03ジャーナリズム– category –
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実戦・日本語の作文技術 <本多勝一>
朝日文庫 20080110 ずっと以前に「日本語の作文技術」を読んで、読点の打ち方をまなんだ。本書の前半はその内容のおさらいになっている。いま改めて読むと、これだけの論理的なルールを、忙しい新聞記者の仕事をこなしながら、40歳になるかならないかで... -
メディア危機 <金子勝 アンドリュー・デウィット>
NHKブックス 20071027 メディア・リテラシー運動が先進国の学校教育に普及するのは1980年代後半からだという。日本では「新聞を学校教育に」という運動はあるが、メディアの批判的読み方をおしえるリテラシー教育はない。その手法さえマスコミの... -
検証日本の組織ジャーナリズム NHKと朝日新聞 <川上泰資、柴田鉄治>
岩波書店 20070507 組織ジャーナリズムがいかに弱体化してきたかを、NHKと朝日というメディアの経緯と現状をとおしてあきらかにする。 かつて日本の新聞は産経をふくめてすべて野党だった。それがまずは産経がころび、中曽根時代に読売がころび、最... -
新聞記者という仕事 <柴田鉄治>
集英社新書 200705 昔は新聞は野党だった。反戦平和は当たり前だった。読売・産経でさえもそうだった。ベトナム戦争のころもそうだった。新聞が輝いていた時代である。 野党精神の足並みは70年代に入って乱れ、まず産経新聞が自民寄りになる。80年代に... -
知識人とは何か <エドワード・W・サイード>
平凡社ライブラリー 1070221 「知識人」に求められる資質としてサイードは、権力と対峙すること、専門外のことでも大事な問題は積極的に発言すること……などをあげる。 イタリアの哲学者ヴィーコは、権威に威圧されないためには、社会的現実の起源にさか... -
M/世界の、憂鬱な先端 <吉岡忍>
文春文庫 20070110 ベルリンの壁が崩れる。歴史は人間が動かせるのだ、と実感できる場面に立ち会う。そのときふと「では日本は?」と思う。 まさにその年、昭和天皇が吐血し、報道は翼賛体制となり、戦争という歴史を徹底的に忘れるメルクマールとなっ... -
言論統制列島 <鈴木邦男 森達也 斉藤貴男>
講談社 20061125 石原慎太郎が「週刊ポスト」に、今の日本人が緊張感を失った理由は、この60年間戦争をしなかったからだ」などと書くなど、政治家や権力者は言いたい放題で、「舌禍」のハードルが大きく下がっている。 一方で、マスコミは萎縮し自己... -
クライマーズ・ハイ
横山秀夫 文春文庫 20060805 文句なしにおもしろい。元上毛新聞記者だけあって、新聞社と記者の生態を余すところなく描いている。 主人公は群馬の「北関東新聞」の40歳の記者である。 1985年8月、地元出身の中曽根首相が靖国公式参拝をする... -
「放送禁止歌」森達也
■知恵の森文庫 20051230 「放送禁止歌」というと、キヨシロウのパンク調「君が代」とかをイメージしてたけど、実は天皇制関連の「放送禁止」は岡林の「ヘライデ」くらいだという。 大半はもっとささい理由ばかり。 え? この歌も? という歌が次々... -
編集長を出せ! 「噂の真相」クレーム対応の舞台裏 <岡留安則>
ソフトバンク新書 20060616 「噂の真相」の元編集長が長年のクレーム対応の舞台裏をあかす。 強面でなにがあっても妥協しない編集長というイメージが強いが、意外に柔軟で臨機応変であることに驚く。 皇室ポルノで右翼の抗議をうければあっさりと「謝罪... -
渡邉恒雄メディアと権力 <魚住昭>
講談社文庫 20060616 言わずとしれた読売のドン、メディアの覇王の半生を描いている。 なんとも後味の悪い人間だ。 いいところのボンボンとして育ち、戦後、東大で共産党の活動家になるが、主流派と対立してはじきだされる。 全学連草創期の東大での活... -
不屈のために <斎藤貴男>
ちくま文庫 20060612 世の中なにかおかしい。 憲法改正や有事法制は怖い。 「防犯」という名の監視社会化も不気味だ。 派遣社員と本社員の賃金格差もひどすぎる。 暮らしていけない階層をつくる経済体制も露骨だ。 二世議員ばかりの国会はなんだ…… おか... -
ケンカの作法 <辛淑玉 佐高信>
角川oneテーマ21 20060607 ケンカの作法を教えてくれるわけではない。 でも、辛口の2人が、政治や世相をバッサバッサとぶったぎるように語るのは心地よい、 というより、一緒になって腹がたち、同等の能力がない、いや、気力がない自分が情けなくなって... -
新聞記者をやめたくなったときの本 <北村肇編>
現代人文社 20060605 やめたくなったとき、といっても、記者になったばかりの若手を対象にしている。 新聞社に限らず、3日3ヶ月3年という節目に「やめたい」と思う人は多い。 今の新聞社のあり方を考えた場合、「やめたい」と思わないほうがどうかし... -
完本美空ひばり <竹中労>
ちくま文庫 20060514 演歌や懐メロは子どものころ聴かされた。だが興味はない。聞きたいとも思わない。 でもよく考えると、古賀メロディーや美空ひばりはなぜあれほど人々の心をとらえたのか。若者から老人まで夢中になったのか。 戦後直後、「日本人はフ... -
黒田清 記者魂は死なず <有須和也>
河出書房新社 20060406 本田靖春「我、拗ね者として生涯を閉ず」と似た読後感をもった。 ほぼ同じ時代に読売新聞に籍をおき、東京で本田がほされて辞めたとき、まだ黒田は大阪社会部長として大活躍していた。「大阪で黒田と働きたい」と本田に言わしめた... -
職業としてのジャーナリスト2-報道不信の構造
岩波書店 20050505 メディアの締め付けをはかる権力。 田中真紀子の長女の報道問題では、裁判官が出版差し止めの研究会がつくっていることが明らかになった。プライバシー概念は拡大し、アイドルの交際報道、「お宝写真」掲載でも賠償を命じる。放送内容... -
奇跡を起こした村の話 <吉岡忍>
ちくまプリマー新書 20050529 「戦争になだれ込み破滅していった昭和史を少し丁寧に読み解けば、その前段に地方行政の手詰まり、怠慢、無能力があったことがわかるだろう」 冒頭、こんな言葉が出てきて、そうだったんだ、と目の前が開けるような気がして... -
職業としてのジャーナリスト1-ジャーナリズムの条件
岩波書店 200504 例えば事件の現場や災害現場に行く。気が重い。とくに、被害者や被災者の話を聞くというのは。でも聞かないといけない。 集中豪雨の取材のとき、亡くなった人の祖父らに話を聞いた。オレの話しているところに他社の記者が寄ってくる。お... -
我、拗ね者として生涯を閉ず <本田靖春>
講談社 20050412 93年に透析を始め、5年後に肝臓ガンが発見され、右目失明、結腸ガン手術、右足切断、左足切断……「寿命がつきる時期と連載の終結時を両天秤にかけながら」昨年末の死の直前までかけてつづった文章をまとめた。けっきょく最終回までた... -
小泉純一郎-血脈の王朝 <佐野眞一>
文芸春秋 20050329 秘書官の飯島勲、田中真紀子、姉の小泉信子の3人に焦点をあて、関係者のすべてを当たる綿密な取材で出自と経歴を暴いたうえで、小泉の力の秘密と、血族以外を決して信じないその孤独さを浮き彫りにする。 小泉は、中学高校時代、まっ... -
逆命利君 <佐高信>
岩波現代文庫 20050112 異色商社マン鈴木朗夫を描く。 若いころから上司を肩書きではなく「○○さん」と呼ぶ。ずけずけと物を言う。社長の伊藤に「あなたの服装はひどい。上から下までコーディネートしますからまかせてください」などと直言する。 エリート...