年<山秋真>
■ためされた地方自治-原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市市民の13年<山秋真>桂書房 20120110 旅行で偶然珠洲に立ち寄った女子学生が、推進派の現職市長に無名の若者がいどんだ1993年の市長選に参加する。原発計画とたたかう人々のなかで... -
THE NICARAGUAN EPIC
■THE NICARAGUAN EPIC 201202 Carlos y Luis Enrique Mejia Godoy and Julio Valle Castillo 初版は1989年。革命運動のなかで生まれた詩をスペイン語と英文で紹介する。へぇ、そんなエピソードから生まれた歌なのかぁと思いながら読んだ。 運動... -
山に生きる人びと <宮本常一>
■山に生きる人びと <宮本常一>河出文庫20111218 水田で生きてきた農民とはちがう系列の人々が日本の山の中には脈々と生きてきた。 だが同じ隔絶した山に生きる人々でもバリエーションがある。地すべり地帯のわずかな土地に稲を植えようとするのは落... -
地元学からの出発<結城登美雄>
■地元学からの出発<結城登美雄>農文協 20111216 筆者は東北を中心に「地元学」による地域おこしに取り組んでいる。 成功事例をモデル化し、それを模倣する形の「町おこし」は、自分たちの町は遅れているという決めつけから始まり、それを是正する「活性... -
SIGHT2011秋 原発特集
■SIGHT2011秋 原発特集 原発特集。 電力会社は競争原理が働かない。「総括原価方式」によって、コストを増やすほどそのぶん電気料金を上げられるから、無駄を削るインセンティブが働かない。電力会社は取引先企業から買いたたく必要がない。そのかわりに... -
成熟ニッポン、もう経済成長はいらない<橘木俊詔、浜矩子>
■成熟ニッポン、もう経済成長はいらない<橘木俊詔、浜矩子>朝日新聞出版20111210 「国」が問題解決ができない現状では、きめ細かく問題を解決するため日本全体を顔の見える規模に分割するべきだとして、2人とも地方分権を主張する。それには共感でき... -
東京ファイティングキッズ・リターン <内田樹×平川克美>
■東京ファイティングキッズ・リターン <内田樹×平川克美> 20111207 「時間」の大切さ、「とりあえず」「いずれ」という判断保留の大切さが繰り返し論じられる。 「時間」という猶予がなければ、「贈与」は起きない。「今はいらないけど『いずれ』... -
電力と国家<佐高信>
■電力と国家<佐高信>集英社新書 20111124 戦争遂行のため、軍部と革新官僚が手を結んで電力の国家管理を強行した。 それに反対したのが、福沢諭吉の弟子でもある松永安左エ門だった。「官吏は人間のくずである」と言い放ち、戦後も官僚による支配をは... -
精霊たちの家<イサベル・アジェンデ>
■精霊たちの家<イサベル・アジェンデ>国書刊行会 20111120 作者は、1973年のチリのクーデターで死んだアジェンデ大統領の姪。 19世紀からクーデターにいたる100年間の歴史を、ひとつの家族を通して描く。超常現象が次々に起きる物語の展開はガ...