■出雲からのメッセージ 高齢社会への挑戦<山根 塩飽> 201007
□ことぶき園 と エスポワール
▽11
▽25 エスポワール出雲クリニック 石橋典子 高橋幸男
▽30 「小山のおうち」 お年寄りの心に向き合うほど、痴呆というベールで覆われていたお年寄りの「健康な部分」が見え始めた。その健康な部分に働きかけることで、年季の入った知識や知恵に驚かされたりしながら、喜びや悲しみを分かち合えるようになった。
▽34 「小山のおうち」では「ぼけたっていいのではないか」と言われ、「あんたもかね、私もだわ」と共感がある。ボケてもここでは1人の人間として生きることができるという場面ができた。スタッフも、痴呆という障害をもとに生き生き暮らし始めたお年寄りを見ていて、「ここには、長寿の文化がある」と気づいたのです。
▽36 ……痴呆のお年寄りにとって、どうすれば居心地がよくなるか……といった「楽しい部分」にピントを合わせることが大切です。分からなくなることも老いることの産物であり、長寿のあかしでもある。それを心のひだでそっと包みこむことができれば、お年寄りは周りの優しさを素直に自分で取り込んで、生きる意欲を持ち続けることができる。
心の悩みをもつ人を対象としている専門家が、「痴呆老人が悩んでいる」こと、「悩める豊かな心を持っている」ことに気づいていない。だから、「疲れるまでぐるぐる歩いて回るのも介護の一つ」と回廊廊下を作って疑問ももたない。(〓ベテルにだまされた)
▽45 生きる価値基準のなかで「老い」「障害」を問わなければ。心を病む人の心に入っていくことも同じ視点で捉え直さなければ。夢は、現場にエネルギーを依拠しつつ、社会づくりまで視点を広げられたらと思います(高橋)。
たとえ一瞬一瞬でも生きていることを実感出来るような。「ああ、自分は生きている。自分は素敵な生き物なんだ」と思えることが幸せなんですよね。(石橋) いま・ここ
▽47 「ことぶき園」。槻谷。最も大切にしてきたことは、福祉の原則、すなわち憲法25条です。今までの老人福祉は、障害者や高齢者を地域から排除する方向で作られてきた。そこで、住み慣れた町の中に高齢者施設を作ろうと考えた。
▽59
□出雲市稗原町の開業医 古瀬倶之
▽76 良い介護のポイント 食事の世話 排泄物の処理 入浴 会話。4つめは家族じゃないと出来ない。
▽80 まず、質の高い小規模多機能の施設を公民館ないしは、小学校単位に作ること。それを青年部、婦人がサポートすること。
□大田市三瓶町に池田診療所を開設 長坂行博医師
「ヘルスポリシーネットしまね」
▽88 トレーを燃やすとダイオキシンができたゆ。それが土にしみこんで、野菜に入り、孫が食べるよ……デイケアで風船遊びもいいけど、それよりももっと勉強しましょうと言いたい。……おばあちゃんがこれまで食べてきた食事が一番健康な食事なんだよということを、おばあちゃんからどんどん訴えてくださいとお願いしています。みなさんの使命があるんですよ、ということを訴えたい。
▽96 専門職の集団、学会のなかで、閉じられた世界の中で自己満足するのではなく、そこからまた散らばって行って地域の中に入って行って、こうしようよ、ああしようよと言う。それが本来のヘルスポリシーネットの課題だろうという気がする。(〓地区診断)
□渡辺英二 出雲市役所市民福祉部長
▽100 自ら成長しながら全ての市民の人間尊厳のために闘う職場づくり。今日よりも明日、明日よりも明後日、異なった人間でありたいという。
▽102 汽車の中で中学校区を基本にしようということに。……山根さんが「肌着のような保健福祉医療」ということをおっしゃっていました。そのことは、市民の生活を支えるサービスを身近な生活圏で完結させることだと気づいた。
□中山間地域
▽120 佐田町は4診療所と歯科診療所がある。……島根県で最も優れた「肌着のように優しく暖かい」医療福祉サービスが提供されている。村医者として町民の生命を守ってきた石崎英一さん(死去)。
奥まった橋波地区で、専業農家として農業によるむらづくりに奮闘する深井徹郎さんと山本博稔さん。集落営農。
農村歌舞伎を復活させた渡部良治さん。
▽124 石崎さんは元軍医。(軍医の目で何かかけぬか)〓
▽128 寄生虫がどれだけいるか、町民全部を調べなくては。青年団長だった。自転車で顕微鏡をもって、25部落全部を、便を集めたり……。寄生虫を持ったものが85%、戸数では100%。……保健クラブの女子が検査を手伝ってくれるようになり、その1期生が、佐田分校の養護教諭の高橋さん。保健クラブで看護婦になった者は多い。10年やって、議員時代は休んで、昭和38年からまた15年つづけて、保健クラブの指導をした。でも後半は、殿様ガエルもいない。寄生虫患者もいない。おもしろくない。
▽134 佐田町の総合的健康福祉活動が全国でも高く評価。青年団や寄生虫予防活動、学校保健活動があってはじめて、健康管理活動協議会が発足できた。
▽138 医者が4人おり、診療所は5つ。
▽141 深井徹郎 山本博稔 橋波アグリサンシャイン (〓なぜまとまり? 災害と関係?)
▽147 専業農家数が少なく、転作水田もうまく生かせない。女性や高齢者の余剰労働力も生かしたいが、共同作業にのっていただけない。……米作りを経営や生産の対象だけと考えず、地球環境を守ることと思っています。そこを行政や都会にアピールしていますが……
▽148 JA平田が「かあちゃんブロッコリー」を12年かけて特産化した。
▽149 橋波こんにゃく組合〓。ヘルシー食品で、栽培は簡単ではないか、と考えたのが昭和60年。郵便局長の発案で、こんにゃくをふるさと小包に。
山本は去年養豚をやっていたが廃業。昨年までメロン栽培も。
▽153 深井 専業めざして、田や養鶏をがんばった。が、縫製工場が進出してきて、家内が働きに出ると言い出した。ぼくは建設会社に10年働きにでながら田んぼ2町の経営をしていた。
山本 橋波アグリには、メロンや菊の栽培技術は別にして、機械や経営などの相談できるサラリーマンも技術者もいる。
塩飽……アグリができたことで、農業を軸にした地域のつながりが強まった。農業や農村を支える都会の人と一緒に支える仕組みをつくる必要がある。
山本 まず橋波内の自給自足を考えるのも面白いと思う。大豆で、今は買っている味噌を地域内で生産消費しようじゃないか。将来はそのお裾分けとして野菜の直売をすればいいのでは。
▽163 175 渡部 歌舞伎のたびに、地元の特産品を舞台で紹介する。……農村社会特有の相互監視や若い芽を摘む雰囲気を、自助努力と周囲の支援で変えてこられた。若い人たちが自分の気持ちを正直に出しながら暮らせる雰囲気ができつつある。〓
□人間性回復のエコロジー
▽181
佐藤忠吉 御室山の麓に、茅葺きの農家農村塾をつくる。
田中佑子 都会から故郷にもどり、健康と安全な食を求めるネット「すこやか会」「酒、タバコ、悪書等自動販売機撤去条例」、高齢者健康福祉問題にも活動が広がる。
坂本巌 宍道湖のシジミを愛する生態学者 淡水化や干拓に警鐘を鳴らす。
原俊雄 宍道湖の漁業者、農業者
▽191 佐藤 昭和48年「木次緑と健康を育てる会」で勉強会をはじめる。松江の森永ヒ素ミルク問題の会と交流。73年ごろから消費者もくわわり、75年ごろから出雲共同購入会をつくる動きに。
▽197 子どもが切れる。有機農業の藁をやるのと化学肥料の藁をやるのでは、牛の健康度がまったくちがう。今の平均収量なら、有機農業でやれる。食べる量を3分の2にしたらいい。有機農業野菜は腹応えがちがう。
▽212 田中 女性主体の調査や研究活動を絶えず続けた。本当によく勉強した。なにか疑問が起きると、本を回し読み。生産地との交流や調査……
▽216 出雲・松江・木次で 農・食・医連続講演会。
▽219 (社会が悪いと向こう岸で言っておれば、社会が良くなるという時代ではない)
静かに本気で物事を考えた人の言葉とか、そういう中で生まれた音楽とか絵画とか、そういうものに真正面から向き合っていかないと、世の中全体が枯れてゆくのではないか。一生懸命考えたということのない文化は空回りして、結局は方向を失ってゆくように思う。
▽221 坂本巌、原俊雄、福島哲仁
▽225 坂本 県議の福田さんが、漁業者の立場で討論していたが、僕の所に「もう駄目です水門を9門閉め切ることを阻止するための学術的説明はできない」というサインを送ってきた。……
▽235 漁協の青年部が熱心に活動。水系問題とか産廃問題とかに取り組む。禁漁区も実験もはじめた。
▽248 森と川と湖と海がつながり、そこの人たちが環境認識を深めていくという気長なプロセスこそ、大きな力になる。昨年、ネットワークは、出西窯の多々納さんと「土と水と炎を生きる」というテーマで、民芸運動と環境の大切さを語り合った。
□21世紀の医学戦略
▽261 移植医療 日本最初の生体肝移植 永末直文
お金が入れば豚を業者から買って、夜中に2時3時まで、みんなで実験をやりました、。250頭くらい殺しましたね。
▽278 小林祥泰 老人性痴呆への挑戦
ライフスタイルといっても、酒やタバコや運動と言われるが、本当の意味での生き甲斐をもった仕事とか、社会的な活動性のほうがはるかに大きい。そういうものがすごく脳に影響する。
▽288 山根 高齢者の経験や知恵を、とことん最後まで次世代につなげ、社会に生かす工夫が少ない。ゲートボールやデイサービスの風船まわしではちょっとさびしい。
▽291 瀬戸山元一 舞鶴市民病院長から県立中央病院長に。
▽300 中央病院に「地域医療部門」がつくられ、地域医療に情熱を燃やす医師達の技術研修支援。診療所の医師、中央病院、島根医大に、市民や福祉関係が加わり発足した全国でも珍しい「島根地域医療支援機構」も21世紀の日本医療創成のさきがけ。
ロシアや中国の子も治療。パプアニューギニアへも。
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