■ゼロの焦点<松本清張>20140815
久しぶりの再読。ヤセの断崖について書くために文庫本を買った。あらすじも忘れていた。
能登にいて読むと、土地の雰囲気がわかるからおもしろい。当時は鉄道が多かったが、ずいぶん廃線になってしまったこともわかる。羽咋から志賀町の高浜まで鉄道があったんだなぁ。
携帯電話がない時代、連絡をとるのにも時間がかかる。そのタイムラグが小説に活用される。今ではそういう「間」がなくなったから松本清張の小説の意味も理解されなくなるのではないか。
戦後のパンパンなどの暗い世相を背景に描く手法はさすが清張だと思った。能登の風景の描写もすばらしい。ただ、最初から犯人はなんとなくわかってしまった。以前に読んだことがあるから、というだけではない。清張のやり方じたいがほかの人にまねられて、パターンとなってしまったのかもしれない。
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