01思想・人権・人間論– category –
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東京ファイティングキッズ <内田樹、平川克美>
朝日文庫 200706 --空中浮遊などの考えられないことがおきたとき、「何も見なかった」と経験そのものを否定する人も、尊師を信じてしまう人も、あるフレームワークが失効してから、次のフレームワークを自力で構築するまでの「酸欠期」を息継ぎなしで... -
はじめての構造主義 <橋爪大三郎>
講談社現代新書 20070509 内田樹の入門書とならぶくらいわかりやすい構造主義の入門書だ。 リンゴという実体がまず存在するのではなく、「リンゴ」という言葉によって、リンゴが世界が切り取られ、認識される。リンゴと梨の区別をつけるか否かは「実体... -
悲しき熱帯Ⅱ <レヴィ=ストロース>
レヴィ=ストロース 中公クラシックス 200705 ブラジルの先住民族のフィールドワークを丹念に記している。 単なる「観察」ではなく、インディオの世界に心から共感していることが、あたたかみのある筆致からよくわかる。 その共感があるからこそ、欧米... -
悲しき熱帯Ⅰ <レヴィ=ストロース>
中公クラシックス 200705 文化人類学のおもしろさ。常識が常識でないことがわかる。人間が人間であるべき「本性」はどこにあるのか、を知る。 戦前のブラジルへの豪華客船の旅かと思えば、ドイツ占領下の劣悪な航海へ、インドの労働者の生活風景かと思... -
人文学と批評の使命 <E・W サイード>
岩波書店 200703 外部の状況・システムによって人間の思考は決められているとする構造主義は、デカルト以来の主体(コギト)に異議をつきつけ、従来の人文学(humanism)を圧倒した。隅においやられた人文学は、社会との接点をさぐることをやめ、すでに... -
希望の教育学 <パウロ・フレイレ>
太郎次郎社 20070315 これまた10年ぶりの再読。 「被抑圧者の教育学」は抽象的でストイックな印象の本だった。老境にはいって、「被抑圧者」のできた過程と、その後の広まりをふりかえってつづった「希望の教育学」は、フレイレのやさしさが行間から... -
被抑圧者の教育学 <パウロ・フレイレ>
亜紀書房 20070306 10年ぶりの再読。 「俺になにができるって? ただの百姓なのに」「しかたない」……うちのめされ搾取された読み書きもできない被抑圧者には宿命論的なあきらめが蔓延している。これを「沈黙の文化」と著者は呼ぶ。日本の農山村を歩... -
知識人とは何か <エドワード・W・サイード>
平凡社ライブラリー 1070221 「知識人」に求められる資質としてサイードは、権力と対峙すること、専門外のことでも大事な問題は積極的に発言すること……などをあげる。 イタリアの哲学者ヴィーコは、権威に威圧されないためには、社会的現実の起源にさか... -
旅の話 鶴見俊輔 長田弘
晶文社 20060215 旅は恋ににている。異性との出会いへの期待はもちろんだが、不安だけど歩をすすめざるをえない落ち着かない感覚は、未知の世界への恋ではないのかと感じてきた。 だが、歳をかさねて30歳代もへて、「恋」への旅でいいのかな、そ... -
「伝える言葉」プラス <大江健三郎>
朝日新聞社 20070210 晩年をむかえた大江健三郎が、若い世代への伝言として新聞に連載した文章を集めたエッセー集。 「老人がいつも悲しい顔をしているのは『未来への未練』の表情だったと気づいた」と記す、老年をむかえた大江の悲しみと、死の床で「考... -
M/世界の、憂鬱な先端 <吉岡忍>
文春文庫 20070110 ベルリンの壁が崩れる。歴史は人間が動かせるのだ、と実感できる場面に立ち会う。そのときふと「では日本は?」と思う。 まさにその年、昭和天皇が吐血し、報道は翼賛体制となり、戦争という歴史を徹底的に忘れるメルクマールとなっ... -
ぼくはいくじなしと、ここに宣言する <森毅>
青土社 20061110 戦争中は軟弱非国民、学生運動さなかも軟弱な教師……軟弱へなちょこ人生を貫いてるものがあるとしたら、自分をも笑ってしまう道化精神だろうか。 なんともまあ肩の力が抜けていて気持ちいい。 「権威を否定していた人間が、権力を獲得す... -
街場のアメリカ論 <内田樹>
NTT出版 20061025 歴史を一直線の流れとみる「歴史主義」ではない。「今」の時点から未来をみると多くの選択肢があるように、過去のある1点においても多くの選択肢のなかから1つを選択した。歴史が一直線だとしたら運命論的になるが、複雑系だと考... -
敗戦後論 <加藤典洋>
ちくま文庫 20061008 ■敗戦後論 護憲派は、押しつけ憲法、という「汚れ」をなかったこととして、戦後民主主義をピュアであることを主張しつづける。大江健三郎がその代表だ。 改憲派は天皇の戦争責任という自明な事実を無視して、同じくピュアであると... -
態度が悪くてすみません 内なる「他者」との出会い <内田樹>
角川oneテーマ21新書 20060922 著者の本は4冊目。構造主義の立場からバッサ、バッサと斬るのが心地よい。 「今・ここ」の立場から善悪を判断するのではなく。「あのとき・あの場所」の条件を考えて、「今・ここ」との共通点を見つけ出していく。 この... -
秋の蝶を生きる 山代巴 平和への模索
佐々木暁美 20060815 苦しくも終戦の日、小泉が靖国参拝をしたというニュースがふりそそぐなかで読了。 いったいこの国はどうなってしまったのか。なぜこうなってしまったのか。どこで歯車が狂ったのか。 戦前、比較的自由だった大正時代がす... -
寝ながら学べる構造主義 <内田樹>
文春新書 20060603 ちょっと読んではあきらめ、読んではあきらめを繰り返していた「構造主義」だが、「寝ながら」という軽さと、内田樹が書いたということで、もう一度だけ試してみることにした。 構造主義の基本の基本をわかりやすく説明してくれてい... -
若者の法則 <香山リカ>
岩波新書 20050214 敬語を使わない。入試にまで親が見送りをする。オリンピックでも日常生活でも「楽しみたい」とばかり口にする。やけに大げさに自分の体験を語ろうとする。身近な人にはやさしいのに、(少年犯罪の被疑者ら)「外」に対してはやけに厳し... -
■久野収集Ⅰ
岩波書店 佐高信 990319 丸山真男を読みたくなった。「知識人だけでなく、ジャーナリズムや学会に蔓延している自分の言動にたいする無責任さ。昨日言ったことをきょう翻して平然としている」という指摘。コメの自由化にしても規制緩和にしても、一時... -
日本文学史序説 上下 加藤周一
■日本文学史序説 上 加藤周一 ちくま学芸文庫990603 抽象的な哲学の体系が作られなかったかわりに、具体的な文学で思想を表現してきた。抽象的・体系的・理性的な秩序よりも、具体的・非体系的・感情的なものに即して言葉をもちいてきた。抽象的な音楽...