11近現代史– category –
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満洲暴走 隠された構造<安冨歩>
■満洲暴走 隠された構造<安冨歩>角川新書 2015 20151226 「東大話法」などユニークな著作を次々に出している筆者は、経済学者でありながら、民俗や自然環境、歴史など、幅広い分野を調べ、大きな物語をつくりだす。経済学者の森嶋通夫に似ているなあ... -
歴史の話 <網野善彦 鶴見俊輔>
■歴史の話 <網野善彦 鶴見俊輔> 朝日新聞出版20151120 高度成長は、南北朝期とならぶ大転換期であるという網野善彦の主張を簡単に記述しているものがないかと思って読むことにした。おもしろくて一気に読んでしまった。 まずは、「気配の感覚」。科学... -
紀州 木の国・根の国物語 <中上健次>
■紀州 木の国・根の国物語 <中上健次>角川文庫 20150703 紀州の被差別部落をめぐったルポルタージュの傑作。 紀州は「輝くほど明るい闇に在る」闇の国だと位置づけ、被差別の地の独特の生命力と性と聖、そのうごめくようなエネルギーと暗さを探求する... -
熊野・新宮の「大逆事件」前後<辻本雄一>
■熊野・新宮の「大逆事件」前後<辻本雄一>論創社 20150901 大逆事件の前、19歳の荒畑寒村が田辺に来て牟婁新報で好き放題に書いていた。新宮の大石誠之介らともつながっていた。新宮は談論風発。自由な弁論が花盛りのまちであり、社会主義やキリスト教も... -
理想だらけの戦時下日本<井上寿一>
■理想だらけの戦時下日本<井上寿一>ちくま新書 2015/04/06 国民精神総動員運動と大政翼賛会はどちらも日本の全体主義体制の構成要素という認識だった。精神総動員から大政翼賛会への動きは直線的に進行したと思っていた。 だがこの本によると、政党... -
作業中)あの戦争と日本人<半藤一利>
■あの戦争と日本人<半藤一利>文春文庫 20150102 ▽17 敗戦後の大人たちの変わり身の早さ早さには肝をつぶしました。「この悲惨な戦争は軍部と政治家によって引き起こされたものであって、われわれには悪いところは一つもない」「われわれは、罪深い戦争... -
作業中)愛と暴力の戦後とその後<赤坂真理>
■愛と暴力の戦後とその後<赤坂真理>講談社現代新書 20141214 時代の変化の節目。終戦、空き地、80年、〓。 筆者の育った東京郊外。小川は暗渠に。火から電気、さらに原発へ。けんかからいじめへ。 危険はどんどん見えないものになっていった。同時に... -
魚津フォーラム米騒動を知る
■魚津フォーラム米騒動を知る <NPO法人米蔵の会> ▽米蔵の会理事長 慶野達三「米騒動は今日の国民一人一人の生活、基本的人権を求めた先駆けであり、歴史的に大きく評価されます」 ▽大成勝代 編集長 魚津の米騒動は社会に混乱をもたらしたという目に... -
作業中)戦う石橋湛山昭和史に異彩を放つ屈服なき言論<半藤一利>
■戦う石橋湛山昭和史に異彩を放つ屈服なき言論<半藤一利> 20140208 軍部が力をつけ、大新聞がナショナリズムをあおり、さらには太平洋戦争開戦とともに雑誌も屈服するなか、最後まで粘り腰で自由主義的立場を維持した。 言論の自由とは、命をかけなけれ... -
近代の呪い<渡辺京二>
■平凡社新書 20131212 「近代」は政治的にはフランス革命以後、経済的には産業革命以後、資本主義成立以後とされたが、資本主義の成立は16世紀だという論が主流になってきた。プランテーション農業が奴隷制と結びつくことで、環大西洋経済が成立する。... -
原発危機と「東大話法」 <安冨歩>
■原発危機と「東大話法」 安冨歩 明石書店 20130328 筆者は銀行で、人間を型ににはめ、同じ方向に走らせ、やがて疑問をもてなくなる「魂の植民地化」を実感し、大学院にもどった。「満州国」の歴史を研究したのは、昭和の戦争への暴走ぶりが、バブル... -
EMBRACING DEFEAT JOHN W. DOWER
■EMBRACING DEFEAT JOHN W. DOWER 20130222 「敗北を抱きしめて」 日本人はどのように敗戦を受け止め、なぜ戦後の大転換が起きたのか。GHQは占領政治をどう展開し、それを日本人はどう受け止めたのか。 そうした大転換をもたらした、戦前と戦後で変... -
「日本」をめぐって 網野善彦対談集
■「日本」をめぐって 網野善彦対談集 洋泉社 20120916 「百姓」とは必ずしも農民ではない。日本が農業国家だったというのは嘘で、田畑で生業を立てていたのは3、4割にすぎず、人々は比較的に自由に移動して暮らしていた。……という網野の視点から歴史... -
民権と憲法 日本現代史② 牧原憲夫
■民権と憲法 シリーズ日本現代史② 牧原憲夫 岩波新書 20120423 自由民権運動は、強権的な藩閥政府に対抗し敗れた進歩派勢力という印象が強い。本書は、民権派と民衆が一体になって明治政府に対抗したという従来の二極対立の構図を批判的に検証し、必... -
中国化する日本<與那覇潤>
■中国化する日本<與那覇潤> 文芸春秋 2012022 世界で最初に「近世」に入ったのは、世襲貴族制を全廃し皇帝独裁とした宋朝で、ヨーロッパの近代啓蒙主義は、宋朝で体系化された近世儒学のリメイクだという。そして、宋朝の社会のしくみが全世界で今... -
親米と反米 戦後日本の政治的無意識<吉見俊哉>
■親米と反米 戦後日本の政治的無意識<吉見俊哉> 岩波新書 20101119 ▽17 ジョン・ダワー「敗北を抱きしめて」は、戦時期までの天皇制と占領期の米軍支配の連続性を浮かび上がらせた。天皇の戦争責任回避が日米合作で、占領軍と日本の支配層の... -
ポスト戦後社会 <吉見俊哉>
■ポスト戦後社会 <吉見俊哉> 岩波新書 20101103 「戦後」と「ポスト戦後」への転換は、社会主義やアメリカ流の物質的豊かさといった「理想」「夢」の時代から、「虚構」の時代への転換に対応している。前者の象徴が東京タワーであり永山則夫の... -
真昼の暗黒<アーサー・ケストラー>
■真昼の暗黒<アーサー・ケストラー> 岩波文庫 20100813 スターリンによって処刑されたプハーリンの裁判をモデルに書かれたとされ、オーウェルが「1984年」を執筆する際に参考にした小説だ。 人々を幸せにするはずの社会主義がなぜすさまじ... -
疾風の人 ある草奔伝 <松下竜一>
■疾風の人 ある草奔伝 <松下竜一> 朝日新聞社 20100410 大分・中津の福沢諭吉の家のすぐ近所に、福沢の洋学に反発して福沢暗殺をはかった尊皇攘夷派の福沢の又従弟がいた。増田宗太郎。 薩長による新政権は、尊皇攘夷から一転、文明開化をは... -
オーウェル評論集2 水晶の精神<ジョージ・オーウェル、川端康雄訳>
■オーウェル評論集2 水晶の精神<ジョージ・オーウェル、川端康雄訳> 平凡社ライブラリー 200912 どの論考も新鮮で、古さを感じさせない。現代の日本にあてはまる個所がいくつもある。テーマを5つほどにしぼって感想を記したい。 □言葉 あらゆる... -
対論異色昭和史 <鶴見俊輔、上坂冬子>
PHP新書 1090723 鶴見俊輔が、右派の上坂と接点を持っているとは意外だった。 戦争の評価ひとつとっても正反対。上坂は中国との戦争を日本だけが悪いという意見はおかしい、といい、アメリカに押しつけられた憲法なんて改正するべきだ、と述べて... -
昭和史発掘2 <松本清張>
文春文庫 20060725 □三.一五共産党検挙 温泉で組織の大会を開くのに、工場の慰安会と偽装する。細かなところでミスをして、そのほつれをつけ込まれて組織の全体像をつかまれ弾圧される。スパイ小説そのままだ。 「大逆罪」によって幸徳秋水らが死刑と... -
昭和史発掘1 <松本清張>
文春文庫 20060626 □陸軍機密費問題 □石田検事の怪死 後に政友会から首相になる田中義一大将らによる陸軍機密費を利用した汚職。これを暴こうとする憲政会と軍の反主流派と、隠匿しようとする政友会と軍の反主流のせめぎあいを描く。中野正剛という気... -
松本清張と昭和史 <保阪正康>
平凡社新書 20060618 「昭和史発掘」と「日本の黒い霧」をとりあげ、歴史の記録者としての松本清張の姿を描いている。 筆者の作品としては、軽くて力は入っておらず、あまり意外性はない。でも、司馬遼太郎と比較して松本清張を把握するうえでは参考に...
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