神の粉(こな)

201307-2kamino-kona

宇出津のあばれ祭りは、6本のたいまつの周りを40基のキリコ(巨大灯籠)がめぐる火祭りだ。
たいまつが崩れ落ちるたびに火の手がボッと舞い上がる。
担ぎ手は火の粉をかぶり、キリコに燃え移った火を座布団で消す。
観覧席にいても炎の熱さが伝わるほどだ。
今にも炎に包まれそうな1台のキリコの元に、どこからともなく現れたおじいさんがヨロヨロ寄ってきた。
飛んで火に…とゆーか、徘徊して火に入ろうとするおじいさん。
観客席は祭りの興奮から「ええっ!?」と不安な空気に代わる。
どうやらおじいさんはキリコを担ぐつもりらしい。
私が「おじいさんに火の粉がかかる!」と心配すると、隣にいた地元のオッサンが
「神の粉やさけ、大丈夫」と頷き、「あの年でもキリコ担げるんやからたいしたもんや!」と感心していた。私には手すりに寄りかかっているようにしか見えなかったが…。
たいまつの火の粉を「神の粉」としてありがたがるのは、フツウらしい。「お呼ばれ」でごちそうになったお家でも
「ゴローさん、火の粉浴びて行きなさいよ。出世するよ!○○さんなんて火の粉あびたら県庁の△△課に行きなさったよ!」とキリコを担ぐのをすすめられていた。
火の粉と聞き、香ばしい記憶がよみがえり、私たちはせっかくのお申し出を丁寧に辞退した。

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